悪魔の名を持つ機械人形の記録を持つ者   作:コレクトマン

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教会の使者とかつての敵

 

 

木場の過去、そして昭弘とバルバトスが体験した過去を聞いてから既に時間帯は深夜になっていた。今夜は遅いという理由で母さんがミカとアーシアを家に泊まることになった。俺はというと、部長とミカ達が寝た後に少し水分を補給しようとコップに水道水を汲んで飲んでいた。

 

 

「木場の過去もそうだが、昭弘とバルバトスの過去もかなり酷いな。…特にヒューマンデブリって言葉。聞いても嫌になるな……」

 

《よう、相棒。思い出しているところ悪い》

 

 

すると突如と俺の脳裏に声が響いた。俺はこの声に聞き覚えがあった。それは俺の左腕に宿るドラゴンの声であった

 

 

「…っ!?ドライグか!……というか、ライザーの一件以降全然話しかけてこなかったがどうしたんだ?」

 

《まぁ…こっちも色々と俺の力と昭弘のいうグシオンの力を同調させる形で新たに調整をしてたんでな》

 

〔その割にはかなり時間がかかった様だな?〕

 

 

神滅具である赤龍帝の籠手とガンダム・フレームであるグシオンを同調させる?それってどういうことだ?

 

 

《お前の身体は未だに成長途中だからな。勝手ながらお前の中に宿るグシオンと赤龍帝の籠手を両方出せる様にグシオンの左腕を変えさせてもらった》

 

〔そのお陰で左腕部のグレネードランチャーが使えなくなったがな〕

 

《それはすまなかったな?いずれにせよ、お前がいつ“白い奴”と出会うかわからないからな》

 

 

ドライグはさっきから白い奴と言っているが、一体どういう奴なのか良く解らなかった俺はドライグにその白い奴について聞き出した。

 

 

「…なあ、前から訊きたかったんだけどその白い奴って何だ?ドライグと同じドラゴンなのか?」

 

《ほう……意外だな?相棒が白い奴がドラゴンであることに気付くとはな?……そうだな、白い奴とは白い龍“バニシングドラゴン”のことだ》

 

 

その後にドライグはまだ生前だった頃…つまり、神と天使、堕天使、悪魔の三大勢力による戦争当時の話をしてくれた。ドライグはかつてその白い龍と大喧嘩をしたそうだ。喧嘩した理由は喧嘩故に怒りが有頂天に達していた為かあまり覚えていなかったそうだ。…それはそれで最悪だな。

 

その大喧嘩に巻き込まれた三大勢力は互いに協力し合い、ドライグ達を倒そうと一致団結したそうだ。三大勢力は数多の犠牲を出しながらも何とかドライグ達を倒し、魂を神器に封印することに成功した様だ。……しかし、敵対する三大勢力が同盟する理由がドライク達の喧嘩なんてな。正直言って“何やってんだドライグゥ!!”と叫びたかったのは内緒である。

 

魂を神器に封印されたドライグ達は人間を媒介にして幾度も世代でその白い奴と何度も出会い、戦う様になったそうだ。媒介である人間が死ねば神器であるドライグ達も機能を一時的に停止して次にドラゴンの力を宿せる人間が生まれてくるまでこの世に魂を漂わせるそうだ。そして俺がそのドラゴンの力を宿せる今代の赤龍帝に選ばれたってことか。

 

 

《そうだ。俺はお前に宿り、お前は悪魔になった。さらには別世界の悪魔まで宿すと他の歴代では起こりえなかった事だ。別世界の悪魔の力を持つ悪魔を宿主とするのは長い年月でお前が初めての事だ。だから楽しみにしている。今回はどうなるのかを……な》

 

 

グシオンの力を宿した俺はドライグにとって歴代の赤龍帝の中で異例で初めての存在の様だ。まぁ、ドライグにどう言われ様が俺の答えは一つだ。

 

 

「……いいかドライグ。これだけは言っておく。俺は部長やミカ、仲間の為にこの力を使う。グシオンも同様だ。俺はライザーとのレーティングゲームが始まる前の強化合宿や婚約パーティに乗り込む前に俺はある夢を見たんだ。ガンダム・フレームであるグシオンが体験した記憶を」

 

〔それは恐らく俺がまだ生きてた頃の事だ。まさかイッセー……お前、俺の過去を無意識の内に夢で見ていたのか?〕

 

