闇の魔王様と魔法少女達   作:龍牙

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第四話『トラブルはトラブルを呼ぶ…か? by.トウヤ/あー、まあ、頑張れ。by.キバットバットⅡ世』

「え…ええと…。」

 

「ん? 紅茶は好みじゃなかった? それとも、お茶菓子が好みじゃないなら別の物を持ってこさせるけど…。」

 

「そ、そう言う訳じゃ…。」

 

城キャッスルドランの一室、食堂でトウヤの正面の席に座って完全に戸惑っているフェイトさんでした。

 

キャッスルドランの中に案内された後、ルーク達に城キャッスルドランの空き部屋に隔離してある魔石改め『ジュエルシード』を持ってこさせて彼女の持っていた杖デバイスの中に隔離してもらった後、治療しているアルフが目を覚ますまで、こうしてお茶を出している訳だ。

 

言葉を交わした感じでは、ジュエルシードを集めている理由こそ分からないが、少なくとも悪用する様な人間でない事は理解できる。…………はっきり言って彼女が悪人だったら、暫く人間不信に陥りそうなレベルである。

 

「これで二度目だけど、あの石…ジュエルシードだったか? それはオレ達にとっては早急に処分したい危険物だ。寧ろ感謝するのはこっちの方だ。」

 

「き、危険物って。」

 

「…あれで出た被害を考えるとそう言うしかないからな…。」

 

ファンガイア一族のサバト化、巨大な樹木の発生等など、出た被害は知っているだけでも大きい物ばかりではっきり言ってトウヤとしては、それはさっさと処分してしまいたい危険物だ。

 

「君が何の目的で集めているにしても、この世界に影響が無い限りは危険物を回収してくれている恩人だ。」

 

トウヤとしては、それは嘘偽り無い本音である。ジュエルシードがどれほどの価値については“何一つ”興味ないし、単なる危険な物であり、それを回収してくれているフェイトに対しては感謝こそしても、咎める必要など無い。

 

ゆっくりと紅茶のカップに口を付けながら、微笑を浮かべる。

 

「寧ろ、オレの方から今後も君に回収を続けて欲くれって頼みたいくらいだ。勿論、その事に対する報酬や協力は惜しまない。」

 

「ほ、報酬なんて、私はジュエルシードを渡してもらえるだけで十分だから!」

 

「そうなのか?」

 

慌てた様子で断るフェイトを眺めながらトウヤは逆に戸惑いを覚えてしまう。

 

「まあ、協力を受けるか受けないかについては、君の従者が目を覚ましてからで良いだろう。」

 

「う、うん。あ、あの、それでアルフは大丈夫なんですか!?」

 

「ああ。大丈夫、ビショップに治療の手配はさせた。」

 

ビショップには一族の獣医を呼ばせている。それでも、目を覚ますまでは時間が掛かるだろう。と、そんな事を思っていたら、

 

「フェイト!」

 

食堂のドアが勢い良く開き、赤毛の女性が飛び込んできて、フェイトを抱きしめる。

 

「誰?」

 

「アルフ!」

 

初対面の女性に対して戸惑いを覚えてしまうが、フェイトはその女性の事を自分の使い魔と同じ名前で呼ぶ。乾いた音を立てた様子で続いて部屋に入ってきたウルフェン族の戦士である人間の姿のガルルへと視線を向けて、

 

「……えーと、あー…次狼さん…同族でしたか?」

 

アルフと呼ばれた女性を指差しながら、思わずそう問い掛けてしまう。

 

「いや、確かに狼から人の姿に変わったが、オレの同族じゃない。第一、ウルフェン族とは似て無いだろう。」

 

「あー…確かに、完全な狼から人ですから、伝承に出てくる『ワーウルフ』その物って感じですね。」

 

「確かにな。」

 

トウヤの言葉に同意しながら、何処からか飛んできたキバットバットⅡ世が彼の肩にとまる。

 

「あー…そう言えば、フェイトさんだったか? 君の従者には自己紹介が遅れたな。」

 

無粋と思いながらも互いの無事を喜んでいる主従の会話を一度切り止めさせて自分へと注意を向けさせる。

 

「オレはこの城の主で、この世界に住まう闇の一族の代表…ファンガイア族の王と言う事になっている、『紅 トウマ』、本名『トウヤ・F・クリムゾン』、そちらの主君フェイトさんには先に挨拶をさせて頂いたが、どうぞよろしく。」

