空飛ぶ山猫と重巡洋艦   作:とある戦闘機好き

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今回のメインはハルナと蒔絵。結局最後は山猫達だけど。


Alt-11 大戦艦、出会う

ーsideハルナ

 

「...ここは?」

 

私が目を覚ますと、大きなベットに寝かされていた。...状況がわからない。

 

「あ、起きた?」

 

目の前に女の子が入ってくる。

 

「あんた、うちの敷地の倉庫に倒れていたんだよ?覚えてる?」

「いや...」

「まあ、いいや。私は刑部蒔絵。あんたは?」

「...ハルナ」

「なにハルナさん?」

「...ハルナ」

「そっか。このコートとこれ、あんたの?」

「ああ、返してくれないか?」

「いいけど。にしてもこれ、とっても軽いね。素材は金属みたいなのに」

 

蒔絵からキリシマのユニオンコアを受け取ると通信を開始する。

 

(キリシマ、聞こえるか?)

(ああ、なんとかな。ユニオンコアに損傷がなかったから良かったが。ここはどこだ?)

(刑部蒔絵の家だ。彼女がここに運んでくれたらしい)

「ハルハル?」

 

いきなり蒔絵に声をかけられた。

 

「いきなり黙っちゃったもんから、どうしたかと思ったよ」

「少し考え事をしていた。にしてもハルハルとは...?」

「あんたのあだ名。ハルナだからハルハルって。それよりもハルハル、その格好で外に出るのはまずいよ。コートの下は下着なんて」

「まずいのか?」

「うん、すごく」

 

鏡に向かい、自分の状態を確認する。

 

(人類の服飾史のデータを送った。そこから考えるにすごくまずい格好をしているぞ)

(確認した。確かにまずいな)

「だから私の服をハルハルにあげるよ。ハルハルに合うサイズの物も沢山あるんだ!」

 

そう言って蒔絵はタンスの中を物色し始める。

 

「蒔絵」

「なーに、ハルハル?」

「なぜ私を助けた。なぜここまで世話を焼いてくれる?」

「んー、なんとなくかな。これも何かの縁だし」

「縁、人と人との繋がり。タグ添付、分類、記録」

「ハルハルって国語辞典みたいな喋り方をするね」

「気にするな」

 

 

 

 

 

 

そして数十分後...

 

「堪忍してつかぁさい...」

「だめだよハルハル!もっとオシャレしなくちゃ!」

 

現在、私は蒔絵に着せ替え人形にされていた。せめてコートを羽織らせてくれ...

 

「もう、堪忍してつかぁさい...」

「だーめ!今度は服に合うように髪型も変えなくちゃ!」

 

そう言われて蒔絵に引きずられ、ドレッサーの前に座らされる。

 

「これか?これかな?これもいいな」

 

蒔絵がどんどん髪型を変えていく。一通り様々な髪型を試した後、メイドが部屋に入ってくる。

 

「お嬢様、検査の時間でございます」

「はーい、今行くー!ハルハル、逃げちゃだめだよ!」

 

そう言うと蒔絵は部屋から出て行った。

 

(ハルハルー、ハルハルーだって)

(...何が言いたい)

(いや、随分とあの子に気に入られたと思って。それよりもハルナ、ナノマテリアルを少しばかり分けてくれないか?この状態のままだと行動しずらい)

(わかった)

 

 

ナノマテリアルを分けると、キリシマは近くのぬいぐるみを仮の体としてメンタルモデルを作り上げた。

 

「これで取り敢えずなんとかなるか。ハルナ、屋敷を探索しよう。刑部と言えば振動弾頭の開発主任だ。何かしらのデータがあるかもしれない」

「そうだな」

 

私たちは蒔絵の部屋を出た。随分と広い屋敷だが生体反応がほとんど感じられない。

 

「妙だな、ここまで生体反応がないとは」

「だが地下にわずかな反応がある。行ってみるか」

 

取り敢えず地下へ向かおうとしたその時、

 

「お客様」

(死んだふり!)

 

どうやらメイドが戻ってきたようだ。キリシマは外見がぬいぐるみなのでそのまま倒れる。

 

「お食事の準備が出来ました。お嬢様がお待ちしておりますので、食堂へ案内させていただきます」

「...わかった」

 

メイドについて行こうとするとキリシマから声がかかる。

 

(...ハルナ、置いていかないでくれ)

(...)

 

無言でキリシマを拾い上げてメイドについて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーside山猫

 

タカオと横須賀に上陸した。そこで刑部邸を捕捉できる高台を探す。がー

 

「...ないな」

「あっても殆どが政府や軍部関係の建物ばかりね。ヘリコプター使った方がいいんじゃないの?」

「最終手段だが、それしかないか...」

「今から作る?」

「なるべく安定性とステルス性を高くしてくれ。その他はある程度でまとめてくれればいい」

「わかった」

 

艦に戻ると、オセロットから通信が入る。

 

『相棒、調べ終わったぞ』

「結果は?」

『屋敷の地下に生体反応があった』

「で?」

『誰だと思う?』

「刑部藤十郎か?」

「でも彼は故人よ?」

『相棒の言った通り、刑部藤十郎その人だよ』

「生きていたってこと?」

「自分の死を偽装したんだろうな」

「でも何のために...?」

『それともう一つ報告がある』

「聞こうか」

『現在の刑部邸に住んでいるあの子供、人間ではなかった』

「なんですって!?」

「あーなるほど。デザインチャイルドか」

「それって?」

「先天的に高い知能を持った人類を作り出す『デザインチャイルド計画』で作り出された人間の事だ」

「そんな物があったなんてね...でも何のために?」

「ヒントは振動弾頭かな?」

『その通りだ、相棒』

「...振動弾頭の開発のため、かしら?」

『多分そうだろう。刑部氏の頭脳だけでは作る事が出来なかったんだろうな』

「でも、なんでその子が刑部邸に?」

『私の予想では、生き残ったその子を刑部氏が引き取った、と考えている』

「刑部藤十郎には連絡が付くか?」

『セキュリティが厳しくはあるが、問題はない。回線に割り込むか?』

「もう少し後にしよう。ハルナ達が刑部氏と接触する直前にする」

 

その方がインパクトが出るだろう。俺たちのお披露目と行くか。




次回は未定。来週半ばまでに出せればいいなと考えています。

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