宇田川家の長男はいつも大変   作:深き森のペンギン

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第17話 迷子と夕焼け

俺達は蕎麦を食べ終えて、店を出た。

 

「兄さん、あの蕎麦スゲー旨かったな!」

 

「あれだけ旨い蕎麦食べたの初めてだな~。」

 

確かにあの蕎麦は人生で一番旨かった。

この温泉街って意外に穴場なんだなぁ。

 

そんなに人で混んでないし。

商店街もなかなかいいところを選ぶじゃないか。

 

「優磨、いっぱい食べてたもんね。」

 

「それをいうならモカも十分食べてたろ。」

 

「ねえねえつぐ、もし優磨君とモカの子供が生まれたらすごい大食いになるよね!」

 

「確かに、二人とも凄く食べるからね。」

 

「なぁ、次どこ行く?」

 

「神社行こうよ!ここから歩きでそこそこかかるみたいだし。」

 

「そうだね。」

 

俺達の次なる目的地は少し離れた所にある縁結びの神社となった。

歩いて緩やかな山道を登っていく。

 

「優磨~、おんぶして~。」

 

「もう疲れたのか?モカ。しょうがねーな。ちょっとだけだぞ。ほら。」

 

「ありがと~。」

 

俺はモカをおぶって坂を登っていく。

それにしてもモカって軽いんだな。

 

人が乗ってる感覚があまりしねーもん。

 

「優磨って結局いっつもモカのこと甘やかしてるよね。」

 

「そうか?蘭の考えすぎだろ。」

 

「違うよ!優磨君はモカのこと甘やかしてるよ。十分。だってバイト帰りに毎回パン大量に買ってあげてるんでしょ?」

 

「甘やかしてるかなぁ?でも最近バイト帰りにこれがないと変な感じなんだ。」

 

「もうそれ末期じゃん!」

 

「でもあたしはそれでいいと思うよ~。現に今優磨におぶってもらってだいぶ楽だし~。」

 

「そりゃ楽だろ…」

 

皆優磨とモカの普段の様子に呆れている。

それとは別に皆他のことを思っていた。

 

(もう二人とも付き合えばいいじゃん……)

 

「それにしても神社まで遠くない?」

 

「確かに、徒歩で10分位って書いてあったけど…もう一時間は歩いてるよ?」

 

「つぐみ、マップ見てくれ。」

 

さすがに一時間歩いてもたどりつかないのはおかしい。

もう一度マップを見た方がいいんじゃないか、そう思った。

 

「どうしよう、携帯繋がらない……」

 

「おいおいマジかよ。これって遭難じゃないか?」

 

「どうしようどうしようどうしよう、私のせいだ…私がマップこまめに確認しなかったから。」

 

「きにすんなって。俺が皆を神社に連れてってやるよ。ミルクティーが飲めなくなるのは嫌だからな。」

 

「ふふっ、優磨君は相変わらずだね。」

 

「それにしても優磨君がいてよかった~。私達だけなら今頃皆パニックになってたよ。」

 

「兄さんって普段だらだらしてるけどこういう時頼りになるよなぁ。」

 

「とりあえずもと来た道を戻ってけばいいんじゃないか?」

 

迷ったらまずはもと来た道を戻って行けば大体帰れる。

それでも無理ならもう終わりだ。

 

こうして俺達はもと来た道を戻って行った。

 

「あれ?どっちから来たっけ?」

 

終わった。

分かれ道のどっちから来たかがわからなくなっていた。

 

あぁ、俺はもうここで死ぬのか……。

 

「この道はこっちだよ~。」

 

俺の背中の上から声がした。

どうやらさっきまで眠っていたモカが起きていたらしい。

 

なんだろう、モカがかつてなく頼もしい。

 

「モカ。ナイス。」

 

こうしてモカのいう通りに戻って行き、最初の分かれ道に戻ってくることができた。

 

「ふぅ~。長かった~。ごめんね、皆。私のせいで。」

 