「多分そうなるだろうな。それに、知らず知らずに俺はミカに見られている気がするんだ。改めて思うとすげぇよ、ミカは。強くて、クールで度胸もある。小さい頃に初めて会った時はよくあいつに助平の道に進みそうだった俺を止めてくれた。さらには一人でアーシアを助けに行った。堕天使のレイナーレの事で部長に頼んでけじめを付けようとした時にミカの目は何かを期待している、若しくは狼が獲物を見つめる様な目をして俺に問いかけてきたんだ。“イッセー、俺はどうすればいい?イッセーの言葉次第で俺はあのカラス女を叩き潰すつもりだ。イッセー、アンタはどうしてほしい?俺はどうしたらいい?”ってな」

 

〔三日月が……そんな事を?〕

 

「あぁ。……あの目を見せられた俺は、あの目は裏切れないと思った。あの目に映る俺は、いつだって最高に粋がって、カッコイイ兵藤一誠でないといけないと思ったんだ。だから俺は強くなる。たとえ白い龍だろうと邪魔をする者が立ちはだかったとしても、そいつ等を全力でぶっ潰す…!」

 

《…はははっ!まさか白い奴を“だろうと”扱いとはな。その様に言う宿主はお前が初めてだ。今回ばかりは楽しみで仕方ないな》

 

 

ドライグと昭弘と会話しているうちに既に深夜の二時になっていた。流石の俺も悪魔とはいえ寝過ごして学校に遅れるわけにはいかない為に直ぐに寝るのであった。

 

 

 

それから数日後、学校から下校中にミカとアーシアと一緒に俺の家に向かっていた。何でも何か忘れ物をしたらしい。

 

 

「なぁミカ。一体俺の家で何を忘れたんだ?」

 

「畑に関する本や、野菜に関する本をイッセーの家に置き忘れてた」

 

「そう言えばお前、そういうの興味持っていたな。いつかやってみたいのか?」

 

「うん。まだ無理だけど、俺はいつか農場をやってみたんだ」

 

「農場ですか。それは良いですね、三日月さんならきっと出来ますよ!」

 

 

そう他愛もない会話をしながら俺の家に到着した。俺はドアを開けようとしたその時、俺の身体に悪寒が走った。あの時、俺が悪魔に転生して悪魔の仕事をしている時に感じた嫌な感覚…。それはフリードの様なはぐれエクソシストの様な感覚だった。俺はそれを感じ取って警戒したがミカは何事もなかったかの様に俺の家に入っていった。

 

 

「…お邪魔します」

 

「ちょ…ミカッ!?待てって!幾ら何でも…」

 

 

俺はミカを連れ戻そうとアーシアと共に家の中に入った。そしてリビングに入った時には母さんが女性のエクソシストの二人にお茶を入れてたところだった。

 

 

「あらっお帰りなさい。そんなに血相変えてどうしたのイッセー?それと三日月君じゃない。今日はどうしたの?」

 

「ちょっと、忘れ物してそれを取りに来たんだ。…ところで、今更なんだけどそっちの二人のうち一人はもしかして紫藤イリナ?」

 

 

そのエクソシストの茶髪の女の子は紫藤イリナだという事に気付いたミカ。……ていうかマジか、ミカ?あの頃ボーイッシュなイリナがこんなに綺麗な女性になっているなんて思いもしなかった。

 

 

「あらっ三日月君よく分かったわね?そうよ、あの頃は男の子っぽかったけど今じゃすっかり女の子らしくなって母さんもびっくりしたわ」

 

「こんにちは一誠くん、三日月くんと一緒に会えるなんてこれも主の導きね」

 

「あ…あぁ、あの頃は男の子かと思ったんだが、写真を見ている時にミカが女の子だって言わなかったら気がつかなかったよ」

 

「あはは…間違えるのも仕方ないか。あの頃の私は男顔負けにヤンチャだったからね。……それにしても、お互い会わないうちにいろいろあった様だね」

 

 

イリナはそう言っている時にもう一人のエクソシストがこっちを見ながら“いつでもいいぞ”と言わんばかりに微小な殺気を放っていた。その事を気にせずにミカはイリナと話を進めていた。

 

 

「うん、こっちはイッセーと一緒に駒王学園のグレモリー先輩っていうオカルト研究部の部長のところで部活動しているんだ」

 

「へぇ、そうなんだ。本当に…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

イリナはそう言いながら俺の方を見た。どうやら俺が悪魔になった事に気付いているようだった。ただ、ミカの場合は気付かなかったようだ。ミカの場合は悪魔っていっても別世界の、機械の悪魔だからかバルバトスの気配を察知することが出来なかった様だ。もう一人のエクソシストも同様だ。

