宇田川家の長男はいつも大変   作:深き森のペンギン

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第15話 旅行と冷たいミルクティー

俺達は羽沢珈琲店のドアを開けて中に入った。

 

「モカ、今日は優磨と居るって言ってたよね。どうしたの?」

 

「蘭~。さっき福引きで温泉旅行当たったんだ~。グループで使えるらしいから皆でどうかな~、って思って。」

 

「え、温泉旅行!モカ凄いじゃん!」

 

ひまりがモカの話を聞いて喜んでいる。

 

「優磨君、それ何?」

 

つぐみが俺の手に持ってる物について質問してきた。

 

「さっき福引きで取ったホームベーカリーだ。」

 

「優磨君が福引きでティッシュ以外引いたの初めてみた……。」

 

そんなに驚かなくていいだろぉ!

確かに俺のくじ運は超絶悪いけどさぁ。

さすがに現実逃避するのはやめて?

 

「今度の3連休なんだが皆行けるか?」

 

どうやら皆行けるらしい。

こうして皆行けることが確認できたので、プランを考えることにしよう。

 

「3連休の時お祭りあるらしいよ!」

 

ひまりがスマホを見ながら言った。

それにしても祭りか。

地域の風習によってはこんな時期に祭りがあってもおかしく無いだろう。

 

「祭りか。楽しそうだな。」

 

「あ、この辺り温泉街らしいよ。他にも温泉沢山あるって。」

 

「温泉街か~。きっと色々な入浴剤とか売ってるんだろうな~。」

 

「入浴剤か。確かにお土産にちょうどいいしな。」

 

「花火のジンクスだって~。このお祭りの花火を手を繋いで見た男女は結ばれるんだって!」

 

ひまりの好きそうな分野が来たな。

本当にそんなのがあるんだろうか。

 

なぜならまず手を繋ぐ関係にある以上ある程度の関係ではあるはずなんだ。

しかも花火を一緒に見て手を繋ぐなんてもう結ばれてるだろう。

 

よってこのジンクスはいささか怪しい。

 

「そうなんだ~。ひーちゃんナイス~。」

 

「頑張れよ、モカ。」

 

「モカちゃん、頑張って!」

 

何故かモカがニヤニヤしている。

それを皆が応援している。

何故か俺だけが取り残されている。

 

「どういうことだ?」

 

「別に~。優磨には関係無いし~。」

 

モカがちょっとツンツンしてる。

俺何かしたっけ?

多分これは俺が取り残されていることと深く関係していることはわかる。

だがまったくわからん。

考えない方がいいだろう。

 

「あ、そこにある神社で縁結びの神様が住んでるんだって。縁結び、といっても運命の人と出会えるって感じの意味合いだけどね。」

 

この恋愛脳が。

なんでもかんでも恋愛に結びつけているのが理解できない。

まあ本人が喜んでるならいいんじゃないかな。

 

「あとそこの神社の境内から見える夕焼けが絶景なんだって。行ってみたいなぁ。」

 

「夕焼けか。いいな。神社の境内からの夕焼けっていいよな。近くにも神社あるけど太陽の方向と真逆だからな。」

 

「確かに、近くの神社じゃ見れない景色だもんね。」

 

つぐみは神社の境内から見える夕焼けがみたいらしい。

 

「楽しみになってきたな。」

 

「そうだね~。優磨もワクワクしてるね~。」

 

そして一週間後。

旅行の日がやって来た。

 

「兄さん、起きろ!」

 

「ああ、おはよう。巴。よく眠れたか?」

 

「楽しみでそんなに眠れなかった。」

 

「俺もだ。じゃあ、俺はすぐ着替えてそっち行くから待っててくれ。」

 

「わかった。」

 

旅行が楽しみでほぼ眠れなかった。

顔でも洗って目覚ますか。

 

俺は洗面所で顔を洗い意識を完全に覚醒させる。

冷たい水が最近の猛暑日にちょうどいい。

 

