宇田川家の長男はいつも大変   作:深き森のペンギン

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ちょっと長編入ります。
長編といっても2、3話位ですけど。


第14話 パン屋とくじ運

「優磨~。起きて~。」

 

なんだモカか。

ってモカー!

なんでモカが部屋にいるんだ?

 

鍵は閉めたはずじゃ……

そういえば夜トイレ行ったあと鍵閉めてなかったわ。

 

やらかした。

 

「おはよう、モカ。とりあえず今日どこ行くんだ?」

 

「やまぶきベーカリーかなぁ~。まずは。」

 

「オーケー。ちょっと待っててくれ。すぐに着替えるから。」

 

「わかった~。」

 

さて、着替えて早く行くとするか。

窓からはギラギラと日差しが照りつける。

もうすぐそこまで夏がやって来たことを感じる。

 

俺は着替えてモカの所に向かった。

 

「お待たせ、モカ。」

 

「遅い~。パン5個追加ね~。」

 

「何でだよ!」

 

「じょ~だんじょ~だん。モカちゃんジョークだよ~。」

 

「冗談に聞こえねぇんだよ。まったく。」

 

モカの奴、冗談とか言ってるけど結局パン5個追加で買わされそうだ。

あ~、憂鬱だ。

 

俺も朝食のパンでも買うか。

そう思って玄関に向かう。

 

「さて、行くか。」

 

「そうだね~。しゅっぱーつ。」

 

「モカ、今日テンション高くね?」

 

「別に~。いつも通りだよ~。」

 

「そうか。」

 

やっぱり何かあるだろ、モカの奴。

いつもとテンションがまったく違う。

 

今日も商店街は人で賑わっている。

子供からご老人まで色々な人に愛されているな~。商店街は。

俺達は商店街を歩いていると、福引きが目についた。

 

「福引きやってるのか。」

 

「そうみたいだね~。」

 

「モカって福引きとかくじ運いいよな。」

 

「なんでだろうね~。」

 

そのあと、他愛ない会話をしながらやまぶきベーカリーに到着した。

モカがドアを開けた。

 

「いらっしゃいませ~って今日も夫婦仲がいいんだね。」

 

「夫婦じゃねえ!」

 

するといきなり沙綾に弄られる。

沙綾ってかなりサディスティックだよなぁ。

来る度に弄られる。

 

今日は沙綾のバンドのメンバーもいた。

 

「あ、優磨さん。こんにちは。」

 

「こんにちは、りみ。今日もチョココロネか?」

 

「はい。だって沙綾ちゃん家のチョココロネが美味しいんだもん。」

 

「確かにここのチョココロネは旨いからなぁ。俺もチョココロネが食べたくなってきた。チョココロネ買おうっと。」

 

俺がりみと話していると、モカが後ろから抱きついてきて俺の横腹をおもいっきりつねる。

 

「痛ぇ!いきなり何すんだよモカ。」

 

「別に~。なんとなく~。」

 

「なんとなくでつねられても痛いだけなんだが。」

 

俺達がこうやって話していると、りみが沙綾に話していた。

 

「沙綾ちゃん、モカちゃんって優磨さんのこと好きなの?」

 

「明らかにそうだよね。優磨君は気づいて無いみたいだけど。」

 

「え、あれで気づいて無いの?」

 

「優磨君だからね~。」

 

どうやら二人共優磨の鈍感さに呆れているようだ。

 

「沙綾~。これ会計。」

 

「モカ、今日も沢山買うね。そういえば今福引きやってて沢山買ってくれたから、福引き券もいっぱいあげるよ。」

 

「うわ、何枚あるんだそれ!」

 

何枚あるんだよ。

福引き券多すぎない?

