アーマード勇者育成記 チート?いいえ。ロストテクノロジーですが、何か?オレ流勇者&パーティ好き勝手にビルドうp   作:snyp_0

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第45話 エルと因縁

 俺はアーサーと合流し、エルをおぶりながら、シュビエル家の門の近くまで来ていた。

 

「流石、お師匠様です! 初めて参加してエキシビションで勝っちゃうなんて!」

「中々興味深い敵だった。なんてたって――」

 

 待てよ? ここで悪魔を倒さず手下にした。なんて言ったら面倒な事になりそうだな。黙っとこ。

 

「どの様な敵だったのですか!?」

 

 アーサーはいつもの様に目をキラキラさせながら俺を見てくる。

 

「うッ……と、とても強い悪魔がエルの姉イクルナに取り憑いてたんだ」

「え!? イクルナさんはどうなったんですか!?」

「大丈夫だ、気絶しただけで命に別状はない」

「そうですか! 良かった。……悪魔? あ、あれ? そういえば! 反応が! 反応がない!」

 

 アーサーは突然焦りだし狼狽えはじめた。

 

「どうした? 急に?」

「そ、それが僕が元々この国をめざしていた理由は悪魔の反応があったからなんです! 今思い出して反応見てみたら消えていたんです!」

「え……それってルギームの悪魔の反応がって事?」

「違います! 全部です!」

 

 アーサーの言葉を聞き、俺の額から冷や汗がどんどん滲み出てくるが、外格のおかげで察知されなくて済むのを心の底から感謝した。

 

 全部? 全部ってあれオールって事? これ確実に俺のせいじゃね? やべぇよ……やべぇよ……どうすんのこれ?

 

 どうやって弁明しようか考えているうちにシュビエル家の門前まで着いてしまった。

 

「と、とりあえずエルを起こそう。アーサー、この話だが今は保留と言う事で」

 

 俺はエルを起こすため、小さく体を揺さぶる。

 

「ン~ンア? ここ……どこ?」

「寝ぼけてんのか? お前ん家の前だよ」

「大賢者様は!?」

「もう帰っちまったぞ? 後で使いの者をここに寄越すんだと」

「残……念、握手して……欲しかったのに」

「まぁ、良いじゃんか。どうせすぐ会えるよ。つーか、そろそろ降りてくれ」

 

 エルは俺の肩に手をのせ、勢い良くジャンプし、背中から離れると門の取っ手を掴み門に叩きつけた。覗き穴から目が一瞬出たかと思うと、すぐに門が開いた。

 

「お疲れ様でした! 皆さん! どうぞ、お入り下さい!」

「ありがと、ネルロさん」

「どうもお疲れ様です~」

「庭師さんもお仕事お疲れ様です!」

 

 俺達は各々、ネルロさんに軽い挨拶をしながら真っ直ぐ屋敷内へと入っていった。

 

「おお! 戻ったのかエルメンテ! それに皆さんも!」

 

 玄関の扉を開けると、目の前にエルの親父さんが立っていた。

 

「ここで……ずっと待っててくれ………たの?」

「いやいや、流石にそこまで暇じゃないさ。見に行けなくて残念だ。門の開く音が聞こえたんでね。出迎えたんだよ。ところで、ゲインさん、アイーナとイクルナはどうなりましたか?」

「あの二人には傷を付けてませんよ。今は気絶しています。回復したら戻ってくると思いますよ」

「そうですか! 良かった。本当に良かった」

 

 俺と親父さんの会話を訝しげな表情で見ていたエルは合点がいった様で、親父さんの顔を見上げた。

 

「ゲインがおかしな行動にでたのはお父様のせいなのですね!?」

「エルメンテ! すまない! 耐えられなかった! お前達3人は私の宝物なんだ! わかっておくれ」

「もういいです!」

 

 エルは頬を膨らませ、プンスカ怒りながら歩いて行ってしまった。

 

「エルの自室って何処にあるんですか?」

「西側に黄緑色の扉があります。それがエルメンテの部屋です」

「ありがとうございます。後で行ってみます。とりあえず客間に戻らせてもらいます。俺もちょっとやらなきゃならん事があるんで。アーサーお前はどうする?」

「おトイレに行ってきます!」

 

 アーサーもテキパキと歩きながらトイレに向かって行った。

 

「娘達の件、本当にありがとうございました」

 

 エルの親父さんと軽く握手し、俺は客間へと戻る。そしてクッキングクリエイトを起動させ、ありとあらゆる調味料や香辛料を作り始める。

 

「折角だからな。やるならとことんやろう」

 

 

 そして約3時間後、部屋中が香辛料と調味料の瓶で埋まる事になった。

 

「うむ、これだけあれば向こう10年は大丈夫だろう。あとはこの家を出る時にレシピを渡せば完璧だな! やる事やったし、エルの様子でも見に行くか」

 