 

 

「……何か遠回しでバカにしてる?」

 

「あぁ…ごめん。別にそう言う意味でいった訳じゃないの。安心して、今日はもう帰るから。久々に日本に帰って来たものだから懐かしくなってちょっとおじゃましたの。でもアイン君が待っているからここでそろそろお暇しましょうか。ゼノヴィア、行こう」

 

「あぁ」

 

 

イリナ達はここでエクソシストとしての活動を再開する為に俺の家からお暇しようとした。

 

 

「あらっ…もう少しゆっくりしていけばいいのに」

 

「また今度おじゃまさせてもらいますわ。それじゃあね一誠くん」

 

「私はいつでも構わないのだがな…」

 

 

そういってイリナ達は俺の家から後にした。その時に部長が俺達の事を心配していて安否を確認してから安心した様だ。そして部長から明日の放課後、学園の部室にイリナ達が訪ねてくるそうだ。部長曰く、生徒会の支取会長から聞いた話によると部長と交渉する為に来た様だ。……それにしても、イリナが言っていたアインって奴は一体誰だろうか?イリナと同じエクソシストだろうか?謎を抱えたまま次の日へと時が経つのであった。

 

 

一誠Side out

 

 

 

イリナ達がこの町に来てから翌日の放課後、グレモリー先輩が言ってた通りイリナ達が学園の部室にやって来た。木場はやって来たイリナ達……というより、イリナ達が持っている物に殺意を抱いていた。

 

 

「一誠くんたちは知っていると思うけど、私は紫藤イリナよ」

 

「…ゼノヴィアだ」

 

「あなた達の事はソーナから聞いてるわ。…ところで、後の一人は何処にいるの?聞いた話では三人と言ってたけど?」

 

 

グレモリー先輩がイリナ達以外のもう一人について聞き出して来た。その時にイリナの隣にいる青髪の女の人、ゼノヴィアがそれに答えた。

 

 

「あぁ…もう一人は今、単独で情報収集を行っている。もうそろそろ戻ってくる頃合いだが……」

 

 

ゼノヴィアがそういうと部室の扉から一人の男が入って来た。エクソシストの格好(白いローブ)をしているイリナ達とは違って、その男は幻想獣が七つの星が描かれている旗をつけた大きな角笛を吹いている様なエンブレムが付いた軍人が着そうな軍服を着ていた。

 

 

「すみません、遅れました!」

 

「遅いぞアイン。いくら情報収集とはいえ大事な交渉に遅れてしまっては意味はないだろう?」

 

「申し訳ございま……っ!」

 

 

その時、その男は俺を見た瞬間まるで目の敵を見つけたかの様に殺意が増し、そして俺に向かって来てどこから取り出したのか巨大なアックスを俺に向けて振り下ろそうとした。

 

 

「「「っ!?ミカ(三日月さん)っ!」」」

 

「「アイン(君)っ!?」」

 

「っ!」

 

 

俺は咄嗟にバルバトスを展開してレンチメイスを呼び出して振り下ろしてくる巨大なアックスを受け止める。その時に男の姿は前に戦った畑の人とのレーティングゲームで突如と現れたグレイズと似たデカい奴へと姿を変えていた。そこからはその男と俺の力比べだった。

 

 

〔貴様は…!私と同様にこの世界に来たのか!クランク二尉を手に掛けた罪深き子供…!〕

 

「…誰そいつ?」

 

〔貴様ぁっ!!〕

 

 

なんか訳の分からないことや、あった事のない人物を勝手に俺が殺した様な口ぶりで言っているが俺にとっては聞き覚えがないものばかりだった。そしてその男は開いた左手を高速回転しながらも俺に殴り掛かろうとする。それを見た俺は咄嗟に右手でその男の左腕を掴み、腕相撲の要領で組み合い、力尽くを以て抑え込む。

 

 

〔ぐうぅ…!〕

 

「ちょっと…じっとしてろ……!」

 

「三日月くん!そのままアイン君を抑えてて!」

 

 

するとイリナが白いローブに巻きついている紐を解く。すると、その紐はハリセンへと姿を変えた。そしてそのハリセンで……

 

 

 

「アイン君、少し落ち着きなさい!!」

 

 

 

〔え?……ぶほっ!?〕

 

 

