「ドォォォォリャアアアア!!」
クロセルに先にしかけたのはミッテルトだ。大きく羽を動かし、自分に出る最大スピードで大鎌を大きく振りかぶった。
「大振りじゃな」
呆れたように息を吐いて片手で刃先を受け止めた。
「え?」
ミッテルトは驚いて目を見開いた。目元から冷や汗が垂れる。
何せ刃先を受け止めたなら血くらい出ても不思議ではないからだ。が、クロセルにはアンドロイド特有のメタルボディがあり、力の差も明白だった。
それは木の棒で鉄骨を砕こうとするのと同じ事だ。
「はっ!!」
クロセルは呆気に取られるミッテルトの腕を掴んで前方へとぶん投げた。
「きゃぁぁぁあああぁ!?」
ピッチャーが投げるボールのように飛ばされるミッテルトはカラワーナの腹に思いっきりぶち当たり、2人はくるくる回りながら大木に背中をうちつけてズルズルと雪崩落ちた。
「ほれ、その程度か?少しは抵抗して見せよ」
クロセルの次の一手は蒸気を固め、それを氷にしてレイナーレに放つ。
槍をクルクルと回し、盾のように防ぐ。氷の弾幕の雨あられ。
それが収まる頃、視線のその先にはクロセルはいなかった。
「ほれ、どこを見ておる」 「……!?」
氷の剣を出しているその手をレイナーレの脇腹に突き刺そうとした。が、両刀が氷の剣に当たり、クロセルは両刀が投げられた方へと視線をむける。
「ほう……まぁお主は巻き添えをくらっただけじゃしな」
氷の剣を両手から出してゆっくりとカラワーナに向かうクロセル。
「くっ……!!」
カラワーナは苦し紛れに両手のひらに球体を展開してそこに自身の光のエネルギーを込める。
「光の嵐をくらえええええ!!」 「ちょっとカラワーナ!?」
獅子が吠えるような大きな叫び声を上げて巨大なエネルギー波をクロセルへと放出する。第三者の視点から見るとまるで荒波に生身の人間がダイブするような無謀な光景。
「ふん!!」
しかし、その攻撃すらもクロセルのメタルボディの前には無意味だった。
光の波はバケツの水をぶちまけられたような程度に過ぎず、全くの無傷だ。
ちなみにレイナーレは上空へと避難してます
「パワーは中々だが、お主はホースの水をそのまま出してるようなものじゃな」
その声とともに、スケート選手がスピンするようにクルクルと回り始めた。が、その回転力は竜巻さえ引き起こしてしまうほどのものだ。
「止められるものなら止めてみよ」
回転をやめたクロセルは不敵な笑みを浮かべてカラワーナに両手に氷の剣を構えて突進する。
「なら……!!」
カラワーナは自分の魔力に身を包み、緑に光るとクロセルに向かって突進する。
緑の彗星とアイスブルーの竜巻。それらが激突した。
カラワーナは大剣で力いっぱい、叩き潰すように氷の剣に対抗する。
「所詮はパワーにのみ頼る者よな」
口を3日月のように歪め、少し力を抜いて滑るように横に摺れる。
「なっ……!?」
叩き潰す的をいきなり無くしたかのようにバランスを崩すカラワーナ。
「これで終いじゃ」
そしてクロセルは氷の剣を振り下ろす。
「そうは……させるか……!!」
地面に手をついて素早く両刀を展開してなんとか防ぐことには成功した。が、小さな両刀では時間稼ぎにもならない。
防いだ瞬間にパキっ……と嫌な音と共にヒビがそこら中に入った。
「やはり……弱すぎる」
期待はずれだと唾を吐き捨てるようにボソリと呟いたクロセル。
が、上空からレイナーレが槍でクロセルの腕に向かって隕石のように落下する。
「喰らいなさい!!」 「ほぅ……」
カラワーナの両刀を容易く砕いてそのまま後ろにジャンプする事でレイナーレの槍を避けていく。
2人は息を切らしているのに対し、クロセルは息一つ乱してはいない。むしろ不敵に笑っているようだ。
「はぁ……はぁ……私達に何の用なのよ!?」
レイナーレは槍を向けて泣き叫ぶように問う。
自分たちはただ模擬戦をしていただけだ。ミカゲを守るために強うなるために。
ーーーそれがいきなり現れたアンドロイドに今、遊ばれている様子になっている。
「なぁに……あの子の知り合いとして、お主が相応しいかのテストじゃよ」
と、言い終わる前にレイナーレが槍を振り下ろす。両手で持って相手を両断するように。
ーーー取った!!これで終わりよ!!
「ふぅ……せっかちな女は嫌われるぞ?」
目を瞑り片手で受け止めた。
キャッチボールをする父親のように軽々と。しかもあくびまでしている。
「なら……ミッテルト!!」
レイナーレが叫ぶとミッテルトがクロセルの背後から大鎌で地面を切り裂きながら向かっていく。
「これで、終いっスよ!!」
ぐぐっと、死神が首を刈りとるように鎌を振り下ろす。
「まだまだじゃな」
脚から氷の針を出してミッテルトの大鎌を蹴りつけて抑える。
大鎌に押さえつけるように力を入れるミッテルトだが、クロセルは至って涼しそうだ。
「カラワーナ!!」 「了解だ!」
そして緑に光っているカラワーナは大剣の二刀流で切りかかる。
ーーー3人に勝てるわけないだろ!!と、堕天使3人は笑みを浮かべてた。
「……今のはちとよかったぞ?」
そしてもう一度クルクルと片足を支点にハリケーンのように激しく回転し、その回転力で3人を吹き飛ばした。
「「「きゃぁぁぁあああぁ!?」」」
ドサドサと、3人は地面に打ち付けられた。
「……まだまだじゃな」
やれやれという感じでため息をついてキセルで一服する。
「おんしら、弱いが伸び代はあると見た。正直言って及第点からも遠いが、鍛えれば強くなるじゃろうて」
品定めするような視線で3人を見つめ、キセルを口から外してふぅ〜と息を吐いた。
その頃には疲労とダメージでよろよろと立ち上がるのもやっとな3人の姿があった。
「はぁ……はぁ……まだ……やれるっスよ」
息継ぎもやっとな震えた声で双剣を構える。
他の3人も両刀と槍を構えるが、クロセルは「はぁ〜」とため息をついた。
「まったく……が、その気概、嫌いではない。また会う時が楽しみじゃの」
そう言ってクロセルは背中に光るウイング型ブースターを展開して上空へと飛翔してその場を去った。
辺りに冷気が充満し、霧もこのフィールドを包んだ。
「……もっと強くなるわ……何を犠牲にしようとも……」
憎悪のような黒いハイライトもないような瞳でレイナーレはボソリと呟く。
2人には聞こえなかったが、レイナーレにはアーシアの神器を頭に思い浮かべていた。
ーーーミカゲを守り、傷を癒し、居場所になる。過保護だなんだと言われても気にするものか。義弟を守るためなら修羅にでも外道にでもなってやる……!!
「あり?これはなんなんスか?」
霧が晴れ、3人の足元にはお肉が入っているトレーがあった。
「なになに……マーモの顔の形のステーキ?」
カラワーナが商品名を読んだ。裏側も見るとどうやら今人気を上げている商品のようだ。
ーーー今夜は、ステーキにしてもらおう。そう思った3人だった。
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
。゜( ;⊃՞ةڼ⊂; )゜。びぇぇえええんwwww
最近つらひ……