求人票見ても就活ナビ見ても説明会聞いても全くわからんわ……(´・ω・`)多分真面目と不真面目の相中くらいかなぁ……
「お姉ちゃん!!」
ミカゲは喉が枯れそうなほど大きな声を出してレイナーレ達に駆け寄ろうとする。
大きな音が家である教会の近くからして、気が気でなかったミカゲ。
いつもは慣れた道だが、買い物袋を放り投げ、一気にかけ登った事で服が所々傷がついていた。
枝に引っかかったのか、細い破れの後が。
転んでしまったのか、顔や膝には土や葉っぱが。
「ミカゲ!!」
オトハが振り向き、ミカゲに向かっていく。
ようやく会えた、最後の家族。
いつの間にかいなくなってしまった、自分の実弟。
ーーーもう、離さない。
そう思って両手を広げると
ーーー素通りされた。
あまりのことに、「え?」と呆けた声を出した。
ミカゲの行った方向へ振り向くと、カラワーナの方へと向かっていくでは無いか。
「あぐっ……!!み……ミカっ……」
銀の鎧に身を包んだカラワーナが、蛇に巻き付かれたかのような苦しそうな声を出す。
頭を抑え、悶えるように身体を震わせて
銀の鎧が、解除された。
カラワーナの衣装はは元のボディコンスーツに戻り、気を失ってばたりと倒れる。
「カナお姉ちゃん!!」
肩を掴んでゆっさゆっさとカラワーナを揺らす。
そんな小さな体躯、小さな手の何処に身長175センチの女を揺らす力があるのかは分からない。
「ミ……カ……ゲ……?」
オトハは何が起こったのか分からなかった。
実姉である自分よりもあの堕天使を気にかけるのか、寄り添うのかが理解できなかった。
何故、なぜ、ナゼーーー
何故、私の弟が薄汚いカラス共に奪われているのだ?
これは何かの間違いだ!!私の家系の者が、あんな堕天使共とーーー
「えと……えとえとえとえとえと……こここここここここここういうときは……」
満足に言葉を発することが出来ないほどあわあわしながら、ゴソゴソと、着物の袖の中に手を入れた。
中から出てきたのは、救急箱でした。
救急箱の蓋を開いて、中に手を突っ込むと
ーーー突如、電撃がミカゲの目の前を通り過ぎた。
「貴女達ね。堕天使ミッテルトとレイナーレというのは」
炎のような赤い髪をした女の子、リアス・グレモリーがミッテルトに言った。
ただ、冷徹と言ったような氷のように冷たい言い方ではなく、教師が素行の悪い生徒に説教するような声音だ。
「……悪魔の名門貴族サマが、だれの歯牙にもかけられないような木っ端堕天使になんの用ッスか?」
これに対し、ミッテルトは虚勢を張る。
目の前にいるのは自分なんか片手で吹き飛ばせるような大きな存在。周りの眷属も、自分では適わないだろう。
(それに……数も向こうが多い……。電撃姫のフールフールに、滅殺姫のグレモリー……勝ち目なんて、天文学的数字がやっとって所ッスかねぇ……マリスとかいうやつと戦った時のミカゲの力があればいけるかもしれないッスけど、あの子にはそんな事させたくないッスし……)
額に、窓に滴る露のように微かな冷や汗。
向こうには倒れているカラワーナに寄り添っているミカゲが居る。
レイナーレも、今は倒れてアーシアが介抱している状態だ。
(今、動けるのは実質ウチだけッス……どうすればいいッスか……?)
