でんこと行く「美し国、日本」   作:アベノ ミサキ

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北海道でんこと行く「北海道横断ツーリング2017」(3)

 北海道上陸四日目。いよいよ最終日だ。

 今回泊まっているこのホテルは昨日と同じ系列で、朝食バイキングの評価がなかなかなのでついつい食べすぎてしまう。

『……おいマスター、朝食は海鮮丼を食べに行くんじゃなかったのかー』ふぶがいつも以上のジト目でこちらを睨む。

 しまった!釧路の朝市で好きな海鮮を選べる丼を食べる予定だったんだ……若干の後悔を残しつつホテルを出発するが、結果的に時間を節約することが出来た。

 

 本日の予定はこれから向かう【帯広市】に集約されている。釧路市から近くの【道東自動車道】に乗り西へ、十勝平野の中心を目指す。

 『パッとしない天気だな師匠!』 『いくら北海道の夏とはいえ、ちと寒すぎるな主殿』

 今日の天気は曇っていて、時々小雨もあり寒さを感じる。この雨は、北海道に梅雨は無いが蝦夷梅雨と呼ばれることもあるらしい。

 

 正午頃に高速を降り、帯広市に到着!まずは1つ目の目当てである【インデアン】を目指す。インデアンとは帯広市のソウルフード、インデアンカレーを提供する店だ。

 最寄りの店舗はショッピングセンター内にあるようだ。店舗内に入ると、中央のサークル状になったところがカウンターで、その周りに並ぶようだがかなりの行列だ。

 ルーは【ベーシック】【インデアン】【野菜】の3種類あるようだ。ここでは牛肉がふんだんに使われてるというインデアンルーを選ぶ。

 

 満を持して登場したカレーは、学校給食でよく使われていた気がする銀色の楕円形のカレー皿に盛られ、ライスが見えないほど全面にルーがかかっている。

『アツアツだな師匠!』

 まあコタンあたりはカレー好きだと思ってたんだよね……逆にレーノ、ふぶ辺りは苦手そうなイメージだけど、

『カレーかぁ……辛いのは苦手なんだよね…… !これあまり辛くないね! 食べやすいよ!』 『マイルドな辛さだなマスター』

 案の定、辛いものは苦手みたいだったけど、インデアンルーは辛さ控えめで子供にも食べやすいルーのようだ。しかしこれはなかなかお腹にたまるけど、次の目的のために、あまり食べ過ぎる訳にはいかないのだ……

 

 カレーを食べ終え、次は定番のお土産屋として有名な【六花亭】、マルセイバターサンドなどは誰でも一度は口にしたことがあるのではないだろうか。その帯広本店へ向かう。

 店の正面は本店なのにあまり目立たない感じで見逃してしまいそうな場所だ。しかし店内に入ればイートインスペースもあり狭さを感じさせない。

 店内には商品のポスターが掲示してあり、カウンターのショーケースに列んだ様々なお菓子が目を引く。

 なぜわざわざ本店へ来たかと言うと、一部の店舗でのみ提供している【店舗内でしか食べられないお菓子】があるのだ。

 さっそく噂の商品を注文し、イートインスペースへ向かう。買った商品は3つ。

【雪こんチーズ】はベイクドチーズをココアビスケットで挟んだ、モノトーンでスクエアなお菓子。

【サクサクパイ】はその名の通り、筒状のサクサクなパイにカスタードクリームが入った、いわゆるパイシュー。

【とかち帯広発】は帯広限定の商品で、ラズベリークリームをホワイト生チョコレートで包み、更にパイ生地でサンドしたものだ。俺はベリー系のお菓子が大好きである。

 そしてなぜこれらが【店舗でしか食べられない】のかというと……なんと雪こんチーズは【賞味期限2時間】、サクサクパイは【3時間】だというのだ!