思いっきり男の頭にド突いて、その男を無力化した。このシュールな光景にグレモリー先輩達は思考が追いついていなかった。するとイリナが俺に謝罪してきた。

 

 

「ごめんね、三日月くん。アイン君がなんか暴走して襲いかかってしまって……」

 

「別に気にしてないけど……あいつが言ってたクランクって誰?」

 

「ううん……私達でもその名前は初めて聞いたわ。アイン君は滅多に自分の過去を話したりしないの」

 

「…もう正直言って訳がわからないわ」

 

 

このような状況に流石のグレモリー先輩は頭を抱えていた。一誠たちは俺が怪我をしていないか心配していた。今回は怪我はなかったけど、あのデカくて黒いグレイズ。アレには見覚えがあるようなないような感じだった。

 

 

 

後からやって来た“アイン・ダルトン”という男が落ち着いた時には俺に謝罪をした。何でも仇であるバルバトスに乗っていた子供と瓜二つだったからか勘違いしてしまった様だった。因みに俺の立ち位置は悪魔陣営の協力者としてイリナ達と話を通しているそうだ。そして本題である交渉の内容は教会に保管、管理していたエクスカリバーのレプリカ三本が何者かに奪われたそうだった。イリナ達はそのエクスカリバーのレプリカを本物と思っている様だった。ただ、同じエクソシストであるアインだけを除いて……。因みにゼノヴィア持っていた布の中には“破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)”を呼ばれるエクスカリバーのレプリカを持ち、イリナがアインに対して無力化する為に使ったアレは色んな形に変化させることが出来る聖剣“義体の聖剣(エクスカリバー・ミミック)”だそうだ。

 

 

「そう……実は私の眷属がそのエクスカリバーのもったはぐれエクソシストと遭遇したわ」

 

〔確かフリード・セルゼンだったか?奴が言うには天閃の聖剣といった物と使っていた〕

 

「そうですか。実はアインが単独行動で情報収集している時にそのフリードと接触し、天閃の聖剣を所持していることをアインから聞きました。……それと、あまりツッコンじゃいけないのは分かっているけどこれだけは言わせて。……その機械人形の様な物?と言うより人?は誰ですかっ!?後、三日月くん。あなたさっきアインと同じ様に機械人形を纏えるの?」

 

 

イリナはアスタロトや俺がバルバトスを纏っているところを見た為か色々と動揺していた。とりあえず俺はこのままじゃ話が進みそうにないのでイリナの問いに答えた。

 

 

「うん。バルバトスと契約したら出来た」

 

「イリナ、色々と言いたいのは分かるが本題から外れているぞ」

 

「あっ……ごめんゼノヴィア。話を戻すわ、その奪われた三本のエクスカリバーなのだけどアイン君が新たに得た情報によると、その犯人は堕天使組織“紙の子を見張る者(グリゴリ)”の幹部“コカビエル”ということが判明したわ」

 

「堕天使の組織に!?それもコカビエルなんて聖書にも記された者の名が出るとはね…」

 

 

エクスカリバーのレプリカを奪った犯人は前に一誠を殺したあのカラス女と同じカラスの幹部であるコカビエル?という奴らしい。コカビエルって何か言いづらい。何かコーラとビールが混じった名前だな。それで青髪の子のゼノヴィアがグレモリー先輩に依頼というより注文は“教会の問題は教会でけじめをつける。悪魔陣営はこの事件に関わるな”だそうだ。教会の本部曰く、悪魔陣営が堕天使と手を組んでいる可能性があると考慮した結果だそうだ。グレモリー先輩は全くもって堕天使とは協力していないことを自分の名前にかけて宣言した。

 

 

「あぁ…私達も貴方がそこまでバカでない事くらいは知っているさ。今のはただの確認事項だ。ここからは私達三人でコカビエルからエクスカリバーを取り戻すつもりだ」

 

 

ゼノヴィアが三人だけでそのコカ………もうカラスのコーラの人でいいや。そいつからエクスカリバーのレプリカを取り戻すつもりだった。

 

 

「……例えそうだとしても、幾ら何でも無謀ね…死ぬつもり?」

 

「そうよ「いえ、違います!」…アイン君?」

 

「自分はともかく、二人は死ぬことはありません。俺が命をかけても二人を守ります!」

 

 

イリナ達は主の為ならこの身を捧げる覚悟だが、アインは違った。逆にこの身を捧げるのは主ではなくイリナ(仲間)達の為にであった。

 

 

「それは貴方の主への信仰だからかしら?」

 

「いえ、正直に言えば俺は主……神のことは信じてはいません。むしろ俺は俺の信じられる上官の誇りと意志を継ぐ為に戦うつもりです」

 

「アイン………私達の為に思うのは分かるが、いくら何でも主に対して口が過ぎるぞ」

 

「アイン君、貴方のいう事は分かるけど私たちは大丈夫だから」

 

 

イリナ達はアインに守られるほど柔ではない事を告げる。だけど、俺から見てもなんかイリナ達が危なっかしく見えるんだよな。何でだろう?

