闇の魔王様と魔法少女達   作:龍牙

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第六話『○×△□!!!!(大慌てで混乱中) by.トウヤ/…気持ちは分かるが少しは落ち着け。あー、今回は小休止なエピソードだ by.キバットバットⅡ世』

さて、トウヤはダークキバの仮面の奥で………現在進行形で心の底から動揺していた。その動揺を感じ取っているのは、キバットバットⅡ世だけだろう。

 

その原因はダークキバとフェイト、アルフの前に居る『高町 なのは』の存在だろう。

………とりあえず、なのはの使い魔らしきフェレット…ユーノに関しては、戦闘力は無いだろうと除外しているので実質…三対一と言う状況でどう対応するか心の底から困っていた。

 

「君が私達とは違う探索者か?」

 

必死に同様を押さえながらなるべくクラスメイトである彼女に気付かれないように冷たい口調で問い掛ける。

 

「…な、何なんだ…あいつは…。」

 

なのは達がダークキバの全身から発せられる魔皇力に圧されている中、ユーノが口を開く。

 

「これは失礼した。オレの名はダークキバ。あれの探索者として今後も会う事も有るだろう、よろしく。」

 

「何故、君たちはジュエルシードを集めるんだ!? あれが危険な物だって分かるはずだ! ジュエルシードを集めて……どうするつもりなんだ!?」

 

「君達に話す義務は無いと思うが?」

 

「トウ…ダークキバの言う通りだよ。それにさぁー、アタシ、親切に言ったよね? 良い子でいないと、ガブッと行くって…。」

 

ダークキバはマントを翻しながら右腕を伸ばすだけで飛びかかろうとするアルフを制し、なのはの肩に乗るユーノへと向き直る。

 

「確かにあれは危険だ。」

 

「だったら!」

 

「だからこそ、オレは彼女に協力して、一刻も早くこの世界から排除する為に行動している。それがオレの目的だ。…これで十分かな…?」

 

「じゃあ、なんで彼女に協力しているんだ!?」

 

「…答える義務も無いが…。単純な話だ。あれを誰がどう使おうと、この世界に影響さえなければ、オレにとっては関係ない話だ。そして…此処からは忠告だが、あの石の危険性は今、君達の想像以上に増している。」

 

「どう言う…。」

 

「それ以上は答える必要は無いな。奪われる心配の少ない強者の手の中に有った方がオレは安心できる。」

 

ユーノの言葉にそう答え、ダークキバは封印が施されたジュエルシードを護る様に前に立つ。

 

そして、ダークキバは横目でなのはとユーノに視線を向けながら、

 

「戦って勝ちとる、話し合いで手に入れる。どちらにしても、オレは手を出さない事を約束しよう。」

 

フェイトから聞いた最初に出会った時のなのはとフェイトの戦力の差、そして、少なくともなのはの人格を知っているから、安心してフェイトと戦って勝ち取るならば過激派からは先ず自分が助けに入るくらいは時間を稼げるだろうし、クラスメイトな分だけ日常での安全の為の警護もし易い。

 

「戦力の提供と言っておいて申し訳ないと思うが、白い少女の相手は任せたい。残念ながら…オレの力では彼女に大怪我をさせずに勝つ自信は無い。」

 

「勝つ事は前提なんだね。まあ、任せときなって!」

 

そう言って自分達よりも年上の女性の姿から、オレンジの体毛を持った狼に変貌するアルフの姿を一瞥し、腕を組んで木に背中を預けながらジュエルシードを護る様に前に立つ。

 

「すまない。力が強すぎるのも困り物なんでな。彼女の相手は任せる。」

 

申し訳無さそうな声で頭を下げてフェイトへとそう告げる。今までの相手は遠慮なく力を振るえる敵ばかりだったが、流石に手加減して戦う事は得意ではない。何より、クラスメイトへと拳を向ける事はトウヤには出来ないのだ。

 

「うん、任せて。」

 

ダークキバの言葉にそう答え、封印されたジュエルシードへと視線を向ける。

 

(…目的か…。確かに彼女の目的は聞いていなかったな…。)「Ⅱ世…彼女達がジュエルシードを集める目的…なんだと思う?」

 

