闇の魔王様と魔法少女達   作:龍牙

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第三話『ああ、少しは運が向いてきたかな、オレ? by.トウヤ/…命を賭けてまでする事か? by.キバットバットⅡ世』

「少し待て、トウヤ。」

 

「? どうしたんだよ、Ⅱ世?」

 

魔石によって誕生したサバトと戦っている金色の髪の少女に加勢しようとしたトウヤをキバットバットⅡ世が呼び止める。

 

「いや、この状況では加勢するのは良いんだが、先日のピンク色の光線の主には存在を教えただけなのに…良いのか?」

 

「ああ、構わない。」

 

そもそも、先日の大樹の時の一件で姿を見せなかったのは、準備無く接触してしまい、外見で敵と間違われて、あんな物ディバインバスターを撃たれて直撃していれば、ダークキバの鎧の上からでもダメージは大きく危険だと考えた結果だ。何気にダークキバのデザインは気に入っているが、下手な行動は悪人と誤解されても仕方ないと考えている。(でも、オレはダークキバは好き。 by.作者)

だが、今回は事態が違う。相手は間違いなく悪人に分類できるファンガイア族、そんな相手に対して、トウヤの対応は一つ…『王の判決を言い渡す』だけである。

それに、金色の髪の少女が封印する術を持っていたとして、封印した後の魔石ジュエルシードを狙ってサバトになっている者や、その仲間達さえも現れる可能性がある。

奴等も封印を解く方法は分からないだろうが、まだ扱い易くなったと考えるだろう。キングであり、ダークキバの鎧を纏うトウヤを倒す為の切り札でありながら、何時爆発するか分からない爆弾に有る程度任意で爆発できるリモコンを付けた様な物なのだから。

 

「…あの…バカ親父…。」

 

何故小学生の自分が此処まで苦労しなければならないのだろうかと考えると、思わず自分にキングの地位を譲り、サガの鎧を持ち世界を飛び回っている父に対して悪態を吐いてしまう。

曰く、世界中の魔族と人間の間を取り持つ為だそうだ。日本ならば人を襲うファンガイア族の方が少ないのだが、海外規模では先代や現キングである父や自分の目が届かない海外のファンガイア族の中にもそう言う考えの者が居るのは良いのだが、人を支配すべきと考える一族は多く、裁く者が不在の為に人と魔族の共存に対する弊害と成っている。

その為に父はトウヤにダークキバの鎧を譲り海外で動く為にキバの試作の鎧のサガを持ちキングの座を譲り、動いている訳である。

 

ビショップ達曰く先代のキングは『良き王だけど、ダメな所が多い王だ。』とコメントしている。………付け加えると、トウヤの父の名は『オトヤ・F・クリムゾン』と言う。

まあ、別な方向でダメな所が在るトウヤの事を考えると…ビショップやキバットバットⅡ世達は、はっきり言って苦労しすぎだと思う…。

注)この作品のビショップ達は原典のキバとも、DCD版のキバとも“一切”関係有りません。

 

それになにより、『美少女』が戦っているのを手助けしないという選択肢がトウヤの中にある訳がないのだから。

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

さて、そんな形で無駄話を切り止めたトウヤダークキバは金色の髪の少女と戦うサバトへと殴りかかる。

それによって、僅かにサバトの体は揺らぐが、決定打は与えられない。寧ろ、サバトになったファンガイア族の意思が残っているのか、本能的な部分で金色の髪の少女よりもダークキバの方が脅威と認識したのかは不明だが、触手を使いダークキバへと襲い掛かる。

だが、それで良い。それこそがトウヤの狙いなのだ。

 

「やれやれ、人気者は辛いな。」

 

「同感だ!」

 

一撃でも受ければダークキバであっても死に繋がるような攻撃の中、ダークキバとキバットバットⅡ世は軽口を交わしながら、空中に出現させたキバの紋を足場にサバトの振り下ろす触手を避けながら打撃を加えていく。

ダークキバのそれはその力の使い方としては間違っているかもしれないが、正しい使い方をしたとしても効果が薄そうな現状では飛行能力の無いダークキバの空中戦での足場として使った方が良いと判断した結果だ。

 

