弟と神話と愛   作:シュオウ・麗翅

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ミッテルト「明日ぼ〜くは〜君に。?%=%だろう〜」

カラワーナ(……歌えてない……)

レイナーレ(ソワソワ)

ミカゲ「始まるよ」

作者(これ、何の二次創作だっけ……?)


ツワモノ、現る(オリキャラ注意)

「……なんなの、ここ……?」

 

レイナーレが見る景色は異質なものだった。

いつもの教会、いつもの街、いつもの部屋。そういったものでは無く、まるでこの世の楽園とも言えるべき場所だった。

鳥たちは歌い、妖精達は遊び回り、天使達は祝福する。

 

(……翅が、背中から生えていない……?)

 

遠くにいる巨大な……まるでサイクロプスを思わせるような巨人の翅は、まるでモヒカンや背鰭のような形。

次に、美しい歌声を放つフードを被っている女天使には腕と翅が同化してるように見えた。

エメラルドのような緑色の髪をオールバックにしている子供天使には脚から羽が生えており、空中を移動する椅子の上に座っている研究者のような佇まいの天使からは、耳からちょこんと添えるような形で翅が生えているようだ。

 

(……全員が人型じゃ……ない……!?)

 

中には異形の天使もいた。神話の中では人型の天使じゃない者も書かれたりしているが、それは書物の中のことであり、実際には人の形を保っている。

だが、自分の目に映るものはなんなのだろうか?

 

紫色のカマキリのような見た目の男や、2体のスフィンクスのような動物からは天使の気配がする。それも、自分よりも格上のように感じた。

特に、死闘を演じている紫色のカマキリのような天使からは上級天使並の力を感じる。

 

「……この景色、どこかで見たことが……」

 

『黒き天使か……』

 

頭の中に、声が響いた。

声にエコーが入った、若い男の堂々とした声が。

バッ!!と後ろを振り向くと、白髪の男がそこにはいた。

純白の美しい翅のような髪は、まるで芸術のよう。

緑がかった黒を主体としたローブを着こなしている男は、若くして司教になった者のように感じた。

だが、特出すべきは頭から生えている天使のような翅。

 

さらに感じる力は、カマキリのような天使以上のようだ。

対峙するだけでも放たれる。

親の雷を目の当たりにした子どものような感じ。

物語序盤にラスボスと対峙したような感じ。

そのような恐怖に身を包まれる。

 

『……今のキミに伝えることは、何も無いよ』

 

そう言って男は手を翳し、衝撃波を与える。

何が起こったのか分からなかったレイナーレは、楽園の外にある奈落に落ち……

 

「はっ……!!」

 

目が覚めた。

バチバチと、炎が燃える音。

 

「……知らない天井ね」

 

山の上に建てられた小屋のような風景。

視線の隅にある小さな本棚とそのそばにある机、その上にある小さな蛍光灯は勉強部屋を思わせる。

隣にあるのは、レンガでできた暖炉。恐らくはその中にあるまきか何かで焚き火を炊いて暖炉を囲っているのだろう。

 

「レイナーレ様、目が覚めたのですね」

 

扉を開けて出てきたのはカラワーナ。

数冊の本を持ち、メガネをかけてレイナーレの元に歩み寄っていく。

 

「カラワーナ、ここはどこなの?あの子はどこ?」

 

落ち着いていられるはずがない。

あの日、下等な悪魔風情にやられた屈辱。ふつふつと、ポットで沸かしたお湯のように憎しみが湧き上がってくる。

 

「レ……レイナーレ様!!とにか……」

 

「落ち着いていられるとでも思うの!?カーーーー」

 

「邪魔するぜ」

 

宥めようとするカラワーナに、激昴するレイナーレ。

そんな彼女たちがいる部屋に入ったのは、赤髪の男と緑がかった黒髪の男。

 

「誰よ、あんたら」

 

不機嫌そうに、さっさと出て行けと言わんばかりの一言。

憎い物を見るような目で二人の男を見据えた。

 

1人は、オオカミのような鋭い瞳のイケメンという風貌だ。

紫色の丸い果実をそのまま丸かじりし、モグモグと咀嚼して飲み込んでいく。

そして興味がなさそうにこちらを見た。

 

「おいヴェイル。この女共か?強くしてくれって依頼は?」

 

「そうだぜアマグラ。あと一人足りないがな。はぁ……クロセルの奴、人遣いが荒いっての」

 

一瞬で2人の元に近づいたアマグラと呼ばれた男は「ケッ!!」と、つまらないものを見るかのような視線を送った後、ポケットに手を入れて乱暴に扉を開けて部屋を出る。

 

