標的は奴だ!!(祝、再度の特別出演)
「はい! アイドルオタクのみんなぁ! 346プロダクションクリスマス特別ライブは楽しんでくれているかなぁ!」
「副音声では346どうでしょう班によるライブとまったく関係ない会話をしているぞ! ちなみにさっきまで周子と二人で獣ゆく細道を熱唱していたら常務にガチ目に怒られた!」
「その怒られている風景まで含めての副音声です! さてさて、我ら346どうでしょう班が本放送のほうに進出してきた理由ですが……ははは、本放送ジャックじゃありませんよ! それをやろうとしたら武内Pがブロックしてきたので!」
「俺達塩見兄妹の進撃を止めるとは……あのプロデューサーの正体は何者だ!?」
「プロデューサーや! あ、ガチのディレクターから巻いてくれって指示が出ているのでさっさと行きますよぉ!」
「ガチのディレクターとか佐藤の存在価値がなくなったな」
周介くんの発言に遠くにいた佐藤から罵倒が飛んできて煽り合いが始まる。346どうでしょう的にいつもの風景なので周子はフリップを取り出す。
「はい! 今回もやってきたのはアイドル達によるレクリエーションタイム!! 今回は346どうでしょうが主催させていただきます!」
「おっとコメント欄に怒涛のテロコメント!! 被害者は誰だってよ、周子!!」
「大丈夫!! テロであることは否定せんけど、被害はアイドルやない!!」
「アイドルじゃないってよ!! 良かったな!! 推しは無事だぞ!!」
周介がそこまで言うと周介と周子は二人でにまーっと笑う。
「「ただし貴様らファンが無事に済むとは限らんがなぁ!!」」
「おおっと、コメントで怒涛の『このクソ外道が!』コメント!!」
「大丈夫や兄ちゃん!! 同じくらい『覚悟完了』コメントもある!!」
「よっしゃ!! 覚悟のススメをしたところでレクリエーション発表」
「よしきた!!」
その言葉に周子はフリップをひっくり返す。
「「はい!! 今年のレクリエーションは『アイドルの主張』!!」」
その言葉にカメラが客席を映すと、客席には多数の346プロ所属アイドルが座っていた。
「アイドルは発言にも気をつけなきゃいけない……そういうストレスのたまるお仕事です!!」
「お前、好き勝手してない?」
「これでも自重しとるんや……!! 私が本気だしたらすごいで……!!」
「はい、周子の担当Pから『そのやる気は一生しまっておいてくれ』という哀願のカンペが出たところで話を続けると、今回の企画は『アイドルという立場故に普段いえないこと』を『ライブというお祭りで言っちゃおうZE!!』って企画です!!」
「ははは、こらこらこれは塩見家のテロではない」
そして周子は最高に悪そうな表情を浮かべる。
「なにせこれは事務所側から許可出とるからなぁ!!」
「これまでに出したアイディアの数は聞いちゃいけないぞ!!」
「提案する私らと必死に却下する事務所側の攻防は346どうでしょうのほうで放送予定やからお楽しみに!!」
「そうこう言っている間にレクリエーションの時間がどんどん削られていっている」
「こうしうちゃいられねぇぜ!! よっしゃあ一人目カモン!!」
周子の言葉に一人のアイドルがカメラに入ってくる。
「え? 本当にやらされるの? ボクみたいなクソザコナメクジアイドルがトップバッター?」
「はぁぁい!! 一人目は炎上アイドルとして不動の地位を気づいた夢見りあむちゃんです!!」
「うぇぇぇぇい!! りあむちゃん!! うぇぇぇぇぇい!!」
「え? え? え? なんか周子ちゃんが典型的なパリピキャラになってる!! やめてよ!! 落ち着いてよ!! ボクそのテンション苦手だよ!!」
「「わかった、じゃあ落ち着く」」
「わぁぁぁぁぁぁぁ!? 怖い!!!! 周子ちゃんとそのお兄さんが落ち着くと逆に怖い!! なに!? ボクなにされるの!?」
「やるのはお前や」
「ほれ、さっさとステージに行け」
