何か毎回言ってる気がするけど。
学生にとって避けられないアレ、といえば皆さんは分かるだろうか。
そう、アレである。
テストだ。
俺は勉強は出来ない訳じゃない。
むしろ出来る部類には入る。
学年でトップ10には毎回入るくらいには出来る。
今回もいつも通りやればいい、そう思っていた。
この中間テストは、普段とは違う男子高校生の煩悩にまみれたものとなった。
その経緯を追っていこう。
本日は中間テストの範囲が発表される日だ。
まぁテスト範囲のわからない部分をしっかり勉強すればいいだろう。
すると日菜が後ろから抱きついてきた。
「優磨君、今回のテスト勝負しよ~!」
「何が目的だ?」
日菜のことだ。また何か企んでいるんだろう。
「酷いなぁ、勝負くらいいいでしょ?」
「そこまで言うなら、別にいいぜ。」
「じゃあ、負けた方が勝った方のお願いを何でも一つ聞くってことでいい?」
「おい!お前俺を合法的にこき使うつもりじゃないだろうな?」
「でも、優磨君が勝った場合あたしが何でも言うこと聞いてあげるよ?」
今、何でもって言った?
流石にエロい事などはダメだろう。
日菜が俺の耳元で囁く。
「えっちな事でも良いんだよ?」
ほう、その発言。後悔するんじゃあねぇぞ!
「わかった。日菜、俺は絶対にお前に勝つ。あとから後悔しても知らねえからな。」
「あたしも負けないよ?」
「望む所だ。」
こうして、俺の欲望のために猛勉強をするという奇妙な日々が始まった。
「優磨が…授業中起きてるなんて…。」
「どうした?リサ。そんな驚いた顔して。」
「優磨が授業中起きてるのが珍しいなぁって思って。」
「俺は今回のテストで1位を取る。だから今猛勉強してるんだ。」
「そうなんだ。じゃあ、頑張ってね!」
「オーケー。」
自宅にて。
「兄さん、ご飯持ってきたけど……ってまだ勉強してるのか?兄さんに何があったんだ?」
「お兄ちゃん、ここ最近勉強ばっかりしてる。あと常にすごいオーラ出してる。カッコいい!」
コンビニにて。
「優磨~。最近勉強ばっかりしてるって聞いたけど何が目的なの?」
「俺には勝たなければいけない相手がいるんだ。今回は絶対に負けられない。」
「優磨~。アツいですなぁ~。」
こうして、周りの皆が優磨の猛勉強に疑問を持ち始める。
「ヒナ、優磨になに言ったの?」
「あたしは勝負しよ~って言っただけだよ?あと負けたら勝った方の言うことを聞くってことも言ったけど。」
「だからか。どうせ優磨の事だからろくでもないことヒナに命令しようとしてるんでしょ。ヒナも気をつけた方がいいよ。今の優磨はちょっと、いや、大分変だから。」
「わかった!」
二人の会話などは全く耳に入らず一心不乱に勉強をする優磨の脳内には、今日菜にどんなエロい事を命令するかがほとんどを占めている。
1日学校で勉強し、家でも勉強。
バイトもこなし、寝ても覚めても勉強。
優磨の睡眠時間はかなり削られている。
「優磨君、大丈夫?目の下クマ出来てるけど。」
「安心しろ、日菜。俺は大丈夫だ。」
「大丈夫じゃないでしょ!」
「どうした?」
「だって優磨君っていっつも妹の事しか考えてないシスコン野郎なのに今は妹の事も考えられて無いでしょ?」
「そういえば、そうだな。そうだ!最近体がだるいと思ったら妹成分を摂取してないからだ。ありがとう、日菜。お前のお陰だ。」
「待って、優磨君!って行っちゃった……。あたし、まさかとんでもないこと言っちゃったかな?」
優磨はすぐに屋上に向かった。
今屋上ではAfterglowメンバーが昼食を食べている。
