さぁ、復讐を始めよう 作:ぷーある
感想はちゃんと読んでるからね、ありがとうよ!
バイオ2怖いよって話。
割かし内容書いてるので知りたくないよ興味ないよって方はそこだけ飛ばしてもおっけー。
怪盗4
「ギン、お腹空いた」
「それさっきも聞いたから」
「全部ギンが存在感薄すぎるから悪いんだからな。どうして一緒にお店に入ったのにいなかった事にされるんだっ!うす塩味のポテチより薄い存在感とか、戦隊で言うグリーンぐらいの影の薄さだぞ」
「寧ろうす塩味はメジャーだしお前歴代のグリーンの人に謝れよ」
「むっ、確かに。私とした事が堅あげポテトのブラックペッパー味にハマり過ぎてその概念を忘れていた」
「この際だから言うが毎回俺が影薄いからってスーパーにあるやつ全部買い占めさせるのやめような。割と定員さんの目線が痛いから。あっ、ブラックペッパーの人ですね!って覚えられた俺の身にもなってね?あとグリーンの人に謝れ」
あれから割と長い時間が過ぎた。
双葉のパレスを攻略した後、全く目覚めない双葉を裸にひん剥いてシャワーで身体を綺麗した。元着ていた服はボロボロで臭かったから適当にその辺に放り投げて同じフロアの部屋から双葉でも着れそうな服を片っ端から掻き集めて着せてゴミ部屋から脱出したまでは良かった。
世界から存在を消された俺であっても大人の男が眠っている中学生ぐらいの女の子を背負って移動していると嫌でも目立ってしまっていたんだ。もちろん戸籍すらも消えている俺は住所不定で拠点なんて持ち合わせているはずもなく何度も通報されそうになるのを上手くかわしつつ路上生活3日目でやっと双葉が目覚めた。起きて第一声が腹減っただったのでムカついたから取り敢えず小突いておいた俺は悪くない。
そこから盗んだ金で双葉の言うパーツを買って組み立てたPCで俺の戸籍をでっち上げて適当なアパートを借りて転がり込んだ。
もう住所を持てないと思っていただけにこれは嬉しかった。正直寝泊まりが主に路上とか公園だったので雨風を凌げて冷暖房完備とかもう控えめに言って神と言っていい。取り敢えず双葉にUFOをダンボールで買ってあげた。めっちゃ喜んでて何故かとても申し訳なくなったのを覚えている。因みに次の日は焼肉にした。
あれから本当に色々あってあっという間だった。いや別に大々的に動いたわけでも無ければ復讐を果たした訳でもない。勿論俺も双葉も憎しみと怒りをエネルギーに復讐の炎を燃やし続けて今か今かと奴を燃やし尽くすのを待っている。それは忘れてはいない。
だが余りにも双葉との生活は居心地が良すぎた。偶に、いや割と頻繁に貧相な体で色仕掛けを仕掛けてくるのはやめて欲しいがそれ以外は本当に楽しくて復讐すら忘れてしまっていた事だってあった。
俺も、双葉も、今までがクソみたいな人生を歩んできただけに今が楽しくて仕方がなかった。この感覚を味わってしまえばそう簡単に抜け出せない。居心地が良すぎた、時間なんてあっという間で未だに復讐は果たせていない。
もし、もしもの話だ。仮に俺が人生を狂わされず、双葉はお母さんを殺されないで普通にであってこうやって意気投合していればどうなっていただろうか。もう利用するだけの存在として見るには長い間一緒に居すぎた。俺と双葉は絡み合うようにお互いの傷を舐め合いもう既に運命共同体と言ってもいい程に深く関わり過ぎていた。
きっと普通に出会っていて切っ掛けさえあれば俺は普通に双葉の事を愛せたのかも知れない。そんなifの事を考えてしまう程に俺の脳みそもぬるま湯に浸かりすぎていた。たらればなんて女々しい考え方普通なら絶対しないのに。
ただ何もしてこなかった訳じゃない。既に双葉の母を殺した黒幕は分かった。後は実行に移すだけなのだがある問題があって足止めを食らっている。そんな訳でダラダラと方法も思いつかないままこうして堕落した生活をしてるってわけだが。
「寿司が食いたい、回らない奴な」
「あのなぁ……連れてってやりたいが途中で俺の存在を忘れられてお前の居心地が最悪になるだけだぞ」
実際そういう事が何度かあった。入店した時は辛うじて此方を認識していたのに席について暫くすると認知されなくなりまだどう見てもガキである双葉だけが高級料理店にいる状態になって視線を集めてしまう。此奴の引きこもり性は大体治っていて普通に外出する分には大丈夫なのだが悪意のある視線やアウェーな空間に放り出されるとまだ軽いパニック状態になりとてもじゃないがそういう場所へ外食には行けない。
