空飛ぶ山猫と重巡洋艦 作:とある戦闘機好き
リアルがすごく忙しくなってしまい、中々投稿できませんでした。
ーside群像
なんでこの機体がタカオから...
「型式番号N-001-1、No.F/A-114、ペットネームはOcelot。製造社は不明の戦闘機だ」
「なんでこの機体が...」
「なんでってこれが俺の機体だからなんだが」
「ってことは一緒に飛んでた機体も?」
「これか?」
リンクスはそう言ってタカオに指示すると、別のエレベーターからあの時の無人機を出す。
「UM/F-1。リンクスが設計したマルチロール機よ」
「じゃあやっぱりあの時助けてくれたのは...」
「まあそう言うことだ。その理由についても、戦ったハルナ達は許してくれている」
「そうか...」
どんな理由があったかは知らないが、自分達を援護してくれたのは確かだ。
「ヒュウガ?」
「どしたのハルナ?」
「お前があの映像から割り出したOcelotのスペックってどれくらいなんだ?」
「これよ」
ヒュウガはそう言うと空間にディスプレイを作り出し、F/A-114のスペックデータを映し出す。
「大分低く見積もられてんな...相棒、どう思う?」
『そうだな...まああれだけの情報でここまで推測したものだ』
「「「「えっ?」」」」
まさか、それ以上のスペックだとでも言うのか!?
「簡単に言えばドライ推力は単純に2倍相当はある。アフターバーナー推力はアフターバーナー自体やったことないから分からん。多分遥かに超えていると思うが...」
「そこまでなのか!?」
「今までに構築されてきた技術では再現できないんだ。主機は熱核イオンジェット、武装搭載システムは量子格納の情報体による無限に近い積載量。そして空だろうが海だろうが無視してサイティングする『オールサイド・フェーズドアレイ・レーダー』。そしてHASS。まさにこの時代におけるオーパーツなんだよ」
「そして製作者も分からないか...」
リンクスの説明にほぼ全員が圧倒される。
それほどまでの代物を目の前にしているのかと思うと頭が痛くなってくる。
「...もう1つの方は?」
「UM/F-1は頑張れば再現できるレベル、だけど世界がこんな状態じゃまず無理ね。唯一出来るのは伊犂ノ島くらいよ」
「伊犂ノ島?」
タカオが聞き慣れない島を挙げる。
「なぜそこでなら出来ると?」
「そこに私達の基地があるのよ」
なるほど...
「取り敢えず俺は上に行く。多分釣りでもやってるだろうから、何か決まったら声を掛けてくれ」
リンクスはそう言って出て行った。
ーside山猫
「これで良いか」
タカオに保管してあったナノマテリアルを一部拝借して釣竿を作る。
「よっと...」
完成した物の針先を海に投げ、しばらく待つ。少しすると背後から声がかかった。
「どう?」
「始めたばっかだしな。分からん」
やって来たのはタカオだった。自分の隣に腰掛けるタカオを横目に釣竿を睨む。
「ハルナ達はどうした?」
「ヒュウガに連れられてビーチの方に行ってるわ」
「楽しめりゃ良いんだけどな」
「私達も行く?」
「...いや、もうしばらくここにいるよ。行ってくるか?」
「そうね...私もいて良いかしら?」
「別に構わないさ」
そう言うと再び浮いているウキに目線を落とす。
「しかしこうもなるなんてね...艦長には予想できてたの?」
「バカ言え。まあ、横須賀で手を出した時点で予想はしてたさ」
「そう...これからどうするの?」
「さてね...『好きに生き、理不尽に死ぬ。』やる事なんてそれ位だ。元々そんな生き方をしてたんだから、当たり前だろ?」
そう言うとタカオはこちらを正面から見る。
「...私も着いて行ったら、だめ?」
「...それを決めるのは、タカオ自身だ」
「...それもそうね。私は艦長が何と言おうと着いて行くわ。私は艦長の艦だから」
そう言ってこちらを真っ直ぐ見るタカオ。その顔に手を伸ばし、頰を軽く抓る。
「ふぇ?」
「まったく。いきなり何を言い出すかと思えば...」
「何するのよ、抓るのやめて?」
「やだ」
右手でタカオを抓りつつ、左手で竿を操る。
未だに魚がかかる事は無いが、こうしているのも悪く無いと思った。
多分これから、週1か2くらいのペースで投稿することになると思います。
これからもどうぞよろしくお願いします。