ありふれてたまるかッ!   作:千点数

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バレンタインデーのあと、地味に生き残っていたヒロくんのお話。

ヒトによって好みが別れるお話の続きですはい。


魂の妹(後輩ちゃん)、無双編

 あー、只今絶賛職務放棄(サボり)中。

 授業の単位はもう、進級するには足りている。出席日数はどうにかなる。僕は成績が良いから、テストは適当に受けて赤点以上を取れば進級は確定事項だ。

 

 だからこそ。

 

「お兄様はどちらに!?」

「今、あっちで足音がしたわ!」

「先輩、逃げないで下さいよぉ・・・・・・せぇんぱぁい・・・・・・」

 

 きゃいきゃいと黄色い声の中に時折ゾワリと来る重たさを感じつつ、とにかく走る。得に、後輩ちゃんに捕まったらナニされるか解ったもんじゃない。

 最近ミョーに距離が物理的に近いなぁと後輩ちゃんに対して思っていたら、ついにあのアマ、バレンタインデーで僕に対して監禁なんて所業をやらかしてくれたからね・・・・・・

 で、だ。

 

 お 姉 様 は ど こ 行 っ た !?

 

 最早男女の仲を超越した何かだったよねお姉様って!

 君らの中じゃ神格化されてたんじゃあなかったのかい!?

 何故僕にその崇拝対象がスライドした!?

 

 元凶は解っている。あのムカつく魔王南雲君(ドグサレ)だ。

 あの野郎、僕を見て愉悦の表情で嫁を囲って笑っていた。モゲろ。

 

 そして、遠藤君ことアビィ君は、僕を見てお祈りの合掌をしていた。ああ、君だけだよ僕を案じてくれているのは。骨は拾ってくれという意味でサムズアップを送ると、ハンカチを目に当てて泣いてくれた。ああ、なんて友達思いの良い奴なんだ。

 さぁ、逃げよう。

 捕まると半永久的に人生が終わる。

 こんな若い身空で責任とってたまるか!!

 

「フフ、逃げないで下さい・・・・・・逃 げ る な」

「お兄様ぁ・・・・・・私は、貴方がいないと・・・・・・」

「くんくん・・・・・・あちらからお兄様の」

 

 何か感染していないかい君達。

 

 *

 

 後輩ちゃんから悪い病気を貰ってパワーアップしたうちの後輩達(一部何故か小中学生)から逃げて逃げて。

 

 そして、放課後。

 

 どたどたどた、ばたん。

 

「勝ったぁ! 第三部完!」

 

 息を大きく吐く。

 旧校舎の屋上の鍵をパクっておいて助かった。

 おかげさまで、どうにか人生の墓場入りは避けたと見える。

 

「ふー、ふぅー」

 

 息を整える。

 後輩ちゃん達にはこの場所は知られていない。ならば、来るはずはない。あろうはずは無いのだ。

 ここは、万が一にも見つかる可能性の無い穴場。

 

「それにしてもあの魔王・・・・・・一体どんな洗脳を後輩ちゃん達にしたんだか」

「してねーよ人聞きの悪い」

「出たな元凶」

 

 僕の言葉に反応した魔王様、南雲ハジメ。

 いや、まず突っ込ませろ。

 

「何故宙に浮いてるんだい君!?」

「漢、だからな」

「男だと宙に浮くのかい!?」

「漢字が違う、漢、だ」

「些細な誤差ァ!」

 

 漢字が違うだけで空が飛べてたまるか!!

 

「ばっかお前誤差って程の差じゃあ無いからな? 男は性別が男ってだけで良いが、漢はだな・・・・・・」

「漢は・・・・・・?」

「理屈じゃないっ!!」

「説明になってねぇ、あと支離滅裂ぅ!?」

「今ので感じられなかったのかっ!?」

「解るじゃなくて感じる!? それと感じられる訳ねーだろ今のでっ!」

「馬鹿な!? 今のでわからないとは・・・・・・貴様。もしや男ではなくオカ・・・・・・」

「言わせねぇよ!?」

「真の漢なら今ので解る、感じる筈だっ!!」

「最早『おとこ』の漢字がどっちなのかわっかんねーよ! それと男ってのは超人でも超能力者でもビックリ人間でも鳥人間でもねーんだぞ!? そうやすやすと飛べてたまるかぁ!!」

 

 多少僕がキャラ崩壊しつつそんな掛け合いを続ける事三分。

 漸く本題。

 

「後輩ちゃんがああなったのが洗脳じゃないならなんなんだい」

「思考操作だ」

「変わらないっ!? そして思いっきりお前のせいじゃないかぁ!?」

 

 最早言い訳不要、天から引きずり落として今度こそ地獄の釜にコイツを突っ込んでやるっ!

 

 まあ、そんなこんなでわーぎゃーはしゃいでいた

 

「見 つ け ま し た」

 

 ら、そりゃ見つかるよね。

 

「っ!? 逃げ・・・・・・」

 

 ようとした瞬間だった。

 

「ボーラ、拘束」

「は?」

 

 赤いスパークを纏ったワイヤーロープに足を取られて転倒。

 直ぐにグルグル巻きにされて、地面に転がる。

 

「フフ、せぇんぱぁい・・・・・・なぁんで逃げるんですかぁ?」

 

 倒れた僕の耳元で、覆いかぶさってきた後輩ちゃんにぽしょぽしょと囁かれる。

 甘ったるい声に耳元が侵されている感覚がして、背筋がゾクゾクと震える。

 

「後輩に覆いかぶさられて、耳元で囁かれて・・・・・・それだけで感じてるんですかぁ? ・・・・・・変態」

 

 一瞬、最後の最後の冷たい声でゾクリ、と。

 してしまった。

 それを見て、後輩ちゃんは嬉しそうに顔を紅潮させて目をうっとりと細めて笑う。

 

「ァは♪ じゃあ、南雲先輩、先ぱ・・・・・・いえ、お兄様は貰って行きますね?」

「好きにしろ」

 

 ハンカチ振って見送るんじゃあない!!

 

 僕は、首根っこを持たれてズルズルと引きずられてドナドナされていった。

 

 *

 

「ふー、転校生に押し付け完了、と」




ヤンデレって感染するらしいですね。

 つまり、香織さんのヤンデレが吸血鬼やドラゴンや侍ガールやらに感染する可能性が微レ存・・・・・・?
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