弟と神話と愛   作:シュオウ・麗翅

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今回はバトル前のお話会のような感じです。
レイナーレが某緑の月騎士のようになってるの注意です。


劣等感と嫉妬

なんでコイツがここにいる……!?

 

レイナーレが舌打ちをして煮えたぎる憎悪の瞳で一誠を睨む。その視線は心臓を射抜く矢のように鋭かった。

実際、一誠が来たのはアーシアを助けるためだ。

ちょっと前に友達になった女の子。

初めてかもしれない女友達。そして、心優しい彼女の過去を聞いた瞬間、激しい悲しみと同情の面もあったかもしれない。が、レイナーレはそんなこと知る由もない。

 

「アーシアを返してもらうぞ」

 

「……チッ……!!もう少しでコイツの神器を抜いて私が至高の堕天使になれたものを!!」

 

一誠が怒気を含めた声で言うと、レイナーレは2つ目……と言うより原点時に目指していたモノを言い放つ。

至高の堕天使。それが3人の堕天使の目的だ。

至高とは最も優れている者の事。しかし、下級堕天使である彼女らにとってはそれは夢でしかない。届かない幻想でしかないのだ。

 

「そしてそうなった暁には見下していた連中を見返せるのに……!!」

 

レイナーレがそう言うと、顔面に衝撃を受けた。

そして後ろにクルクルと空中で後転を連続でするように吹っ飛ばされて向こう側の壁に激突。大きなヒビが入った。

 

「痛いじゃないの」

 

口から赤いタンを吐き、鏃のように鋭い視線を一誠に向ける。

 

「アーシア、大丈夫か!?」

 

拘束されたアーシアに駆け寄った一誠はソレを引きちぎるように無理やり解いた。

悪魔に転生したことにより基礎身体能力がアップし、無意識に神器の1部の力を引き出したことによるものだ。

助け出されたアーシアは答えることなく、憐れみを込めた瞳でレイナーレを見据えていた。

 

「……そんな目で……!!私を見るなぁぁぁぁぁぁ!!」

 

レイナーレは周囲に4つの槍を出現させ、砲台のように発射した。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「チッ!!コイツは厄介だぞ!!」

 

「全く……少しは話を聞いて欲しいっスねぇ……」

 

空中でピタリと静止してオトハを見下ろすカラワーナとミッテルト。

所々服が破けており、身体も所々ボロボロで汚れている状態だ。

 

「二人がかりでコレっスか……全く、自信なんて無くなるっスよ」

 

一方オトハは息一つ乱しておらず、汚れも無し、傷一つない状態だ。どちらが有利か、どちらが強いか、一目見ればすぐ分かるだろう。

 

「電撃姫……麻痺毒や電気を自身が生み出してソレをエネルギーとして使う……か……厄介なやつだよ」

 

カラワーナが自身を嘲笑するようにオトハを評価する。

グレモリーと同じ72柱の名を持つ悪魔、フールフール。それがオトハの苗字。

 

「下級堕天使風情がちょこまかと!!」

 

オトハは手に電撃を帯びたエネルギーボールを生み出した。

グレーの球体は空に浮かぶ雨雲から生まれる稲妻のような電撃を目に見えるようにバチバチと音を立てている。

 

そしてソレを、2人の元へと投げつけた。

が、エネルギーボールはライフル弾のように真っ直ぐとミッテルト、カラワーナの元へ向かう。

 

「うおっ!?」 「ヤバイっス!!」

 

2人は顔を横に逸らすことでスレスレのところでなんとか避ける。

その顔は焦りと共に冷や汗がだらりと出てオトハを見据えた。

 

「ミカゲはどこだァァァァァ!!」

 

オトハは電撃で出来た剣を展開し、羽を広げてミッテルトとカラワーナに突撃した。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「お前……そんな事のためにアーシアを……!!」

 

一誠は親のかたきを見るかのようにレイナーレを憎しみを込めた視線を向ける。

コイツが俺の前で言った【あの子】が誰なのかわからないが、アーシアに行った所行を見る限り、絶対にろくな事をしないと思ったのだ。

 

アイツは夕麻ちゃんじゃない。目の前にいるのは堕天使で自分達の、アーシアの敵。悪魔よりもクソなやつだ。

ーーーが、自分に向けて送った言葉が気になった。

 

『あの子の教育に悪い。だから始末する』

 

ーーーあの子ってどの子だ?俺は会ったことがあるのか?何故こいつはあんなことを言ったんだ?

 

そんな考えがねるねるねるねのようにグルグル回る中、レイナーレが口を開いた。

 

「……ひとつ聞かせなさい」

 

レイナーレは槍を出現させて一誠に言った。

 

「どんなに落ちこぼれでも、どんなに見下されても、人並みの幸せを送れると思う?」

 

2枚の羽を拡げてさらに続ける。

 

「自分には何も無くても、自分には何も出来なくても、生きていけると思う?」

 

さらにもう2枚の羽を広げて言った。

素朴な疑問。自分の悩み。ソレを一誠に向かって蛇口をひねるように次々と出てくる。

当の一誠はと言うと何も答えられなかった。

彼女が何を言っているのか分からなかった。何を伝えたいのか分からなかった。

 

「……」

 

故に、その問いの答えは沈黙だった。

 

「わからない……か……なら言い方を変えるわ」

 

レイナーレはゆっくりと顔を上げて

 

「オマエゴトキニ、ナンニモナイワタシノキモチガワカルノカ?」

 

レイナーレの赤紫色の瞳にはハイライトが宿っていなかった。

それどころか全てが黒く塗りつぶされていた。まるで、この世の闇を目の前で見たかのように。泥を全身に浴びたように。

 

「死ね!!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!どいつもこいつも!!死にやがれぇぇぇぇぇぇ!!」

 

レイナーレはめちゃくちゃに槍を振り回して、瞳孔を大きく見開いて、獣が威嚇するように大声を上げて突撃する。

一誠は即座に回避運動をとる。が、レイナーレの光の槍が一誠に向かって振り下ろされる。

 

「クソっ!!なんなんだよレイナーレ!!言いたいことがあったらその口で言ったらどうだ!!」

 

前髪がばっさりと切られ、その場にはらりはらりと落ちていく。

憎しみで戦うつもりだった。自分を騙し、アーシアを酷い目にあわせ、フリードを介して悪魔と契約したという理由だけで殺した彼女を。最も、フリードの場合は完全なる独断行動な訳だが、一誠は知る由もない事だ。

 

「レイナーレ様!!もうやめてください!!これ以上やっても貴女の悲しみは……」

 

アーシアも必死に説得する。親に叱られた子供が怒りを沈めて貰おうと縋るように。

 

「うるせぇぇぇぇぇ!!殺す!!殺す殺す殺す殺すぅ!!アーシアァァァァ!!アンタもコイツと一緒にコロシテヤルゥゥゥゥゥ!!」

 

レイナーレの瞳には全てが敵。敵は排除。さもなくば自分が殺される。

彼女は狂ったプログラムのように、狂気に取り憑かれた者のように目の前にいる敵を排除しようと槍をくるりと回して突撃した。

 




(´д`)はぁ……なあんか全てが虚しくなってきたぞぉ……生きる気力もやる気もない……なんか疲れてきた……
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