闇の魔王様と魔法少女達   作:龍牙

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第五話『さあ、絶滅タイムだ!!! by.トウヤ&キバットバットⅡ世』

闇のキバの鎧、仮面ライダーダークキバ。それは、ファンガイア族が所持する最強の鎧にしてファンガイアの王キングの証たる鎧。それに対抗できるのは、同等の力を持ったもう一つのキバの鎧…『黄金のキバの鎧』だけだろう。

 

今は王キングの地位と共に心優しき魔皇の手の中に有るそれは味方する者達には心強さを与え、敵対する者には『恐怖』の感情を与える。そして、その怒りをぶつけられた者は…『死』さえも覚悟する事だろう。…敵対する過激派のファンガイア族などがいい例だ。

 

 

ゆっくりと近づくダークキバに対して仮面の男はその分だけ下がる。本能が警鐘を鳴らしているのだろう…『奴には勝てない、今すぐ逃げろ』 と。だが、

 

 

「そ、その力…やはりお前は危険だ。我々の計画にイレギュラーは要らない!!!」

 

 

本能に逆らう様に叫びながら殴りかかる仮面の男の拳を避ける。仮面の男の体術のレベルは元々は高い域にあるのだろうが、ダークキバの放つ圧力に圧されている今の攻撃はダークキバにとって避け易い。

 

 

「っ!?」

 

 

合わせて相手の攻撃を避けた瞬間、纏ったマントで仮面の男の視界を塞ぎ、脇腹に回し蹴りを打ち込む。

 

 

「ガァッ!!!」

 

 

それによって仮面の男は地面を跳ねながら、近くのビルの壁まで弾き飛ばされる。ダークキバはその場で一回転する様にマントを翻しながら、体制を立て直し、仮面の男へと片手を向ける。

 

 

「立て。」

 

 

命令する様にダークキバがそう呟いた瞬間、仮面の男が倒れる地面に赤いキバの紋が浮かび上がり、拘束した仮面の男を無理矢理立ち上がらせる。

 

 

「お前の言う計画が何か等興味は無い。」

 

 

拘束を解こうともがき続ける仮面の男がダークキバへと向かってキバの紋から弾かれる。その瞬間、ダークキバの放ったストレートパンチが仮面の男に叩き込まれる。

 

 

「ガァッ!」

 

 

「…貴様にはオレが此処で貴様の罪に相応しい『滅び』を与えてやろう。」

 

 

罪人である一族の者ファンガイアを裁く時にさえ、トウヤの中では怒り以上に『悲しみ』の感情が強い為に今まで向けられた者の居ない、純然たる怒りの感情。それによって仮面の男を襲うのは『闇の魔皇』の名に相応しい圧力。

 

 

「こ、この、化け物め…。」

 

 

「それがどうかしたのか?」

 

 

憎々しげに睨み付けて言い放たれた言葉を鼻で笑い飛ばしながら、ダークキバは倒れている仮面の男を見下ろしながら、

 

 

「立たないのか? その程度は待ってやるぞ、それとも…もう一度立たせて貰いたいのか? それと…。」

 

 

地面に倒れ付す仮面の男を一瞥しながら、ダークキバは無造作に右腕を振る。

 

 

「ガァッ!!!」

 

 

振るわれた右手が裏拳の形となり、裏拳が突き刺さり弾かれたのは後ろから不意打ちを仕掛けようとしていたダークキバの前に立つ相手と同じ姿の『もう一人の仮面の男』。

 

 

「言わなかったか? オレは『貴様等』と言ったんだ。」

 

 

二人の男は仮面こそつけているが双子と言われても納得するほど良く似ていた。そして、ダークキバは絶対的な余裕でも見せ付ける様に、そんな地面に倒れる仮面の男達を見下ろしながら、倒れる相手に追撃を加える様子も無く王者の如く君臨する。

 

 

そして、ダークキバは倒れる仮面の男達を一瞥しながら、ウェイクアップフエッスルを取り出し、それを使おうとした瞬間、思い留まる。

 

 

(…待てよ…。こいつ等は確か『計画』とか言ってたよな…。だとしたら、計画に参加しているのが、二人だけとは考え難い。)

 

 

「Ⅱ世、この結界の破壊は…出来そうか?」

 

 

「ふっ、それなら十分に可能だ。ウェイクアップ2なら十分に破壊できるだろう。だが、それが如何したんだ?」

 

 

