俺が美優にプロポーズするまで   作:(TADA)

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おまたせしました!!

今月は遅くなってしまって申し訳ありません!!

しかも今回はちょっとシリアスなのでお気をつけください


悩み

 「「かんぱ~い!!!」」 

 「か、かんぱい」

美優は義妹の周子と貴音達と共に高級料亭の個室に来ていた。

美優がグラスからビールを少し呑んでおつまみを一瞥した時である。

 「女将さ~ん、ビール追加で」

 「周子、私の分もお願いします」

 「あいあい。女将さ~ん、ビールピッチャーで……いや、面倒だから瓶で10本くらい持ってきて」

 「いや!? 二人とも一瞬前までピッチャーにいっぱい入ってましたよね!?」

美優の言う通り周子と貴音の手にはピッチャーが握られている。そして美優が目を離す直前まではなみなみとビールが注がれていたはずだ。

美優の言葉に周子と貴音は不思議そうに首を傾げる。

 「「1秒あれば余裕では?」」

 「なんでそんな普通の反応!?」

さも当然とばかりの発言に美優が驚愕の声をあげる。

だが、美優も塩見家の嫁。夫である周介も似たようなことをよくするのですでに慣れている。

 「そういえばこのお店は? 周介さんの繋がりですか?」

 「そ。兄ちゃんに京都でええ店ないか聞いたらここを紹介された」

 「ネットで調べたらここの板長は遠月の卒業生のようですね」

 「……それって値段が大変なことになるのでは?」

美優の危惧に周子と貴音は不適な笑みを浮かべる。

 「「塩見の名前をだしたら無料になった」」

 「ものすごく不穏ですよ!?」

なんというか美優が知るかぎり塩見の名前は悪名を持って知られている。何せ美優が塩見家に嫁いだことを芸能界が知ると『よくやってくれるアイドル』といい評判が『下手なことをしたらやばいことになる要注意アイドル』という評判に変わった。

ちなみに周子は最初から『自由にやらせるとやばい。自由にやらせなくてもやばい』と大評判であり、貴音も最初は『ちょっと何を言っているかわからないことがあるアイドル』から塩見の血族ということを公表してから『下手なことをやると地獄をみるアイドル』と大評判だ。

そんな二人が『塩見の名前をだしたら無料になる』なんて言うのは不穏以外のなにものでもない。

そんな美優の反応に周子はけらけらと笑う。

 「いや、今回は本当に不穏なことはないで」

 「そ、そうなんですが?」

 「その通りです。ここに関しては塩見本家の当主のいきつけのお店なのです」

 「あ、それなら安心ですね」

美優も嫁入りしてから知ったのだが、塩見家は平安時代から続く由緒ある家柄で美優が嫁入りした塩見家もその流れを汲んでいる。

結婚直後に挨拶に向かった塩見家の本家の豪邸に驚いたのも記憶に新しい。

安心したので美優はおつまみに舌鼓をうつ。美優の食べたところ夫である周介の料理には及ばないが美味しい料理ばかりである。

 「いやぁ、それにしても今年のプロ野球は驚いたなぁ」

 「ええ、96年以来のオリックスの優勝ですからね」

 「美優さん、兄ちゃん五月蝿かったんやない?」

周子の言葉に美優が苦笑する。

 「優勝が決まった時に詩音さんと万歳三唱して即座に日本シリーズ初戦のチケットをどこからか入手してましたね」

 「「さすが」」

周介くんはオリックスファンである。そのファンがチームを優勝したことを知ったらどうなるか。

簡単である。お祭り騒ぎだ。

 「あのイチロー、田口、D.J、ニール、星野とかがいた黄金世代以来やからなぁ」

 「ええ、兄の影響でオリックスファンである私達も興奮したものです」

 「あの時代は阪神淡路大震災の『頑張ろう神戸』のスローガンもあって盛り上がったもんやもんなぁ」

まるで見てきたかのように会話する周子と貴音。そして美優は何かに気づく。

 「あれ? お二人とも96年の優勝の時は産まれて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『いかん美優!! 禁則事項だ!!』

 

 

 

 

 

 

 

              は!?」

美優が目を覚ますと心配そうに周子と貴音が顔を覗き込んでいた。

 「大丈夫かいな、美優さん」

 「ええ、まるで『世界の禁忌に触れてしまったために強制的に意識を落とされた』ようでしたが」

 「ええ……えっと、私は何の話を……」

 「「思い出さないほうがいい」」

美優が何を話していたか思い出そうとすると、二人から止められた。

それからしばらくは世間話は今日の仕事の話をしていたが、急に周子と貴音が真面目な表情になる。

 「それで? 美優さんは何を悩んどるの?」

周子の言葉に美優は思わず息をのむ。だが、すぐに微笑む。

 「なんでもありませんよ」

 「姉ちゃん、どう思う?」

 「すごいですねこの義姉。これで嘘をつけると思っているなんて」

 「だが、それがいい」

 「わかる」

何故か周子と貴音ががっつり握手を始めたのが美優は印象的だった。

 「まぁ、兄に完璧に見抜かれているので嘘は無駄ですよ」

 「しゅ、周介さんにバレているんですか?」

 「というか今回の京都での仕事を機会に私らに相談に乗ってくれって頼んできたの兄ちゃんやからな」

周子の言葉に嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を真っ赤にして覆ってしまう。それを見て周子と貴音は美味しそうに白米を食べていた。