「つぐは気にすんなよ。こうやって帰ってこれたんだし。」

 

「巴ちゃん……ありがとう!」

 

「優磨と巴って実際よくにてるよね。」

 

「確かに~。二人とも頼りになるからね~。」

 

「いやいや、今回のMVPはモカだからな。」

 

「ありがと~。」

 

そこからはすぐだった。

神社にはすぐ到着し、長い階段を登って境内にたどり着いた。

 

「さて、恋みくじだ~!えいえいおー!」

 

シーンとした空気が一瞬流れた。

 

「のってよぉ!」

 

ここまでがテンプレである。

俺達は恋みくじを引きに向かった。

 

「あ、今は焦らず待つべしだって。いつまで待つんだろうね。」

 

「俺のは気づいてあげなさい、だって。」

 

「優磨の、凄く当たってる。」

 

「どういうことだ?」

 

「言葉の通りだよ。」

 

気づいてあげなさいが当たってるってことは俺のことが好きな人が近くに居るとでも言いたげだな。

 

「アタシのはすぐに見つかる、だって。」

 

「何ぃ!」

 

思わずめちゃくちゃ過剰に反応してしまった。

妹離れ出来ないかわいそうな兄とは俺のことか。

 

「モカちゃん、どうだった?」

 

「もっと積極的になるべし、だって~。」

 

「私のは出会いは突然、だってさ。どんな突然なんだろうね。」

 

「モカがもっと積極的ってどうすればいいの?今でも十分積極的じゃん。気づいてない優磨君がおかしいだけだよ。」

 

「あはは、確かに。何で優磨君は気づいてないのかなぁ?」

 

「でも、すぐに気づくような優磨は好きになってないかなぁ~。」

 

「それもそうだね。まっすぐなのが優磨君だから。まぁ、よくも悪くもだけど……。」

 

皆おみくじの結果に一喜一憂していると、もう夕方になっていた。

 

「そういえば夕焼け見に来たんだよね!」

 

「忘れてた!ありがとつぐ~。」

 

「夕焼けか~。どんな景色なんだろうな。まあまだ時間あるし出店でも回ろうぜ。」

 

「賛成~。」

 

こうして俺達は出店を回ることになった。

なぜかモカが腕に抱きついてきて離れない。

 

「モカ、どうした?いきなり。」

 

「いや~、積極的になるべしって書いてあったからね~。」

 

「俺で練習してるのか。」

 

(どうしてそうなるかなぁ~。優磨は相変わらずだね~。)

 

「大体そんな感じ~。」

 

「モカ、そういえば俺今年も夏祭りで出店やるんだよね。」

 

「今年は何するの?」

 

「焼きそば。」

 

そう、俺は毎年夏祭りで出店をやっている。

チョコバナナの時もあれば、焼きそばの時もある。

年によって様々だ。

 

ちなみに去年は唐揚げだ。

小学生達に大人気だったなぁ、と去年の夏祭りを思い出す。

 

「焼きそばあるし食べようぜ。」

 

「いいね~。」

 

こうして俺達は焼きそばを買って適当な所に座っている。

出店の焼きそばって味付けが店によってかなり違うので、同じ祭りで二つ以上焼きそば店があった場合、両方購入することをおすすめする。

 

「俺達って今日食べ歩いてばっかじゃないか?」

 

「そうだね~。まあいいでしょ~。」

 

「あ、優磨君、モカ!あっちにクレープあったんだ♪」

 

「ひまり、お前も今日食べてばっかじゃないか?」

 

「何それ、優磨君も人のこと言えないじゃん!」

 

「そうだな。そろそろ夕焼けの時間帯だろ。皆探そうぜ。」

 

「そうだね。」

 

「賛成~。」

 

そして皆を見つけて、適当な所に座った。

 

「綺麗……。」

 

「確かに、絶景だなぁ。」

 

俺はこの夕焼けを忘れることは無いだろう。

あれ?食べ歩いてばっかじゃないか?

そういえば食べる以外のことをほぼしてない気がする。

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