「…倒すのは後回しだ…。コイツ等の言っていた計画と言っていた言葉が気になる。…計画と言う以上協力者が居ないとは考え難い。他に協力者が居ないか、捕縛して吐かせる必要が有るだろう。」

 

 

「なるほど。確かに彼女を何かの計画に利用しようとしている以上、情報も聞かずにトドメを刺すのは拙いな。」

 

 

ダークキバの言葉にキバットバットⅡ世もダークキバの言葉に同意の意思を示す。ウェイクアップフエッスルを戻し、先ずは正体を確かめ様と倒れている仮面の男達の内の一人に近づいていく。

 

 

「き、貴様…。」

 

 

表情こそ仮面に阻まれて知る事は出来ないが、その声からだけでも表情は憎しみに歪んでいるであろう事は理解できる。

 

 

仮面の男の真下にキバの紋が現れ、拘束、強制的に立ち上がらせるとダークキバはゆっくりと仮面へと手を添える。

 

 

「な! 止めろ!!!」

 

 

正体を知られる事への危機感からか声を荒げる仮面の男だが、それを気にするダークキバではない。

 

 

ダークキバが仮面の男の着けている仮面に手を掛けた瞬間、二人目の仮面の男とは違う位置から砲撃魔法が向かって来る。

 

 

「っ!? 三人目だと!」

 

 

地面を蹴って距離を取る事でそれを回避するが、地面を打ち抜いた砲撃は爆煙となって仮面の男の存在を隠す。…瞬間、

 

 

「…女…?」

 

 

一瞬だけだったが、ダークキバの目撃したのは、キバの紋に拘束されていた、先ほどの仮面の男ではなく女にしか見えない別の人間。

 

 

次に見えたのは一瞬の発光と魔法陣らしき物、そして、爆煙が晴れた時、そこには戦闘の痕こそ残していたが、肝心の二人の仮面の男(?)達の姿は無かった。

 

 

「逃げられたか…。」

 

 

周囲に気配は無いが、三人目の相手の出現を考えると油断は出来ない。だが、それが無用の心配だと結界が消えて元の空間に戻ろうとしている事が証明していた。恐らくは術者が逃げた事で結界が維持出来なくなったのだろう。

 

 

それを確認し、キバットバットⅡ世がベルトから離れるとダークキバへの変身が解除される。

 

 

「やれやれ、厄介な事になったな。」

 

 

「…確かにな。ジュエルシードやレジェンドルガ達の封印の事だけでも頭が痛いって言うのに…。」

 

 

キバットバットⅡ世の言葉にトウヤは同意する。どんどんとトウヤの求めている『平和な日々』から遠ざかって行っている様子に思わず溜息を吐きたくなる。

 

 

付け加えて補足すると、既に活動している事を考えてジュエルシードの探索に参加していない者達にはレジェンドルガ達を封印した時代の文献を漁って貰いレジェンドルガへの対策を練っているが、それも成果は上がっていない。

唯一の救いは未だに復活しているはずのレジェンドルガ達の動きが無い事だろう。もっとも、……それが不気味と言えば不気味だが。

そして、過去の情報から分かった事は、『魔族達の中から選ばれた決死隊と言うべき精鋭部隊と当代のキングが命を賭して封印した』、『レジェンドルガには『アーク』と呼ばれる王ロードが存在している』と言う程度の事であり、ロードであるアークを倒す為に使ったのはダークキバの第三の禁断の技である事程度だ。

 

 

現在進行形の問題ジュエルシードと未だに動きを見せない問題レジェンドルガとトウヤの苦労する問題が次々と増えている現状には、心から勘弁して欲しいと願うトウヤだった。…どう考えても、小学生のする苦労ではないだろう…。

 

 

「しかし、彼女…『八神 はやて』と言ったか。今になって考えてみれば彼女の身の回りには不自然さが有った。……保護者としては論外な所が多い父親が“一応”居て、ビショップ達が保護者として居るお前と違い、彼女の周りには保護者になるべき大人が誰も居なかった。」

 

 

「確かに。言われてから気付いたオレもオレだけど、オレ位の子供が一人暮らししているのは不自然だな。」

 

 

微妙に実父の評価が悪いのは当のトウヤも納得しているので同意しつつ、ビショップ達、保護者代行が居る自分とは違う彼女の周りに保護者となるべき大人が誰も居らず一人暮らししているのは確かに気になる。

 

 

「…暫く手の空いている部下にはやてに警護を付けさせるか…。オレの友人言う時点で過激派に狙われる危険も、オレを襲った仮面の奴等も彼女の近くに現れる可能性も有るしな。」

