弟と神話と愛   作:シュオウ・麗翅

25 / 32
文が……文がなぁ……(´・ω・`)


それは、塗りつぶされた絵のように染まる

「はぁ……はぁ……!!」

 

いやな……予感がする……!!

教会方面で鳴り響いた、岩が削岩機で打ち砕かれるような音。バチバチ、ゴロゴロと、落雷が落ちたような音。

感じたことのある魔力の感じ。まるで全身に帯電させるようなピリピリとした気配。間違いない。

 

ーーーもし、お姉ちゃんがいなくなったら……ワタシハドウスレバイイノ……?

 

私には、何も無い。

フールフール家の魔力、【電撃と麻痺の放出】が。

大したことの無い実力。1種族としての血や細胞。

残った感情は、不信、恐怖。ありとあらゆるものを恐れ、悲観し、絶望した。

その中には……心の奥底にあるのは、全てを蝕む毒のような憎しみ。

じわりじわりと、コピー用紙に黒のインクを1滴垂らしたように、自分の心に広がっていった。

 

お姉ちゃん……レイナーレと会った時、家族になった時、全てが救われたような気がしたーーー

 

 

 

「ちっ!!流石は【電撃姫】だ……!!」

 

カラワーナは地面に両刀を杖のように突き立てている。

肩で息をして、立っているのがやっとなくらいだ。

 

「2対1でもこれとか……少しは手加減して欲しいっスねぇ……」

 

はは……と、掠れた声で笑うミッテルト。

何とか双剣を展開させるが、足が震えている。

 

「ミカゲは……ドコ……?」

 

瞳孔を大きく見開いて、まるで親の仇でも見るような目で2人に視線を送るオトハ。

身体中から出る黒と白に近い黄色のオーラが見える。

それは滝のように溢れ、3人の周りにドームを作るように包み込んだ。

 

ーーー殺される。ヤバイ。アレには絶対勝てない。

初めて味わう恐怖。顔から出る冷や汗が止まらない。

 

「ははは……」

 

ミッテルトは思わずカラワーナが見えるように顔を横にむける。

 

ーーー笑っていた。

恐怖から出る乾いた笑いでも、死の間際に思いふけるような笑いでもない。

 

「面白い!!これから……これからだ!!俺はまだまだ強くなれる……!!」

 

……何を言っているのか、分からなかった。

何かに取り憑かれたような狂気の笑み。

大好きなおもちゃを手にして興奮した子供のように。

 

そして、カラワーナからは……

 

銀の闘将のような影が見えたのだった。

 

ーーーーーーーー

 

アーシアの神器を抜こうとした教会の地下。儀式部屋。

槍を無茶苦茶にぶん回す。

その風圧は壁に設置されていたランプをいとも簡単に吹き飛ばし、ロウソクは斜めに切断される。

 

「殺す!!殺す殺すぅ……!!」

 

命が宿ったロボットが、ツインアイを光らせるように一誠を睨みつける。

 

ーーーミカゲと接していて、この男を殺さず、アーシアも殺さなかった私の甘さが原因。

殺しておけば、私達を苦しめる毒にはならなかったはず……!!

 

レイナーレは持っていた歪な槍を一誠に投げて、今度は禍々しい槍を展開する。

武士が持つようなシンプルな形相。マゼンタを主体としているが、その中身は闇の塊ようなものが蠢いている。

それは堕天使と言うより、悪魔といった方がしっくりくるような、不気味な槍だ。

 

「シネェェェェェェェ!!」

 

目に光が宿っていない。

どこかドロドロとした雰囲気。

そしてーーーバケツの中の水をかけられたように感じる憎しみの嵐。

 

(憎しみは……毒のように人の身体を蝕んでいく……)

 

目を瞑り、祈るようにしてレイナーレの憎しみを感じ取るアーシア。

今の彼女は、ぐちゃぐちゃな状態だ。まるで、全色の絵の具をパレットに入れたように。

 

一定数の色を入れた赤、青、緑は濃ゆくするごとに黒へ近づいていく。

この3色の色をそれにあった比率で組み合わせていくと、様々な綺麗な色に様変わりしていく。

 

例えば、赤と青を組み合わせれば紫に、緑と青を組み合わせれば空色になるのだ。

 

そして、色にはもうひとつの組み合わせがある。

それは、空色、赤紫、黄色、黒の組み合わせ。赤、青、緑とは別の組み合わせだが、上三つも濃ゆく組み合わせれば黒になる。

 

黒は組み合わせ次第では色と色とのコントラストを生み出す。それは影であり、明暗である。

ーーーが、濃ゆくしすぎると、それは絵の上に墨をぶちまけるのと同じになる。つまりは、黒一色になるのだ。

 

その黒の下には、様々な色が塗りたくられている状態。様々な思いが憎しみという黒1色に染まりつつある。

 

故に……

 

「こいつでぇ……!!壊してやるぅ……!!」

 

彼女らしからぬ……憎悪という漆黒に染まった言葉が出るのだ。

 

「潰す!!潰す潰す……!!潰ぅす!!」

 

「くそっ……!!」

 

脚技の連続蹴りは残像が見えるほどの速さ。しかし、悪魔の動体視力の賜物か、はたまた直感か……いずれにせよ、紙一重で避ける一誠。

 

(このままじゃ……!!)

 

腹、腰、顔面……と、狙われたところを避けていく。

何とか反撃の機会を狙う一誠。そして蹴りが緩んだところで会心の一撃……!!と行きたいところだったが……

 

「シネェェェェェェェ!!」

 

思いっきり回し蹴りが炸裂した。

思いっきり脇腹に直撃する。後ろに吹き飛ばされ、壁に打ち付けられる。

 

(くそ……!!痛てぇ……!!)

 

腹を抑え、よろよろと立ち上がる一誠。

槍を構え、ゆっくりと近づくレイナーレ。

どちらが狩るか狩られるか、誰が見ても明らかだ。

 

(なんでコイツはこれ程まで……何故……?なぜ……?)

 

最初のデート。自分が一生懸命考えたプラン。

それはレイナーレ……天野夕麻は嬉しそうにしていた。

街を案内する、店に行ってスイーツを食べる。そのどれもが絵になっていた。

気配りもできる。明るい女の子。

 

その正体は堕天使で、自分を殺そうとした存在。見たことも無い弟を想うその様は心配性のお姉ちゃんを思わせる。

自分の件も、アーシアの件も、そのどれもが未遂に終わった。

自分の場合はリアス先輩が来て撤退したからだろうが、アーシアの件はどこか葛藤していたようだった。

 

(知りてぇ……何で夕麻ちゃんが……こんなことをするのか……)

 

ボロボロの身体を動かし、手に力を込める。

神器は所有者の思いに応えてくれる。リアス先輩から教えてもらったことだ。

 

(俺の中の神器……!!俺の思いに応えてくれ……!!)

 

強く思っていると、一誠の身体が光り始めた。




アーシアが空気すぎてワロエナイ……(´・ω・`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。