 

椅子から立ち上がり名を名乗ると一礼すると、

 

「こっちはオレの相棒パートナーのキバットバットⅡ世。」

 

「ああ、光栄に思え、よろしく頼む。」

 

「そっちは魔族の一族の一つであるウルフェン族の代表である『次狼』さんだ。」

 

「ああ、よろしくな。」

 

トウヤの紹介に答えるように思い思いの返事を返し、一礼するキバットバットⅡ世とガルル。

 

「あっ、私は『フェイト・テスタロッサ』と言います、この子は私の使い魔の『アルフ』です。助けていただいてどうも、ありがとうございました。」

 

慌てて頭を下げるフェイトとアルフに対してトウヤは、

 

「いや、今回の事はオレの一族の連中の暴走だ。寧ろ、こっちから謝罪したいくらいだ。それで、こちらからの依頼についての返事はもらえる?」

 

「あ、うん。」

 

「依頼? なんの事だい?」

 

先ほどまでの話を知らなかったアルフが疑問の声を上げる。

 

「簡単な話だ。君の主には今後もあのジュエルシードを回収して貰いたい、その為の協力と報酬は約束する。と言う話だ。…信用できないって顔だな。」

 

「そ、そんな言葉信用できる訳無いだろう、助けてくれた事には感謝するけど、「自分達にメリットが有り過ぎるか?」……。」

 

アルフの言葉を遮ってトウヤが言葉を続けると、それは正しかったのだろう、彼女は黙りこむ。

 

「確かにアルフの言うとおりです。私やアルフを助けてくれた事や、ジュエルシードをくれた事には感謝します。けど…。」

 

続けて告げられたフェイトの言葉にトウヤは『確かに』と頷く。

 

「こちらにとってのメリット、あの石の存在はオレ達闇の一族にとって害悪でしかないからだ。」

 

「害悪?」

 

「君が戦っていた過激派のファンガイア族の姿、あれはオレ達の一族では不遇な死を遂げた一族の者が変化する『サバト』と呼ばれている存在だ。その戦闘力は強大だが、過去に数えるほどしかサバトは発生していない。だが、その石に影響された者は意思を失ってサバトとなって暴走する事件が、君が戦った物を含めて既に二件発生している。」

 

そこまで言いきった後、トウマは紅茶が注がれているカップに口をつけて喉を潤す。

 

「幸いにも二件とも人気の無い場所で起こってるが、街中で発生した場合の被害は……想像したくない。」

 

「っ!?」

 

フェイトもその場合を想像してしまったのだろう。サバトが街中で発生した場合の被害は大き過ぎる。

 

「一族の者の為にも、この街に住む人々の為にもあの石は早めに回収して、隔離してしまいたい。この街と一族の者の安全、それがオレ達にとってのメリットであり、それを行ってくれている君達には感謝こそしても、害意を持ってはいない。」

 

そう言って微笑みを浮かべると改めて頭を下げる。

 

「改めてテスタロッサさん、君の行動には感謝する。ありがとう。」

 

トウヤの言葉にフェイトがキョトンとしていると、トウヤは改めて椅子に座る。

 

「確かに貴方の言う事は分かりました。その…協力してください。」

 

「ありがとう。」

 

「それで、協力ってそっちは何をしてくれるんだい?」

 

アルフの言葉にトウヤは指を三本立てる。

 

「協力の内容は、戦力の提供とジュエルシードの探索の協力、そちらが望めば、衣・食・住の提供も行う。以上の三つだけど。」

 

トウヤの言葉に合わせてビショップが海鳴市周辺の地図を持ってくる。地図には幾つかの円と点が書かれ、番号が書かれた点が貼られていた。

 

「オレも一族の者に言ってジュエルシードの探索を行わせて居た。これはその結果だ。円は一族の者に探させた範囲で、書かれている点はジュエルシードが起こしたらしき事故、そして、番号の書かれた点はオレが回収したジュエシードと番号だ。」

 

そう言ってフェイト達へと視線を向けると、

 

「オレの事が信用できたならで良いから、君達の回収したジュエルシードの数と場所、操作した範囲を教えてもらえれば、ありがたい。それと。」

 

そう言って住所と電話番号が書かれた紙を手渡す。

 

「これが、オレが普段、自宅として住んでいるマンションの場所と電話番号だ。」

 

「うん。あの…私達が見つけたジュエルシードは協力して貰った者が二つ目です…。」

 