 

 

「…だが、今回の事件が片付くまではそれも無理だろう。」

 

 

キバットバットⅡ世の言葉にトウヤは無言で頷く。現状で最優先すべきは直接的に被害が出る危険の有るジュエルシードの方だろう。何より、事件が片付けば今は総出でジュエルシードを探させている一族の者達の手も空くだろう。

 

 

そんな事を思いながら、トウヤは完全に空間が戻った事を確認し、その場を後にしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんな事が有ってから数日後…仮面の男達の事や、動きが見えなくなった過激派の一族ファンガイア達の動きを気にしながら、フェイト達主従とキャッスルドランの中で彼女達と情報交換しているトウヤ。その後には二人の前に紅茶を出したチェックメイトフォーの一人であるビショップが待機している。

 

 

…どうでも良いが最近はトウヤの自宅をすっかり自分の家の様に利用しているフェイトさん達だした…。…トウヤに文句はないし、チェックメイトフォー以下のトウヤの部下達にも文句はない。

 

 

「…白い魔導士とその使い魔らしいフェレットか…。」

 

 

「うん。」

 

妙に知り合いの姿と符合してしまう“もう一人の探索者”、“白い魔導士”のフェイトから告げられた特徴。そして、それと同時にジュエルシードの探索に当っている探索者、白い魔導士の事を伝え、探索時に注意する事を通達する等の手段を考える。

 

 

それから思い浮かぶ…最大の問題と言えば、その白い魔導士の正体が己の考える相手…『高町 なのは』だった場合。それを考えると、彼女の安全を考える必要も有るだろう。

………主にジュエルシードを探す上での最大限の危険…ダークキバを倒す為に力ジュエルシードを狙う過激派からの………。

 

 

戦闘力なら、過激派のファンガイア族は結局の所、ダークキバであるトウヤは愚か、チェックメイトフォーや次狼ガルル達より遥かに劣るレベルの者達が殆どである。

だが、ジュエルシードを探索しているフェイトや白い魔導士と比べれば…相手によっては間違いなく命の危険が有るレベルの者も存在しているのが現実だ。

なにより、フェイトは優しすぎる。…トウヤと違い、敵を躊躇無く殺す事が出来ない。他の場合ならばそれは良いのだが、相手は人間を殺す事に対して一切の躊躇が無いファンガイア族の過激派。殺す気で戦わなければ殺されるのは彼女の方だ。

 

 

(…高町さんだった場合は…連中にしてみれば…ある意味格好の獲物だろうな…。)

 

 

ダークキバと言う(連中の立場にしてみれば)恐ろしい護衛が無い白い魔導士は過激派からしてみれば、ダークキバに対抗する為に使える力ジュエルシードを持っている正に格好の獲物だ。

 

 

「それで、ジュエルシードが見つかった場所がここだったんだけど…。」

 

 

「な、なにぃ!?」

 

 

手に入れたジュエルシードの位置を確認する為に地図を指差された事でトドメとばかりに、思いっきり驚きを露にしてしまうトウヤだった。…思いっきりクラスメイトの家の近くだ…。

 

 

「如何した、トウヤ!? な、なるほど…ここは…?」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「…ここはオレのクラスメイトの家の近くだ…。」

 

 

「ええ!」

 

 

大慌てでフェイトから被害状況を確認すると、現場の近くに有った『月村 すずか』の家に特に被害が出ていない事に安堵する。

…もっとも、ジュエルシードが触媒としたのが、月村家の飼い猫の中の一匹の子猫だったので、被害など出ていないのだが…。

 

 

(…それにしても…。)

 

 

トウヤの一族の者達の協力による人海戦術とフェイトの魔力を用いての探索が終わり、黒く塗られた部分が多く有る海鳴市の地図へと視線を落とす。

 

 

(…まだまだ未回収の物が残っている様子だな…。陸地の探索がある程度片付いたら、可能性として教えておくか…。)

 

 

何気に既に陸地に落ちた分の…“本来の歴史”で、なのはが時空管理局と協力した後に手に入れた物の大部分も入手している。

 

 

落下したと考えれば、落ちた場所として間違いなく海も含まれている。フェイト達に結界を張って貰った上でキャッスルドランを持ち出した上でのトウヤに使える戦力の総力を上げての大掛かりな封印作業になる事は間違いないだろう。

 

 

それを考えた上で、目撃情報から当っている可能性の高いジュエルシードの落下予想地点の一つへと視線を落とすと、

 

