思いっきりクロスキャラだしますのでご注意を!!
さて、ついにワクチン接種も始まり緊急事態宣言もあけたことで我が店にもお客さんが戻ると思ったのだが、残念ながらやってくるのはいつもの飲兵衛お姉さま集団のみ。一応「二人以上の宴会はお断りなんですが」と言ってみたところ真顔で「私達は二人ずつ呑んでるの? 異存はないわね?」と言われてしまっては断ることはできない。さらには飲兵衛お姉さま集団は「感染を食い止めるために念のため貸し切りにしとくわね」と言われて映画の1シーンのようにアタッシュケースに詰められた札束を見せられては俺に断る選択肢は存在しなかった。
「兄ちゃん、あの店の端っこにある巨大な機械はなんや」
「博士が作り上げた『コロナ絶対許さないマシーン3号』だ。コロナ対策の一貫として博士から購入した」
「資金源」
「飲兵衛お姉さま集団の財力って怖いな……」
俺の遠い眼の言葉に戦慄する周子。その飲兵衛お姉さま集団は緊急事態宣言で呑めなかった分を取り返すと言わんばかりに呑んでいる。
それに巻き込まれている美優と詩音に黙祷。
「そういや兄ちゃんには姉ちゃんからの連絡きとる?」
「ああ、来てる来てる」
今日、昼頃に突如やってきた貴音からの連絡。それは夜に客を伴って俺の店にやってくるということであった。
「客って誰だろうな」
「誠さんやない?」
「それだったら旦那っていうだろ」
会話にでてきたのは貴音の旦那である若林誠。古来から続く天魔とかいう悪霊を祓う職業である鎮守人として働く人物で、気弱であるが剣の腕がたつ人物である。若手のホープとして嘱望されている誠は貴音が養子に入った天照郷の名家である四条家に婿養子として入ることになり、めだたく塩見の一員となってしまった。
「いやぁ、調子にのってココさん達と一緒に解除した大天魔を相手に大立ち回りする誠さんはかっこよかったなぁ」
「最終的に大天魔にとどめを刺したのは誠と一緒にやってきた鎮守人の面々じゃなくて武闘家の奴だったのには笑ったけどな」
誠を含めた鎮守人の面々が信じられないものをみるような眼でみるのが印象的だった。
「そういや知ってるか周子。あの時封印をといた大天魔は放っておいたら世界がピンチだったらしいぞ」
「マジかいな。私ら世界の救世主やん」
「俺らが封印といているから完全にマッチポンプ」
「それな」
時折世界を救ったりすることもある俺や周子の友人達であるが、基本的にその原因も俺達にあることが多いので完全にマッチポンプなのだ。
「兄と妹よ。貴音様の登場です。飯を用意しなさい」
そして店の扉をスパーンと開いてくる貴音。その登場の仕方は正しく周子の姉であった。
とりあえずいつものように軽口を飛ばそうとしたところ、その隣にいた金髪美人が眼に入る。
「あれ? ミスティアじゃん」
「シュースケ久しぶりー」
俺の言葉に手をわしわしさせて挨拶してくる金髪美人は人気若手ハリウッド女優のミスティアであった。
さて、ミスティアと我ら塩見兄妹の関係であるが、ミスティアが小学生の時に『日本の文化を学びたい』ということで我が塩見家にホームステイしていたことがあるのだ。
本人的にそれがとても印象的だったらしく、こうして大人になってからもちょくちょく連絡をとったり来日した時は他の仲間と一緒に襲撃をかけたりする仲である。
わーい、と駆け寄って再会を喜ぼうとするミスティアと周子。
すると周子の眼がくわっと開いた。
「流派東方不敗は!」
するとミスティアの顔も劇画調になる。
「王者の風よ!」
「全新! 系列!」
「天破侠乱!」
「「見よ、東方は赤く燃えている!!」」
拳をぶつけあって決めポーズをきめる周子とミスティア。そしてそれをみて宴会芸と勘違いしたのかおひねりを投げてくる飲兵衛お姉さま集団。
「いやぁ、流石はミスティアさんや。すぐにあわせてくれる」
「Gガンダムとスクライドは男の義務教育だからね~」
「お前らの性別をいってみろ」
俺の突っ込みを無視してはっはっはと笑いあう周子とミスティア。俺はすでに席に着いて料理を催促してくる貴音に話しかける。
「なんでミスティアいんの?」
「新しい映画の告知のためだそうです。兄、料理はよ」
「ああ、あの見るからにB級映画溢れる巨大タコ映画か」
「え~、つまらなかった~?」
「「悔しいことに楽しかったんだよなぁ」」
俺と周子の答えに満足そうにするミスティア。
人気若手ハリウッド女優のミスティアであるが、何故かB級映画にも率先して出演する。巨大な海のなまもの相手に時に重火器で戦い、時にチェーンソーで両断する姿にB級映画ファンのみならず、普通の映画ファンにも魅せられている。