フェイトが頷いてそれを受け取って、告げられる言葉。それと共にしょぼんとした様子でフェイト達は落ち込む。寧ろ、彼女の持っているジュエルシードの大部分はトウヤが渡してくれた物なのだから。

 

「(捨てられた子犬みたいだな。)まあ、気にしなくても良いよ。探索の方法を知っているなら、その方法で探してくれればそれで良い。そっちの魔法での探索を含めて行えば、早く見つかるだろう。それと、回収の時はサバトが出た時はオレに連絡をする事を約束してくれれば何も問題ないさ。」

 

「は、はい、約束します。」

 

頷くフェイトを眺めながら、『可愛いな~』等と思ったのは、トウヤだけの秘密だ。そして、彼女の言葉を聞くとビショップへと視線を向ける。

 

「さて、もう遅い事だし、良ければ夕飯でも食べて泊まって行ってくれ。」

 

「あ、あの、泊まって行くって、ここにですか?」

 

「ここが嫌なら、オレが城に泊まるから、キャッスルドランの中に門ゲートを繋いで有るから、オレのマンションの方に泊まれば良いとは思うけど。どっちが良い?」

 

そんな形でフェイトとの契約は終わった。付け加えておくと、フェイトから教えられてトウヤは初めて『念話』と言う連絡手段の事を知ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日…

 

「…折角誘われたのに…。」orz

 

「あー…まあ、早めに問題を全て片付ければ、心置きなく誘いに応じる事ができる。」

 

本日はなのはから月村すずかの家でのお茶会に誘われたのだが、トウヤがジュエルシード探索を優先した為に涙を呑んで断るしかなくて落ち込んでいるトウヤと、彼を励ましてくれるキバットバットⅡ世。

 

「ふ…ふっふっふっ…そうだな…。」

 

「だが、もう一人の探索者の事も気になるな。」

 

「ああ。テスタロッサさんが信用できる相手と判断したから、そっちに接触する前に協力はつけたが、一度接触した方が良いだろう。」

 

流石に敵と間違われて行き成り吹き飛ばされたくないので、接触の際の方法は考えるがフェイトに協力して回収する事に決めた。

 

「それに、オレは彼女があの危険物を集める理由は知らない。まあ、それは向こうの信頼を勝ち取ってから聞けばいいだろう。」

 

「そうだな。あまり直に聞いても信用されていなければ答えてもくれないだろう。……だが、トウヤ、お前、相手が可愛いと言う理由だけで信用している訳じゃないだろうな。」

 

呆れたような視線を向けてくるキバットバットⅡ世に対してトウマは、

 

「まあ、それも有るが、「有るのか!?」話した結果「無視か!?」、彼女は信用できる人間だと判断しただけだ。」

 

「やれやれ…どんな理由が有るにしても、オレはお前の判断に従う。それだけだ。」

 

「サンキュウ、相棒。」

 

キバットバットⅡ世と話しながら歩いていると、視界の中に止まっている車椅子が映った。

 

「う~~~。」

 

そこで立ち止まるとトウヤと同じくらいの年齢の茶色の髪の女の子が困った様子で唸っていた。

 

「…………。」

 

視線を向けてみると車椅子の車輪が溝に嵌っていて、それを外そうと頑張っている様子だった。それに気が付くとトウヤは彼女に近づき、

 

「わ。」

 

「これで大丈夫だろ?」

 

後から持ち上げて車輪を溝から外してあげる。トウヤが彼女に近づいた時、キバットバットⅡ世はポケットの中に隠れた。

 

「あっ、おうきに。えっと…。」

 

「オレは紅トウヤ、トウヤでいい。」

 

「うん、トウヤくんやね。うちは『八神 はやて』ゆいます。」

 

「ああ。それで、八神さんは何処に? 良ければ送っていくけど。」

 

「はやてでええよ。それに一人で大丈夫や。」

 

トウヤの言葉を断るはやてに苦笑を浮かべながら、

 

「さっきみたいに車輪を挟ませたら、困るだろ?」

 

「何時もはそんなヘマせーへん! さっきのは偶々や!」

 

そう言って頬を膨らませるはやてに対してトウヤは苦笑を浮かべ、

 

「それなら良いけどさ、はやてさん。」

 

「呼び捨てでええのに。」

 

「オレの友人が言っていた名前で呼んだら、もう友達だってさ。だから、友達の好意は素直に受ける物だろ?」

 