 

 

「申し訳ございません。しかし……」

 

「大丈夫よ、私達を信じて。ね?」

 

「……イリナ、アイン、私たちもそろそろここから出よう。要件は済んだ」

 

「あら、お茶の一杯くらい飲んでいけばいいのに」

 

「悪いが悪魔と馴れ合う気はない」

 

 

そう言ってイリナ達は部室を出ようとした時にゼノヴィアは何故かアーシアを方に向いた。

 

 

「…そういえば、兵藤一誠の家で出会った時にもしやと思ったが…“魔女”アーシア・アルジェントか?」

 

 

ゼノヴィアがアーシアの事を魔女と呼んでいた。魔女ってどういう事と思ったけれど、これだけは分かった。

 

 

 

こいつも俺の仲間(家族)に手を出そうとする奴という事を。

 

 

 

涼夜Side out

 

 

イリナ達がお暇しようとした時にゼノヴィアがアーシアの方を見て何かを思い出したのか彼女の事を魔女と称した。…アーシアが魔女というのはどういう事だ?

 

 

「あなたが一時期内部で噂になっていた元“聖女”さん?確か追放されて何処かに流れたと聞いてはいたけど、悪魔になっているとは思わなかったわ」

 

「…あ、あの…私は…」

 

〔おい、イリナと言ったか?俺の契約者に手を出そうというのなら俺が黙っていないぞ〕

 

 

イリナがアーシアが追放されたことを聞いてきた時にアスタロトはアーシアを庇う様に前に出てイリナ達に威嚇する。するとイリナは敵対する意思はない事を示す様に言葉で返した。

 

 

「そこまで敵視しなくても大丈夫よ。ここで見たことは上には伝えないから。“聖女”アーシアの周囲に居た方々に今のあなたの状況を話したらショックを受けるでしょうからね」

 

「しかし悪魔か。かつて“聖女”と呼ばれていた者が堕ちるところまで堕ちるものだな。しかも悪魔と化して悪魔を使えるとは。これでは“聖女”と慕われていた時とは真逆だな」

 

〔ほぉ…?言ってくれるじゃねえか。俺ならまだしも、契約者に対する侮辱は俺でも我慢ならねえぜ?ガキが〕

 

 

ゼノヴィアとアスタロトが売り言葉に買い言葉と一触即発な状態になっていた。何気にアスタロトって喧嘩に走りやすいんだな?…まぁ俺もゼノヴィアの言葉には一歩手前でキレそうになったけどな。するとゼノヴィアがアーシアにある事を聞き出した。

 

 

「…一つだけ聞きたい事がある。キミはまだ我らの神を信じているのか?背信行為をする輩でも、罪の意識を感じながら信仰心を忘れないでいる…それと同じものをキミから感じるんだ」

 

「…捨てきれないだけです。ずっと信じてきたのですから…」

 

「アーシアさん…」

 

 

アーシアは今でも神様に対する信仰を捨ててはいない。ミカがアーシアを悪魔に転生させた時に擬似阿頼耶識が付いてしまったが、神様に対する祈りによるダメージはある程度は減ったことで今も神様に祈りを捧げている。その時にゼノヴィアがアーシアにある提案……いや、脅迫紛いなことを告げる。

 

 

「そうか。ならば私達に斬られるといい。我々の神は罪深い君でも、それでも救いの手を差し伸べてくれるだろうからな。…せめて私が断罪しよう。神の名においてな」

 

 

そう言ってゼノヴィアは特殊な術式を施された布を解き、破壊の聖剣をアーシアに向けて斬り掛かろうとした。流石の俺も我慢の限界だった。だが、俺よりも我慢の限界のやつがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい……何を、やっている?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なっ!?」

 

 

そう。それはミカであった。ゼノヴィアが破壊の聖剣を振るう前に手首を掴み、止めていた。木場の聖剣に対する殺意がまだ可愛く見える程とてつもなく異常な殺気を放ちながらだ。

 

 

一誠Side out

 

