宇田川家の長男はいつも大変   作:深き森のペンギン

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第19話 猫カフェとみかん畑

俺は風呂から上がって服を着て部屋に戻った。

皆昨夜はしゃぎ過ぎたのか、まだ眠っている。

 

モカは一人起きていて携帯を弄っていた。

 

「モカ、何してるんだ?」

 

「最近ハマってるスマホゲーだよ~。」

 

「ああ、そのゲームか。俺もやってるぞ。」

 

「知ってるよ~。前優磨のスマホに入ってたから入れたんだ~。」

 

いつみたんだ?

まったくわからない。

 

思い出したぞ!

バイトの時スマホ弄ってるとモカに後ろから抱きつかれた時に見えたんだろう。

きっとそうだ。そうだと信じたい。

まさかな?

 

「じゃあフレンドになろうぜ。」

 

「いいよ~。」

 

こうして、フレンドになったあと二人で何度かクエストをやっていると皆が起きてきた。

 

「兄さん、モカ、起きてたのか。」

 

「ああ、結構早く目が覚めてな。モカとゲームしてたんだ。」

 

「そうだったのか。」

 

巴に事情を伝えると、つぐみが話しかけてきた。

 

「皆、ここの旅館って朝お風呂に入るのがいいんだって。だから一緒に行こ?」

 

「いいな、それ。アタシは行くぜ。他の皆はどうする?」

 

「俺さっき入ったしパスで。」

 

「あたしも~。」

 

俺とモカはさっき入ったのでパスの方針だ。

そして他の皆が風呂場に向かう。

 

よって部屋に残されたのは俺達二人だけだ。

モカが寝転んでゲームしている俺の上に乗ってきた。

 

「優磨~、暇だし飲み物でも買いにいこ~。」

 

「ナイスアイデア、モカ。俺ちょうどミルクティーが飲みたかったんだ。」

 

こうして俺達は部屋を出てすぐそこにある自販機に向かう。

俺はミルクティーを購入し、モカの方を見るとモカもミルクティーを買っていた。

 

「モカもミルクティーか?」

 

「うん。そんな気分なんだ~。」

 

モカはミルクティーのペットボトルのキャップを開けて飲み始めた。

少し濡れた髪と露出している白いうなじに少しドキッとする。

 

あれ?モカってこんな色っぽかったっけ?

最近モカのことを少し意識してしまう。

 

「さて、俺もミルクティー飲むか。なにげに本日初ミルクティーだなぁ。」

 

「じゃあ今日の初キス~」

 

モカに急にキスされる。

 

「優磨のミルクティー、こっちのミルクティーより美味しい~。優磨も混じってるからかなぁ~。」

 

少したじろいでしまう。

最近モカのこういった悪ふざけにもいつもとは違う反応をしてしまう。

自分が自分じゃないみたいだ。

 

「優磨~、照れてる~。かわいい~。」

 

「か、かわいくねーって!」

 

「かわいいなぁ~、優磨は~。」

 

「だからかわいくねー!」

 

こうしてからかわれるのがいつものテンプレート。

テンプレート通りの会話に自分の先ほどまでの感情が嘘みたいに感じる。

 

そして皆が帰ってきた。

 

「優磨、モカ。二人きりになったらイチャイチャしてたの?」

 

「イチャイチャしてねーからな!絶対。」

 

蘭にまたからかわれる。

俺、からかわれすぎじゃね?