 一応3つとも店舗の説明では本日中なのだが、その時間内に食べるのがおすすめと書いてある。

『ま、マスター、これ全部さいかにまかしてくれるの?』 『これはレーノにプレゼントしてくれたにきまってるでしょ、ね、マスター(はぁと)』

 さいかとレーノがわけのわからないことを言い出したが、まあすでに見た目から美味しそうである。

 食レポは苦手だけど、一応それっぽいことを言うと、雪こんチーズは濃厚なベイクドチーズが本体だが、ココアビスケットの苦味が口内をぼんやりとさせないアクセントを与えている。

 サクサクパイは、『美味しさとは歯が当たった瞬間の食感にある』的なセリフを聞いたことがあるが……パイ生地に歯が当たれば途端に砕けるとともに香ばしさが広がり、クリームと共に口の中に広がりとろけてゆく。

 とかち帯広発はパイとホワイトチョコレートのオーソドックスな組み合わせだが、噛むとラズベリーのすっぱさが引き締まった甘さを感じさせる。

 食レポ難しすぎだろ……

『これおいしいよマスター! おいし……まかし……』パイ生地を散らかしながら口いっぱいに頬張り、わけのわからないことを言い続けるさいか。まあ人のことは言えないか。

『マスターはこれを食べさせてくれるためにレーノを連れてきてくれたんだね……もうレーノはマスターのものだよ(はぁと)』すっかり目がハートのレーノはそんなセリフを言いながらもお菓子から目を離さない。お菓子に語りかけているのか?

『この菓子は拙者の忠義に報いる褒美と捉えてよろしいな?主殿』忠義はさておき、すでに口をつけているさいかを横目に我慢しているイムラはお預けをくらっている犬のようだ。そうだよ褒美だよと適当に返事して食べるように促す。

『マスター、これおいしいなー』ふぶもすでに口をつけている。いつもどおりのクールな反応だが、食べる勢いはクールではない。

『気合だぁぁぁぁ!!』知ってた。

 皆、『おいしい、おいしい』と食べるのが止まらないようだ……なぜかここに居ないでんこのプレッシャーをひしひしと感じる気がするので、お土産は奮発しておくか……

 

 再び道東自動車道に乗り、苫小牧を目指す。が、その前にお土産を買わないとね。教えてもらったおすすめの売り場は【新千歳空港】。確かに空港ならそれなりにお土産が揃っていそうだ。

 空港に到着し、駐車場に向かう。駐車場はバイクは停めやすかったので待たされること無く駐車する。

 ロビー方面に向かい、エスカレーターを上がるとお土産売り場のようだ……それなりなんてレベルではなかった。ここには北海道のありとあらゆるお土産が揃っているのではないだろうか。とりあえず目星をつけていたお土産を購入。しかしあの人にもこの人にも……と考えていると買い物かごがいっぱいになってくる。まあ空港から宅急便が発送できるのであまり気にはしなくてもいいが……

『マスター、ちょっと買い過ぎじゃない?……あー、るるちゃんとかいるもんね。六花亭のことは内緒にしておくからねー、さいかにまかしてね!』

『レーノのお土産は、北海道でのマスターとの旅の思い出で十分だよ…ウフフ』

 正直さいか、コタンあたりは口が滑るんじゃないかとヒヤヒヤしている。もしレーノが言った場合は既成事実をでっち上げるための確信犯だろう……

『マスター、わかってると思うが……』

 ふぶが若干焦り気味で注意してくる。帰りのフェリーの出港時間までかなりギリギリなのだ。慌てて会計して駐車場へ向かう。

 

 再び苫小牧港へ戻ってきた。かなり焦ったが、出港は電車や飛行機ほどシビアでは無いようでホッとしている。

『主殿はもうちょっと時間に余裕を持ってだな……』

 イムラがくどくどと説教してくる。わかってはいるんだが……スミマセン。

 

 

 乗船し、部屋に荷物をおろしロビーで一息つく。時刻は19時、出港の時間だ。デッキに向かい、港を眺める。

『よかったなー北海道』

 始まる前は心配したけど、夏の北海道ツーリングは最高だったな。

『とっても長い距離を移動したね~』

 おかしな距離を無理やり走り抜けたのは北海道ならでは……でもない気がする。反省。

『気合で乗り切ったな師匠!』

 ほんとそうだよ……天候も厳しかったしね。

『夜も素敵だったね(はぁと)』

 ン゛ン゛ッ! なんのことを言っているのか……夜景?

『主殿、良き旅であったな』

 まだ北海道の一端にしか触れていないけど、それでも良かった旅と言えただろう。

 

 まだまだ北海道を味わい足りないな。きっといつか来るだろう。またみんなで。

 なにやらコソコソ話していたでんこたちだったが、一斉にこちらへ向き直り、笑顔で

『またお出かけしようね、マスター!』

 

 

【最終日移動距離:311km】

【総移動距離:1108km】

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