 

 

アーシアに聖剣を振り下ろそうとする奴を止めたのは良いけど、こいつ……むかつくだな。神様とか信仰心とはあまり興味ないけど魔女とか、神の名の下にとか、そんなことで仲間が殺されるのは俺でも我慢ならなかった。

 

 

「ちょ…三日月くん!?」

 

「ミカっ!?」

 

 

一誠たちが何か言っているけど、今は話を聞ける状態じゃないな。

 

 

「貴様は……何故魔女である彼女に肩入れする?」

 

「別に……俺達の仲間を殺らせたくないだけ」

 

「聖女に友人など必要ない。聖女は神に愛される存在だ。そんなものが、他人から愛や友情を求める時点で聖女の資格はない。……っ!ぐ……あぁっ!?」

 

 

俺はゼノヴィアが言った言葉に怒りを抱いた。聖女という理由で友人は必要ない?そんなの誰が決めつけた?

 

 

「……アーシアに友人は必要ない?それを決めつけるのはお前でも、神とか言う奴でもないんだよ」

 

「ぐっ…!…では貴様は、彼女の何だ?」

 

「俺の友達で仲間、家族だ。アンタ等の御託なんて知らない。仲間に手を出す奴、俺達の前に邪魔をする奴は全部敵だ」

 

 

そう言って俺はゼノヴィアの手首を離し、バルバトスの左腕を展開して機関砲をゼノヴィア達に向けた。

 

 

「貴様……それは教会への挑戦か?」

 

「ゼノヴィアさん、いい加減して下さい!流石に今のは我々が悪いですよ!」

 

「なっ!?アイン!お前は奴に肩入れをするのか!?」

 

 

途中で割って来たアインがゼノヴィアを制しさせる。そしてイリナがゼノヴィアに説明をする。

 

 

「落ち着いてゼノヴィア。今アーシアを斬ったらそれこそ悪魔との交渉が無意味になるのよ。私たちの目的はアーシアの断罪ではなくエクスカリバーの奪還よ。それを忘れないで」

 

「……むぅ、納得はいかないが仕方ない」

 

 

ゼノヴィアは納得しないまま聖剣を下ろした。そしてアインがアーシアに謝罪した。

 

 

「…申し訳ありません、アーシアさん。あなたのことは聞いております。悪魔を助けた事で教会に追放されてしまったことを…」

 

「アインさん……」

 

 

なんかアインがアーシアが追放された理由を知っている様だった。

 

 

「あなたはどうかその慈悲と慈愛を忘れないで下さい。それは人、悪魔、天使、堕天使にもあるもので……ん?」

 

「あの……アインさん?」

 

 

喋っている途中にアインが突然喋るのを止め、黙り込んだ。その時に俺は嫌な予感を感じ取った。…これ、またヤバイ奴になるパターンだ。俺はイリナから紐に擬態している聖剣を借りた。

 

 

「…借りるよ」

 

「えっ…?ちょ!?三日月くん、それは聖剣使いじゃないと使えないよ!」

 

 

イリナはそう言っているけど、取りあえず駄目下でメイスをイメージした。するとその擬態の聖剣は俺の意思に答えたのかイメージ通りにメイスに姿を変えた。何で使えたのかは良く解らなかったけどまぁいいや。

 

 

「嘘っ!?」

 

「ん……丁度いい」

 

 

メイスに擬態した事を確認してアインの下に向かう。するとアインはアーシアを見て誰を連想させたのか突然黒いグレイズに変化して狂い出した。

 

 

〔クーデリア・藍那・バーンスタイン!……うぼぁっ!?〕

 

 

俺はメイスで発狂したアインをド突いて無力化させた。その時に何か華を咲く様な歌が聞こえた様な気がした。無事に無力かした後にイリナにメイスに擬態した擬態の聖剣を返した。

 

 

「これ、返すよ」

 

「えぇ……」

 

 

流石のイリナでもこの状況にはツッコミを入れようにもどうツッコめば良いのか判らなかった。それはグレモリー先輩や一誠たちも同じだった。その時にようやく我に返った木場がイリナ達に声をかける。

 

 

「……色々ツッコミ所はあったけど、君たち……というより、聖剣に用があるんだ」

 

「…誰だ、キミは?」

 

「君たちの先輩だよ。……失敗作だったそうだけどね」

 

 

木場は聖剣に対しての憎悪がさらに増していた。もはや誰もこの憎悪は止められなかった。

 

 

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続く

 

 

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