君死にたまふ事なかれ   作:愛染 晴翔

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介入

Fuck!あのしいたけ(食蜂)だな名前変更しやがったのは!玄野に絶対変態だと思われたじゃねぇか!一応弁解はしておいたけどミッションを重ねるごとに信憑性は減っていくだろうな…ガンツって基本的に本当のことしか書かないし…

 

心の中で悪態をつきながらセーラー服を脱ぎ、スーツに着替える。俺のだけ色が白いのは『せんてんめにゅー』で改造したからだ。多少なら形状も変更できるので、首の部分が少し下に下がって全体的にゴツい印象が取れたスタイリッシュさが押し出されたものになっている。

 

これまでは修行も兼ねて強い星人のところに優先的に送ってもらっていたから、足手まといをなくすために基本的にミッションは一人でやっていた。ゆえにスーツを着るのも無人の部屋だったから堂々と着替えられたのだが、これからは人が増えるし家で着てきた方が無難かもしれないな。

 

さて、実のところおれは原作介入に興味はない。

ならば何故玄野が来た日にこの部屋に呼ばれているのかというと(無論偶然ではない)、【鍵】の手がかりが本編にあると思ったからだ。

というのも、何年もかけて鈴科の力を使って探しているのに全く見つからないのだ。いくら形状すらわからないからと言って、日本を裏で牛耳っている鈴科が見つけられないというのはおかしすぎる。

そして俺は発想を変えた。おそらく【鍵】はまだ出現しておらず、本編と関わることで手がかりが見つかるのではないか、とそう考えた。

 

そして玄野計という人物が東京エリアの部屋に呼ばれた時、強力な星人と戦うのをやめ、俺も東京に転送するように指示したのだ。

 

予想があっているかどうかわからないが、違っていればお手上げだ。できればあっててほしいものだ。

 

 

転送され、人に見つからないように気配を消しつつ透明化を起動する。一連の動作を終えたところで確認すると、メンバーが西の嘘説明を信じて駆け出したところだった。

それにしてもガバガバだな西の説明。エール大学とかイェール大学のパチモンみたいな名前使ってるし、催眠術とかもう信じさせる気ないだろってくらい投げやりだな。

と、そんなことを考えつつ玄野と岸本を尾行する。俺というイレギュラーは加わったが概ね原作通りに事が進んでいる。

 

お、政治家の首無し死体見て引き返した。そりゃあんな不自然な死に方してれば怖くもなるよな。というか尾行する方間違えたか?原作に忠実に行くならきちんと目撃しなければいけないのはネギJr.の方だった。今更考えたところで後の祭りだが。

そして玄野が死体達とネギ星人と遭遇した。

 

玄野が岸本を置いて逃走していくのを民家の屋根をつたい追いかける。またをすり抜けたり長い階段を大ジャンプしたりとアクロバットに逃げていく。まあ初ミッションにしては度胸がある方かな。

しかし着地に失敗して転がり、ネギ星人の接近を許した。

「計ちゃん!逃げろっ!

 

「!?」

 

「早く!」

 

転んだ玄野を殺そうとするネギ星人を加藤がヘッドロックして逃げるように促す。しかし玄野は体がすくんで動けない。ネギ星人がもがいた拍子に爪が加藤の腕に引っかかり、中ほどまで切り裂かれる。

 

「ハァッ…ハァッ…ハァ…うおぉぉおおお!!」

 

玄野の興奮した精神に呼応し、スーツが人工筋肉を形成、ネギ星人の腕を掴みそのまま握りつぶさんと力を込める。

 

「やっぱ…すっ…げぇ計…ちゃん…はは」

 

加藤が瀕死のままクロノの勇姿を目撃し、子供の頃の思い出と重ねやはり玄野計は自らの憧れだと再確認する呟きを漏らす。

そしてついに、ゴキンッという嫌な音が響き、ネギ星人の両腕が折れる。

ネギ星人も最後のあがきとばかりに頭を掴むが、人工筋肉が肥大化したままの玄野に体の各所を殴られ続け、命乞いを始めた。

 

「ユルッシテ!クダ…サイ…ネギ、アゲマス!」

 

