ご注意下さい。
今日は土曜日。
休日だが、今日は午前中はバイトである。
「モカ、おはよう。」
「優磨~。おはよ~。」
俺はバイト仲間で幼馴染みであるモカに挨拶する。
「優磨の背中やっぱ広くてあったか~い。もう寝て良い?」
モカは小さい頃から会うたびに背中に抱きついてくる。
モカ曰く、俺の背中は広くて暖かいんだとか。
今から仕事だというのにもう寝るとか言い出した。
「さすがに起きろよ!今からバイトだぞ!」
「分かってるよ~。じょーだんじょーだん。」
「冗談に聞こえねぇんだよ、モカの場合。」
「優磨~。終わったらパン奢って?」
「今日もかよ。分かったから早く離れてくれ。」
「やった~。言質取ったからね~?」
クソ、いっつもこれだ。
モカにパンを奢る。
響き的にあまり出費は少なそうな響きだが、モカの場合はまったく違う。
モカはその細い体のどこに入っているのかわからないレベルでパンを大量に食べる。
つまり、俺の財布が大分消し飛ぶのである。
俺のバイト代の半分はモカのパンに吸い込まれる。
こうして、憂鬱なバイトが始まった。
少しして、レジにスッゲー美人がプリペイドカードを持ってやって来た。
金額は1万円。
そこそこ高い金額だが、それよりもこの美人の容姿に目がいく。
なにこの人。めちゃくちゃかわいい。
でも、俺は今只のコンビニの店員だ。
動じるな。
家には二人の天使がいるだろ。
それにいつも耐えて居るんだ。
俺ならできる。
いや、耐えきる。
時間にして数秒の出来事だったが、体感的に数分の出来事だったように感じる。
それにしても、可愛かったな~。あの人。
「優磨、さっきあの女の人に見とれてたよね~。トモちんに報告しとこ~。」
「やめろ!それだけはやめてくれ。巴に殺される。」
「止めて欲しかったら、わかるよね~。」
「分かった。パンだろう?好きなだけ買え。それだけで命が助かるのならな。」
巴を切れさせると母さんのように怖い。
モカの事だから俺が美人ナンパしてたみたいに話を盛るんだろう。
ボーッとしているが実際かなりの切れ者なのがモカだ。
それに加え、考えが読めない。
サヨナラ、俺の所持金。
こうして、憂鬱なるバイトの時間が終った。
そして今やまぶきベーカリーに向かっている。
モカと一緒に。
あぁ、俺の所持金。達者でな。
「苦労してるね、優磨君。」
「ああ、俺の心はバッキバキに折れてる。モカの奴、容赦なく人のバイト代でパンを買い漁りやがって。」
「優磨君には特別にモカに奢った分のパンもポイントつけとくよ?」
「ああ、頼む。ありがとな、沙綾。こんな風に優しくしてくれるには沙綾くらいだよ。」
少し救われたが結果的に所持金が吹っ飛んだ。
俺は今モカと別れて家に向かっている。
すると、路地裏で女の子がナンパされているのが視界に写った。
ナンパされていたにはさっきの美人だった。
即座に助けようとしたが、男の態度が何処かおどおどしていて少し様子を見ようと思った。
「お、おい!あの~、俺と水族館にペンギン見に行きませんか…行かねぇか?」
なんだコイツ。ナンパ素人でもこんな誘いかたしねぇぞ。
なんだよペンギン見に行きませんか?って。
1人で行けよ。
すると、もう片方の路地からその男の親玉みたいな男がやって来た。
「おい!なんだよその誘いかたは!ふざけてんのか?」
親玉が男の顔をおもいっきり殴った。
クズめ。仲間じゃねぇのかよ。
さてと、雲行きが怪しくなってきたので俺も参戦しますか。
「仲間じゃねぇのかよこのクズ野郎!」
俺はいきなり親玉にドロップキックを繰り出した。
親玉はかなり吹っ飛んでいった。
「ヒィ!」
男が逃げ出した。
「逃げてんじゃねぇぞゴラァ!!」
俺は男に後ろからカンフーキックを繰り出す。
「あの…助けて頂き、ありがとうございました。私達、何処かで会ったこと…ありましたっけ?」
これには感激。
まさか俺の事覚えててくれてたなんて。
「ああ、貴女はさっきコンビニにいませんでした?」
「やっぱり…店員さんでしたか。」
「こんな路地使って、どこ行こうとしてたの?」
この路地は住宅街に一番早く抜けられる近道だ。
でもこんな美人小さい頃から住んでて家の近所じゃ見たことがない。
しかも見た目は同年代だろうか。
同年代ならなおさらだ。
別に行き先があったとしてもこの先には住宅街しかない。
だからこの美人の行き先がわからない。
「友達の…家です。この道が一番…近いので。」
「そうなのか。俺は家に帰る途中だったんだ。もしよかったら、近くまで護衛しようか?方向同じだし。君もあんなことがあったあとじゃ、ちょっと怖いだろう?」
「それじゃあ、お願い…します。」
こうして、美人を護衛するというミッションが始まった。
「友達ってどんな人なの?」
「えっと、凄く…一緒にいて楽しいんです。」
「そうなんだ。同い年?」
「いえ、二個下です。」
「そうなんだ。俺の妹もそれくらいの年なんだ。」
「そうなん…ですか。どんな人なんですか?」
「うちの妹はめちゃくちゃかわいいんだ。この前も一緒にゲーム買いに行ってその時凄いテンションで、一緒にいると楽しいんだ。」
(あれ?この前あこちゃんがお兄さんとゲーム買いに行ったって…気のせい、だよね。)
「仲…良いんですね。」
「まあな。友達の家ってもうちょい先?」
「いえ、ここです。」
マジ?ここ俺んちなんだけど。
そういえばあこが今日友達が来るって言ってたよな。
まさかこの美人だったとは。
「そうなのか。ここ俺んちなんだけどな。まさか……友達ってあこじゃない?」
「そう…ですけど。まさかあなたが、あこちゃんの言ってたお兄さん?」
「そうみたいだな。とりあえず、入ろうぜ。」
こうして、俺達は家に入った。
「おーい!あこ。友達来てるぞ?」
すぐ行くから待っててーっと上から声が聞こえる。
「じゃあ、上がって待ってて。」
俺は美人を家に上げた。
するとあこはすぐにやって来た。
「りんりん!来てくれてありがとう!上行こ?」
「あこ~。後でお茶とお菓子持ってくけど、要るか?」
「お兄ちゃんありがとう!お願いね。」
こうして、二人はあこの部屋に向かった。
さて、あこの友達が来るなんて珍しいな。
家にいてもやることないし、クッキーでも焼いて持ってくか。
それから少し経って、クッキーが焼き上がった。
俺はあこの部屋に焼き上がったクッキーと紅茶を持って行った。
「あこ~。開けるぞ?」
いいよ~っと声が聞こえたので、ドアを開けて部屋に入った。
「お兄ちゃん、クッキー焼いてくれたの?あこ、お兄ちゃんの焼いたクッキー大好き!」
「お菓子作り…好きなんですか?」
「ああ、お菓子作りは結構するよ。」
「そうなんですか。意外…ですね。」
よく言われる。
趣味でお菓子作りっていうと意外ってめちゃくちゃ言われる。
和人曰く、厳つい俺がお菓子作りしてる姿が想像出来ないんだとか。
趣味に外見は関係無いだろう。
俺はそう言いたい。
でも、今日はモカに金を巻き上げられたが、あこの喜ぶ顔が見れて嬉しかった1日だった。
次回、あの幼馴染み達メイン回です。