しばらくして心の整理をつけてから美優は口を開く。

 「思うんです。私が周介さんと結婚していいのか、って」

結婚式を来月に控え、最近の美優の悩みはそれであった。

 「周介さんは傍流とは言え由緒あるお家の後継者です。それは家の名前を残さないといけないことも意味します。ですが……私は子供ができません……」

産婦人科で言われた子供ができない、という診断。それを美優を悩ませた。

塩見家は頭がおかしいと言われるし、それはまごうことなく事実であるのだが、平安時代から続く由緒ある家柄でもある。それは名前を残すことが使命でもある。

だが、美優に子供はできない。

夫である周介はもちろん、義理の両親である塩見夫婦、果ては塩見本家も気にしなくていいと言っているが、その言葉が逆に美優を追い詰めた。

優しさとは時に凶器となる。

無理して産まなくていいという言葉が美優を傷つけた。

 「産まなくてもいい……それが私を気遣ってくれているのはわかってます……ですが……」

病気だから仕方ない。美優ももう子供ではない。病気だからと割り切ることはできる。だが、それでも思ってしまうのだ。

自分の体が健常者であったなら、と。

美優の言葉を聞いている周子と貴音。

そして周子はゆっくりと口を開いて。

 「美優さんは私ら……まぁ、塩見家の病気のこと知っとる?」

 「え?」

周子の言葉に驚いた声をあげる。周介と付き合って長いが病気のことは聞いたことがない。

美優の表情に説明されていないことに気づいたのか貴音が説明を始める。

 「私を含めた塩見一族には身体に欠陥を抱えています」

 「欠陥?」

 「まぁ、一族全体の病気です。なに、簡単な病気です」

そう言って貴音はビールを一口呑んでから口を開く。

 「遺伝子異常で短命なのです」

貴音が告げたあっさりとした言葉に美優のほうが絶句する。

そして周子もあっさりと会話を続ける。

 「不思議な病気よなぁ。ご先祖様の中には遺伝子計算して身体が頑丈になる子を産まれるようにしたのに、確かに身体は頑丈だったけど短命っていう前例もあるし」

 「個人的に塩見に迷惑をかけられた人々の呪い説を推したいですね」

 「それな!!」

からからと笑いながら会話する周子と貴音。

 「そ、その病気って周介さんも……?」

慌てて夫の病気を確認する美優。その顔には焦燥感があった。

愛した人が早死にしてしまうかもしれない。その焦りだ。

美優の焦った表情をみても、とくに雰囲気を変えずに周子はあっさりと口を開く。

 「あるよ」

周子の言葉に美優は絶句してしまう。

貴音はなくなってしまったビールの代わりに水を飲みながら説明する。

 「塩見家が世間一般的にキチガイと言われるのは知っています。ですが、私達は短い人生を精一杯楽しもうとした結果です」

 「『短い人生だったら楽しまなきゃ損だよな!』。私らのご先祖様の言葉や」

 「『恨まれるのはいいが誰も恨まず笑って死んでいけ』。それが我が一族の家訓です」

 「病気なんやから仕方ない。それは間違いないやろ」

 「ですがそれを気にして生活するより、それ以上に人生楽しめたらいいでしょう」

美優はなんとなく理解できた。夫である周介だけでなく、周子、貴音。そして美優が会ったことのある塩見家の一族は今を精一杯生きている。それは短い命を楽しむためだということだろう。

しばしの無言。そして美優は覚悟を決めて口を開く。

 「周介さんは……何歳まで生きれるんですが?」

美優の静かな問いに周子が口を開く。

 「さぁ。ひょっとしたら来年には死んどるかもしれないし、何十年も生きている可能性もある」

周子の言葉に美優は覚悟を決める。

最後の瞬間まで周介の側にいよう、と。

美優の表情を見て『結婚する権利云々』という周子と貴音にとっては笑止千万なことを気にしなくなったことに気づき義妹二人は笑う。

 「まぁ!! 文献みると百五十まで生きたお人もたくさんおるんやけどね!!」

 「長生きか短命の二択というのが我が一族ながら頭がおかしい一族ですね」

 「色々台無しなんですが!?」




塩見美優
病気のことを色々悩んでいたら嫁入りした一族に自分以上の爆弾があった

仲野周子
旦那はプロ野球選手。兄の影響でオリックスファン

四条貴音
夫は鎮守人。兄の影響でオリックスファン

塩見一族の秘密
実は短命な宿命を背負った一族。でも頻繁に百歳をこえる人もでるから割と謎な遺伝子を持つ一族

96年の優勝を知っている周子と貴音
全然関係ないですけどアイマスが稼働してから何年たちましたかね(すっとぼけ



お待たせいたして申し訳ありません!! そして待たせた上に半シリアスで申し訳ありません!!
でも今月は結婚に悩む美優さんを書きたかったんです!!(なお、すでに籍はいれているので無駄な悩みである

そして明かされる塩見家の秘密!! その一族は短命だった!!(しかし百歳越えも頻繁にでる
自分の悩み以上の病気をぶつけられて覚悟を決める美優さん

ある意味美優さん覚悟完了!!

来月最終回になります
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