空飛ぶ山猫と重巡洋艦 作:とある戦闘機好き
ーsideキリシマ
「タカオから通信。合流地点の指示が来ました。ここから南東20kmの海域です」
「合流までの時間は?」
「機関にも相談する必要がありますが、30分以内には可能です」
「よし。こちらも向かうぞ。」
依頼の達成により、本拠地に戻る前に補給の目処がついた401。クルーには安心した様子が見られるが、蒔絵はどうやら恐がっている。
「蒔絵、大丈夫か?」
「うん...でもほんとに、ハルハル迎えに来てくれるかな...」
「蒔絵、ハルナと約束したんだろ?ならハルナを信じてやれ」
「うん」
「ソナーに反応。目標海域に不明艦を発見。これは...大戦艦クラスです!艦長!」
「総員、第二戦闘配備。イオナ、タカオと連絡を!」
「待って群像。あの艦は多分タカオ」
「なにっ!?」
「待てよイオナ!タカオは重巡洋艦だろ!?」
「杏平、行けば分かる」
「群像!?ほんとに大丈夫か!?」
「イオナが言うんだ。タカオから聞いているんだろう?」
「うん。タカオは既に海域についているって」
ーside山猫
「来たな」
艦橋から海を見下ろすと401が浮上しているのが見えた。
「タカオ、401に連絡。こちらに横並びにするように言ってくれ」
「了解」
しばらくすると401がこちらの左側に横付ける形で浮上して来た。
「大分船体が損傷しているな...」
「まあ、補給も殆ど無いみたいだしね」
「オセロット、401の船体状況のスキャニングを。ナノマテリアル充填だけで修理は出来ないないと思う」
『了解した。スキャニングを開始』
そうすると401のハッチが開き、クルーが出てきた。こちらも艦橋から降り、タカオと飛行甲板へと出る。
「イ401艦長、千早群像だ。指示通り来たぞ」
「航空重巡洋艦タカオ艦長、リンクスだ。この度は依頼を受けて頂いて、感謝している」
「それについては構わない。達成報酬は?」
「はじめにそちらに乗艦している、大戦艦キリシマ並びに刑部蒔絵の引き渡しを行いたい」
「わかった」
千早艦長がそう言うとハッチから蒔絵とキリシマが出てくる。
「蒔絵!」
「ハルハル!」
感動の再会か...いや、感傷に浸っている場合では無いな。
「確認した。こちらからも報酬を渡そう。しかし...」
「どうかしたか?」
「401の船体、ナノマテリアル充填による修理だけじゃ治らんぞ?」
「...どう言う事だ?」
「オセロット」
『スキャニング終了。401の船体状況を把握。ナノマテリアル充填だけでは損傷箇所の修理は不可と判断した。損傷箇所が多過ぎるぞ。ここでは無理だ』
「...今のは?」
「うちのAIだよ。まあ、色々やってくれてる」
『失礼した。リンクスの相棒を務める、オセロットだ。よろしく頼む』
「あ、ああ。千早群像だ。よろしく」
「と言う事で、どこかしっかりした施設で修理した方がいいだろうな」
「そうか...」
そう言うと千早艦長は思案顔になる。その間、他のクルーはタカオの船体を見上げていた。
「デケェ...」
「ええ、まさか全長300mとは...」
「しかもアングルドデッキまでついてる」
「航空機の運用でもするのでしょうか...?」
「でも、霧って航空機は運用しないよな?」
「なあ、みんな...」
どうやら相談に入る様だ。こっちではハルナと蒔絵が抱き合っている。
「蒔絵...よかった。無事で...」
「ハルハル...!」
その横ではタカオとキリシマが話していた。
「なあタカオ、こう言うのを感動の再会って言うのか?」
「そうね。それを決めるのはあの子達だけど」
「しかしお前が人間の艦長を迎えているとはな...私はその方が驚いたぞ」
「まあね。ハルナにも言われたわ」
「でも何故、人間を?」
「最初は単なる興味だったわ。でもあの人の事を知ろうとすると、どんどんわからない事が出てくるのよ。今はそれを順番に解き明かしている最中ってわけ」
「なるほど...でもそれが船体を改造した事と何の関係がある?」
「それは秘密よ」
そんな事を聞いていると、向こうは考えが定まったらしい。
「済まない、少しいいか?」
「どうした、千早艦長?」
「これはこちらで話し合った結果なのだが、硫黄島までこちらを護衛してくれないか?」
ほう、そう来たか。こちらには何も問題は無いが...
「別に良いが、理由を知りたいな」
「さっきあなたが言った通り、今の401は損傷が酷い。それを考えると、ここで補給物資を貰うより、我々の本拠地で受け取り、そこで修理した方が良いと言う結論が出た。勿論、タダでとは言わない。こちらも硫黄島にて、補給出来るものは出そうと思う」
「わかった。そちらの依頼を受けよう。報酬の引き渡しは硫黄島で良いんだな?」
「ああ。宜しく頼む」
「了解だ。タカオ!硫黄島まで401を護衛する。準備はいいな?」
「硫黄島ね。了解よ」
そう言うと艦橋へと戻り、状況を確認する。
目的地は硫黄島だ。
二章は結局9話で完結。一章と似た様なもんですね。