「ひ……酷い目にあった……」
ミッテルトは昨日のミカゲを押し倒したことによりレイナーレに説教を受けていたのです。
「あの子にはまだ早い」 「このマセガキが」 「あの子の教育に悪い」
「ちくわ大明神」 「そもそも私のお嫁さん」
との事らしいです。男なのにお嫁さんとはどう思いますか?私は男の娘はアリだと思います。むしろщ(゚д゚щ)カモーン(屮゜Д゜)屮
「ふふふ……レイナーレ姉様には悪いッスがミカゲはウチのお嫁さんッスよ……!!」
口を細め、クスクスと笑みを浮かべて笑います。さしずめイタズラが成功した子どものようです。
「お前……まだ懲りないのか……」
隣で両刀の素振りをしているカラワーナが呆れます。レイナーレに説教されてからも何回かアプローチしたようですがそれも未遂で終わりました。それもそのはず、ミッテルトはこれまでに4回ほどレイナーレに阻止されているのです。
「う〜……だってだって〜!!ウチもお姉ちゃんやりたいんスよぉ〜」
まるで「やだやだ〜!!」と子どもが駄々をこねるようにじたばたするようです。カラワーナも「なんだこの駄々っ子……」とめんどくさい人を見るような呆れた目でミッテルトを見据えて溜息をつきます。
「そもそも、なんでお前はあの子に固執するんだ?私達はこういうのもなんだが……元々レイナーレ様とは上司、部下の関係だ。決して姉妹と言う訳では無い」
カラワーナが言います。私達は家族というものでは無いと。元々彼女たち3人は【自分たちを見下した同族を見返してやる!!】という名目で動いているに過ぎません。カラワーナ、ミッテルトはそれぞれ下級堕天使。下の下の位です。大してレイナーレは下の中の位です。実力もレイナーレが一応は上なため、便宜上は上司部下の関係だと。
「……逆に聞くッスがカラワーナはそれでいいんスか?」
「……どういう意味だ?」
ミッテルトが静かにカラワーナに言います。いつもは活発で声がデカいミッテルトですが、この様子にカラワーナもピクリと眉を動かし、素振りを中断しました。
「確かに以前はそうだったッス……ここを拠点にして、アザゼル様が欲しがるような神器を狩って、もしくは回収して愛を受ける。それでいいと思ったッス……」
ブリッジをする要領で床に掌を付けてバッと華麗に立ち上がります。ミッテルトの下着が見えましたが、女同士なので気にしないのです。
「でもあの子を見て、一緒に過ごしてこういうのも悪くない……と思ったッス。レイナーレ姉様とウチ、カラワーナ……そしてミカゲと過ごしていくうちにいつしか心が満たされていくのを感じたッス……」
胸に手を当てて目を瞑り、今までの事を思い出します。
4人で焦げおにぎりを食べた最初の日。
ミッテルトがミカゲにいい所を見せようと張り切り、コケてバケツの水を全身に浴びた日。
ミカゲがご飯を作ってくれた日。
初めて笑顔を見せてくれた日。どれもこれも大切な思い出です。
「……あの子が来てからここも前よりも明るくなったッス……復讐心バリバリで何も考えてなかったようなギスギスしたようなのはもうすっかり過去になったみたいッス……」
ミッテルトはゆっくりと目を開けます。そしてその目はカラワーナをじっと見すえています。いつもよりも鋭い目付きで。
「……ウチは……」 『おおっと!!そこまで!!』
ミッテルトが何かを言おうとした瞬間、電子音が混じった声に遮られます。2人が振り返るとそこには【足の生えた箱】としか言いようのない物体がマイクを持っているではないですか。
「ちょっと!!今ウチが言おうとしてたッスよ!!」
セリフを遮られてミッテルトはカンカンです。それを聞いても目の前の物体は気にせずに司会者が番組を速やかに進行するようにガンガン行きます。
『\( 'ω')/ヘーイ!!щ(゚д゚щ)カモーン(屮゜Д゜)屮さぁ!!じゃんじゃん行こうか!!』
この物体の声とともに、部屋が暗く染まり、変わりに辺りがチカチカする光に包まれました。
天井には大舞台で一昔前のダンスによく使われたメタルボール。床は虹色に輝いています。見てみると液晶のようです。
『始まりました!!第114514回!!マーモのクイズショー!!』
どこからともなく歓声と拍手が起こり、辺りには紙吹雪が舞散ります。そしてミッテルトとカラワーナにスポットライトがあたり、これでは本当にクイズ番組をやっているような気分になります。
「ちょっと!!なんなんスかあんたぁ!!てかこれどんだけ続いてるの!?」
「……何故私まで巻き込まれたんだ……?」
ミッテルトは目の前の物体にカンカンに怒り、カラワーナは困惑しているようです。いつの間にかリビングではなくこんな所にいる訳ですから無理もありません。
『それでは第1問!!』 「聞けや!!」
ミッテルトの言葉を無視して進行する物体。
「私の名前はなんでしょう?」
A、レイナーレ
B、マーモ
C、AG
D、カテレア
「はぁ!?分かるわけないっしょ!?」
もはや冷静ではないミッテルトはこの選択肢にぶちギレます。ミッテルトが座っている回答机の上にはAからDの旗が置かれています。
『おやおや〜?制限時間過ぎちゃいますよ〜?』
そう言って物体はモニターを指さします。カラワーナが見てみるとそこには数字があります。15、14、13とどんどん時間が経っていきます。
「……ミッテルト、Bだ」
カラワーナがため息をつきながら言います。ミッテルトは机に肘をつけて投げやりBの旗を上げます。
『正解〜!!いや〜、青髪の人。よく分かりましたね〜』
「なに、一番最初に言っていたじゃないか」
