Fate stay/night ~雪の少女と狂った正義の味方~   作:熱盛worker

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プロローグ2

「お爺さま、以上が報告です。」

 

「そうか、ヘラクレスは呼べなかったか。」

 

今までの経緯を報告し、お爺さまの回答を待つ。報告を受けた時のお爺さまの顔は明らかに曇っていたし、声色も重々しいものだった。

 

「…まぁ良いだろう。イリヤスフィール、そのバーサーカーを連れて聖杯戦争へ挑むのだ。」

 

良かった。どうやら聖杯戦争には参加出来るようだ。

 

「だが、素性も分からないサーヴァントというのは良くはない、よって今日からイリヤスフィール、お前には訓練をうけてもらう。」

 

「はい、分かりましたお爺さま。」

 

 

そうして始まった訓練は、正しく拷問にも近いような訓練だった。日に日に苛烈になっていくそれは、私の精神を蝕んでいくようにも覚えた。この誰かも分からないサーヴァントでさえ、狂化させると少しの苦痛を伴うのだ。ならばヘラクレスが召喚されてたとしたら、それは想像絶する痛みと苦しみだろう。次第に私はバーサーカーに当たるようになった。

 

「その不気味な目で私を見ないで!!」

 

既視感を覚えた目も今になっては恐怖の対象でしかなくなった。しかし、不思議なことにバーサーカーは召喚した日以外、私に敵対視することは1度もなかった。それどころか、私の暴力や、罵りに対しても全く動じることはなく、そのまま受け止めていた。

だが、私はそれに全く気づかないまま、1ヶ月が経ったある日。

 

「今日は、バーサーカーを連れて外に出てもらう。持ち物は一切無しだ。無事戻れたら冬木に送ろう。」

 

そんな事をお爺さまに言われた。最初はあのバーサーカーを連れて城に戻るということに少し戸惑ったが、このアインツベルンの森には危険な生き物がたくさんいるのを思いだした。そして、この訓練で私のたどる道は、生きて冬木に行くか、死ぬかの2つしかない。

 

「分かりましたお爺さま。ご期待に添えてみせます。」

 

 

 

寒い、寒い、寒い。

周りの雪は厚く、足の先から冷やされる。吹き付ける雪は鋭く、私の体を刺しながら熱を奪っていく。

前を見ると城は見えるが、距離としては充分遠い。着ているのは白い布1枚。常人なら既に凍え死んでいるだろう。私はホムンクルスだからか、少しぐらいなら耐えれる。だがあまりにも環境が酷すぎる。意識は朦朧とし、前にあるゴールの城しか見えない。

 

「はぁ…はぁ…寒い、寒いよ…。」

 

一歩一歩、雪を踏みしめる。ここに聞こえる雪の音は1つ。私のだけだ。バーサーカーは置いてきた。あんなやつもう必要ない。私を見るだけのあんなやつ。帰ってお爺さまに相談して、新しいサーヴァントを貰おう。

そう考えた時、私以外の雪の音がした。それは人間なんかではない。早い四足歩行だ。

 

「□ーーーーー!!」

 

獣の鳴き声。オオカミだろう。

私は走った。体力を気にしている暇などはない。全力で走る。追いつかれれば私は間違い無く死ぬ。対抗する手段もなく無残に食い荒らされるだろう。

 

「きゃあっ!」

 

だが、そうやって逃げ切れるほどオオカミは遅くはない。走って数分もしないうちに噛みつかれ、押し倒された。

 

「痛い、痛い!止めて!止めてよ!なんで!なんでなの!」

 

噛まれたところから血が出る。地面の白に赤が染みていく。あぁ、私はここで終わりなのか。裏切り者の子どもに会ってみたかった。会って殺したかった。話したかった。それがこんなところで終わるなんて。そう思いながら、血の赤を見る。すると、あのバーサーカーの外套が脳裏に浮かんだ。結局、正体不明のまま私は終わるんだ。あの目の既視感もなんだから気になりはする。今頃考えたって無意味なのにな。

 

「□□ーー?!」

 

1匹のオオカミが怯んだ鳴き声をあげたような気がした。そして続けて1匹、また1匹と私に群がるオオカミは離れるか、飛ばされていった。

何が起こったのだろうかと朦朧とした視界を精一杯ピントを合わせて見てみると、目の前には置いてきたはずの、赤い外套を羽織った私のバーサーカーがそこに立っていた。

 

「■■■■ーー■■■ーーー!!」

 

なんて言ったのかは分からない。だが、何故かその言葉には意味がある気がした。そして私は一言。

 

「やっちゃえ!バーサーカー!!!!」

 

そこからは早かった。両手に持つ黒と白の剣でオオカミ達を殺していく。周りは白かったはずなのに、赤の面積が多く見える。そこに横たわる白いオオカミの死体。真ん中には赤いバーサーカーと白いホムンクルスの私。あぁそうか、彼の目をよく見て、初めからそうだったんだと気づいた。彼の目には、ずっと私しか写っていない。それは敵対視ではなく、守る対象としての目。私はバーサーカーのことをひとつも見ていなかったんだ。そしてこの目の既視感にも気がついた。これは父の目だ。優しい目で。

 

「ごめんなさい、バーサーカー。私、今まであなたのこと疑ってたの。こんなこと言っても、あなたには届かないかもしれないけど。よろしくね、私の味方のバーサーカー。」

 

私に味方してくれる人の目だ。

 

 

そうして、聖杯戦争開始2週間前、私は冬木に降り立った。私は、バーサーカーに助けられた一件で、冬木で確かめたいことが出来た。父、「衛宮切嗣」に関することである。だが、キリツグは死んでしまっている。ならまずは養子の「衛宮士郎」に会わないと。

 

そうして、私の第五次聖杯戦争は幕を開けた。




Fate stay/night 15周年おめでとうございます!
まさかこれ書いた日の次の日がそんな日なんて、これも一種のFateかな?(なんつって)
よってstay/nightの二次小説の2話目を書いたのですが、まぁ竜頭蛇尾にならないように頑張っていこうとは思ってます
それじゃあまた
ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!
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