「優磨君、どうしたの?」
「あ、そういえば兄さん弁当忘れてたぞ。」
優磨は弁当を巴に渡される。
「ありがとう、巴。ちょっと近くに来てくれ。」
巴は優磨に近寄る。
すると優磨は巴を抱き寄せた。
「いきなりどうしたんだ?兄さん//。」
「ありがとう、ようやく正気を取り戻せた。それと弁当持ってきてくれてありがとな。じゃあ。」
「行っちゃった…。」
俺は大事な事を思い出した。
俺は日菜に言わなければいけないことがあったんだった。
欲望ってコエーな。
人から正気を奪い取るなんてな。
まあいい、俺は中間テストで日菜に勝ってやる。
話はそれからだ。
「優磨君、どこ行ってたの?」
「ああ、屋上で妹から弁当もらってきた。俺朝弁当忘れちゃってな。」
「もう、言ってくれたらあたしの弁当あーんしてあげるのに。」
「日菜言わなくてもあーんして来るじゃん。」
「そうだったね。じゃあ、あーん。あーんしてよ。優磨君!」
「全く、やれやれだぜ。あーん。」
クラス中から注目浴びるから止めてくれないかなぁ。
いっつもやられると流石に恥ずかしい。
俺が正気を取り戻した翌日。
中間テストの日がやって来た。
ついに勝負の日だ。
テストが配られる。
問題はこれまでの猛勉強のお陰か、全く難しくなかった。
勝った。という手応えすらあった。
そして本日、テストがすべて返される。
結果は数学の最後の問題は学年で誰も解けず、それ以外はすべて合っていた。
「日菜。どうだった?」
「優磨君のは?」
俺はテストの用紙を日菜に見せる。
「負けちゃった。じゃあ放課後天文部の部室ね。」
「オーケー。」
こうして放課後、俺は天文部の部室に向かうことにした。
部室のドアを開けると、日菜が椅子に座って待っていた。
「日菜、待たせたな。」
「優磨君、ちょっと良いかな?」
「ああ、言いたいことがあるのか。なら先に頼む。」
すると日菜は俺に近づいてきて少し背伸びした。
この行動の意味を理解した頃にはもう遅かった。
俺の唇を日菜の唇が塞いでいた。
ただしそれも一瞬。
「優磨君のことが好き、あたしと付き合って?」
日菜に告白された。
ただし日菜のことは友達だと思っていて、それ以上でも以下でもない。
仮に付き合ったとしても片方が好きなだけだと最後はどちらかが苦しむことになるのがオチだ。
「ごめんな、日菜。それには応えられない。」
「え?」
「言いたいことはそれだけか?」
「優磨君、ひどいよ!なにその言い方。人がこうやって言ったのにそんな言い方。」
そうなると俺からのお願いはこれだけだ。
「で、ここからが俺からのお願いだ。日菜、俺とこれからも最高の友達で居てくれ。」
日菜は涙を浮かべて、弱々しい声で言った。
「優磨君はずるいよ…そんなの、もっと好きになっちゃうじゃん。諦めないから。」
日菜は俺の胸元にもたれ掛かって、小さく嗚咽を漏らして、俺の制服を濡らした。
その様子を見てしまった者がいた。
(あれって優磨君だよね、まさか今告白されてたの?どうしようどうしよう。)
ひまりはちょうど優磨達の姿を見てしまい、一人狼狽えるのであった。
これがこれからの物語にどう影響するかは、彼ら次第である。
この煩悩にまみれた中間テスト。
実際終わってみると、これだけ勉強したのも、いい思い出になるのかなぁ、とそう思った。
UAやお気に入りがかなり増えててビックリしました。
昨日も日間ランキングで5位だったので、これからも頑張っていきたいです。
お気に入り100を達成できたのも、皆さんのお陰です。
これからも、この作品をよろしくお願いします!