 

「皆、今日どこ行くんだ?」

 

「観光、かな。神社の方向の反対側にも色々あるみたいだし。」

 

「じゃあそうするか。てことで朝食だ。何か食べに行こうぜ。」

 

「そうだね。」

 

こうして俺達は朝食を探しに温泉街に出た。

 

「カフェだって!猫カフェがあるよ!」

 

「いいな、猫カフェ。」

 

「猫カフェ、か。そういえばあんまり来たこと無いね。」

 

俺はしょっちゅう来てるけどな。

マスターが面白い人で、あと猫のモカがかわいすぎることからよく通っている。

 

ここの猫カフェにはどんな猫が住んでいるのか。

楽しみだなぁ。

 

俺達は猫カフェに入る。

中には沢山の猫がのびのびと遊んでいる。

 

あぁ~、凄く癒される。

 

「うわ~、すっごくかわいい。」

 

つぐみもかなり喜んでいる。

確かに猫がのびのびしている姿はとても癒される。

 

俺達はまず注文を済ませて猫と戯れる。

猫が膝に乗ってきた。

 

人懐っこい猫だなぁ。

そう思って猫を撫でていると、気の抜けた欠伸をした。

その様子がとても愛くるしかった。

 

俺が猫と戯れていると、ミルクティーがやってきた。

 

「優磨~、ミルクティーばっかりだねぇ~。」

 

ミルクティーはやっぱり旨い。

そうやってミルクティーを飲んでいると、モカが少し呆れぎみに話しかけてくる。

膝の上の猫はミルクティーの甘い香りにつられたのか、目を開けて俺の方を凝視してくる。

 

「ミルクティーが旨いのが悪い。」

 

俺は膝の上の猫を撫でると、モカの発言を返した。

猫って何でこんなにかわいいんだろうな。

 

その他にも、トーストが運ばれてきて俺達はモーニングを堪能する。

ここのカフェはモーニングには珍しく、みかんのゼリーがあった。

 

「この辺りでは、みかんが多く作られていて、私も小さい頃からみかん畑を走り回っていたな~。」

 

みかんのゼリーに疑問を感じていると、美人な店主がその理由を教えてくれた。

見た目は大体二十代後半辺りだろうか。

 

奥の厨房を見ると、爽やかそうな男性が料理をしていた。

夫婦だろうか。

二人でのどかな温泉街でカフェを営んでいる、か~。

いいなぁ。それ。

 

俺達はカフェを後にして、みかん畑を見に向かった。

この温泉街は山の方にあって、山を少し登ると大きな神社があり、少し麓に降りると駅があってその向こうにみかん畑が広がっている。

 

「広いね。このみかん畑。」

 

「そうだなぁ。みかん畑って俺初めて見たぜ!」

 

俺はこの壮大なみかん畑に心を奪われていた。

照りつける日差しを浴びるみかんの木が、キラキラと輝いていた。

 

「あら、君たち。見学かい?よかったらみかん一ついるかい?」

 

「ありがとうございます。ここのみかん畑、どれくらいやってるんですか?」

 

俺は話しかけてきたおばあさんにみかん畑について聞いた。

皆も、貰ったみかんを食べながらおばあさんの話をきく。

 

「ここは私が父親から譲り受けて、かれこれ百年位かなぁ。もう年なもんで正確じゃあ無いけどね。」

 

「百年!?スゲー…」

 

このみかん畑が百年もの間この美しい景色を保っていることが凄く長い年月を感じた。

 

「君たちは今日の祭り、行くのかい?」

 

「今日もあったんですか?」

 

「そうとも。むしろ今日が本番さ。今日は花火が上がるんだ。あたしゃこの花火をあと20回は見るんだからね。」

 

さっきの百年発言から、このおばあさんは大体70から80歳といった辺りだろう。

それであと20回見るってことはこのおばあさんの百歳まで生きるという強い意思を感じた。

 

「そこのお嬢ちゃん、頑張りなよ。」

 

おばあさんはそうモカに言い残してみかん畑の奥に去っていった。

 

「優磨~、今日のお祭り、楽しみだね~。」

 

「そうだな。じゃあ一緒に回ろうぜ。」

 

「賛成~。」

 

今日の祭りに、何かを期待しながら、壮大なみかん畑に心を馳せる。

おばあさんも楽しみなその花火を見てみよう、と思って今日の祭りを楽しみにしていた。

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