今日はまだ6月の半ばだと言うのにめちゃくちゃ暑い。

だから今日はいつもより薄着で行く。

 

「お待たせ。」

 

「じゃあ行くか、兄さん。」

 

こうして俺達は集合場所である羽沢珈琲店に向かった。

大した距離じゃないのに暑い。

こういうときは、冷たいミルクティーが一番だ。

 

俺が羽沢珈琲店のドアを開けると、まだ俺達しか来ていなかった。

 

「おはよう。優磨君、巴ちゃん。」

 

「おはよう、つぐみ。」

 

「おはよう、つぐ。」

 

「喉が渇いたでしょ?冷たいミルクティーでもどう?」

 

「ありがとうございます。」

 

つぐみの母さんが気をきかせて冷たいミルクティーを持ってきてくれた。

俺はミルクティーを少し飲む。

キンキンに冷えた冷たさとミルクティーの甘さが絶妙で旨い。

 

「あ~。やっぱり暑いときは冷たいミルクティーだな。」

 

「兄さんって本当にミルクティー好きだな。」

 

「だってミルクティーが旨いんだから仕方ないだろ?」

 

「そうだな。」

 

そういって俺はもう一度ミルクティーを飲む。

何度飲んでもミルクティーが旨い。

 

「おはよう!」

 

「おはよう、ひまり。」

 

「優磨君、それ冷たいミルクティー?私もそれ飲みたい!」

 

「わかってるわよ。はい、ひまりちゃんの分。」

 

「ありがとうございます!」

 

相変わらず朝から元気だなぁ。

この暑さの中でよく元気を保っていられるな。

凄いとしか言い様が無い。

 

「あ~。美味しい。優磨君、このミルクティーすっごく美味しいね。」

 

「だろ?どんな季節でもミルクティーこそ至高!これだけは譲れない。」

 

「朝っぱらからミルクティー愛が炸裂してるね!」

 

ミルクティーこそ至高!

これが俺の座右の銘だ。

今決めたんだけど。

 

「最近コンビニのシュークリームにハマってるんだ~。あの2種類のクリームが癖になっちゃって。」

 

「わかる。シュークリームってあの中のクリームで大体決まるからなぁ。」

 

「優磨君、わかってるね~。」

 

こうしてひまりと話しているとドアが開く。

 

「皆、おはよう。」

 

「おはよう、蘭。」

 

今度は蘭がやって来た。

ちょっと髪が跳ねている。

きっとギリギリに起きて急いで来たのだろう。

 

「蘭ちゃん、髪跳ねてるよ!直してあげるね。」

 

「ありがとう。」

 

つぐみっていい子だよなぁ。

絶対にモテる。

それだけは確信した。

 

「つぐって結構モテるよな。」

 

「え、告白されたこと無いよ?巴ちゃん、よく告白されてるよね?」

 

「え、でも半分同性だぞ?」

 

巴の奴、同性にも告白されてたのか。

わかるよ、その気持ち。

俺もよく同性に告白されるから。

男同士とか絵面がヤバいだろ。

 

まあそういう趣味の人が居るのも別に自由だけどさ。

 

「わかるぜ。俺も。同性に告白されるってなんか変な感じだよな。」

 

「兄さんも分かってくれるのか!」

 

こんな話になっているとまたドアが開いた。

すると同時に俺の所に何かが飛び込んできた。

 

モカだった。

まったくいつも通りだな。

 

数年前からもうこの攻撃にはなれている。

 

「おはよう。モカ。」

 

「優磨~、おはよう。」

 

「全員集まったみたいだし、そろそろ行くか!」

 

「えいえいおー!」

 

まさにシーン、この擬音が似合う空気だった。

 

「誰かのってよぉ!」

 

お決まりのパターンである。

俺達は駅に向かって、羽沢珈琲店を後にした。

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