そして、キバの紋を連続で出現させながらサバトを翻弄し、上空へと飛び上がると自身の脚力と落下速度を利用した飛び蹴りをサバトへと放ち、そのまま大地へと叩きつける。

 

「…前に戦った奴より打たれ強いな。」

 

「必殺技ではないから当然だろうが、やはり、一般のファンガイアとお前を倒そうと考える程度の力を持った者では下地が違うか。」

 

ダークキバの呟きをキバットバットⅡ世が補足してくれる。仮面の奥で、そんな自身の相棒パートナーに対して『頼りになるな』と言う考えと共に笑みを浮かべる。

 

「そうだな。…奴の仲間は…。」

 

「あ、あの…。」

 

サバトが倒れている間に何処かに隠れている可能性の有る他の過激派達の居場所を探ろうとしていたダークキバへと金色の髪の少女が話しかけてくる。

 

「あなたは何者ですか…?」

 

そう問い掛けてくるが金色の髪の少女の瞳には怯えの色が見える。ダークキバは自分の姿と自分が行った行動を考えてみると…当然としか思えない。

 

(…まあ、あの光景を見たらな…。)「あー、いや、特に怪しい者じゃ無いけど…。」

 

「そんな格好をしている貴方が怪しくない訳無いじゃないですか。」

 

「…それに関してはお互い様な気もするけど…納得しておくか。」

 

「まあ、事実だからな。」

 

金色の髪の少女の言葉に弁解するが、そう返されてしまい納得してしまうダークキバに対してキバットバットⅡ世は溜息を吐きながらそう答える。

そして、それ以上にどうしてもダークキバに対する少女の怯えが消えないのはダークキバ(トウヤ)本人としては何よりも気になる…と言うよりも悲しい。そもそも、トウヤの性格上、可愛い女の子に怯えられて嬉しい訳が無いのだし。

 

「まあ、お互いが何者かよりも、今はサバト…奴を何とかした方が良さそうだ。」

 

気を取り直してサバトへと視線を向けると既にダークキバの一撃により地面に叩きつけられていたサバトはそのまま起き上がり体勢を立て直していた。

 

「は、はい!」

 

ダークキバの言葉に金色の髪の少女が頷き、二人がその場から離れるとサバトの触手が地面へと叩きつけられる。

 

本能か本人の意思かは疑問だが、ターゲットの優先順位がダークキバに変わった事で攻撃が彼に集中し、無視される形となった金色の髪の少女が死角に回り込み一撃を加えるが、サバトはダメージを受けた様子も無く、ダークキバへと光弾を交えた攻撃を放っている。

 

本来ならキャッスルドランを召喚したい所だが、信用を得ていない少女が居る現状でキャッスルドランの召喚は彼女が危険と却下している。流石に怪獣大戦争の真っ只中に放り込む訳には行かないのだ。信用されていないダークキバが安全だと言ってもキャッスルドランに避難はしてくれないだろうし。

 

キバの紋を足場にしながら振られた触手へと飛び乗り、ダークキバはそのままサバトへと肉薄し、ラッシュを叩き込む。それによって僅かに揺らぐがサバトは尚もダークキバへと襲い掛かる。

 

「やれやれ、お前の攻撃は少しは効いているが、あの少女の攻撃は効いていない様だな。彼女はスピード主体、一撃の攻撃力が低くてはサバトの相手には向いていないな。」

 

「ああ。無視されているのは、幸いか。」

 

「…サバトの攻撃が相手では、お前も彼女の防御も大差ないだろうがな。寧ろ、スピード主体ではないお前の方が危険だと言う事を忘れるな。何より、奴からはお前の方が狙われている。」

 

「上等。女の子を守って危険な思いをするのは、男の役目だろ?」

 

サバトの攻撃を避けながらダークキバはキバットバットⅡ世の言葉に答える。危険は最初から承知の上、そう簡単に大振りな攻撃に当ってやる心算もダークキバには無い。恐れる理由も、下がる理由も、今の彼には存在しない。

 

「はぁ…はぁ…。」

 

完全に無視される形となっている金色の髪の少女にも疲労と焦りの色が浮かんでいる。意を決して、上空へと飛び上がり、魔法陣を発生させる。

 

「サンダー………。」

 