「扱いが酷い!!」
嘆きながらもステージの中央に向かうりあむ。周介と周子はそれを映像で見ており、客席にはアイドル達がいっぱいいる。
『え? あ、ここで言うの? え? マジで? ある意味公開処刑じゃない?』
「バカめ、今更気づいたか」
「りあむちゃんも何回も拉致ってどうでしょうロケに連れてったけど、毎回ええ反応くれるからなぁ。幸子ちゃんとリアクション対決させたい」
「よし、今度それやるか」
周介と周子の容赦のない会話。それにコメント欄にりあむの冥福を祈るコメントが大量に流れる。
そして覚悟を決めたのかりあむは口を開く。
『ボクは346どうでしょう班に言いたいことがある!!』
『な~に~!!』
りあむの言葉にパーフェクトな返しをするアイドル達。年代的に元ネタを知らない世代もいるだろうが、きっとお姉さまアイドル達に教えられたのだろう。
一瞬面食らったりあむだったがすぐに思い直して口を開く。
『ボクは確かに余計なことを言ったり、逆に言葉足らずで頻繁にネットで炎上する!! 周子ちゃんから『炎上系アイドル』って名付けられたりもしている!! でも』
そしてりあむは真剣な表情で口を開いた。
『ボクの炎上はネットの炎上であって物理的な炎上じゃないんだ!! だからこれ以上346どうでしょうで手筒花火とか護摩行とか火渡りとか物理的な炎上ロケに連れて行かないでください!! お願いします!!』
アイドル達爆笑。周介と周子も爆笑である。
「わかった!! りあむちゃんの意志を尊重しよう!!」
「せやな!! 次は極寒の地で滝行をやるで!!」
『鎮火してくれって意味でもないんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
りあむ最後の嘆きに客席のアイドル達爆笑。コメント欄にも大草原ができている。
「いやぁ、いいトップバッターだった」
「最初でなかなかハードルがあがったで」
「次のアイドルの娘がちょっと大変かもな。次は誰だ?」
「はい、それじゃあ次の人ぉ!!」
周子の言葉に入ってくる一人のアイドル。
「お、新田さん家の美波ちゃんか。久しぶりだな」
「え?」
「どうしよう周子。ガチで困惑されたんだけど」
「いや、当然やろ兄ちゃん。美波ちゃんが店来た時は最後まで狼の被り物しとったやん」
周子の言葉に納得の表情を見せる周介。そして美波は驚いた表情をした。
「あ!! あの時の狼の被り物をしていた店長さん!!」
「イエース!! ドウモ=ニッタサン。シオミシュウスケデス」
「え? え? え?」
「あかんで美波ちゃん、きちんと挨拶せな。挨拶は大事って古事記にも書いてある」
周子の言葉にどこか納得した様子を見せる美波。
「あ、古事記にもそう書かれているんですね。私もお勉強不足ですね」
「あかん、ボケ殺しや……まぁ、いいや!! それじゃあ美波ちゃん、行ってみよう!!」
「はい。美波、頑張ります」
そう言ってからステージの中央に向かう美波。そしてステージの中央に立つと一度深呼吸をして口を開いた。
『私は弟くんに言いたいことがあります!!』
『な~に~!!』
完全に対岸の火事なのでこのレクリエーションを楽しんでいるアイドル達。
『最近、弟くんはお姉ちゃんに冷たいと思います!!』
「この流れはまさか……!!」
「天然による外道行為の気配……!!」
周介と周子の友人は様々な外道がいる。その中には天然で外道行為をする一番性質が悪い奴も当然いる!! 二人の外道センサーが美波からそれを感じ取ったのだ……!!
『昔は私のグラビアとか新曲を送ったらちゃんと褒めてくれていたのに、最近は『もう送らなくていいから』ってコメントばっかり……お姉ちゃんは怒ってます……!!』
「「来るぞ来るぞ来るぞ……!!!」」
美波とは別の意味でボルテージが上がる塩見兄妹。
そして美波は弟に対して言葉のギロチンを落とす……!!
