俺達は今電車に乗っている。
俺の隣には俺の肩に頭を乗せて眠っているモカが居る。
前と後ろでは皆が楽しそうに話している。
着くまで暇だなぁ。
それにしてもモカの幸せそうな寝顔を見ていると俺も眠たくなってきた。
でもモカって黙ってれば超絶美少女なんだよなぁ。
柔らかそうなほっぺたしてやがる。
こんな感じで色々考え事をしているといつの間にか眠ってしまった。
「ねえねえ、後ろ見てよ。」
「どうしたんだ?って兄さんとモカ、凄く幸せそうに寝てる。」
「結局この二人がお似合いなんだろうね。私もいい人見つけられるかなぁ。」
「兄さんクラスの?」
「さすがに優磨君レベルとは言わないけどさぁ。でもそれくらい格好いい人がいいかなぁ。」
「とりあえずこの二人の様子撮っとく?」
「そうだね。後で皆に見せよう!」
こうして巴とひまりに肩を寄せあって眠っている優磨とモカの姿がバッチリと撮られた。
電車は無事目的地の温泉街に到着した。
「優磨、起きて。」
蘭に起こされて俺は目覚めた。
でもモカがまだ寝ている。
どうやらさっきから起きる気配が無いらしい。
「モカ、どうすれば起きるかな?」
「優磨が耳元で囁けばいいんじゃないかな。」
「やってみる。」
俺はモカの耳元で囁くことにした。
「モカ、起きろ。着いたぞ。」
するとモカが飛び起きてモカの頭が俺の顔面にクリーンヒット。
「いってー!」
「あ、優磨~。大丈夫~?」
「ああ。大丈夫だ。」
「優磨、涙目じゃん。」
「蘭!余計なこと言うな!まったく、いきなり弄られるなんてな。」
「弄りたくなる優磨が悪い。」
「ドSか!お前もドSか!」
起きてそうそういきなり疲れまくるな。
早く温泉に癒されたい。
俺達は電車を降りて旅館に向かっていた。
「兄さん、ここめちゃくちゃ温泉があるな!」
「そうだな。俺達の泊まる旅館って何て言う旅館なんだ?」
「春風っていう旅館らしいよ。ちょうどこの温泉街で一番大きい旅館なんだって。」
「ありがとな、つぐみ。つぐみが居なかったらここで詰んでた。」
皆旅館の名前を忘れていたようで、早速先が思いやられる。
前途多難な旅行になりそうだ。
こうして俺達は旅館春風に到着した。
「お部屋はこちらになります。」
そして女将さんに部屋に案内された。
それにしてもこの女将さん、めちゃくちゃ美人だ。
するとモカに足を踏まれた。
「優磨~。今女将さんのことやらしい目で見てたよね?」
「見てねぇよ!」
「うわ~。優磨、気持ち悪。」
「蘭、だから誤解だ!」
「アハハ、やっぱり優磨君は面白いね。」
つぐみはつぐみでフォローしてくれないの?
皆辛辣だなぁ。
俺だけ扱い酷くね?