 

これだけ引いても俺はティッシュしか貰えないんだろうけど。

俺はくじ運が悪い。

コンビニのくじとかでも応募券というなの外れしか出ない。

あんなのは当たらないし適当に混ぜてる感がひしひしと感じられる。

 

「大体10枚位だね。300円で一枚だから大体3000円ほどだね。今回の福引き、一等がグループで温泉旅行だってさ。行きたいなぁ。」

 

「確かに。温泉旅行なんてほとんど行ったこと無いしな。」

 

「じゃあ一緒に行く~?」

 

「モカ頼んだぞ。福引き。」

 

「任せて~。」

 

こうして俺達はやまぶきベーカリーをあとにして福引きの所に向かった。

 

「おお、優磨君。彼女さんと一緒に福引きかい?」

 

「違うってただの友達だ。これ、福引き券。」

 

「ありがとう。って10枚もあるのかい。そうそう、さっき巴ちゃんも3枚引いてお茶一本とティッシュ2つだったよ。」

 

「そうなのか。それにしてもお茶もあるのか?」

 

「もう売り切れだけどね。」

 

お茶とティッシュはよくでるらしい。

さて、モカは何を引くのか。

 

モカはガラガラと福引きを回す。

まずは白。

ティッシュだ。

 

「優磨~。引いていいよ。」

 

「わかった。俺も引くぜ。」

 

俺もガラガラと福引きを回す。

出たのは銅。

3等だ。

え?

3等?

 

よっしゃー!

人生で初めてこんなの引いたぞ。

 

商品はなんだろう。

 

するとおじさんがベルを鳴らした。

 

「3等出ました!」

 

そして商店街中から拍手が鳴り響く。

少し恥ずかしい。

 

「優磨君、商品はこのホームベーカリーだ。」

 

「ホームベーカリー?」

 

「これがあると、家でパンが作れるんだ。自分だけのパンをね。」

 

「へー。楽しそうだな。」

 

「じゃああと8回、頑張って!」

 

まだ8回残ってたな。そういえば。

 

「モカ、君に決めた!」

 

「おっけー。」

 

続いてモカが福引きを回す。

白が続いてラスト一回。

 

突然モカが俺に抱きついてきた。

 

「優磨の運もらうね~。」

 

「お、おう。」

 

そしてモカがラスト回す。

 

出たのは、金だった。

ということは、1等だよな?

つまり、温泉旅行だー!

 

よっしゃー!

 

「モカ、よくやった。」

 

「何言ってるの~?優磨は連れてか無いよ~。」

 

「え?嘘だろ……」

 

「嘘だよ~。優磨も一緒に行くに決まってるじゃん~。」

 

なんだろう。モカがすごく女神に見えてきた。

パンの女神かよ。

 

「ありがとう。モカ。」

 

「優磨~次何処行く?」

 

「そうだな~。モカの行きたいところで。」

 

「じゃあ優磨の家だね~。あれってトモちんじゃない?」

 

「確かに、巴だな。」

 

巴がナンパされている。

そう思ったときにはモカにホームベーカリーを渡して駆け出していた。

 

「俺の妹に何してやがる!」

 

「グハァ!」

 

男は数メートル後方に吹き飛んで行った。

死んでないよな?

 

うん。死んでない。

 

「兄さん?どうしたんだ?」

 

「大丈夫か?巴。」

 

「ああ。大丈夫だけど…あいつ、大丈夫なのか?かなり吹っ飛んでったけど。」

 

「大丈夫だろ。」

 

「優磨~。これ重い。」

 

モカは俺にホームベーカリーを渡してきた。

 

「兄さん、それどうしたんだ?」

 

「福引きで取った。」

 

「ええ!兄さんが取ったのか?」

 

「ああ。そうだけど。」

 

「温泉旅行も当たったよ~。今度の3連休一緒に行こ~。」

 

「二人共、すごすぎない?それなら早速皆に言っておこうぜ。」

 

「そうだな。」

 

俺達はパーティーに巴を加えて、皆がいるであろう羽沢珈琲店に向かった。




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