金色の刃の消えた杖らしき物を振り上げる金色の髪の少女。その様子から推測するに、大技を使おうとしている様子。だが…不幸にも、脅威度がダークキバを上回ってしまった事は災いしてしまった。

 

「危ない!」

 

「レイッ…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!?」

 

「くっ!」

 

警告の叫び声を放ち上空へと跳ぶダークキバ。上空に居る少女へと向けて光弾を放つサバト。そして、サバトからの反撃に叫び声を上げてしまい、目を閉じる少女。

 

「え?」

 

何時までも痛みが無い事を疑問に思い目を開けると、そこには自分の盾となっているダークキバの姿があった。

 

「トウヤ、無茶をするな!?」

 

キバットバットⅡ世からの叫び声を聞きながら、気を抜けば意識を手放しそうになる全身の痛みに耐え辛うじて意識を保ちながら、足元に出現させたキバの紋を足場に体勢を保っていた。

 

金色の髪の少女の前に飛び込んだダークキバは正面に出現させたキバの紋と自分の体を盾にして少女をサバトの放った光弾から庇った訳である。その結果、ダークキバの鎧は黒く焼けた部分も有り、結果トウヤの体にもダメージが残ってしまった訳である。

 

「あ、あの…。」

 

「気にするな。それより…奴の動きはオレがもう一度止める…。封印は出来るか?」

 

「う、うん!」

 

反射的にダークキバの問いに頷く少女の言葉に満足気に頷き、ウェイックアップフエッスルを抜き、キバットバットⅡ世に咥えさせる。

 

「その体で無茶をする…仕方ない、一撃で決めるぞ。ウェイクアップ2!」

 

キバットバットⅡ世の言葉と共に鳴り響くウェイクアップフエッスルの音色。世界を支配する物がダークキバへと変わった瞬間、ダークキバは舞い上がり、そのまま飛び蹴りを放つ。

 

「キングスバーストエンド!!!」

 

全身のダメージを抑えながら放った手加減無しの必殺の飛び蹴りキングスバーストエンドがサバトへと直撃し、キバの紋を刻む。それによってキバの紋が刻まれた周囲が霧散するサバト。そして、

 

「サンダー…レイジィィイ!!!」

 

ダークキバの離脱と共に金色の髪の少女の放った稲妻がサバトへと直撃し、

 

「ジュエルシード! 封印!!!」

 

そのまま魔石ジュエルシードを封印する。その後に残ったのは、魔石ジュエルシードとそれに取り込まれていた蜂をイメージさせるファンガイア態のファンガイア。

 

「あっ! それを…。」

 

「ほら。」

 

逸早く地面に降りていたダークキバが蜂のファンガイア…ワプスファンガイアの傍らに落ちている魔石ジュエルシードを拾い上げ少女へと投げ渡す。それを慌てて受け取ると少女はそれを持っていた杖の様な武器の中に収納する。

 

「トウヤ、どうやら確かにあれの隔離方法は持っていた様だな。」

 

「…ああ…。…あとは…信用できるか否かを見極めるだけか…。」

 

実際立っているのも辛いダークキバだが、膝を折らずに立ち続けながらキバットバットⅡ世の言葉に答えているのは、キングであるプライド故か。ダークキバの姿で膝を折るのは彼のキングとしてのプライドが許さないのだろう。

 

地面に降りた金色の髪の少女はダークキバへと近づいてくる。

 

「あ、あの…さっきはありがとうございました。私は『フェイト・テスタロッサ』です。あなたは?」

 

「オレは…「貴様、キング!!!」チッ、もう目を覚ましたか。」

 

聞こえてきた言葉にダークキバが振り返ると、レイピアを取り出したワプスファンガイアがダークキバへと向けてそう叫んでいた。

 

「やれやれ、オレに武器を向けると言う事がどう言う事か…分かっているのか?」

 

「ふん、貴様の様な腑抜けたキングなど、我等ファンガイアには必要ない!!! どうやら、あの石のお蔭で倒せないまでもダメージは有ったようだな。今のお前なら…。」

 

フェイトと名乗った少女を背後に庇いながら、相手の言葉を鼻で笑い飛ばしながら痛みを隠し王としての口調でワプスファンガイアへと言い放つ。

 

