闇の魔王様と魔法少女達   作:龍牙

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第十五話『息抜きは大事だよな。by.トウヤ/特にお前の場合はな。by.キバットバットⅡ世』

「それで…?」

 

優しく微笑みながら明らかな怒りのオーラを纏ったトウヤがテーブルを挟んでお茶を飲んでいるフェイトに向かってそう話しかける。

 

 

「…ごめんなさい…」

 

 

「まあ、オレ達に迷惑を掛けたくないと言う君の意志は理解したけどな…」

 

 

『しゅん』となって謝るフェイトの姿を見ていると毒気を抜かれてしまい、寧ろトウヤの方に罪悪感が浮んでくる光景だ。

 

 

「で、でも、管理局の仲間になったんじゃ…」

 

 

「…いや、管理局だったか…。オレは積極的には動いてないが…なんと言うか…その組織の執務官とか名乗った黒いのは…何時の間にか、“既に”全魔族の間で“危険人物”として“指名手配”されているぞ」

 

 

そう言って見せるのは…何時の間にかオトヤ達が『レジェンドルガの仲間になっている危険人物』として指名手配したクロノの写真が貼られた魔族向けのポスターだった。

 

 

「「「「え、ええぇっー!!!」」」」

 

 

「…オレも驚いた…。父さん…キングの代理として復帰して真っ先にやった事がこれか…」

 

 

声を揃えて驚くなのは達とフェイト主従と、頭を抱えて手際の良過ぎる父親達の行動に対して溜息を吐くトウヤ。

 

 

この世界では魔族と人間は仲良く平和に共存している。付け加えると、警察組織などの公的機関の上層部は魔族の存在を知って協力関係になっている。これは主に魔族の過激派等の人間では対処できない犯罪者に対する対策としてだ。

 

さて、これを照らし合わせてみると…。

 

 

将来的にクロノ・ハラオウンは地球では………レジェンドルガに協力する事は伏せられるだろうが、“間違いなく”“危険人物”として“国際指名手配”になるだろう。まあ、それに関してトウヤは全面的に関わっていないし、“どうでも良い”と放置しているが。二度とクロノが地球に寄り付かなければ良いだけの話だ。誰も態々クロノを他の世界まで追いかけて捕まえる気は無いのだし。

 

 

「あー…フェイトさん達は状況が理解できていないだろうから…管理局と接触した時、あの後何が有ったか話しておこう」

 

 

そう言ってあの時に起こった出来事を話し始める。

 

 

管理局の中には魔族の中で最強種と呼ばれる一派『レジェンドルガ』が入り込んでいる事。

 

局員として入り込んでいたレジェンドルガ…オルトロスレジェンドルガをトウヤが倒した事。

 

トウヤの…否、ファンガイア族の至宝である闇のキバの鎧とザンバットソードがロストロギアとされた事。

 

 

「…まあ、闇のキバの鎧は最高傑作だが、製造方法などは残っているから、劣化品は量産できるけどな」

 

 

「誤解を招くような事を言うな。劣化品の量産と言ってもその場合でも一つ一つがハンドメイドだ。劣化の度合いも最高級品が高級品になる程度だ」

 

 

キバの鎧の製造方法は今も残されている。主に対レジェンドルガ等の大規模な戦闘が起こった時の自己修復が追いつかない時の修理の為にだ。同時にそれが有ればキバの鎧のある程度の量産は可能だろうが、それでもそれによって完成した代物は並の魔族では扱えない物になるのは間違いない。

 

 

「…“キバーラの鎧”の様にか」

 

 

「そうだな」

 

 

トウヤが思い出すのは闇のキバの鎧を含めて存在する鎧の一つ、『白いキバの鎧』…キバーラの鎧。

 

当作品における設定では、闇と黄金の二つのキバの鎧の機能を落し…鎖カテナによる封印を施された黄金のキバの鎧をベースにして安全性を高めた簡易型。人間やキングの資格者以外の魔族でも問題なく扱える代物となっている。

 

最も外見が女性的な為に男が使うには色々とプライドを捨てる必要がある。…主に『女装趣味』の疑惑とか、『変態』のレッテルとか、『オカマ野郎』と言う汚名とかを背負う覚悟とか…。

 

だが、それもその筈、キバーラの鎧はキングの婚約者となるクィーンの護衛の為の鎧で、その為に制御するキバット族も常にクィーンと同性である女性に限定される事になっている。

 

だが、現在キバットバット家には女性のキバット族が居ない為にキバーラの鎧は使えない代物ではあるが。

 

