「うぅ~、どうしよう。優磨君さっき告白されてて女の人と抱き合ってたよね。これって優磨君に彼女がいるってことなのかな~。」
「へ~、その話、よく聞かせて?ひーちゃん。」
ひまりが悩んでいると、急に後ろから声をかけられた。
「モカ!いつからそこに?」
「優磨が遅かったから探してたんだ~。」
「そうなんだ。今日バイトなの?」
「うん。優磨もいっしょ~。えへへ~。」
「モカ、本当に優磨君のこと大好きだね~。」
「うん。小さい頃から将来の夢は優磨のお嫁さんだからね~。」
「じゃあ、今から話すから着いてきて。」
こうして、二人は教室に向かった。
「さっき部室に用事があって行ってたんだけど、天文部の前から声が聞こえてきて優磨君が女の人に告白されてたんだ。で、その後抱き合ってたから二人は付き合ってるんじゃないか、って思って。」
「そうなんだ~。モカちゃんに作戦があるんだ~。」
「どんな作戦なの?教えて教えて!」
モカはひまりに耳打ちした。
この耳打ちで、また優磨に災難が降りかかることになることを、優磨はまだ知らない。
翌日。
寝起き特有のフワフワとした感覚から、意識を覚醒させていく。
体を起こそうとすると、体の上になにかが乗っかっていることに気づいた。
「やっと起きたね~、優磨~。」
「なんでモカが俺の上に居るんだ?」
「なんでって今日優磨はモカちゃんと遊ぶからだよ~?」
そんな約束をした覚えはない。
となるとモカが勝手に言っているという事だろう。
「そんな約束したか?」
「してないよ~。もしかして彼女とデートにでも行くの~?」
彼女?なんのことだ?モカの冗談だろう。
「ちげーよ、何の予定もねぇよ。」
「じゃあ遊びに行けるね~。どこ行く?」
「行くなんて誰も言ってねぇだろ。まず俺の話をきいてくれ。」
モカのペースに持っていかれると最終的にモカの思い通りになっていることがしばしばある。
だからまずは俺のペースに持ち込む。
「俺は予定は無いが外に出る気分も無い。だから今日はごめんな、モカ。」
「じゃああたしも優磨とだらだらする~。」
モカの奴、意地でも俺と遊ぶ気らしい。
こうなったらこうするしかない。
「モカ、お休み。」
必殺、『二度寝』。
この必殺技はもう一度夢の世界に戻れる上に暇な休日を有意義に使うことができる最強の必殺技だ。
「優磨の背中あったか~い。」
モカが布団に入り込み、俺の背中に抱きついている。
背中にあたる感触が俺の理性を奪っていく。
落ち着け、相手はモカだ。
モカに欲情して襲ってしまったとなったら俺の人生は完全に終了する。
まず巴に嫌われる。
周りに変態の烙印を押される。
国家権力のお世話になる。
周りに変態の烙印を押されようが何度国家権力のお世話になろうが巴に嫌われることだけは絶対に嫌だ。
妹に嫌われれば俺は何度でも死ねる。
まさに切腹ものだ。
「今トモちんのこと考えてたでしょ~。今日はモカちゃん以外のこと考えるの禁止だからね~。」
「そんな無茶なこと言うなよ。好きでもない男に一日中自分のこと考えられるのって気持ち悪くないか?」
「全然、優磨ならいいよ~。むしろもっと考えて欲しいってくらいかな~。」
何言ってんのモカ。それだとモカが俺のこと好きみたいじゃないか。
結局その気にさせといて違いますってパターンだろ、知ってんだよ。
「そうか。なら俺は今日一日中モカのことしか考えない。ただしモカの頭の先から足の先まで余すことなく考え尽くしてやる。」
モカのすべてを今日知り尽くしてやる。
こうして何とかモカの弱みを見つけて形成逆転といこうじゃないか。
「嬉しい~。考えるだけで満足~?」
「今のところはな。」
「触ってもいいんだよ?」
え、マジですか?合法的に触れるだと、これは合意の上だよな?後から訴えられたりしないよな?
よし、後悔するんじゃあねえぞ。
合法的にモカの体をさわりまくってやる。
「言質とったぞ。それじゃあ、いくからな?」
俺はとりあえずモカの体を抱き締める。
スゲーいい匂いする。
あと、めちゃくちゃ柔らかい。
ヤバい、理性がどんどん削られていく。
何とか耐えるんだ。俺。
「優磨~、いつもと逆だね?もっとぎゅーってしてもいいよ~。」
「じゃあ、遠慮なく。」
俺は腕の力を少し強める。
体が密着する。
柔らかさといい匂いをかなり強く感じる。
もう理性はほとんど残ってない。
今すぐにでもモカを襲ってしまいそうだ。
それだけは避けたい。
なんとしてでも。
「優磨っていい匂いするよね~。なんだか安心する~。」
「モカの匂いもスゲーいい匂いだぞ。なんというか、心がフワフワする匂いだ。」
「ありがと~。じゃあお礼にもっとぎゅーってしてあげる~。」
今度はモカから抱きつく力を強めた。
柔らかいものの形が変わる感触が伝わってくる。
これでまた理性を削られる。
もう意識を保っているのも精一杯だ。
気づいたら俺はモカの服の中に手を入れてしまっていた。
「優磨も欲しがりさんだな~。いいよ、触っても。」
「じゃあ、遠慮なくいくからな。」
俺はモカの胸を揉み始める。
すごく柔らかい。
いつまでも触っていられる。
モカの肌がスベスベしていてそれもまた興奮を駆り立てる。
この至福の一時も束の間、俺の部屋のドアが勢いよく開く。
そして布団が勢いよく剥がされる。
「兄さん、まさかモカをベッドに連れ込んでこんなことしてたなんてな。どうやら本気で殴られたいらしいな。」
「い、嫌これは、合意の上でありまして……」
そんな言葉に耳を貸してもらえるはずもなく、俺は巴におもいっきり殴られた。
そして気を失った。
「モカ、大丈夫か?あの変態に他になにかされてないか?」
「ちぇ~。あとちょっとだったのに。」
「まさか、モカの合意が本当にあったのか?」
「うん。」
「ごめんな、モカ。気づいたら兄さんぶっとばしてた。まぁ、兄さんだしすぐ起きるだろ。」
「優磨も寝ちゃってるし、トモちん遊ぼっか~。」
「そうだな。何する?」
こうして、二人は優磨の部屋を後にした。
優磨の部屋に残っていたのは、気絶した優磨がベッドの横に倒れていたことだけだった。
そんなことを気にするそぶりもなく、モカと巴は楽しく遊んでいた。