「さあな。だが、この世界にさえ影響が無ければ、どう使おうが関係ないんじゃないのか?」

 

「…そうだな…。一度、彼女に集めさせている人間に会う必要があるな。…あれをどう使うにしても、せめてこの世界に影響が無い範囲で言っておかなければな…。」

 

「その通りだな。まあ、この調子なら、高町なのはと言ったか、お前と親しいクラスメイト…彼女の方が負けるな。」

 

「確かに、実力はフェイト嬢の方が上、戦い方も相性の差って奴で不利だろうな。それにしても…最近、高町さんに疲労の色が見えていたけど、これが原因か…。まったく。」

 

最近のなのはの様子を思い出してみると、思わず頭を抱えずには居られないダークキバだった。

 

「徹底的にオレの平穏を侵食してくれるな…この魔石は。」

 

なのはとフェイトの差とその勝敗を言い切りながら、平穏を侵食してくれている魔石ジュエルシードの存在に溜息を吐くダークキバとキバットバットⅡ世。

 

ダークキバとキバットバットⅡ世の視線の先には空を飛び回りながら戦っているなのはとフェイトの二人の姿があった。

 

「…一撃一撃は高町さんの方に部があるが、残念ながら決定的に経験不足だな。」

 

確かになのはの砲撃は強力だが、フェイトはスピードを活かした高機動型。スピードを活かして遠近で戦うタイプ、言って見ればオールラウンダー、万能型だ。

 

「…万能とは弱さであると同時に強さだ。何より、高町さんはフェイト嬢のスピードに反応できていない。」

 

「確かにお前なら攻撃のタイミングに合わせてカウンターが出来るだろうが…彼女には無理だろうな。ん? 撃ち合いには勝った様子だぞ。」

 

「フェイトも律儀だな。だけど、それまでだ。反応が遅い。」

 

視線の先では砲撃の撃ち合いに勝利したなのはが次への行動が遅れた事で、フェイトに鎌を首筋に寸止めされていた。

 

なのはの杖、レイジングハートからジュエルシードが排出されて、フェイトの手の中に納まる。

 

「…ジュエルシードを賭けていたのか…。」

 

「これで彼女は今回は二つも手に入れる事が出来たと言う訳か。」

 

ダークキバの仮面で隠れていて良く分からないだろうが、遠い目をしながら明後日の方向へと視線を向ける。

 

「なあ、Ⅱ世…高町さん達が泊まっている旅館って…。」

 

「この辺だと…一箇所しか無いだろうな。オレ達が止まっている旅館だ。」

 

「あー…お前が彼女を休ませる為に予約させた旅館もそこだったな…。」

 

「…高町さん達と会わなかったオレも…運が良かったんだな…。」

 

「ああ、確かに。」

 

ダークキバの言葉に頷くキバットバットⅡ世。降りて来たフェイトに対して『おめでとう』と言ってジュエルシードを渡すと、周囲に視線を向けて、此方の様子を伺っている気配を感じる。

 

「すまないが、先に戻っていてくれ。」

 

「え? あなたは…。」

 

「なに、ちょっとした夜の散歩を楽しみながら帰る事にするよ。」

 

フェイトの言葉に微笑を浮かべながらそう答える。だが、声の質は真剣その物だった。

 

「あいつらかい?」

 

「………ああ………。まったく、オレが至らなくて申し訳ない限りだ。」

 

周囲から此方の様子を伺っている過激派のファンガイア族達の気配に気が付いたのだろう。アルフが警戒心を全開にしてそう問い掛ける。

 

「それでは、少し掃除してから帰る事にするから、先に戻っていてくれ。」

 

「うん、あなたも気を付けて。」

 

そう言って飛び去っていくフェイト達を見送りながら、ダークキバの仮面の奥でトウヤは森の奥の闇へと視線を向ける。

 

「待って!」

 

森の奥に入って行こうとするダークキバをなのはが呼び止める。

 

「あの子がなんでジュエルシードを集めるか知っているなら聞かせて欲しい。」

 

「残念ながら、オレ達にそれを告げる資格は無い。」

 

ダークキバのベルトからキバットバットⅡ世が外れ、ダークキバの肩に留まりながらそう告げる。

 