 

以上が本作におけるキバーラの鎧の設定である。

 

 

 

閑話休題それはさておき

 

 

 

そんな事を考えていると言葉を交わしているなのはとフェイトの方へと視線を向ける。なのははなのはで話したい事が有ったのだろうからと口を挟まなかったが、

 

 

「ねえ」

 

 

「あのさ」

 

 

「「彼女達(こいつ等)とはどう言う関係なの(なんだい)?」」

 

 

二人の会話から外れていたユーノとアルフに問い掛けられた。

 

 

「あー、高町さんはオレの友人クラスメイトだ。それで、フェイトさんはジュエルシードが原因で知り合った協力者だ」

 

 

「以前、彼女との戦いに手を出す事を控えたのは、前に言ったとおり彼女との実力の差も有るが、トウヤは敵でも無い平気で知り合いに力を向けられる様な性格はしていないからな」

 

 

トウヤは前者の言葉をアルフへと、後者の言葉をユーノへと告げる。

 

 

そして、トウヤの言葉に言葉を付け加えるのは、テーブルの上に着地してユーノとアルフへとそう告げるのはキバットバットⅡ世。

 

 

彼の言葉どおり、トウヤは知り合いの女の子に力を向けられる様な性格をしていない事に加えて、今のなのはとダークキバに変身済みのトウヤの実力差は明らかだ。どう考えてもトウヤが負ける姿が想像できない。

 

 

ゆっくりと紅茶を口に運びながら、面と向かって話していてもどうしても妥協点に行き着かないなのはとフェイトの二人に視線を向けてると、軽く溜息を吐く。

 

 

ユーノとアルフの方へと視線を向けると、『何とかして』と言う意志が視線から伝わってくる。

 

 

その視線を受けて『仕方ない』と、そう思いながら一度自分に注目を集める為に両手を『パン!』と叩き、二人の意識を己へと向けさせる。

 

 

「二人とも、自分の意思を向け合うのは良い事だと思うけど」

 

 

「トウヤ…」

 

 

「トウヤ君…」

 

 

そう言って二人へと視線を向けると、二人は彼の方を向いて名前を呼ぶ。

 

 

「言葉だけでダメなら、意思をぶつけ合えば良い」

 

 

以前前世の弟ワタルと一切の意思を伝える事の無い様に戦った時の自分トウヤとは違う。

 

 

「幸いにも、二人のデバイスは『非殺傷設定』と言う便利な機能もある様子だしな」

 

 

互いの武器には必要以上に傷付けない為のシステムが搭載されている。ならば、全力で思いと共にぶつかり合えば良い。

 

 

…このまま言葉だけでは話は進まないだろうし…。

 

 

「…権力を活用して、人払いくらいはするし…ユーノ達なら隔離する為の方法は知ってるだろ?」

 

 

「う、うん、結界魔法にそう言うのは有るけど…」

 

 

トウヤに話を降られるとユーノは慌ててそう答える。ユーノの答えを聞いて丁度良い場所を考えながら、

 

 

「なら、話は簡単だ。高町さんが負けたら、高町さんの持っている残りの魔石ジュエルシードをフェイトさんに渡す。フェイトさんが負けたら、高町さんが聞きたい事を答える」

 

 

全力でぶつかり合えば分かり合える事も有る。内心では、『もう向こうも必要は無いだろうけど』と心の中で呟いているのはトウヤだけの秘密だ。

 

 

「一対一の決闘かいわだ。オレもこの二人にも手出しはしない」

 

 

結局の所、トウヤもフェイトがジュエルシードを求めている理由は知っている。同様に既にジュエルシードがプレシアにとって無価値な物に成り下がったと言う事も知っている。

 

フェイトに自分が知った残酷すぎる真実を話すタイミングが掴めずに、こうして彼女を危険に晒している。ジュエルシードの暴走によって発生した相手に限定されるが、危険は全面的にトウヤの手で排除しているのだが。

 

 

二人に勧めた決闘かいわは二人が互いを分かり合う為の切欠として、攻撃と共に互いの意思をぶつけ合えれば良いと考えた結果だ。それ以上でもそれ以下でも無い。

 

 

なのはが負けたとしてもトウヤ自身が許可を貰って話せば良い。フェイトが負けたとしても決意が必要だがトウヤが真実を話してしまえば良い。

 

 

「で、でも…」

 

 

