Fate stay/night ~雪の少女と狂った正義の味方~ 作:熱盛worker
辺り一面雪に覆われた山の奥、現代ではありえないような古城の中で少女はある「儀式」に向けて準備を進めていた。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公」
少女の声に応じるように空気は張り詰めていく。二ヶ月後に行われる「儀式」。それに勝利するため、成し遂げるために今まで教育されてきた。
「
詠唱の一言一言が重なる度に密度は変わっていく。彼女、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは、当主、アハト翁に命じられ、「儀式」に参加する。
「告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
前回、自分の実の父親であり、自分を裏切った者が参加した「儀式」実の母親が殺害された「儀式」。それに赴く。それは戦争だ。7人のマスター、7人の英霊達が競う戦争だ。
「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。」
そして彼女が召喚しようとしているのは、最強の英雄と謳われる"ヘラクレス"そして、彼女が召喚しようとしているクラスは、
「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者。」
能力を底上げする代わりに理性を失うクラス、バーサーカー。最強の英雄の能力が更に上がる。それは、最強であり最凶になる。
「汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ。」
詠唱が終了した途端、今までとは比べ物にならないくらい、空気が重たくなった。召喚は成功し、英霊が目の前に現れる。
「嘘…でしょ。」
だが、現れた英霊は、ヘラクレスなどでは無かった。
「■■■■ーーー!!」
赤い外套、白髪の髪に褐色の肌。しかし顔つきは東洋人のそれだ。ひと目でわかる。こいつはヘラクレスでは無い。ならばこいつはなんなのだろうか。
「あなたは…誰?」
色を失った双眸がイリヤスフィール、イリヤをじっと見る。その目に彼女はどこか既視感を覚えた。それに手を伸ばそうと近づくと。
「ーー■■■■■ーーー!!!!」
「きゃぁっ!?」
いきなり暴れ出すバーサーカー。狂化がかかって理性のないバーサーカー。そんな彼とは、意思疎通など無理だ。
「なんなのよ…こいつ…」
それに怒りを覚えるイリヤ。自らが召喚したサーヴァントを睨む。
「なんで!なんで!あんたみたいなよく分からない奴が呼ばれたのよ!私に落ち度なんて無かった!触媒のヘラクレスの柱もちゃんとある!なのに、なのにどうしてあなたなんかが!」
少女の怒声が部屋に響く。だが返ってくるのはバーサーカーの荒々しい吐息だけだ。
「はぁ…はぁ…。」
散々ものを言って、息が上がっている。だが理性のないバーサーカーには届かない。それにイラついたが、得るものは無い。
「もういいわ。こいつを見張っててちょうだい。」
メイドにサーヴァントの見張りを頼んで部屋を後にする。そしてこの一部始終をアハト翁に伝えなければならないのが一番の心配事だった。
完全二次小説。
発端はイリヤを幸せにしたいと思ったから
救いたいんだよイリヤを