※DQB2の全力ネタバレおよびクリア後情報を書いています
そりゃあもう目一杯たくさん山盛りにいろんなことがあったんだよシドー!
しろじいの神殿を改築しようと整地している時に、埋もれていた小さな祭壇を見つけてしまったのが全ての始まりだったの。
導きの玉と違い、何やら青い渦のようなものが光っていた。友達で相棒の彼に旅の扉だと教えてもらう。
なんやかんやあってからとても頭のよくなった彼が、どこか遠いところに繋がった道のようなものだと説明してくれる。往復にも使える便利な、まぁトンネルみたいなやつだと祭壇を眺めながら言った。
この世界からどこに繋がってるんだろうな?と面白そうに旅の扉を眺める彼に、んじゃあ持ち帰っとこうと私は気楽にハンマーを振り上げてしまった。
だってすぐにすぐは無理だったんだもん。手持ちのふくろはほとんど素材でいっぱいで、からのふくろは船長さんの側。いにしえのビルダーの書いた本にも旅の扉は持ち運びできるって書かれていたから。だから。
振り下ろしたハンマーごと、渦の中にスポンと飲み込まれてしまった私の名前をシドーが叫ぶように呼んでいた。
ぽいっと放り出されたのは知らない植生の森。思い出したように差し込む光が、この森の深さを教えてくれる。ふと後ろを振り返ってみても旅の扉なるものは見つからない。トンネルと彼は表現していたのに、どうにも一方通行のようだった。
きっとなりふり構わず追いかけてくれるだろうと思っていたけれど、道がないなら彼もどうしようもない。
待てど暮らせどと言うほど時間は経っていないけれど、うんともすんとも言わない空間にさっさと見切りをつける。これないものはしょうがない。それならば新しい素材、となるのがビルダーとしての性なんだから。
よっ!ほっ!っと握りしめていたハンマーを近くの木に振り下ろし、見慣れたブロックとなった素材を拾い上げる。
木材3つ。
木から取れるいつものってやつである。ごそごそと腰につけたままのふくろを開けてみれば、手当たり次第に放り込んだ素材や料理がみっしり詰まっていた。その中に無理やり詰め込こんで、ついでに仕舞っていた飴を口に入れる。と。
森の先からなにやら怒声と獣の叫び声、悲鳴と焦げた何かの臭いを拾い上げた。むむむ、と助けを求める気配を勝手に感知して、愛用のハンマーとはかぶさの剣をお供に駆け出した。
あっという間にたどり着いた、ロモスと言うらしい城と街。悲鳴の理由はゆうしゃさま一行がなんとかしてくれたらしくて、私の目の前には煙の上がる城下町とモンスターを追い払ってお祭り騒ぎの街人たちがいた。
振舞われるごちそうにご相伴預かりながら、ここはどこで今はどうなっているのかをたくさん聞いて。
お腹いっぱいになったお礼にハンマー担いでトンカンドカドカ、再建手伝いをしたのは当然の流れなんだ。
それからいっぱい作ったんだよーーー!と、やっと再会できた相棒に楽しく説明をしていたら、彼はチラッと一緒にいたゆうしゃさまたちの顔を確認して。
「ゴーストタウンを作る勢いで増設したんだな、わかってる」
と、溜息をついて首を振った。おお?っと振り返ればなんとも言えない表情のゆうしゃさま…ダイくん達。
だって新しい素材がいっぱいだったんだから手当たり次第に作ってみるのは仕方ないんだ、ほんとに。
見たことのないパプニカの布地、見慣れたブルーメタルやオリハルコン。かわいい部屋もモンスター好みのいかつい部屋もなんでもかんでも作ったよ。
「その話はあとで聞くから、とりあえず帰るぞ。ルルがそろそろ泣きそうだ。なんで一緒に行かなかったんだって毎日詰られてたんだからな」
「あ、それなんだけどさ、シドー。なんか土地不足で地底深くに押しやられて不便してるモンスターたちがいるんだって!うちにつれて帰ってもいい?!本人達に確認してないけど」
ちなみにそっちにいるおじいさんがモンスターや魔族達をほとんど配下にしてるダイマオウさんと紹介すると、なんだか疲れた顔してそっちに目を向けていた。
土地なら誰も住んでないのに都市になっているところが山ほどある。いや私が作ったんだけども。
作り続け壊し続けていたためか、信仰心が足りて神の力もマシマシになり世界は広がり続けている。
どうかな?と首を傾げれば、
はあぁぁあああ……、と大きな溜息をついて頭を抱えてしまった。ひどい。
「いろいろ確認するぞ。そこに座ってるじーさんは魔物達の王、つまり魔王だな?」
「正確にはマオウを従えるダイマオウなんだって」
「お、おう。ダイマオウさんだな。すげぇ、神の力持ってた時の俺と同じくらい魔力がある。魔族ってここまで育つんだな」
育つって表現で合ってるんだろうか?
神って言葉を聞いたダイマオウさんが少し険をもった目線を彼に送っていた。それはともかく。
「んで、お前と一緒にいるそっちの人間はローレシアの王子達と同じような、勇者様御一行ってやつだな?」
「うん。ダイくん達、いつも戦ってて街とか壊れるところに遭遇しやすいから。お手伝いできるように一緒に居たの」
「勇者とかいう最前線について行っていたことはルルに説教してもらうとして」
「え、ちょ」
「勇者と大魔王が揃ってるってことは、つまり決戦ってやつだろう?」
コワイ単語に慌てていたけれど、とりあえずうなづいた。もったいなくて使えず、ずっと持ってた世界樹のしずくで全快したバランさんも重々しく首を縦に振った。
「そうなんだけどさ。決戦前にメイドのおみやげみたいなお話をしてくれたの。なんかここの魔物さん達、この世界の神様に太陽もなくて瘴気だらけのものすごく生活環境の悪いところに押し込められたんだって。神様なら力全部使ってもう一個世界作るぐらいしてくれてもいいのにケチだよね」
「あー、うん、そうだな。メイドからもらうお土産だな」
だってシドーはそうしてくれたのだ。
「ダイマオウさん達は生きにくいところから出ていきたい、地上と太陽の光に焦がれてたって言ってた。人間と神さまを憎んでるって」
「まぁ、当然だな。俺も信仰されていたけれど、恐れ憎まれてもいたし」
「邪神だから仕方ない」
邪神の言葉にバランさんもなんだかアブナイ視線をシドーくんに送ってる。コワクナイヨ!?…いや、それもともかく。
地上には人間や動物達がいて、ダイマオウさん達が表に出てくるってことはその人たちと環境を壊しちゃうってことだ。それは良くない。とても良くない。物が壊れたら直せば良いけれど、生き物は壊れたら治らないんだから。
「だったら最初から助けてくれない神さまなんてほっといて、作り放題のからっぽ島に来てもらったらどうかなって」
「言いたいことは分かったが、絶対受け入れないだろうよ。破壊と憎しみが組み合わさったものはなかなか元には戻らない。奪わなくても余っている土地があると言っても、余計なことをした神を破壊するまでは収まりがつかない筈だ」
「でもこっちを見てくれないどうでもいい神さまより、物作りした方がずっと有意義だよ?今、空を飛んでいるんだけど、このおっきな建造物もダイマオウさんが作ったんだって」
「ようこそからっぽ島へ」
空飛ぶ要塞はろまんだよね!さすがわかってる!