ひとときの平和を見た人類はある日、突如東の海に現れた「深海棲艦」と言う未知の敵の存在の前に敗北した。だがそこにひとつの光が舞い降りた。「艦娘」という少女の姿をした唯一深海棲艦と戦うことができる存在たち。
すぐに政府は艦娘(彼女)らと交渉し、味方として付けることで「打倒深海棲艦」というフレーズのもと東の海域のなのない島に彼女たちのための鎮守府を設置。
そして、そこにある男が配属される。身なりこそ子供っぽい顔には似合わなく、腰には立派な白銀の鞘に包まれた軍刀。輸送船に揺られながらその男「影野 夕(かげの ゆう)」はもう尽きかけているタバコの箱を見てため息を吐くのだった。
目的の島は意外と広く、いいところイメージは軍艦島だ。そんな島にひとりの青年は降り立った。船は青年と荷物を置いて行くとすぐに離れていった。それもそうだろうここはもう“最前線”なのだから。
「お待ちしておりました。影野 夕様…いえ、」
声の方へと振り向くとそこには黒の長髪を海風になびかせ、いかにも美少女と言った少女が立っていた。
「提督」
夕とて軍歴は長いがある意味ここまでしっかりした敬礼を見るのは久しぶりだ。
「俺は…えっと…俺のことは上層部より聞いていると思うが改めて影野 夕海軍中将だ。よろしく頼む」
「こちらこそ提督。そして、ようこそ東最前線基地;大須鎮守府(おおすちんじゅふ)へ」
夕は少女の手を取り握手を交わした。
彼女は歩きながらここの設備の説明をしてくれた。
島の裏手に輸送船が停泊したのでイマイチ島全体は見渡せてはいなかったが、近くで見るとそこは学校のような場所で、グラウンドがあり、戦術を学ぶ校舎があり、艦娘(彼女)らのための寮が設置されている。ちなみに司令室は寮の最上階に設置されており、そこから彼女らの訓練風景が一望できるようになっているわけだが、やはりここは学校を強くイメージさせられる。夕自身、学校というところは軍学校しか知らないわけなのだが、軍学校に通っている間、地方の方から来た同期の学生に何度か高等学校?というものの話を聞いたことがある。その話に出てきた設備と似たような感じがした。
「提督、申し遅れました私は「大淀(おおよど)」と言います」
「あぁそう言えば聞いてなかったな…大淀か、いい名だな」
「ありがとうございます」
そんな意味もない会話をしている間も夕はグラウンドに目を向け訓練をしている彼女らを見る。見たところまだ数人しかいないように見える。小さな子供?が2人にちょっとお姉さんっぽい人が1人、そしてまんまお姉さんっぽい人が1人。
そして次の瞬間。まんまお姉さんっぽい人がグラウンドを走っていたところ石に…いや、何もないところで転んだ。
俺は、大淀について行くのをやめ転んだ少女に近づき手を差し出す。
「大丈夫か?」
「ひゃ!?男の人!?あうぇーと…不幸だわ…」
なぜこの少女は急に落ち込み出した…。
「まぁ落ち込むのは結構だが…そのままだと可愛い姿が台無しだぞ?」
「か、可愛い…で、ですか…」
なんなのだ次は赤い顔して下を向いて。夕は反応に困ってしまった。
「どうしたのです?」
「どうしたのですか?」
野次馬のように次から次へと訓練していた少女たちが集まってくる。困っていた夕に見兼ねた大淀が間に入り事情聞き説明をする。
「て、司令官さんだったんですね!あ、あの駆逐艦の電です!よろしくなのです!」
「て、提督だったなんて、不幸だわ…戦艦扶桑よ…」
「提督だったのですね、今日着任とは聞いてましたが…あ、私は鳳翔です。よろしくお願いいたしますね」
「皐月だよ。提督よろしく」
「俺は影野 夕だ。これからよろしく頼む」
「では提督、これから執務等の説明がございますのでこちらへ」
彼女たちは夕に一礼をして訓練に戻っていった。
「彼女らのような子は他に入るのか?」
「いえ、まだ彼女たち“だけ”です」
彼女の含みからしてまだいるようだ。
「その…他の彼女たちのような者はどこにいるのだ?」
「それも含め執務にて説明させていただきます」
「それとすみません実はあそこの4人以外にもあと2人います」
「その人たちはどこに?」
「1人は工廠にいます。もう1人は私たちとは少し違う存在ですが間宮というお店を経営しています」
ふむ、どうやら艦娘にも様々な種類がいるらしい。
「着きました。こちらが執務室になります」
木造の西洋のデザインの扉を開けると窓向こうには先程いたグラウンドも見え、説明を受けた通りの場所だった。
「提督、この執務室を入って右側が提督の部屋になります。提督の私物はここに運ぶように手配しておきます」
「よろしく頼む」
「そして…」
そこからは執務の内容説明だった。基本的には外洋に敵勢力の発見やそれの迎撃、大本営からの資料や現場報告。あとは鎮守府運営費を彼女らを使い遠征で補給するといった説明だった。基本的に食事は人と一緒らしく、大本営から週一ほどで送られてくるらしい。
ここまでが大淀の説明だった。
「以上になりますが、何か質問はございますか?」
「いや、理解したありがとう」
「それと今後私が提督の秘書官を努めさせていただきます」
「では、よろしく頼むよ」
「はいこちらこそ」
それは、最初に交わした握手よりも信頼ある握手だった。
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