『そんな冷たい反応をしても中学生になるまで一緒にお風呂に入っていた事実は消えないんだからぁぁ!!』
「きたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「天然による外道行為!! そして内容は完全に弟くんに対する死刑判決!! こりゃあ学校が楽しみだな弟くん!!」
思わずガッツポーズを決めて立ち上がる周子と、興奮しながらも実況をやめない周介。
そして二人はお互いでハイタッチを決めると席に着く。
「いやぁ、そっかぁ!! 美波ちゃんの弟くんは中学生まで一緒にお風呂入っていたかぁ!!」
「入らなくなった理由はなんや? 年々色っぽくなるお姉ちゃんの魅力に思春期のリビドー耐えれんくなったか?」
二人の言葉にコメント欄に美波の弟に対する怨嗟のコメントで埋まる。
「ちなみに私と兄ちゃんは今でも一緒にお風呂に入ることがあります」
「二人で入ると美優が微笑ましい表情を浮かべながら着替えを用意してくれるんだよな」
「美優さんマジ女神」
周子と周介ががっちり握手するのと客席にいた美優が羞恥心で顔を真っ赤にするのは同時であった。
「おいおい、コメント欄にてっきり怨嗟の声が入ると思ったら『ですよね』ってコメントばっかりなんだが」
「なんてことや……周子ちゃんファンはいない……え? 周子ちゃんファンも納得やて? なんでや!?」
完全に当然のことを突っ込む塩見兄妹。
「あ、もう時間ない? それじゃあ次で最後だな」
「よっしゃ、それじゃあ最後の一人いらっしゃ~い!!」
周子の合図で最後の一人が入ってくる。
「ふふふ、よろしくね」
「お~、高垣さんか」
「飲兵衛お姉さま集団からの刺客……兄ちゃん、酒の貯蔵は充分か?」
「残念ながらうちのお店は改装中だよ」
「店長さんにそのことも聞きたかったんですけど、今回は別のことなんです」
楓の言葉に真剣な表情を浮かべる周子と周介。
「兄ちゃん」
「なんだ」
「愉悦の気配がする」
「奇遇だな。俺もだ」
塩見兄妹はがっちり握手をしてから楓を送り出す。
ステージに現れる楓。
「あかん、兄ちゃん。興奮してドキがムネムネしてきた……!!」
「落ち着け周子……!! まだだ……!! まだ愉悦が決まったわけではない……!!」
そんな会話を尻目に楓はステージの中央で口を開く。
『私は恋人である旭くんに言いたいことがあります!!』
『おぉぉぉぉ』
楓の言葉に盛り上がる客席。ガッツポーズを決める塩見兄妹。
そして楓は真剣な表情で口を開いた。
『いつになったらプロポーズしてくれるんですかぁぁぁ!!』
「「よしきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
楓の言葉に塩見兄妹はマイクを持ってダッシュ。ステージまで行って周子は楓に抱き着き、周介はカメラを指さす。
「おい!! 旭見てるな!! っていうか大好きな恋人が出てるんだから絶対見てるよな!! よぉし!! これからお前に電話をかける!! そして出たら楓さんに一言だ!! いいか!? 一言だぞ!! 日和ったら許さんからな!!」
「そうやで!! 女にここまで言わせたんやから言う言葉は決まっとるよな!!」
「あ、あの!!」
周介と周子が盛り上がっているとスマホを片手に持った神谷旭の妹である奈緒が手をあげている。
「兄貴の奴が電話にでないんだけど!!」
その言葉にオーディエンスのアイドルからブーイング。しかし、塩見兄妹は狼狽えない。
「そうか、そういう手段をとるか旭……」
「残念やな……あぁ、本当に残念や……」
そう言いながら塩見兄妹の顔は満面の笑みであった。
「「電話に出なければ貴様の芸能生活が死ぬ情報をネットの海に流す」」
「あ、兄貴!? あ、出た!!」
塩見兄妹による完全な脅しに奈緒が恐怖しながら必死に電話に語りかけると通じたらしい。そのままマイクを会場に繋ぐ。
