弟と神話と愛   作:シュオウ・麗翅

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そんなことよりおうどん食べたい


聖女が教会にやってきた

「……?」

 

ミカゲは困惑しています。なぜなら教会の目の前には見知らぬ少女がいたのですから。

煌めくような金髪のロングヘアにシスター服、エメラルド色の瞳に幼さを残している可愛らしい顔立ち。不安そうな表情をしながらもどこか笑みを浮かべながら買い物袋を持っているミカゲを見下ろします。

 

「……!!」

 

逃げるように後ろ歩きをして逃げるようにバタンと勢いよく扉を閉めるミカゲ。少女は「まって!!」と言わんばかりに手を伸ばしますが、その時は既に扉を閉められた後でした。

 

「わたし……なにか悪いことでもしましたか……?」

 

はぁ……と力のないため息をつく少女。しかし彼女は直ぐに顔を横に振って扉へと向かいます。

そして扉を開けようとした時

 

ガチャガチャ

 

「……え?」

 

一向に開きません。何度も押したり引いたりを繰り返してもまるで岩に遮られているようにビクともしません。

それもそのはず、ミカゲ自身が向こうから力いっぱい引いているのですから。レイナーレ達以外とはやはり恐怖心をバリバリ持っています。

 

「ちょっと〜!?開けてください〜」

 

慌てて扉を駄々っ子のように叩く少女に力いっぱい引っ張るミカゲ。

この2人の対抗は傍から見れば微笑ましいのかもしれませんが、本人達にとっては必死なのです。

そしてミカゲが長い直方体の木の棒を扉に掛けようとしたその時です。

 

「あり?アーシアっスよね?何してるっスか?」

 

ミッテルトがタオルで汗を拭きながらやってきました。自慢のゴスロリ服も土や小さな木の枝が着いており、顔も少しだけボロボロです。

 

「あぁもう……カラワーナぁ……なんなのあれぇ!?」

 

「ふっ……新技だ」

 

後ろから来たのはボンテージ衣装に身を包んだレイナーレとボディコンスーツを着ているカラワーナ。やはり2人もミッテルトと同じように少しボロボロです。まるで休日に外で夕方まで遊んだ子供のように。

 

「大丈夫ですか!?」

 

しかしアーシアはそんな3人を見て大袈裟に慌てて手をかざします。

すると、アーシアの手は淡い緑色に光ってみるみる3人の傷を直していきました。

 

「おおっ!?」 「そんな事しなくていいのだが……」 (やっぱり本物ね……)

 

目に少し見えるくらいの傷は一瞬で修復されました。最も、服の方はそうはいきませんが。

 

「ところで、こんな所で何を困ってるんスか?」

 

ミッテルトが聞きます。目的地は目の前にあるのに一向に入らない。その上どこか慌てたように扉を叩く。さっさと入ればいいのに……と。

 

「あの……実はこどもが……」

 

その答えを聞いて3人は察しました。ミカゲです。彼は他人と話す時は3人の内の誰かが必ず傍にいないとガタガタ震えてしまい、病的なまでに怯えてしまうのです。

 

「ミカゲ〜、今帰ったっスよ〜」

 

ミッテルトが扉を叩くとギィ……とほんの少しだけ開いて目だけが見えるように様子を伺います。

 

「……ルト……お姉……ちゃん……」

 

「あ〜……ミカゲ……開けて欲しいんスけど」

 

バツが悪そうに頬をかいてミッテルトは言いました。このままでは自分達も入れない。

 

「……うん……」

 

ミカゲはそれに応え、扉を開けます。

ゆっくりと開けられたそれは3人とアーシアを迎え、ミカゲは直ぐに目にも止まらぬ速さでレイナーレの後ろに隠れてチラッと顔を出してアーシアをじっと見つめます。どこか手に力をこめているような気もします。

 

「えぇと……はじめまして?」

 

問題を抱えている子どもと話しかける保母さんのようなもやもやしつつも優しい声音で話しかけます。しかしアーシアが近づくとミカゲはサッと後ろに隠れ、反対側に顔を出します。

 

「……慣れるまでの辛抱だ……」

 

カラワーナがアーシアの肩に手を乗せて慰めます。その顔は同情なのか悲しみなのか(´・ω・`)としています。

 

「そういえばカラワーナ、あの技はなんなの?」

 

「あぁ、あれは私の魔力を溜めたあとにそれを前方に放出する技だ。ソレを【ライト・ブラスト】と名付けた」

 

レイナーレが聞くとカラワーナはドヤ顔で答えます。ライト・ブラストでレイナーレとミッテルトはそれが原因で今回の模擬戦はカラワーナの勝利になりました。

 

「あともう一個くらいあるのだが……如何せん制御が難しくてな……」

 

今度は(´・ω・`)と顔をしたカラワーナ。コロコロと表情が変わっていきます。

 

「ミカゲぇ〜、今夜のご飯はなんなんスかぁ〜」

 

「今日は……カレー」

 

ミカゲの背後に瞬時に移動して頭を撫でるミッテルト。それを見てホッコリするアーシアとカラワーナ。

 

(アーシアには悪いけど、あの力があれば……)

 

唇を噛んで獲物を見つけた肉食獣のようにアーシアを睨みつけるレイナーレ。

それを見たミカゲがレイナーレの肘まであるグローブの鎖を引っ張ります。

 

「……レイ……お姉……ちゃん……だいじょうぶ……?」

 

愛しの義弟が子供が親を心配するような震えた声音で、ほんの少しだけ涙目でレイナーレを見据えました。そして握る力も強めなような気がします。

 

ーーー嗚呼、この子は……私を心配してくれている。

 

「大丈夫よ……」

 

レイナーレはふっ……とどこか物悲しい目で、どこか悟ったような目でミカゲに向かって笑みを浮かべて頭を撫でてあげたのでした。

 




深夜テンション+Deltaruneの実況動画見ながらやりました( ˇωˇ )
カオスだよ。カオスだね。ジュビル戦のBGMすき……
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