空飛ぶ山猫と重巡洋艦 作:とある戦闘機好き
ーside大戦艦
「ハルハル、それ気に入ったの?」
「いや、そういう訳では...」
食堂に入ると蒔絵が待っていた。確かに私はぬいぐるみを抱えてはいたが、ぬいぐるみがキリシマだから持ってきた...いや、言うわけにもいくまい。
「ハルハル席について。ご飯食べよ?」
「ああ」
席に着くと食事が配膳された。蒔絵は私が持ってきた
「蒔絵、それは?」
「おくすり。飲まないと大変な事になっちゃうから、先に出しておくの」
解析したところ消化を助ける成分が多い。先天的に消化不良なのか?いや、私が気にしてもしょうがない。食事を頂こう。
「これは...」
人が言うところの豪勢な食事とはこの事だろう。今となってはこの様な食事を摂れる人は少ないだろうが。
「ハルハルどうしたの?食べないの?もしかして人参嫌い?」
「いや、そう事じゃ...」
「だめだよー!ちゃんと食べないと大きくなりませんよー!ね、ヨタロウ!」
そう言うと蒔絵は
(そっか。こいつヨタロウって言うのか...)
おいキリシマ何を...
ぱくっ。
やってしまった...
「えっ?」
(あ)
(キリシマ...ぬいぐるみは...人参を食べない...)
(...熟知している)
まさかこんなにも早く正体がばれるとは...
(かくなる上は...許せ、蒔絵!)
キリシマは何を考えたのか蒔絵に襲いかかった。急いで止めようとするが...
「すっごい!」
蒔絵は
「すごいすごいすごいよ!これ、ハルハルが作ったの!?」
「あ、ああ...」
「いつの間に!?すごいよ!もしかしてハルハルってロボット博士?わたしみたいに秘密のお仕事関係者?」
「え、あ...うん...」
「やっぱりね!そっかー。わたしと同じかぁー」
「同じ...」
「それにしても本当にすごいね!びっくりしたよ!」
「それ、あげる」
「ほんと!?」
「色々して貰ったお礼」
「やったー!!」
(あのーもしもし、ハルナさん?)
「よかったねヨタロウ!お前は自分の足で動ける自由を手に入れたんだよ!」
(よかったな。ヨタロウ)
(うるさい!ハルハル!)
その後蒔絵と一緒にお風呂に入った。が、この時の事は思い出したくもない...
堪忍してつかぁさい...
ーside山猫
「どうだ、相棒」
『ハイパーリコンが刑部邸に近づく不審車両を捉えた。おおよそ例の特殊部隊だろう。それともう一つ』
「なんだ?」
『近くの陸軍基地の様子が騒がしいんだが』
「下手したら戦車でも出てくるんじゃないの?」
「そうだな...『岩蟹』が出てきたら面倒な事になりそうだ。」
『岩蟹』とは陸軍が作り上げた多脚戦車の事だ。豊富な兵装と優秀な地形踏破能力を持つ優秀な兵器なので、これが出てくるとなると非常にやりにくい。
「タカオ、武器の用意は?」
「ご注文通りのアンチマテリアルライフル1丁と、もしもの時のアサルトライフルを2丁、対戦車ミサイルランチャーを用意したけど」
「パーフェクトだな。ヘリの方は?」
「長距離狙撃なら攻撃型より輸送型の方がいいと思って、タンデムローター型にしたわ」
「よし。ではそろそろ行くか。相棒、留守番を頼む」
『任された』
「タカオ、途中で刑部邸の回線に割り込むぞ。準備はいいな?」
「準備は大丈夫よ。いつでも!」
黒一色に染められたヘリコプターが無人操縦により甲板を離れる。
「行くぞ!」
ヨタロウが人参を食べるシーン見たときほんと笑った。