空飛ぶ山猫と重巡洋艦 作:とある戦闘機好き
ーsideイオナ
「こっちに!」
「蒔絵!着いてこれるか?」
「うん...まだだいじょうぶ...」
なんとか、まだ見つかってはいない。やっと海岸線まで辿り着く。
「群像!」
「わかった!」
船体からタラップを出し、地上へ繋げる。
「早く乗って!」
「待て!ハルナは!?」
「タカオ達が連れて来てくれる!」
「くっ...」
キリシマと蒔絵を艦に乗せると、タラップを仕舞いハッチを閉じる。
「イオナ、お疲れ様だ」
「うん、早く離れよう」
「ああ。401、発進するぞ!」
ーside山猫
『キリシマ並びに蒔絵ちゃんの401収容を確認したわ。こっちも撤退しましょ』
「了解。ラペリングするから準備をしてくれ!それとあそこの塀に効力射を!」
『わかった』
発信機にそう告げると、きれたマガジンを交換し、敵残存部隊が隠れている塀に7.62mm弾を撃ち込む。上空のヘリからはロケットランチャーが撃ち込まれ、塀に穴が開く。
「ハルナ、準備はいいか?」
「待て、蒔絵は!?」
「既に401が確保してくれた。こちらも撤退するぞ」
「そうか。なら...」
「耳塞いどけよ!!」
塀の穴にスタングレネードを2つ程投げ込むと、回収に来たヘリにワイヤーを飛ばす。その瞬間、選考と激しい音が周りを包む。
「固定出来てるか?」
『オーケー!バランス制御最大!』
「ハルナ、しっかり掴まっとけ!」
「あ、ああ...」
ハルナが掴まった事を確認すると、ワイヤーを自動巻き取りで戻す。
「うわっ!」
「あんまり声を出すな。今の所スタングレネードでバレてはいないが、バレるぞ!」
そうこうしているうちにヘリまで到達。タカオにハルナの収容を手伝ってもらうと、自分もヘリに乗り込む。
「これで作戦完了?」
「いや、艦に着くまでが作戦だ。ぬかるなよ?」
「わかってるわよ」
ヘリの機首を艦へ向け、自動航行を開始する。そんな中でタカオと駄弁っていると、ハルナは少し驚いた顔をしていた。
「どうした?そんな惚けた顔して?」
「いや...まさかタカオが人間と行動しているとは思わなくてな」
「まあ、そんなこともあるわよ。まだまだ艦長については知らない事もあるし」
「だから、本名で呼べと...」
「そう言えば『L』と言うのは偽名だと言っていたな。本名はなんと言うんだ?」
「やっぱ気になるよね...自己紹介しようか。俺は航空重巡洋艦タカオの航空部隊のパイロットのリンクスだ。よろしく」
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
そんな事を言っていると、どうやら艦の近くへと戻って来た。だが艦は見えない。
「タカオ、HASSをオフに。見える状態にしろ」
「了解よ」
タカオがHASSをオフにすると艦が現れ、装甲に白いラインが入ったテクスチャが貼られていく。
「これが今のタカオ...なのか?」
「そう、これが今の私。航空重巡洋艦タカオよ」
ハルナが驚くのも無理はないか。今のタカオは全長約300mの巨大艦だ。かつてこの世界であったというWW2の軍艦よりも大きい。さらに言えば現在残存している現代軍艦の中で、これより大きい物はアメリカが保持している原子力空母ぐらいだろう。
「着艦するわよ」
ヘリは徐々に高度をさげ飛行甲板へ降下していった。そして着艦。
「やっと終わったー」
「そうね。艦も異常なし」
『そりゃひどいな。私が留守中に何かするとでも?』
「相棒ならしかねないから怖い」
「なんだ今の!?」
「ああ、すまない。紹介し忘れていたな。俺の相棒のオセロットだ」
『初めまして。私はリンクスの相棒を務めるAI、オセロットだ。よろしく頼むよ』
「あっ、ああ。ハルナだ。よろしく頼む」
さて一通り紹介も済んだ事だし、次に移らなければ...
「タカオ!」
「なに?」
「401と連絡を取ってくれ。合流地点を伝えよう」
まあ、全長が300mくらいあったら驚くよね