「さて、荷物も置いたしどこ行く?」
「まずはお土産買って来る?」
「そうするか。」
巴とひまりは今後の予定について話し合っていて、誰も俺をフォローしてくれない。
ただただ悲しい。
「皆もこれでいい?」
「いいよ。」
「おっけ~。」
「うん。私もそれでいいと思う。」
「ああ。俺もいいぜ。」
こうして、最初はお土産を買いに行くことになった。
「私、入浴剤見てくるね!」
「あたしも。」
つぐみと蘭は入浴剤を見に行った。
「なんだこれ?にゃーん饅頭?」
巴がにゃーん饅頭なる物を発見した。
にゃーん饅頭か。湊が喜びそうだな。あとマスターも。
マスターにはよくお世話になってるからな。
買っていくか。
「おじさん、にゃーん饅頭二つ。」
「了解。3000円になるよ。」
俺は五千円を出しておつりの2000円をもらった。
「兄さん、それ誰のお土産なんだ?」
「友達のお土産だ。」
「それって前一緒に猫カフェ行ってた人?」
「ああ。そうだ。」
「優磨君ってその人のこと好きだったりする?」
「いや、別に恋愛感情は無いかな。あくまでただの猫好きの友達ってだけだ。」
「そうなんだ。」
「あれ?モカは?」
そういえばモカがいない。
そう思って周りを見回すとどこからともなくパンが焼けるいい香りが漂ってきた。
多分そこに居る。
「あっちだろ。俺はモカを探しに行ってくるから、見つかったら連絡くれ。」
「わかった。任せたぞ、兄さん。」
「了解。」
さてさてさーて、モカはあそこのパン屋だろ。
案の定モカはパン屋の前にいた。
「モカ、探したぞ。急にいなくなるなら先に一言頼むぞ。」
「ごめん~。でも優磨なら見つけてくれるでしょ?」
「まったく、世話の焼ける奴だなぁ。モカがどこに居たって俺が見つけてやるよ。」
「ここの足湯が気持ちいいんだよね~。」
どうやらここのパン屋はただのパン屋ではなくパンを食べながら足湯が楽しめるパン屋さんだったのだ。
「どれどれ~。おお、確かに気持ちいい。あとこのクリームパンもなかなか行けるじゃないか。」
「でしょ~?」
俺達が足湯を満喫していると、前から最初に別れたつぐみと蘭が歩いてきた。
「あ、優磨君。モカちゃん、足湯?」
「ああ、そうなんだ。結構気持ちいいぞ。」
「へぇ、じゃああたしも入ろ。」
「じゃあ私も。」
結局足湯メンバーが4人に増えた。
「優磨君、他の二人は?」
「あいつらどこに居るんだ?待ってくれ、今連絡する。」
『巴、今どこだ?』
『兄さん、今はパン屋に向かってる。』
『そうなのか。ちょうどよかった。今皆でパン屋の前の足湯に居るんだ。』
『わかった。すぐに行く。』
「巴達、今からここに来るって。」
「そうなんだ。モカ、このクリームパン凄く美味しい。」
「蘭もなかなかセンスがあるねぇ~。」
確かにここのクリームパンは旨い。
クリームが甘すぎずちょうどいい優しい甘さで、足湯に浸かりながら食べるとからだが優しさで溶けそうになる。
きっとミルクティーに最高に合うんだろうなぁ。
「優磨~、今ミルクティー欲しいって思わなかった~?」
「凄いな、モカ。その通りだ。ミルクティーが欲しい。」
「優磨、ミルクティー本当に好きだね。」
「まあな。」
前から巴とひまりが歩いてきた。
「皆、ここにいたのか。」
「探したよ~。」
「ひまり、手に持ってるのはなんだ?」
「抹茶ソフトだよ!」
「ちゃっかりしてるなぁ。ここの足湯スッゲー気持ちいいから浸かれよ。」
「いいね~、足湯。温泉街に来たって感じがする!」
こうして結局皆足湯に浸かることになった。
そしてしばらく談笑していると、もう昼になった。
「そういえばもうお昼じゃん。」
「そうだな。どこ行く?」
「それならパン屋さんの向かいにお蕎麦屋さんがあるけど、そこにする?」
「皆お蕎麦でいい?」
「いいぜ。」
「俺も。」
「いいよ~。」
「うん、いいよ。」
「別にいいけど。」
「じゃあ決定~!」
俺達は足湯から出て向かいの蕎麦屋に向かった。
店内は、昔から続いている蕎麦屋感のする何処か殺風景な雰囲気だ。
すぐに注文を取りに来て、そして少し待つと、蕎麦がやって来た。
「蕎麦か~。久しぶりだな。」
「そうか?前兄さん作って無かったか?」
「ああ、思い出した。」
もうボケてるな、俺。
でも市販とは比べ物にはならないレベルで麺がツルツルと入ってくる。
やっぱり手打ちの麺は違うな。
「さすがにミルクティー欲しいとは言わないよね?」
「ああ、さすがに蕎麦にミルクティーは無いだろ。俺でもしないって。あと俺のことミルクティーのことしか考えてないような奴見たいにいうのやめろよ蘭。」
「え、違うの?」
「違う!ちゃんと他のことも考えてるからな。」
「どうせろくでもないことでしょ?」
「ち、違うからな?決してろくでもないことしか考えてないわけじゃ無いからな?」
「怪しい~。優磨っていっつも変なこと考えてるでしょ?」
「だからちげーよ!」
グルメ回にしかなってなかった。