「やっほ~、旭くんげんき~?」
『その場にいたら周介の顔面殴れたのになぁ……!!!』
「ははは、ヤのつく自営業の方々の事務所に殴り込んことがない旭が俺を殴れるわけがない」
『むしろ殴り込んだことがあるのか……!?』
残念ながら塩見兄妹が生まれ育った町ではカチコミは必修科目である。
「兄ちゃん、そんなことはどうでもいいねん」
「おっと、そうだった」
そして周介と周子は満面の笑みで大きく口を開く。
「「神谷旭くんから最愛の恋人である高垣楓さんに言いたいことがあるってさ」」
『貴様らぁぁぁぁ!!!!!!!』
旭くんの怒声が聞こえるが塩見兄妹はサムズアップして楓を前に押し出す。
そして楓の顔は期待に満ちていた。
『う、え、あ、う……」
完全に語彙力が死んだ旭。そして楓の裏で『早く』のカンペをあげる塩見兄妹。
そして旭は覚悟を決めたのは通話越しに真剣な雰囲気を出す。
『高垣楓さん!!』
「はい」
『俺と結婚してくだしゃい!!』
空気が死んだ。なにせ俳優としてはベテランの枠に入る人間が大事な場面でやらかしたのだ。塩見兄妹は楓の後ろで腹抱えてステージ叩いている。
そして客席にいた最年少の市原仁奈ちゃんが不思議そうに首を傾げた。
「旭おに~さん、噛んだでごぜ~ますか?」
『いっそ殺してくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!』
旭の嘆きに塩見兄妹の笑いが深くなる。それに釣られるようにアイドル達にも笑いが出た。
「はいはいはい!! 肝心なところで噛んだけど旭は言い切りました!!」
「さぁ!! 楓さん!! 返答をお願いします!!」
周介と周子の言葉に楓は微笑んで口を開く。
「こちらこそよろしくお願いしましゅ」
「「あまぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!!!!」」
楓の言葉に叫ぶ塩見兄妹、歓声をあげるアイドル達。
「とりあえずこのライブ終わったら速達で楓さん届けるからな!! 旭、ちゃんと準備しとけよ!!」
『ゆ、指輪か? それならもう用意してある』
「穴の開いたゴムもや!!」
『それ意味ないだろ!!』
塩見兄妹
特別ライブがネット配信なので副音声でライブと全く関係ないことを話したり歌ったりしていた。そしてやっぱり発生する塩見テロ
夢見りあむ
塩見兄妹の玩具二号(一号は幸子ちゃん)。後日、東北に連れていかれて滝行をさせられた模様。
新田美波
重度のブラコン。最近の悩みは弟が冷たいこと
高垣楓
恋人の仲が公表されて二か月たってもアクションを起こしてくれないので自分から動いた。相手がプロポーズを噛んだことに対して噛んで返答をするという熱愛ぶりを見せつけた。
神谷旭
テロの被害者。ライブ後にきちんとプロポーズをした模様。
アイドルの主張
作者の年齢がバレそうなネタ。元ネタは当然某ジャニーズグループの番組の1コーナーであるあれです
そんな感じでクリスマス特別ライブ編です。
ネット配信なのをいいことに好き勝手テロっている塩見兄妹。そして明かされる塩見兄妹の新しい玩具(りあむ)
りあむには炎上(物理)してもらわないとね!!
そして再び登場の朝霞リョウマさんのかえでさんといっしょの主人公の神谷旭くん!! 朝霞さんからも許可はいただいております(なお、扱い
かえでさんといっしょの旭くんがプロポーズで噛んだのを見て、噛んで返答した楓さんが好きだったのでそれも使わせてもらいました(なお、無許可
そして地味に手遅れ感がある美波ちゃん。色々設定見たけど作者の中ではもうブラコンで固定されているよ。
そして今更気づく美優さん不在の事実。周子ちゃんのキャラが動かしやすくてつい頼ってしまうところは治したいところ