最初に言ったセリフ、【マーモのクイズショー】の言葉を見逃しませんでした。物体……もといマーモは称えるように拍手をします。
『なるほど。そうです!!私はマーモ。見ての通りロボットですヨ』
一通り自己紹介を終えます。その物体の身体はオレンジ色で顔面と思わしき部分にはモニターがあり、顔文字が表示されています。
蛇腹状のアームに4足の足。そこにあるのはタイヤでしょうか?自転車や車のように早く動きます。
『それでは第2問!!ロボットは何で出来ている!?』
そう言うとモニターに選択肢が出てきました。
A、金属と魔力
B、砂糖と小麦粉
C、3種族の翅と魔力
D、水や鉄分、その他諸々
「いや、D大雑把すぎやしないッスか!?」
ミッテルトが大声でツッコミます。1部の選択肢もおかしいですがそこには触れません。しかし、ツッコミをしている間にも時間は過ぎていきます。
「A一択っしょ!!」
ミッテルトはAの旗を上げます。砂糖と小麦粉で出来ているロボットなんてありませんし、Dは恐らく人間。Cは論外です。
『正解!!簡単すぎましたね』
マーモが嘲笑うように言います。はっきりいって舐めています。カラワーナはそれにすぐ気づきましたが、ミッテルトは冷静ではないため気づく素振りはありません。
『それでは第3問!今話に至るまで登場人物はどれだけ出てきた!?』
A、11人
B、8人
C、9人
D、10人
「メタすぎッスよそれ!!」
ツッコミながらもテキトーにBの旗を上げるミッテルト。
『ブブ〜!!外れで〜す。答えはA!!名前だけですがしっかりと1話で5人登場してま〜す』
クスクスと笑い、マーモは目の前の吊り縄を引くと、ミッテルトの頭上にバケツがあらわれる。
『あと2問間違うとバケツの中に入っている水を浴びることになりま〜す』
「はぁぁぁぁ!?ちょっ!!おまっ!!ふざけんなよぉぉぉぉぉ!!」
キャラを忘れて叫び声をあげるミッテルトだが、クイズは無常にも続く。
『ここまでに半分ほど問題が終わりました!!続けて第4問!!これは何文字あるでしょう?』
マーモが言い終わるとモニターに文字が映し出される。
【マーモモモモモモモトモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモ】
A、31
B、30
C、32
D、33
「壊れたパソコンッスか!?しかも1文字【ト】が紛れてるっスよ!!」
ミッテルトは急いで数えるが、急にでてきた文字と制限時間のせいで焦っている。
「Aだ」
カラワーナが言うと、ミッテルトはAの旗を上げる。
「正解〜!!よく分かりましたね。続けて第5問!!サービス問題です!!」
サービス問題と聞いてミッテルトは安堵する。こういうものは楽なものが出てくるのが鉄板だ。疲れから解放されるように「ふぅ〜」と一息つくその時、問題文がモニターに映し出される。
【150万円貸した時に生ずる利益を答えよ。年利率は3パーセント、80日貸した時に生じたものであるとする。なお、小数点以下は切り捨とする】
A、9863
B、8567
C、9523
D、9632
「わかるかぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
ミッテルトは叫びます。サービス問題を謳いながら出てきた問題は難しいもの。当てずっぽうに答えようとも確率は4分の1。カラワーナを見ますが困惑しているようです。残り時間が1桁になった所でテキトーに取った旗を取ります。
「あぁもう!!Cッス!!」
『は〜い、残念。答えはAでした〜』
ブブーっと音がしたと同時にバケツの角度が変わりました。零れるギリギリのところまで。あと1問失敗すればミッテルトは水を被ることになります。
『ちなみに計算方法は金額×年利率×日数÷365ですヨ。それでは最終問題!!ミカゲちゃんが思いを寄せているのはだれ!?』
マーモが補足した後に最後の問題が出される。
A、レイナーレ
B、カラワーナ
C、ミッテルト
D、わからない
「これはウチ一択っしょ!!」 「まてミッテルト!!答えは私だろう!!」
「え〜?ウッソだろお前。今話最初あたりのセリフ思い出してみるッスよ〜」
「うぐっ……あ……アレは……」
ミッテルトがCの旗を上げるとカラワーナと口論になりました。この場にレイナーレがいたらどうなっていたのでしょうか?この場はミッテルトが上手く言いくるめたようですが
『おやおや〜?自意識過剰ですね〜』
「ふん!!ミカゲはウチをお姉ちゃんと慕ってるッスよ!!これ以外に何があるっスか!!」
『まぁその通りですがね……まぁ全部正解とは行かなくても部分点くらいはあげちゃいましょう!!良かったですね〜バケツの水を被らなくて』
言い回しはムカつきますが、水を被らなくてホットしたミッテルトと納得のいかない顔をしているカラワーナ。
『それでは今回のクイズショーを終了とさせていただきます!!次回の第114515回目でお会いしましょう!!』
マーモは蛇腹状のアームで手を振って去っていった。
それと同時に元のリビングに空間がもどる。
「……なんなんスかね?アレ……」
「そうだ……!!ミッテルト!!まずいぞ!!」
カラワーナが時計を見てみると7時半、晩御飯の時間を過ぎています。
慌てて食堂に行くとレイナーレがカンカンに怒っていました。そして今夜、2人は説教を受け、冷めたご飯を食べる羽目になってしまいました。ちなみに今夜の当番はミカゲだったそうでミッテルトは悔しそうにしていました。
やべぇわ……ミッテルトガチで動かしやすい……
んでもってキャラがブレブレになりそう(´・ω・`)