「お互いの意思を理解する方法は言葉を交わすだけじゃない。戦う事で分かり合える部分も有る。それに…負けたとしても、フェイトさんに認めてもらえれば話してもらえるかもしれないだろ、高町さん?」

 

 

気乗りしない様子のなのはにトウヤはそう告げる。フェイトの方は特に異論は無い様子だ。

 

 

「じゃあ、お互いくれぐれも怪我だけはしない様に気を付けて。オレは二人と打ち合わせをしてくるから」

 

 

そう言ってトウヤとキバットバットⅡ世はユーノとアルフを半ば無理矢理連れて部屋を出て別の部屋の中に入る。

 

 

「…さて…改めて二人には話しておきたい事が有る」

 

 

…主に隠し事をしていると言う負い目を軽くする為の共犯者を増やす為に…。

 

 

「話したい事って?」

 

 

「…フェイトさんの母親、彼女にジュエルシードを集めさせている人間…プレシア・テスタロッサについてだ」

 

 

「あの鬼婆かい!?」

 

 

「あの子の母親だって!?」

 

 

「そうだな。全ては以前、彼女と一緒に彼女の家に行った時の事だ」

 

 

レジェンドルガの事を前提として話してあるので、時の庭園で自分が知った事を一つ一つ話していく。フェイトやプリシア…そして、アリシアの現状も。

 

 

「それじゃあ、あんたは無駄だって分かっていてフェイトに集めさせていたのかい!?」

 

 

怒りを露にして殴りかかってくるアルフの拳を避ける素振りも見せずにトウヤは黙って受ける。

 

 

「すまない。…流石に真実が重過ぎて話せなかった…」

 

 

それもそうだろう。トウヤが知ってしまったのはタイミングが悪ければ間違いなくショックのあまり精神崩壊しかねない程の重すぎる真実だ。

 

 

「それに、無意味と言うのは否定するべきだろうな」

 

 

「どう言う…」

 

 

そう言ってトウヤは部屋の中に有る机の上に置いてあるカルテを取り上げる。

 

 

「…あの後、医療系の魔術や技術に特化した者を送って診察させたんだが…。はっきり言って、既にプレシア・テスタロッサは何時亡くなっても不思議じゃない。時間が無さ過ぎる為にプレシア・テスタロッサの治療は通常法の方法では無理だろうな」

 

 

「通常って事は…他の方法が有るように聞こえるんだけど」

 

 

「…ああ…。一時的に人間をオレ達ファンガイア族に変える禁忌の技術が有る。同時にファンガイア族は不完全とは言え、大量のライフエナジーが有れば死んだとしても蘇生できる。そして、大量のライフエナジーも…魔力を変換する事で生成すると言う廃案された技術が残っている」

 

 

簡単な話だ。人間で治療が不可能なら、一時的に生命力の高いファンガイア族に変える事で延命、魔力を変換した純度の低いライフエナジーとは言え大量ならば生きている状態の延命には十分だろう。

 

 

「まさか…君達の言うライフエナジーに変える魔力の出所を…」

 

 

「ああ、ジュエルシードの魔力をライフエナジーに変換させる」

 

 

ファンガイア族として蘇生させた上で完治させ、その上で人間に戻す。過去に封印された禁忌の技術だが、人の命を救う為ならば躊躇する理由は無い。

 

 

「安心しろ…禁忌の技術を使った代償は、最悪はプレシア・テスタロッサの治療が終わった後で、オレが裁かれればそれで全て解決する」

 

 

その前に何処かに居るアークを討てばアリシア・テスタロッサも元に戻る。自分一人の犠牲で救える命があるなら、それを躊躇する理由はトウヤには存在しない。

 

 

「あんた…フェイトの為に其処まで…」

 

 

「何かを得るには代償を払う必要が有る。今回の代償はオレのキングとしての地位か…オレ自身の命か…。どっちにしても、アークを倒すまでは生き延びる心算だ」

 

 

…間違いなく、オトヤ達もトウヤがそんな事を考えているのは知っているだろから、そう考えのとおりには行かないだろうが…。

 

 

「まあ、ファンガイア族になってもレジェンドルガの同族化とは違うから、自我が消える事もないし、ファンガイア態と言う姿を持つ以外には人間と変わりないから、吸命衝動以外は特に問題ない」

 

 

最後に『上手く行けばな』と付け加えて会話を終える。それでも、少しでも早く準備と治療のシミュレーションを終える必要が有る。

 

 

「…問題は管理局側に居る…奴等レジェンドルガか…」

 

 

最後に残された問題を呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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