でもどうしてか連れていってやりたいと思っている俺は双葉に対して甘いのだろうか。それが愛から来るものなのかそれとも単純に母に頼まれた事からくる責任感なのか。それとも罪悪感から来るものなのか、俺にも分からない。まぁそんな難しいもん今は考えなくていい。
難しい顔をして唸っている双葉の頭を乱暴に撫でてやる。助け出した頃とは違う綺麗なオレンジの髪からシャンプーの香りが鼻を擽る。同じシャンプーを使っている筈なのに甘い落ち着く匂いがするのは何故なのか。
やめろー、と乱れる髪を整えつつもされるがままに撫でられる双葉の姿にどうしても頬が緩んでしまう。自己主張するように頭の上のアホ毛も嬉しそうにぴょこぴょこ動いている。
こうやって今は笑顔を見れるだけでおなかいっぱいだ。
「よぉしっ!じゃあビックバンの工場にデートに行こう!」
「デートが盗みとか世も末だな。あと前回通算100勝記念に社長室の机とソファー全部俺のサイン付きダンボールに変えてやったから泣いて喜んで今すげぇセキュリティ強化されてんぞ」
「マジか。バイオみたいなレーザー出てくるかな?」
「そろそろ出るんじゃね?もう随分前にセントリーガン配置してたし。というかあれ異世界だったら既にレーザーなんだよなぁ」
「絶対通れないという認知を真正面から突破するドチート」
そろそろビックバンの本社がリアル要塞になりつつあったりする。彼処には俺の存在を刻み込むための犠牲になってもらった。それに奥村社長おちょくったらすげぇ面白いもん仕方がないね。
「バイオで思い出した。今日こそ憎きG第2形態をたさねば。ほら、ギン。しっかり私を守るんだぞ」
「えー。それ1人プレイじゃん、外に用事あるから出てっていい?」
「なんだなんだ、怖いのか?」
「じゃ行ってきマース」
「ぎ、ギン〜」
「わーたからそんな声だすなよ。怖いんだったらそう言えっての」
「だ、だって……」
今にも泣きそうな声を出す双葉の横に座る。可愛い子にはいじわるしたくなる性分なんだ。どうしてもニヤつくのを止められず顔に出てしまい、ふんっと双葉にそっぽを向かれてしまう。あ、けどそのまま始めるのね。
――――――
最近発売したバイオ2のリメイクなのだがこれがまた難しいし怖い。俺はバイオは4からしかやった事がないから昔がどうだったのかは知らないがすげぇ難しい。4~7に比べるとゾンビは硬いしそのせいでまともにやりやったりガバエイムだと弾薬に余裕が無い。難易度が上がる度に硬くなるのはもちろん何が1番ヤバいかというと敵の動きがすげぇ速くなってるのがヤバい。
普通のゾンビの掴みをダッシュじゃかわせないと言えばヤバさが分かるだろうか。なので掴み攻撃をさせないように一定以上の距離を空けて避けなければならない。それに2回攻撃を食らったら死ぬ、もうリッカーとゾンビとタイラントの三つ巴になると閃光手榴弾が無いと割と詰む事になる。
双葉はそれの1番難しい難易度でs+を取ろうとしている。
条件はセーブ3回以内、クリアタイム2時間半以内である。なんだ簡単じゃないかと思うかもしれない。クリアタイムはある程度物資やゾンビを無視してタイラントにビビって逃げ回らなければギリギリ何とかなる。しかしセーブ3回以内が割とキツかったりする。
オートセーブが最初だけの最高難易度は勿論死んだら最後にセーブした場所に戻される。
限られたセーブ回数でセーブすべき場所は死亡率が跳ね上がるボス戦手前。うまい具合に出来ていて表はボス戦は合計4回あり最後はほぼ続けてボス戦になるので基本的にボス戦手前に辿り着いたら順当に3回セーブすればいいようになっている。
しかしあろう事か双葉は初回のボス戦は手前でセーブしたのだが2回目のボス戦でセーブをし忘れ突撃。見事に死亡して最初のボスに戻ったのである。変な叫び声をあげる双葉を宥めるのに苦労したもんだ。
1回でそこまでいけたのに2回目以降は様々なところで死にまくったりしてそれ以降2回目のボス戦までたどり着いていない。これには流石に同情を禁じ得ない。
ある時は物資を回収すべく回復アイテムを置いていって回避をミスり死んで、ある時はシェリーパートで見つかり生きてる事を後悔させてやるとか言われながら連れ攫われ、ある時はわんちゃんにだいちゅきジャンピングアタックでタコ殴りにされ死んで。