「友達…。」

 

「そう言う事だ。付け加えると拒否は無しだ。」

 

「う、うん、そう言う事なら、よろしゅうお願いしてもええ?」

 

「ああ。」

 

そう言ってはやての車椅子を押していくトウヤ。

過激派に命を狙われるキングの立場のトウヤとしては、危険に晒さない為にも、自分の一族の問題に巻き込まない為にも、あまり友達とは言わないのだが、今回は仕方ないとばかりにそんな言葉を出した。

 

付け加えると、なのはと友達になったのは、彼女に押し切られた結果である。(本人としては危険に巻き込むという理由以外は拒否する理由など無かったのだし。)

結果的にファンガイア族の過激派からなのはも狙われる危険が着いて回る事になってしまったのだが、今の所、そんな自体には陥っていない。それはトウヤが普段から容赦の無い冷酷な王として過激派に知れ渡っている結果であり、人質など意味は無いと思われている為に人質は取るだけ無駄と思われている結果である事は本人は知らない事だ。

 

話しながら彼女の家に行くと、彼女の両親が既に亡くなっている事を聞き、片親だけとは言え自分も親を失っていて、残った父親も海外に居て今は一人である事を話したり、キバットバットⅡ世が見られた時は、人形と言って誤魔化した。

 

その結果、時々遊びに来たり、泊まっていく事を約束したのだった。

 

「それじゃあ、またな、トウヤくん。」

 

「ああ、またね、はやてさん。」

 

そう言って分かれると、今まで隠れていたキバットバットⅡ世がポケットの中から飛び出していく。

 

「やれやれ、良かったのか、あんな約束をしてしまって?」

 

「そうだな。一人暮らしでオレの関係者…過激派の連中に狙われる危険が有る。ビショップに言って遠くから護衛を付けさせるか?」

 

「…まあ、それも有るが、かなり意味は違うんじゃないのか?」

 

「…ふふ…そうか? 二度の人生で出来た二人目の友達…しかも、可愛い女の子…。今日のオレは誰にでも優しくなれそうだ。」

 

「……そうか……。それはそれで別の意味で哀れな連中が出る気がするんだが…もう、何も言わん。」

 

…そう、こうなっている状況の彼の罪人のファンガイア族に対して死刑を言い渡した後は『一撃で即死させる』と言う嫌な慈悲…と言うか嫌な優しさを下すのが今の彼の『罪人』へと優しさなのだ。

最悪と言っていい優しさだろう…罪人には。

 

「…だが、運が良かったな…。気付いているだろう、トウヤ?」

 

「ああ。さっさと出て来い。」

 

自分達以外に人間の気配が無い隔離された世界、別の場所へと視線を向け敵に向けている本気の殺気を叩きつけられながら、そう宣言すると、仮面をつけた青年と思われるものが現れる。

 

「(…ファンガイア族とは違う…。)何者だ?」

 

「警告する、八神はやてに近づくな。」

 

「どう言う意味だ?」

 

「貴様には関係無い事だ。嫌だというのなら、死んでもらう。」

 

「(…はやてさんに? オレが狙いじゃないのか?)どう言う理由かは知らないし、お前が何者なのかも知らない…。だが、告げてやろう…Ⅱ世。」

 

「ああ! カブリ。」

 

「変身!!!」

 

トウヤの腕に広がるステンドグラス状の模様、そして、腰に出現するベルトのバックル部分にキバットバットⅡ世が座し、闇の魔王・仮面ライダーダークキバへと変身する。

 

「な!? なんだ、その姿は!?」

 

トウヤの変身と全身から放たれる圧倒的な魔力、魔皇力に驚愕する仮面の男の言葉を無視し、ゆっくりと仮面の男を指差す。仮面の男の言葉から、感じ取ったのだろう。

 

「お前達に王の判決を告げてやる。」

 

「光栄に思え。」

 

トウヤの中にある“最も重い罪”、『友人を傷付けた』、『友人を侮辱した』と言う罪を犯した罪人“達”へと、魔王の断罪の始まりを宣言する。

 

「「絶滅タイムだ!!!」」

 

重なり合い響くはトウヤとキバットバットⅡ世の宣言。それは、

 

罪人達への絶対的なる王の判決、魔王の断罪の始まり、そして、傲慢なる法へと告げられる闇の魔王からの宣戦の布告の瞬間だった。

 

 

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