「あら?ヴェイルじゃないの」

 

「……おい、ジウス。セシーリアはどうした?」

 

「お姉様なら野暮用があって遅れるらしいわ。多分、2〜3日くらいかかるんじゃないかしら?」

 

「なるほどな。だから代わりにアマグラが呼ばれたわけか……で、その手に持ってる木っ端堕天使はなんだ?」

 

「あぁ、これ?なんか私の顔を見るなり物陰で見てたから拾ってきたわ」

 

と、他愛ない会話をする2人だったが、レイナーレ達からすれば見知らぬ人が勝手に家に入られた気分になる。

教会では無いとはいえ、この場に見知らぬ人……人?

 

「レイナーレ様……もしかしたらこの方々は……」

 

カラワーナがわなわなと指をさして震えながら言った。

ヴェイルと呼ばれた男は少し浅黒い肌の色で、青を主体とした忍者衣装のような服装。

腰に巻いている帯に書かれている水瓶座の模様と、腰に帯刀している2振りの刀。鞘は地面に着きそうなほど長く、横幅は教室にある机のように長い。

 

対する女性の方は、黒を主体とした着物とゴスロリを混ぜたような衣装。

若草色の艶のある髪に、童顔ながらも鋭い瞳は一種のギャップを感じさせる。

江戸時代の町娘のような衣装だが、袖丈には黒いフリルが着いており、振袖は無い。美白で綺麗な手だが、二の腕から手首にかけて包帯が巻かれている。

ミッテルトのものよりもフリフリなスカートを着こなし、フリフリなリボンは髪型をセミロング風にまとめているようだ。

 

「んあ?そこの青髪の嬢ちゃんは俺の事知ってるのか?」

 

「お前、少しは自分の評価を気にした方がいいぞ」

 

「うおっ!?アマグラ、戻ってきたなら戻ってきたと言えよ」

 

「戻ってきたぞ」 「遅せぇよ……」

 

いつの間にかアマグラと呼ばれた赤髪の男が戻ってきてヴェイルと呼ばれた男が驚いたようだ。

 

「ハイハイ。漫才見せてないで自己紹介と行くわよ」

 

ミッテルトをレイナーレの元にぶん投げた後、パンパンと、手を叩いて「はい、こっちにちゅーもーく!!」と言わんばかりの視線を送る。

 

「これから1週間くらい貴女達に修行をつける、ジウスちゃんで〜す。よろしくネ☆」

 

パチンっ!!とウインクを決めた後、華麗にスカートをたくしあげて一礼するその様は上品な貴族を思わせる。

 

「チッ……アマグラ・ノイセン。よろしくするつもりはねぇが、やるからには徹底的にやる」

 

不機嫌そうに頭を掻きながら投げやりに言ったアマグラはあくびをした後に胡座をかいた。

 

「はいはい、じゃあ最後は俺ね。ヴェイルだ。お前らに修行をつける……言わばリーダーだな」

 

「おいヴェイル!!お前がこの中で一番強いなんて認めねぇからな!!」

 

「はいはい、野良犬は犬小屋にしまっちゃおうね〜」

 

「あっ!!おい離せ!!あと犬って言うな!!」

 

何やらギャーギャー言ってるアマグラを犬のように抱き抱えてそのまま外に出るジウスを見て、ポカーンとする一行。

 

「レ……レイナーレ姉様、この方々は……」

 

「ええ。ミッテルトの言う通りです。堕天使回の強者、序列8位のジウス様と、序列4位のヴェイル様。何故かの大物が私達のような下級堕天使に……?」

 

思わず上司と部下のような関係に戻ってしまう2人。

それを聞いたレイナーレは信じられないものを見るような目でヴェイルを見た。

 

「あ〜……お前ら、言いたいことはあるだろうが、早く降りて飯食うぞ飯。愛しの弟くんの飯だぜ?」

 

やれやれ、という感じで部屋を出ようとするヴェイルは、最後にこう告げる。

 

「お前ら、早く来なかったら飯全部食うから」

 

それを聞き終わったさんのんの行動は早かった。

そして、先に出たヴェイルよりもミカゲのご飯にありつけたのは、言うまでもない。




ミッテルト「ぜ〜ん〜力でみか〜ん成!!き〜み〜の隣で〜」

レイナーレ「サビだけ大声出すの辞めなさい……」(呆れ)

ミッテルト「(´・ω・`)」

ミカゲ「消したいくらいき〜みはき〜れいさぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

カラワーナ「……せめて、サビ以外でも自信を持とうな」

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