「確かに傷は負ったが、貴様程度に負ける程ではない。王への反逆の罪…王の判決を言い渡す…死だ!!!」

 

「ああ、光栄に思え、絶滅タイムだ!」

 

ダークキバとキバットバットⅡ世の言葉が響き渡るが、ワプスファンガイアはその表情に笑いを浮かべる。

 

「ふん、誰が一人だと言った。」

 

ワプスファンガイアの合図と共に林の中から数人のスーツ姿の男達が現れる。

纏っている空気は間違いなくダークキバだけでなくフェイトへと向けられた殺気。そして、人間の姿こそしているが頬に浮かぶステンドグラス状の模様は男達が人ではなく、ファンガイアである事を告げていた。

 

「覚悟は良いか、腑抜けのキング、これだけの人数が居れば今の貴様など。」

 

「チッ! まったく、オレみたいなガキを相手にいい大人が何をやってるんだか? フェイトと言ったな? すまない、どうやらオレ達一族の問題に巻き込んでしまった様だ。時間は稼ぐ…直に此処から逃げろ。」

 

「え? あっ、でも!」

 

そう言ってダークキバはフェイトに逃げる様に促す。流石に防御したとは言えサバトの攻撃を受けたダメージは大きく、フェイトを庇いながらこの数のファンガイアと戦うのはきつい。彼女が戦力になるか否かは兎も角、人を殺す事に躊躇が無いファンガイア達と戦わせたくは無い。

トウヤが魔石と命名した石-フェイトの言葉から考えて本来の名は『ジュエルシード』と言うらしい-を奴等はダークキバであるトウヤを倒す為の切り札に使いたかった様で、図らずもフェイトを庇った事である程度は思い通りになったらしい。

推測の域を出ていないが、彼女も集めている以上、ジュエルシードは今回手に入れた一つだけではないのだろう。万が一、フェイトからそれを奪われたら…下手をすれば数体のサバトを同時に相手にする事になる。それだけは勘弁して欲しい。

感情と打算、その両方の面からトウヤはフェイトを逃がす事に決めたのである。

 

だが、当のフェイトは金色の刃が出現し鎌状になった杖を握り、逃げてくれる様子は無い。

 

「助けてくれた人を置いていくなんて出来ません。」

 

きっぱりと否定してくれた。思わずキバットバットⅡ世と揃って仮面の奥で溜息を吐いてしまうが、逆に彼女自身は信用に足る人物である事は理解できた。

 

「…仕方ない…。Ⅱ世、援軍は来そうか?」

 

「多少時間は掛かるが、後始末にルーク達が向かってきてくれている。それまでは持ち堪えろ。」

 

「…多少か…。それで、そっちは援軍は来るのか?」

 

「はい。アルフ…私の使い魔が来てくれるはずです。」

 

フェイトへと視線を向けながら、そう問い掛けるとそんな答えが返ってくる。…現状でその答えはそれ程良くは無かった。自分の主の危機に駆けつけない従者等居るはずは無い。同時に彼女の目には信頼の色が浮かんでいる。…それほど信頼されているアルフと言うらしい使い魔がサバトと戦っている時に現れないと言う事から導き出される答えは…。

 

(…奴等に捕まっているか、奴等の仲間と絶賛戦闘中と言った所か?)

 

思わず最悪の状況を思い浮かべてしまう。大技で纏めて吹き飛ばそうにも相手はそれを警戒してか周囲に分散して包囲しているし、この状態で二度目の必殺技の発動は正直勘弁して欲しい。

 

(このまま戦うのは不利だな。近場に指揮官が居る事だし…奴を最優先で潰しておくか。)

 

最優先での狙いをリーダー各のワプスファンガイアに絞り、一気に仕留め様と決めると、拳を握る。

 

「おっと、その前にあれを見ていただこうか、キング。」

 

「…狼…?」

 

「アルフ!?」

 

ワプスファンガイアへと注意を向けつつ相手に指し示された方向へと視線を向けると、象をイメージさせる大柄のファンガイア族『エレファントファンガイア』と、シュモクザメをイメージさせるファンガイア『ハンマーヘッドファンガイア』が傷だらけになった額に宝石のような物を付けたオレンジ色の狼を連れていた。

 