心の中でぐるぐると駆け巡る考え。それは、ひとつのことにのみ集約されていた。
(考えるっスよ……どうやって逃げる?どうやって逃げる?どうやってどうやってどうどうどうどうどう……)
顔が青ざめ、半ばパニック状態に陥ってしまう。
表情にはなるべく出さないようにしているものの、底なし沼のような深みに嵌ってしまった。
ーーー必死に考えた。しかし、答えが出せなかった。
ならばどうすればいいか。しかし、答えは出なかった。
その時、リアスから声をかけられた。
「とりあえず、今回の貴女達のやった事は大方聞かせてもらったわ」
(やっぱそう来るッスか……)
ザッっ……と、倒れているレイナーレを庇うように、光の双剣を作り出して構える。
「もしも未遂じゃなくて、本格的に殺っていたら消し炭にする予定だったんだけど……堕天使側から出来れば貴女達を連れ帰れってお願いされてね」
「……は?いや、ウチらを始末しに来たんじゃないんスか?そこにいる電撃姫みたいに」
ミッテルトはリアスの言った言葉を信じられず、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしてオトハに向かって指をさした。
「あれはオトハの完全な独断よ。なんでも、彼女の言う『弟』がそこにいる着物の子と容姿が一致してるらしいの」
「は?ウチのミカゲと、あんたらの電撃姫がッスか?」
「あらあら、名前まで一緒なんですのね」
(は?え?電撃姫とミカゲが血の繋がった姉弟?いやいや!!ゼッタイありえないッス!!)
リアス達から聞いた言葉を信じることが出来なかった。
「なんで、薄汚い堕天使と一緒にいるのよ!!ミカゲェ!!」
目からハイライトが消え、ミカゲに向かって指をさした。
その際にコントロールが効かないのか、はたまたわざとなのか、時折パリッ、バチっという音と共に稲妻が見えている。
挑発するように、自分の力を見せるように。誇示するように。
「……薄汚い……堕天使……?」
カラワーナを治療していたミカゲの声が変わった。
先程までのオドオドしたような声や動きは無くなり、力強い……というよりもドスの効いた威圧的な声。
例えるなら今のミカゲはそう……【復讐の対象を見つけたモンスター】のようなものだ。
ーーー感じているのは、憎しみ。
ふつふつと水が少しずつ沸くように憎しみが湧いて出てくる。
「……オマエ……私のお姉ちゃんに向かってそんなことを言うのか……?」
「なっ……!!違う!!ミカゲの姉は私!!アイツらじゃないわ!!」
ミカゲの言葉を否定する。
違うと。あの堕天使が家族のはずがない。
だってーーーフールフールの血が繋がっているのは、私とミカゲだけなのだからーーー。
しかし、そんな思いは届かなかった。そんな言葉は届くはずがなかった。
ーーー黒い風が、靡いている。
「……もういい。オマエが何を言おうと、それはただの妄言に過ぎない。 」
瞳孔が見開き、ミカゲの身体が光に包まれる。
この場にいた誰もが、目を抑えるほどの眩い光。それは、ここの森一帯を支配するように輝いていた。
それを見た者は、心が洗われる位の美しさだった。神秘的な……幻想的な光だったと言っていたという。
「な……なんなの……?いったい……?」
光が収まると、そこに居たのは純白の鎧姿。
一片の汚れもない、まさに『王』と呼ぶべき風貌。胸元にはエメラルド色に輝く宝玉があり、背中には風格漂う赤のマントが。
頭部の王冠のような形の兜に身を包み、背中にはミカゲを取り囲むように王冠が宙に浮いている。
極めつけは、丸く、太い。大きな剣。
(まさか……アレは……)
剣から感じる、身も震えるような聖なる力。それを、リアス・グレモリーの騎士である木場祐斗がいち早く感じとった。
「……今から始まるのは、聖王による裁き……」
ゆっくりと、自分よりも遥かに大きい剣を軽々と持ち上げ、オトハに向かって突き刺すように掲げた。
「ミ……カゲ……?」
「愛の水瓶(アクエリアス・ジ・アモール)……愛を司る水瓶の神器……」
言い終わると、ミカゲはゆっくりと、腰を落とし
「潰す……」
オトハに向かって斬りかかったーーー。
(つ・ω・(-ω-*)スヤァ..