「それを言って良いのは彼女だけだ。知っていたとしても、オレ達がそれを告げることは出来ない。」

 

「あの蝙蝠、彼の使い魔なのか?」

 

「失礼なイタチだな。オレは使い魔等ではない。」

 

ユーノの言葉に反応しそう答えるキバットバットⅡ世。

 

「…喋りすぎだぞ…。だが…Ⅱ世の言う通りだ…。この世界からのジュエルシードの排除と言う目的に反しない限りは誰の手に有っても、オレには関係の無い話だ。」

 

「だったら、私達にも力を貸して欲しい! 私がジュエルシードを集めるのはそれがユーノ君の探し物だから……ジュエルシードを見つけたのがユーノ君で、ユーノ君がそれを元どうりに集め直さないといけないから…。」

 

「…立派な事だな…。だが、そのユーノと言う奴に言っておけ…。法を無視する力を持った者…極端な話だが、あれほど危険な品だ…その力を狙って不正な方法で奪おうとする者も居る。」

 

そう言ってなのは達に向けていた視線を前方へと向けなおす。

 

「相手を討つだけの力が無かったとしても、守る事、持って逃げる事程度の行動は出来ただろう。『何もしなかった』、『何も出来なかった』は結果は変わらないし、同じだ。」

 

ゆっくりと右腕を横へと伸ばし手を開いていく。

 

「この世に無力な物等存在しない。己自身が出来る事、するべき行動を選び、己にとっての最善を選び、自分自身にできる事を後悔無く行動しろ。ってな。」

 

そこまで言った後、思わず苦笑を浮かべてしまう。トウヤ自身、自分自身の過去の行動を後悔しない日は無いのだから。

 

「…まあ、最善と思っていても、他に選択肢が有れば後悔するかもしれないがな…。後悔したのなら、それを次に繋げば良い。…少なくとも…オレはユーノと言う奴にはあの石は任せて置けない。」

 

そう言ってダークキバはなのは達を残して森の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「あっ。」」

 

宿の前、過激派のファンガイア族を倒したトウヤと暗い表情のなのはと会った二人がばったりと出会ってしまった。

 

「ふえ? トウヤ君も来てたの?」

 

「え、えーと…。ああ、オレはバカ親の友人に連れて来て貰ってな。」

 

「う~、トウヤくん、お父さんの事をそんな風に言うのは良くないの!」

 

「確かに。バカな所は多いけど、父さんには尊敬できる部分は多いからな。」

 

なのはの抗議の言葉に苦笑を浮かべながらそう答える。

 

本人に対しては絶対に口が裂けても言えない事だが、トウヤは心から今と以前の父の事を尊敬している。まあ、それと同時に前世の父も、今世の父もダメな所の多い親だと思って居のだが。

 

「高町さんも夜の散歩? 女の子が危ないよ。」

 

「えっと、こ、これはね。」

 

どうやって誤魔化そうかと必死になっているなのはを微笑ましく思いながら、宿を指差す。

 

「外は寒いから、風邪引くから部屋に戻る前に温泉に入って温まっていった方がいい。露天風呂ならまだ開いているだろうしね。脱衣所の前で少し待っていてくれればオレの部屋からタオルを取ってくるけど…。」

 

「う、うん。」

 

「両親に聞かれたら、眠れないから露天風呂に入っていったとでも言えばいい。その帰りに偶然にクラスメイトのオレに会って話していたら、遅くなった。言い訳になるだろ?」

 

そう言って黙って歩き出す。

トウヤには彼女に何も聞く気はなかった。

 

 

 

だが、彼女達には後悔するなと言ったが、トウヤは常に後悔し続けているのだ。己の選択の結果を…。

自分の選んだ選択が最善であったとしても、弟ワタルに自分を殺させずに済む道は有ったのではなかったのかと。

そして…。

 

 

 

 

(…奴等の相手で少し汗かいたな…。オレも汗を流すか…。)

 

心の中で溜息を吐き、そう思いながら、トウヤも部屋に戻っていく。

 

 

 

だが、一つだけ大事な事を忘れているだろう…。

 

 

 

主に、この時間帯の露天風呂は『混浴』であると言う事を。

 

 

 

 

 

 

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