フェイトの言葉からそれが彼女の言う使い魔なのだろう。

 

(…探索者を捕まえてオレを倒す為の切り札を確保しようとした訳か…。)

 

アルフと言うらしい使い魔にも実力は有るのだろうが、相手は一応は自分ダークキバを倒す事を考える《過激派》のファンガイア族。流石に二対一はきつかったと言う訳だろう。

向こうもファンガイアの姿に戻っている事から殺してでも奪い取る様子で、倒した相手が魔石ジュエルシードを持って居ない事と、本来の探索者とターゲットの存在を確認して連れて来たと推測できる。

こうして見ているだけでも確かにチェックメイト・フォークラスには及ばないが、それなりに実力は有る様子だ。

 

「なるほど、彼女の方の援軍は期待出来ないという訳か。」

 

「あの石さえ有れば、チェックメイト・フォーもキバの力も怖くはない。さあ、そこの小娘、あの石を渡して貰おうか。」

 

「っ!?」

 

完全に力にのまれていると言う様子でダークキバを無視しつつ、ダークキバの背後に庇う形になっているフェイトへとレイピアを向けてそう告げる。ワプスファンガイアの言葉にフェイトは鎌状の杖を握り締めながら俯いている。

 

(…さて…どうする…?)

 

相手の人(?)質はダークキバにではなく、フェイトに対してのもの。それもジュエルシードを手に入れてサバト化して暴走する事を前提で動いている様子だ。はっきり言って厄介この上ない。

………どうでも良いが、トウヤとしてはそんな物の力を借りて暴走して…理性を失っているか、理性を残しているのかは分からないが…そんな状態で勝とうとする事の方がプライドが無いとしか思えない。

 

彼女の反応を見ていると迷っている様子だが、使い魔の事が大事なのだろう、向こうが後一押し…『渡さなければ殺す』とでも言えば直に一つくらいは渡してしまいそうだ。

 

(…サバト相手の連戦は勘弁して欲しいな…。ん?)

 

ふと視線を向けると、敵のファンガイア族の中に異質な影が混じっているのに気が着く。影の数は四つ…。

 

(やれやれ…予想以上に早かったな、Ⅱ世。)「待て。Ⅱ世。」

 

(ああ。)「分かった。」

 

「え?」

「なに?」

 

ダークキバとキバットバットⅡ世の行動にフェイトとワプスファンガイアの言葉が重なる。キバットバットⅡ世がベルトから外れた事で、ダークキバの鎧が消え、変身が解除されトウヤの姿に戻る。

 

「武装は解除した。これであの石に頼る必要も無いだろう?」

 

ワプスファンガイアを嘲笑う様に告げられるトウヤの言葉。トウヤのそんな態度にワプスファンガイアは怒りを覚えるが、自身の圧倒的優位の立場に気がつき、直にその頭は冷える。

 

「ふ、ふふふ…流石は腑抜けのキングだな。あんな獣一匹の為に自らの命を差し出すとはな!」

 

「そ、そんな!」

 

「まあ、彼女にとっては大切な存在みたいだしな。それで、これであの石を求める必要はなくなっただろう? 彼女達は無事逃がしてもらえるか?」

 

「ふん、誰がそんな事を言った?」

 

トウヤ達へとレイピアを向けながらワプスファンガイアが部下達に指示を出そうとした瞬間、

 

「や「ギャァァァァァァァァァアア!!!」なに!?」

 

ファンガイア達に突然の悲鳴が上がる。

 

「残念ながら、王の判決は…。」

 

「絶対だ。」

 

「な、なにが!?」

 

慌てるワプスファンガイアとフェイトに対してトウヤとキバットバットⅡ世は笑みを浮かべながら告げる。

 

周囲を取り囲んでいたファンガイア達を倒しているのは、四種の異形の影。

 

白い獅子とステンドグラスをイメージさせるファンガイア族最強の四人、チェックメイト・フォーの一人、ルーク・『ライオンファンガイア』。

 

ファンガイア族と友好関係にある13の魔族の一つウルフェン族の戦士青い人狼『ガルル』。

 

そして、13の魔族の碧の半漁人マーマン族の『バッシャー』と、紫の巨人フランケン族の『ドッガ』。

 

