俺は今暇潰しに外を散歩している。
急にミルクティーが飲みたくなったので自販機を探して公園までやって来た。
俺は自販機に金を入れてミルクティーのボタンをおす。
するとミルクティーが自販機から自販機特有のカラカラとした音を立てて出てきた。
そしてミルクティーを取り出し、缶の蓋を開ける。
ミルクティーの甘い香りが鼻腔をくすぐる。
そう、この香りだ。
この香りを嗅ぐと、心が休まる。
そのままミルクティーを少しのみ、ミルクティーの甘い香りが口内にも広がった。
こうして公園でのティータイムを楽しんでいると、かわいい来客が現れた。
野良猫である。
この猫は俺の足に頭をすり付けて、俺が猫の方を向くと、にゃーんと可愛く鳴いた。
かわいい。
俺は動物や小さい子どもによく好かれることがある。
親戚の集まりでは子どもの面倒は基本的に俺が見ている。
なぜなら、子ども達の方から俺の方に寄ってくるからだ。
俺は猫を抱き上げ膝の上に乗せる。
猫はリラックスしているようで、すぐに丸くなって眠り始めた。
なんというか、モカみたいだな。
そういえば小さい頃も何故かあの中ではモカがすぐになついたなぁ、と昔を少し懐かしむ。
口の中のミルクティーの甘味と、膝の上で眠る猫に昔のほっこりする記憶。
春特有のポカポカとした陽気も相まって俺も眠くなってきた。
その時だった。
猫の軍団と戯れている同級生を発見したのは。
同級生が猫と戯れていることくらい大したことでは無い。
その同級生のイメージからは想像がつかないことに驚いた。
その同級生は「孤高の歌姫」と言われるレベルでクールビューティーが似合う。
そんな奴だった。
少し気になって様子を観察することにした。
「にゃーん」
なにやら猫語で猫に話しかけているようだ。
こうして見ると、湊も大分かわいいな。
これまで少しツンツンしたオーラが漂っていたため、あまり意識したことが無かったが、あらためて見ると大分かわいかった。
すると、湊がこちらに気づいたようでこちらに向かってきた。
「貴方、猫が好きなの?」
「ああ、猫というか、動物全般は基本的に好きだぜ。」
「その子、よくここに居るんだけど人になついているのを見たことがないわ。貴方、何者なの?」
「何者って、大げさだなぁ。俺はただの高校生さ。ただ動物に好かれやすいだけだ。」
「それってただの高校生じゃ無いんじゃ?」
「そういえばそうなるな。訂正する。俺は動物に好かれやすいだけの高校生さ。」
「ふふっ、貴方面白いのね。何処かで会ったことある?」
「酷いなぁ。同級生じゃないか。因みに1年の時同じクラスだったし。まあいいや。改めて自己紹介するぜ。俺は宇田川優磨、よろしく。」
「湊友希那よ。よろしく。」
「湊ってこの公園、よく来るのか?」
「ええ、よく来るわ。猫達と戯れにだけど。」
「そうなのか。俺は散歩しててたまたまここにたどり着いただけだ。」
「たどり着いたって、放浪でもしてたの?」
放浪、か~。
ニュアンスでいえばだいたいそんな感じかなぁ。
俺は心の赴くままに行動しててたまたまたどり着いた。
これは放浪だろう。
たまには、放浪も良いじゃないか。
「湊って良いセンスしてるなぁ。作詞出来るんじゃない?」
「作詞、か。確かにね。貴方、今から予定ある?」
「無いけど。どうしてだ?」
「今から、気になっている猫カフェがあるんだけど一緒にどうかしら?」
猫カフェ、か。いいな、それ。癒されるなぁ。
「ああ、いいぜ。俺も暇だしな。」
「そう、じゃあ行きましょう。」
俺は膝の上に乗っている猫を下ろし、立ち上がった。
すると猫は起きて何処かに走り去っていった。
俺は今湊と一緒に猫カフェに向かう。
その道には商店街がある。
商店街のとある喫茶店、羽沢珈琲店に集まっていた5人の目に美女と一緒に歩く優磨が写った。
「ねえねえ、あれって優磨君じゃない?」
「本当だ。兄さんじゃん。ってモカ?なんだその黒いオーラは。」
「別に~。優磨、あたし達に隠れて彼女作ってるなんてなんとも思ってないけど~?」
「いやいやおもいっきり言っちゃってるじゃん。それ。」
「モカ、どうする?着けるなら今のうちだよ?」
「行く。」
こうして、つぐみはまだ仕事があるため参加できず、4人で優磨をつけることになった。
「あれ?あの二人駅の方向かってくぜ?」
「このまま行くよ~、トモちん。」
「おお、いつになくモカが本気だ。」
「モカって優磨のこと好きすぎない?」
俺は湊と一緒に電車に乗った。
尾行は4人か。
多分商店街歩いてるとつぐみのとこで見つかって興味本位に仕事以外の皆がつけてきてるって感じか。
まぁ、別にやましいことはしてないので撒く必要は無いんだけど。
なんだか見られてると少し恥ずかしい。
こうしているうちにも電車は目的の駅にたどり着いた。
「湊、行こうか。」
「ええ。」
俺達は電車を降りて猫カフェに向かう。
楽しみだ。猫カフェってどんなところなのだろうか。
そういった期待で胸がいっぱいだ。
「ここよ。」
「ここが湊の言ってた猫カフェか。いかにも猫カフェって感じの店だな。」
猫カフェの看板にはかわいらしい猫のオブジェがある。
俺達は猫カフェに入店した。
「先に猫と戯れようかしら。」
「そうだな。」
少し遅れて、モカ達も猫カフェに入店する。
「優磨達、ここにはいったんだよね。ここ、猫カフェだけど。」
「そうみたいだな。あ、兄さんだ。それにしても兄さんの膝の上にいる猫ってモカみたいじゃないか?」
「あ、本当だ!かわいい~。この猫も可愛いよ?」
そう言ってひまりが自分の膝の上の猫を指す。
「SNSにあげよ~っと。」
「相変わらずだな、ひまりは。」
俺の膝で寝ている猫がなんだかモカみたいだ。
毛色とかがモカの髪色にそっくりだ。
なんだかのんびりしている所とかもモカっぽい。
そう考えると、モカが可愛く思えてきた。
いつもパンを奢らされたり背中で寝られたりなど散々な目にあっているが、モカも俺の日常において大事なパーツになっていることに改めて気づかされる。
「モカもやっぱり可愛いんだなぁ。」
「モカって彼女さん?」
「違うよ。友達だぜ、モカは。」
「そう、この猫に似てるの?」
「ああ。こうやってのんびりしている所とかがそっくりだ。」
この優磨の様子を見ていたモカに異変が起こった。
「どうした?モカ。急にニコニコしだしたけど。まさか兄さんの今の発言がうれしかったのか?」
「そんな感じ~。えへへ~。」
こうして俺は楽しかった猫カフェを後にして、帰宅した。
次の日から、モカの機嫌が直ったみたいで、バイト帰りにまたパンを奢らされた。
友希那回だと思った?
残念モカ回なんだよなぁ。
次回は学生であるかぎり避けられないアレで色々あります。