なるほど……おねショタ……
「お、姉ちゃんやん」
「おや、周子」
いつものように貴音が兄の店を襲撃しようと街中を歩いていると周子と合流する。
「姉ちゃんも兄ちゃんの店?」
「ええ、周子にも連絡が?」
貴音の言葉に周子がにんまり笑ってスマホをみせる。そこには二人の兄である周介から『緊急事態発生!! カメラを持って俺の店に集合』とあった。
「周子は何があったと思いますか?」
「美優さんが兄ちゃんに三行半叩きつけて実家に帰った」
「……いけませんね。一番ありえないのに一番ありえてしまう可能性を選ぶのは」
「兄ちゃんに付き合える美優さんマジ聖女」
貴音も同意見だったのか周子とがっちり握手。
そして二人は周介のお店に到着したので扉を開く。
「兄よ、可愛い妹達がきましたよ」
「今度は何やったん兄ちゃん。とうとうFBIに連行くらった?」
二人の戯言を気にせずに店の中にいた人物は腕を組みながら胸を張って叫ぶ。
「よく来たな妹達よ」
声変わりする前の子供特有の高い声。
「俺はお前達を歓迎しよう!!」
店の椅子に立ってようやく大人と同じくらいの身長。
つまりショタになった周介くんがそこにいた。
「「ぶわははははははははははははは!!!!」」
そしてそんな兄をみた妹達の反応は爆笑であった。
「みろ、美優。やっぱり二人はこの状態をみたら初手爆笑だったぞ」
「なんでそんなに特殊なんですか……!!」
何故か自慢気な周介くんに嘆く美優。
「いやいやいや、兄よ。何よやったんですか」
「どうした兄ちゃん。忍者さんにショタ変化の術でも教えてもらったん?」
「ふむ、説明をすると長くなるんだが……」
そう言ってから周介くんは真剣な表情で口を開く。
「美優が博士からもらったドリンクを飲んだら俺がショタになった」
「「それはおかしい」」
頭のおかしい塩見姉妹におかしいといわれる現象。だがそれが全てだ。
美優が博士から差し入れのドリンクをもらって飲む→周介くんがショタになる。
酷い現実だ。
「というか何故美優さんも博士さんのドリンクを飲んでしまったんですか?」
「そうや。どう考えてもろくなことにならないことは長い付き合いで知っとるやろ」
そんな二人の言葉に周介くんが美優のスマホ画面をみせる。そこには博士から美優に向けた連絡が入っていた。
『やぁ!! 久しぶりだね三船!! 今日は君にプレゼントを送ったからぜひ飲んで欲しい。なに、安心したまえ。君に悪いことは起きない。むしろ塩見との仲が一層深まる代物さ!! それじゃあね!!』
「どう思う?」
「「こんな胡散臭い連絡を信じちゃう美優さんマジ聖女」」
同意見だったのか周介くんは妹達とガッチリ握手。美優は顔を真っ赤にして机に突っ伏した。
「というかこんな薬品あったら兄の友人だったら即悪用する輩ばかりでしょう」
「鋭いな貴音。さっそくモデルの奴が美幼女になってロリコンの奴らから金品を巻き上げていたところ警察沙汰になってな」
「ふぅ!! 流石はモデルさんや!!」
「逮捕した警察も実年齢で扱うべきか見た目の年齢で扱うか迷ったようでな」
「まぁ、そうなりますね」
「最終的に故郷のお寺の住職さんが『その腐った根性を叩きなおしてやる』って言い出してモデルは強制的に出家させられた」
「「モデルの仕事」」
「髪の毛を剃らなかったのが住職のせめてもの温情だよな」
塩見三兄妹の故郷のお寺の住職。この人物はかなり特殊だ。
お寺の修行と称して住職の恰好で北極にいったり南極にいったりギアナ高地にいったりするかなり特殊な人物だ。そして極限状態で極限まで自分を追い込みついには悟りを開いたというある意味で生きるレジェンドだ。
ちなみに御年113歳になるが未だに死ぬ気配がない。
そんな心温まる会話をしながら貴音と周子は改めてショタになった兄をみる。
「いや、マジで縮んどるやん。工藤くん家の新一くんやん」
「あれもそろそろ毛利さん家のお嬢さんにネタ晴らししたら面白いことになると思うんだよなぁ」
「いえ、蘭ちゃんもうすうす感づいているようなのでダメージは低いかと」
「「もうちょっと泳がすか……」」
ショタになってもクソはクソである。
「というか兄よ。店はどうするんですか? その身長では料理できないでしょう」
「台があればできるんだけどな。ここで美優の意見をお聞きください」
周介の言葉に美優が真剣な表情で口を開く。
「包丁で怪我でもしたらどうするんですか。絶対にダメです」
「兄ちゃんが完全にショタとして扱われていて流石に草」
「知っていましたが過保護ですね」
「だってこんなに可愛いんですよ!! 誘拐犯だったらきっと誘拐してしまいます!!」
「「かわ……いい……?」」
美優の言葉に貴音と周子が不思議そうに周介くんをみる。
AAコロンビアのポーズを決める周介くん(ショタの姿)がいた。
「憎たらしいの間違いでは?」
「こんなショタおっても誰も誘拐せんよ」
「ふ、愚妹どもめ。兄の魅力にまだ気づいていないとみえる。いいか、この姿になって『詩音おね~ちゃん』と甘い声で囁いたところ詩音の奴は致死量の鼻血を拭いて病院送りになった」
「「詩音さん……!!」」
「ええ、流れ弾で私も死ぬところでした……危ないところでした……」
「「美優さん……!!」」
どうやら周介くんに惚れている組にはよくきく姿らしい。
妹達にとってはヘタレクソ兄がヘタレクソショタ兄になった程度であるが。
「で、お店どうするん? 閉めるん?」
「おっと、私達を頼っても無駄ですよ。何せ夫のほうが料理が上手いので」
「お前ら奥さんとしてそれでいいの?」
「ダメです周介さん。その言葉は私にも刺さります」
周介くんの言葉に『あ~あ~聞こえな~い』ポーズを決める貴音と周子。そして流れ弾で胸を抑える美優。
「まぁ、店に関しては薙切さん家のえりなちゃんとアリスちゃんを呼び出した。あの二人だったら俺の料理で舌が肥えてる飲兵衛お姉さま集団にも大丈夫だろう」
「どう思う姉ちゃん」
「1000%無理でしょう」
塩見周介(ショタの姿)
元の姿に戻るまで一週間ほどかかった
塩見美優
周介くんが喜ぶという言葉につられてしまう素直な奥さん
仲野周子&四条貴音
とりあえず自分達もロリになってみた
撫切さん家のえりなちゃん&アリスちゃん
飲兵衛お姉さま集団にいかに周介くんとの料理に差があるかを言われてメンタルボロボロ
そんな感じで七月編です。
いつも通りなら周介くんのお誕生日ネタなんですが、朝霞リョウマさんのかえでさんといっしょの最新話を読んで「なるほど、オネショタ」と思って実験として周介くんにショタになってもらいました。
たぶんもうやりません
そして相変わらず交流関係がばぐっている周介くん。ついに料理界の重鎮・撫切家(食戟のソーマ)との付き合いがあることも判明
周介くん、君本当に本当に居酒屋の店主?