 

(…近場は温泉か…。探索と休憩も兼ねて行って貰うとするか…。)

 

 

そうでなければ無理矢理にでもフェイトを休ませようと、休んでいる様子の無い彼女に対して妙に危険な方向に考えが向かってしまっている。

 

 

「見つかる数も少なくなってきているな。」

 

 

「ご…ごめんなさい…。」

 

 

「い、いや! オレ達が集めた分や、もう一人の回収者の存在を考えると仕方ない話だから、気にするな。」

 

 

ふと自然に口から出た言葉に子犬のように落ち込むフェイトに慌ててフォローを入れる。元々広い範囲に散った石が21個…寧ろ、今までの方がペースが良すぎると言った方が良いだろう。

 

 

だが、回収するべき数が少なくなって来ているのはトウヤにしてみれば良い事だ。ファンガイア族へのサバト化の被害や、暴走による被害を考えずに済み、問題も好転するのだから。

 

 

「…まあ、向こうの持っている数が分かれば、オレの目的は達成されるし、君に必要な数が足りていないのなら、最悪は向こうから譲って貰えばいい…アフターフォローだ、それにはオレも協力する。」

 

 

彼女から聞いた白い魔導士との実力差を考えれば必要ないだろうが、トウヤが協力した方が安全かつ確実に手に入れることが出来る。…過激派の存在を考えると下手に持たせておく方が本人にも此方にも危険なのだろうし。

 

 

「…それにしても…『時空管理局』か…。」

 

 

フェイトから聞いた彼女達の世界にある組織の名を誰にも聞こえない様に呟く。…動きが無いレジェンドルガの存在を考えると、彼女達の様にこの世界に来た他の世界の人間が持ち出した可能性も浮んでくる。相手が一種の軍隊の役割も持った警察組織に近い物と言うなら、事情を話して警戒の一つでも促すべきかとも考える。

 

 

冷たい言い方だが、この世界に影響が無い限り、この世界の外でレジェンドルガがどう動こうが知ったことではない。気にするのもジュエルシードの回収の協力者であるフェイト達の安全だ。

キングとして、仮面ライダーダークキバとして、守るべき世界はどれだけ範囲を広げた所で『地球』までだ。ダークキバの力が以下に強大だとしても、守れる範囲は、手が届く範囲は限られる。そして、キングとして守るべき物も分かっている。

他の世界にレジェンドルガを倒す為に出張して、守るべき世界が危機に曝されては意味が無い。

 

 

最悪はレジェンドルガの他の世界での対応は、時空管理局と言う組織に全て任せてしまえば良い。

 

 

レジェンドルガを封印した宝玉を盗んだ者には直々に死と言う名の裁きを与えたい所だが、魔族では無い者へのそんな裁きを与えるのには気が引ける。何より、既に封印が解けたレジェンドルガの最初の餌食になっているのだから、良くて命は無く、悪ければレジェンドルガの仲間入りだろう。

 

 

フェイトから与えられた情報から『時空管理局』と言う組織への対応を考え続けているトウヤだったが、その考えが無駄に終わると言う事実に直面するのは………そう長い時間は必要ない事を付け加えておく。

 

 

……今日も年齢に似合わない雪達磨式に増えていく苦労をしているトウヤ君でした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ジュエルシード…願いを叶えるって言うならオレに平和をよこせ…。」

 

 

「…可愛い友人は増えたんじゃないのか…?」

 

 

「それは嬉しいけど…………。…………あー、トラブルの原因にトラブルの解決願ったオレがバカだった!!!」

 

 

「いや、アレだけ距離が有ったら向こうもお前の願いなど聞いて無いだろう…。」

 

 

「あの仮面の連中と言い…オレの癒しを…オレの平和な日々を返せ!!! 潰す…連中の計画等知らないけどな…完膚なきまでに潰してやる!!!」

 

 

「ちょっと待て、それは完璧に八つ当たりだろう!!! …まあ、被害が出るのはどうせ敵なのだろうから、別に問題は無いが…。」

 

 

その日の夜のキバットバットⅡ世との会話より抜粋。やっぱり、シリアスは最後まで続かない魔皇少年のトウヤ君でした。

 

 

そんな魔皇様少年に明確な敵として認識されてしまった為に八つ当たりの対象にされてしまった不幸な人達…先にケンカを売ったのが向こうなので、同情は出来ないだろうが…。

 

 

 

そんなノリで彼等の夜は過ぎ去っていくのでした。

 

 

 

 

 

 

 

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