カタコトなのが同情を誘うな。ここまで弱い星人を久しく見ていなかったからなんだか懐かしい気分だ。

「もう…やめて…、やって…くれ…。もともと、俺らが…悪…」

 

加藤がこちらが先に子供を殺したのだと、玄野に伝えようとする。

しかし、肺をやられたのかうまく喋れないでいると、バチバチという音がして腕だけが出現し、Yガンがネギ星人に放たれる。

西だな。あちらからは俺の姿は見えていないだろうが、俺は見えないのにもかかわらずそこにある不自然なベクトルを感知しているため、位置、装備、体制全て把握している。

 

Yガンがネギ星人をぐるぐる巻きにし、地面に縫い止める。

そして西が透明化を解除し、玄野達の前に現れた。

 

「あ、お、おまえ!ど…どこにいたんだ!」

 

「近くにいたよ。ずっとね」

 

はーい、俺も俺も。

 

「なんとか時間内か…今回はあんたにやるよ。その銃でこいつを撃ってみろよ」

 

「撃つって…これで?」

 

「うん、それ。」

 

西が玄野に撃つように言うが、玄野も撃つとどうなるか薄々察しているため躊躇する。

 

「引き金二つとも引いてよ。」

 

腕を上げ、照準を合わせる。

 

「おい、まさか…撃ったらこいつ…」

 

「うん。死ぬよ、もちろん」

 

実際に見るとこのやり取りすごいもたついてるな。西はもっと説明するべきだし、玄野ももっと意思をはっきりするべきだ。まあ人(人?)

の生き死にがかかってるんだから気持ちはわからんでもないんだが。

 

そこからしばらく玄野と西の問答が続き、玄野が撃つのをやめる。

 

「せっかく点数ゆずってやろうと思ったのに。まァいいや」

 

なんかこのまま原作通りにネギ星人編が終わるのも微妙だな。結局変なところはなかったし俺も行動を起こしてみるべきかな?てかぶっちゃけ見てるだけとかつまんないし。介入する気はなかったけど実際に参加しちゃってるんだから記念に参加しておこう。

 

そして西がトリガーにかけた指に力を込める前に俺は透明化を解除し、ネギ星人を縦に両断した。

 

 

「は、ぁ?」

 

玄野は自分でも随分と間抜けな声を出したと思った。

だが無理もない。撃つか撃たないかの葛藤をして、殺さないと決めた直後のことだ。完全に思考が停止した。

ネギ星人が両断されたと気づいたのは拘束具ごと切られたネギ星人が地面に倒れた時だ。一瞬白い光のようなものが縦に走ったとは思ったが、それが斬撃だと気づくには速度が早すぎたし、普通斬撃というものは切った瞬間に分かれるのにもかかわらず、まるで体が切られたことに気づかなかったと言わんばかりに地面とぶつかるまでそのままの形を維持していたのだ。わかるわけがない。

 

そしてようやく思考が整理されると、場の様子が目に入る。

 

絵画のように整った幻想的な容貌の、自分のものとは違う白いスーツに白い刀のようなものを持った少女。少女相手に先ほどまで持っていたおそらく捕獲用の銃ではなく、おそらく攻撃用の自分が持っているものと同じ形状の銃を構える中坊。

二人の足元には脳漿と内臓をぶちまけるネギ星人だったもの。

先ほどあの部屋にいたメンバーの死体を見ていなければおそらく吐いていただろう。感覚が麻痺している。

 

「おい、あんた何だ。星人か?」

 

「この格好をみてメンバーだと理解できないのですか?それに臨戦態勢に入るまで約1秒。殺す気なら10回は殺せました。戦闘者としては論外ですね」

 

「この格好って…色々おかしいだろ!白いスーツなんて見たことないし、武器もだ!何なんだよ!」

 

「…そういえば東京エリアでは百点を取ったら解放を選ぶのが一般的なんでしたね。忘れてました。それと臨戦態勢のくだりは無視ですか。トリコファンとしては絶許案件ですよ」

 

知らない情報が多すぎる。なんなんだ、百点?人間なのに星人?

 

「おい!おまえら二人とも俺に説明——-」

 

「転送ですね。」

 

発言を遮られ、同時に視界が変わる。

 

「うわっ、なんだこれっ!きた時と同じか!?」

 

そして西、百合子と順に転送され、その場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

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