そしてある時はG成体に捕まり毒にされて、毒になると体力表示がPOISONになって色が紫になり体力の減り具合が分からなくなるちょっとしたトラップがあるのだが行けると思って強引に突破しようとしてくっそ細い腕に脇腹を殴られ死んだりしてた。
簡単に行けそうでほんの少しのミスで全ておじゃんになるビビりには優しくないゲーム、バイオ2リメイク。恐ろしいゲームだ。
「はんっ、お前の動きは見切ってるんだよっ!」
「そりゃもう2桁は戦ってるもんな」
第1形態のウィリアムパッパを開幕破片手榴弾で怯ませ一気に反対方向に走り物資をある程度回収する。ウィリアムパッパ第1形態は腕にある目玉が弱点なのだがそれが露出してる時は動きが速くてとてもじゃないが銃を撃てない。最高難易度でなければナイフでもカモなのだがこの難易度では此方のダッシュと全く同じスピードで追っ掛けてくる。これがマシでヤバいのだ。少し止まって銃を撃てばその分距離は縮まる。逃げようにも同じスピードで移動しているので必然的に誤った距離で攻撃すれば必ず相手の反撃を貰ってしまう。正直密着状態ではパイプ攻撃ならかわせるが掴み攻撃はまずかわせない。ここで捕まれ過ぎて手榴弾を使い過ぎると後々が辛いので必ず1つは残さなければならないので事前に持ち合わせてる分合わせて使えるのは1個のみ。
ジグザグ走行をして徐々に相手との距離を意図的に詰める双葉。そして相手が攻撃してくるのをひたすらまって回避をしたらすかさず弱点にハンドガンを撃ち込む。
「おっ、今回調子いいじゃん。前見ないで壁につっかえて攻撃食らうなよ?と予めフラグ建てといてやるよ」
「バカっ!やめろ……ってあぶなっ!?」
「頑張れっ!ウィリアムパッパ!」
「何で相手の応援ばっかするのぉ……」
可愛い子にはいじわるしたくなる性分でな(2回目)
涙目で情けない声を出す双葉にくつくつとニヤけるのを我慢することができない。何時もなら恨み言1つや2つ言ってくるのだが余裕がないのか目線はテレビに向いたままでゲームに集中している。あ、掴まれて死んだ。
ふるふる震える双葉を見て、あこれはダメなやつだと手で耳を塞ぐ。
「あああああああああっ!」
部屋に双葉のハイパーボイスが響きわたる。危ない、耳を塞がなかったら即死だった。画面には無慈悲に現れているYou are dieの文字。
もう何度も拝んできた悪夢の文字列を仇を見るかのように睨んでいた双葉が涙目で此方を睨んでくる。そんな目で見るんじゃない、可愛いじゃないか。
「ギンのせいだ……ギンがいじわるするから……」
こういう涙目の女の子を見るとゾクッとするな。双葉は確かに天才だが年相応に子供っぽい。そういう所も実の所唆られるのも事実だしそれもあってか双葉の身体が貧相なのが非常に悔やまれる。これじゃ抱けない、確かに俺好みの女であるのは間違いない。ほら今も弱々しい拳で俺を攻撃してきてるし。そういうのがあざといというんだよ。というか恐ろしい事に若干双葉もそれを狙ってやっている節がある、多分だがこいつはこいつで俺の好みと性癖を完璧に理解している。素なのは間違いない、俺が恐ろしいと言っているのはそれを当たり前のように素で行っていることだ。
理解し訂正して実行、いや実行どころかインストールして俺の理想の女像になろうとしている所だ。愛が重いというか、俺には勿体ない良い女っていうのは間違いない。
「ほら、慰めろ。愛しのカノジョを慰めるんだ」
「はいはいっと。お嬢様のおうせのままにってな」
膨れっ面のまま手を前に広げている双葉。お嬢様はどうやら甘えたいらしい。その釣れない態度でやってる事が矛盾してるのが俺の琴線に触れてくる。
間違いない、此奴は良い女だ。
俺はお嬢様のお望み通り包み込むように抱き締めてやる。そしてそのまま頭を撫でてやると気持ちよさそうに破顔し「えへへー」と可愛らしい声を漏らす。
可愛いのゲシュタルト崩壊が脳内で起きそうな勢いである。あぁ、完全に俺溺れさせられてるなぁ。なんて何処か他人事のように考える。
「それはそうとギン」
「ん?どうしたんだ」
「私はギンのせいで死んでしまったわけだ」
「まぁゲームの中だけどな」
「だからギン。スマブラで勝負だっ!私のピンクの悪魔で蹴散らしてやる!」
「ほほう、いいだろう。俺の電気ネズミの動きに付いてこられるかな?」
忘れていた。此奴、めっちゃ負けず嫌いだったわ。この後ご飯食べるのも忘れてめっちゃスマブラした。因みに勝率は俺のが良かった。