彼等こそが13の魔族の代表たるファンガイア族の王キングであるトウヤに使える円卓の騎士達の一角なのだ。

 

「き、貴様、初めからこれを…。」

 

「そうだな。お前達を油断させる意味も込めて、変身を解除させて貰った。流石に最高の餌を目の前にしては、他は目に入らなくなると予想させて貰ったからな。それに、オレに注意が向けば、彼女の使い魔からも注意が外れるだろう。」

 

そう、トウヤの言葉通りアルフと呼ばれたフェイトの使い魔を捕らえていた二体のファンガイアはトウヤに気を取られている間に早々にルークが倒した。

 

「第一…己に仕える従者を信じないほどオレは愚かな王じゃない。…腑抜けだけどな。」

 

己に忠義を尽くし使える者達の忠義には己の命を掛けて応える。それがトウヤの過去の経験が与えてくれた王としての姿勢。

 

「くっ…せめてお前だけでも!!!」

 

自棄になってトウヤに向かっていくワプスファンガイアだが、横から叩きつけられたドッガの拳に吹き飛ばされ、ルークにトドメを刺される。

 

「キング、ご無事ですか?」

「トウヤ、無事か?」

 

そう言ってトウヤに対して方膝を着いて問い掛けてくるのはルークで、何処か気安い態度で問い掛けるのはウルフェン族のガルルである。

 

「ああ、二人とも、心配を掛けたようだな。それより、彼女の使い魔の方は大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫だよ。」

 

「心配、ない。でも、治療は、必要。」

 

トウヤの問いに答えるのはマーマン族のバッシャーと、アルフを抱えているフランケン族のドッガ。

 

「そうか、城キャッスルドランに運んで治療をする必要が有るな。そちらのお嬢さん、フェイトとか言いましたね、それで構いませんか?」

 

ドッガ達の言葉に答えながら指示を出し、改めてフェイトへと向き直るとそう問い掛ける。

 

「は、はい。あ、あの…アルフを助けてくれてありがとうございました。でも…貴方は何者なんですか?」

 

大人の体型で異形の姿をしていたと思えば自分と変わらない少年の姿になり、異形の者達を従えている姿。彼女でなくとも…いや…彼女はまだ冷静といえるだろう。普通ならばもっと取り乱していても無理はない。

 

「これは失礼。フェイトさん。オレは『紅 トウヤ』、本来の名は『トウヤ・F・クリムゾン』。彼等を束ねる王の家系の現在のキングだ。」

 

その場に現れた龍と一体化した城『キャッスルドラン』を背景に優雅に一礼しながらフェイトの疑問にそう答えるのだった。

 

「それより、フェイトさん、君にはあの石を隔離する方法が有るみたいだな。」

 

「う、うん。」

 

トウヤの問いに杖を握り締めながら頷くフェイト。そんなフェイトの問いにトウヤはルーク達へと振り返り、

 

「よし、あの石の隔離方法が見つかったぞ!!!」

 

「それは良かった!」

 

「あー…あれの見張りって結構大変なんだよね。」

 

「一つの石を置いておくのに一部屋潰れるからな。」

 

「見張り、で、寝ぶ、そく。」

 

トウヤの言葉に嬉しそうに叫ぶルーク達と、外見からは想像出来ない妙な雰囲気に着いていけないといった様子のフェイト。そんなフェイトへと振り返ると、トウヤは。

 

「頼むから、オレ達が回収したあれを持っていってくれ!!!」

 

ガシっと手を握りながらそう頼み込む。同様にルーク達にも『お願いします』と頭を下げられてしまう。

 

「え? あ、あの…貰っても、良いの?」

 

「ああ。あんな危険物…寧ろ、君に押し付けるのが申し訳ない位だ。」

 

戸惑うフェイトに対してそう応えるトウヤ。後では、ルーク達が『うんうん』と頷いている。それがジュエルシードに対する彼女とトウヤ達の温度差を物語っていたのだった。

 

「あー、今日から枕を高くして眠れるぞ!!!(可愛い女の子に危険物を押し付けるのは申し訳ないけどな。)」

 

「「「「オー!!!」」」」

 

やっぱりシリアスな空気は長続きしないトウヤと、そんなトウヤに染められた様子の一同だった。

 

 

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