とりあえず挨拶が終わったのかミスティアもカウンターに座る。
「シュースケ、ミユは? 私も久しぶりに挨拶した~い」
ミスティアの言葉に俺は黙って飲兵衛お姉さま集団を指差す。
べろべろに酔っぱらった高垣さんと柊さんに絡まれている美優の姿があった。
それをみてからミスティアはイイ笑顔を浮かべる。
「ミユへの挨拶はまた今度にするね!!」
「お前も本当にいい性格してるよな」
美人でスタイル抜群な金髪美女だが、中身は塩見に染まってしまっているのでいい性格をしているのはファンにも広く知られていることだ。
むしろミスティアが塩見家にホームステイしていたということを暴露した時、塩見家を知っているファンの間からは納得が、知らないファンは塩見家について調べてドン引きしたという逸話もある。
「そういやミスティア」
「ん~、な~に~?」
三人分の夕食を作りながら俺は会話をミスティアと会話をする。
「今公開してるペーターゼンフィルムのMEISTERってあるだろ?」
「うん、ナタリーちゃんいい演技してたでしょ~」
「いや、それ以上にマーティン・ブラドックが復帰したことに驚いた……いや、そうじゃなくて」
「え~、つまらなかった~?」
「最高に楽しかったで!!」
「でしょ~」
周子の言葉に上機嫌で笑うミスティア。
とりあえず話が進まないので俺は流れをぶったぎって言葉をかける。
「なんでお前出てるのにスタッフロールに名前ねぇの?」
「……んにゃ~、やっぱりシュースケ達にはバレたかぁ~」
「え? むしろあの程度の変装でばれないと思っとったの?」
「一応ハリウッドでの最高級特殊メイクだったんだけど~」
「忍者の奴の変装をみるとハリウッドの特殊メイクも陳腐なもんに見えるんだよなぁ」
「「本当にそれ」」
俺の言葉に周子と貴音が同意。ミスティアは苦笑いである。
「特殊メイクしてるとはいえ出演だろ? なんで名前ねぇの?」
「ん~」
俺の言葉に顎に指をあてて首を傾げるミスティア。
「色々あって~」
「そうか、なら仕方ないな」
「私シュースケのそういう突っ込んで欲しくないところは突っ込んでこないところ好き~」
「ふ、悪いな。俺はもう売却済みなんだ」
「あ、絶対にそういう眼ではみれないから安心して。むしろミユが勇者だと思ってる」
「こ、ここぞとばかりに言いたい放題だな」
とりあえず爆笑している愚妹二人には晩御飯の品を一品減らすことにする。
「そ~そ~、私はシュースケとシューコに重要な話があってきたのです!!」
立ち上がりながら俺達を指差すミスティア。黙って先を促す俺と周子。
そしてミスティアは真面目な表情で口を開いた。
「なんで私を346どうでしょうに呼んでくれないの~」
「お前大人気若手ハリウッド女優だろ。日本の一プロダクションのネット番組に出ていいと思ってんの?」
「え~、だってタカネも出てて楽しそうだし~」
「というか346どうでしょう知っとるんか」
周子の言葉にミスティアもなんでもないように答える。
「346どうでしょうはアメリカでも大人気だよ~。ネットでも英訳つけた動画がすぐにあがるし~。マーティンさんもみてるって言ってた~」
「「マジかよ」」
稀に外国からのコメントも寄せられていたが、そんなに人気になってるとは思っていなかった。
「よっしゃ兄ちゃん!!」
「なんだ」
「姉ちゃんとミスティアも出して『346どうでしょう~ハリウッド侵略編~』や!!」
「「のった」」
周子の思い付きに即座に悪乗りする俺と貴音。そしてミスティアは嬉しそうに拍手しているのであった。
塩見周介
相変わらずお店は飲兵衛お姉さま集団に侵略されている
塩見美優
無事に潰された
仲野周子
相変わらず兄の店に通い詰める既婚妹。旦那がプロ野球選手なので時間があるらしい
四条貴音
天照郷の名家である四条家に養子に入った塩見の血筋。婿養子をとることによって苗字はそのままである。
ミスティア
人気若手ハリウッド女優。金髪スタイル抜群美人。しかし塩見汚染をうけている
飲兵衛お姉さま集団
酒のためなら金に糸目はつけない
そんなわけで六月編です。
相変わらずメインヒロイン不在でも話が成り立ってしまうこの作品のバグ。
どうしてこうなった。
そして『映画大好きポンポさん』をみて完璧にポンポさんにはまった作者。ポンポさんで大好きなキャラであるミスティアを投入。機会があれば他のキャラもだしたいところ。
そして貴音の旦那も決定。若林誠くんは転生學園シリーズにでてくるキャラクターです。転生學園シリーズが大好きな作者。続編を今でも待ってます。榊原は結局どうなったんだ。