 俺は瓶だらけになった客間を出てエルの自室へと向かう。

 長い廊下を道なりに歩き続け、1つだけ黄緑色の扉を見つけたため、ノックし扉を開け中に入る。エルの部屋は本が山積みになっていた。

 女の子っぽい物といえばベッドの横にある熊のぬいぐるみ位だ。当人は椅子に腰掛け、本を読みふけっている。

 

「ノックしたけど聞こえたか? まぁ、そのまま入らせて貰ったけどさ」

「うん。一応……聞こえた」

 

 エルの読んでいる本がどんな本かはよくわからないが、表紙を見るに英雄譚の様だ。剣と杖が斜めにクロスしているシンプルだが中々格好いいデザインをしている。

 

「お前英雄譚とかが好きなのか?」

「うん、物……語を読むのは大好き」

「そうかそうか。俺も英雄譚的な物語を読んだりするのは好きだぞ。幾つか持ってる。読むか?」

「読む!」

 

 俺はインベントリから1冊の本を取り出しエルへ渡す。この本に書かれいるのは小説である。ハガセンでは【白紙の本】というアイテムが道具屋で売っている。

 本来の用途は敵のスペックや、アクセサリー、武器や防具のパッシブスキルの効果等を忘れない為に残しておく為だけのアイテム所謂ノートなのだが、俺はハガセンにおけるほぼ全ての要素を記憶しているので不必要なのだ。

 ある日俺はこの白紙の本をどうにか役立てられないかと1人考えた。ゲームや特撮やらロボットの他にも密かな趣味を持っていた。それはネット小説を読む事だ。【小説読まんかい!】という小説投稿サイトが俺のお気に入りだった。

 お気に入りのネット小説をコピペし、白紙の本に貼っ付ければハガセンの中にいながら小説を読む事が可能という事実がわかった俺は、白紙の本を買い漁り、小説読まんかい! にあるネット小説をコピペしまくったのだ。

 

 

 エルに小説を渡して2時間程が経過した。エルは一切休憩を挟まず、俺が渡した小説を読み続けていたが疲れたのか、本を閉じ背伸びをし始めた。

 

「流石に疲れたか。どうだ面白いか?」

「こんなに奇……想天外で面白い物語初めて。まだある?」

「ああ、腐る程あるぞ。また読ませてやるよ。わかる。わかるぞ、お前の気持ち」

「うん」

 

 エルの返事を聞いたその時、突然扉がノックされた。

 

「失礼、エルメンテ? 入ってもよろしくって?」

「……どうぞ、イクルナお姉様」

 

 ドアがゆっくり開くとイクルナが部屋へ入ってきた。

 

「あら、お邪魔だったかしら?」

「いや、別にちょっと本を読んでただけだ」

「そう。あなた達には迷惑をかけましたね」

 

 イクルナはゆっくりと腰を曲げ、エルにお辞儀をする。

 

「私は悪魔に乗っ取られた後の事を全て記憶しています。あなたの母を殺した事もしっかりと。そしてこの片目」

 

 イクルナが、眼帯を外す。その目は一切光を持たない、漆黒の目になっていた。

 エルの手が小刻みに震えるのが見てとれる。

 

「もう、この目は使い物になりません。眼帯があって本当に良かった。見苦しいものね」

「だから……何だと言うの……ですか」

「けじめを着けに来ました。いいえ、あなたがシュビエル家の人間としてけじめを着けなさい」

 

 イクルナはいつの間にか、短刀を手にしていた。

 

「ま、まさか! 馬鹿な事はや――」

「部外者はお黙りなさい!!」

 

 エルは椅子から立ち上がり短刀を受け取る。

 

「後ろを……向いて……下さい」

「一思いにやりなさい。エルメンテ」

 

 エルは短刀を横に一閃する。するとイクルナの金色の後ろ髪が、肩の付け根辺りでバッサリと切り落とされた。

 

「な、何をやっているのです!? 貴女は!? 私が言ったことがわからないの!?」

「わかっています。痛い程に。イクルナお姉様、幼少時代私が最も辛かったのは母から頂いた、この髪を馬鹿にされた事です。お姉様生きてください。ヨボヨボのお婆さんになるまで生き抜いてください。そしていつか死んだらお母様に直に逢って謝ってください!」

「ごめんなさい。ごめんなさい。エルメンテ」

 

 2人は抱き合い延々と泣き続けている。俺はゆっくりと部屋から退室する。

 

「どうやら仲直り出来たみたいで良かった良かった」

「御機嫌よう、騎士様」

 

 声のした方を向くとアイーナが立っていた。

 

「イクルナはエルに謝ったぞ。お前はどうなんだ?」

「し、失礼な! 私もちゃんと謝ろうと決意を固めてここまで来たのです!」

「あ、そう」

「そういえば、アーサーでしたか? お弟子さんが貴方を探しておいででしたよ? 玄関で小さな女の子と一緒でした」

「小さな女の子?」

「ええ」

「しっかりしろよ? 長女なんだろ?」

「しつこいですわね! わ、わかっています!」

 

 俺は長い廊下を走りながら玄関へと向う。

 そこには茶髪のツインテール魔法少女に髪を引っ張られているアーサーの姿があった。

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