さぁ、復讐を始めよう   作:ぷーある

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皆大好きなあの裏切り者が登場するよ!


探偵な日

 

 

 

 

 

 

 

 

闇の中に溶け込む。言葉で言うのは簡単だが実行するのは難しい。だが元よりこの世界に映ってすらない俺は文字通り闇に溶け込む事が出来る。それは言葉の通り闇に沈んで光を通さなくなる、故に光を反射している物を見ている人間は俺を視認する事が出来ない。

そうなれば俺を視認できる奴は居なくなりめでたくボッチの仲間入りって訳だ。

 

念の為そこまで隠密をして訪れたのはある一件の喫茶店。裏路地にひっそりと佇むソコは密会にはうってつけの場所だった。扉を開けるとからんころん、と在り来りなBGMが俺を出迎えてくれる。

 

 

「いらっしゃい、ご注文は?」

「コーヒーと……そこのムカつく探偵と同じカレーを」

「やぁ、待ってたよ」

 

 

言うまでもなくこの爽やかスマイルを向けてくる野郎に会いに来たって訳だ。何が悲しくて野郎と待ち合わせをしなければならないのか。外なら間違いなく顔面に唾でも吐いてやる所だが生憎とここは店の中なのでマナーはしっかりと守る。当たり前だ、最低限のマナーすら守れない奴はもはや人間じゃなくて喋るチンパンジーと同じだ。俺はそこまで落ちぶれちゃいない。

ムカつくイケメンの前に座る。以前としてニコニコ爽やかスマイルを向けてくるのは何故だろうか。

 

 

「さて、何故僕が怒ってるか分かるかい?」

「分からんし分かりたくもないな。てかそのキモウザスマイルやめとけよ、吐きそうになる」

「取り敢えず言うけどさ。君だろっ!掲示板に明智吾郎はホモだって書き込んだの!」

「面白かったろ?」

「僕は微塵も面白くないよっ!」

 

 

いやぁ、あん時は双葉と一緒に悪ノリして2chやらTwitter、明智のホームページにも書き込んでやったからな。いやぁやっぱり世間を轟かせる甘いマスクの名探偵(笑)は人気でまいちまったよ。ほんと腹よじれるかと思ったわ。

 

 

「ていうか絶対あれサクラを仕込んで盛り上げてただろ!そうじゃないとありえない……僕が、そっち系に人気があるなんてっ!」

「あー、ごめんな。割とマジでそっちは仕込んでないわ」

 

 

馬鹿な、と絶望の表情で机を見つめる名探偵(笑)お前の今の現状に馬鹿なっ!だよ笑

予想外にゲイが沸いてオマケに面白がるように職人達がホモ仕様の野獣明智吾郎のコラを仕上げそれが大々的に出回りめでたくTwitterのトレンド1位に。

もうさすがですわ。

 

 

「なんて事なんだ……」

「いいじゃん。さらに有名人になって知名度アップじゃん」

「君に分かるかい?テレビに出る度にその事についてコメントを求められそのコメントすらコラの素材にされるやるせなさを」

「わかるーわかるー」

「君って奴はさぁ……」

「お待ちどうさま」

「ありがとう、マスター」

 

 

いやぁ、こうも最高のおかずがあるとカレーは美味しいなぁ。面白いように箸が進むのはお腹が空いているからか、明智のおかげなのか、それともこのカレーが美味しいからなのか。まぁ全部だろう。実際にここ喫茶店ルブランのカレーは特別美味しい、なんなら個別で店出せるぐらいに。言っちまえば俺はそれぐらい気に入っている。また機会があれば双葉を連れてきたいなとそう思えるぐらいに。

 

 

「取り敢えず、本題に移ろう。いや……全然良くないけど、取り敢えず君を殺してから本題に移ろう」

「いや取り繕えてねぇから」

 

 

おい顔が引き攣ってるぞ。スマイルどうしたスマイル。

まぁこのままおちょくるのもいいが仕事は仕事だ。報酬は既に貰っているから手早く終わらせよう。横目でマスターが厨房の奥に行ったのを見届けて目の前の明智に手を向ける。

 

 

「……ふむ。また随分と溜まってるな」

「まぁ、ね。ちょっと最近思う事があってさ。それのせいかな」

「ふーん……ほい、終わったぞ」

 

 

そうやって俺は明智の狂気を盗んだ。何を馬鹿な、と思うかもしれない。けど此奴は面白い事に多数のペルソナが使えてその中のあるペルソナを使うとこうして狂気を溜め込んでいってしまう。

狂気は毒だ。人間から理性を奪い本能のままに暴れさせる。そんな狂気と馬鹿みたいに仲良く同居している明智を見付けた俺は当初襲われ無力化して狂気を奪ってやってから今みたいな関係が出来上がった。

まぁそれ以外に割と仲良くやっていて、それぐらいに俺はコイツを気に入っちゃいる。

 

 

「んで決心は付いたのかよ」

「うん、僕は君側に付くことにするよ」

「へぇ……野暮だが理由を聞いていいか?」

「簡単だよ。そっちの方が面白そうだからさ、それに……友を助けるのに理由がいるかい?」

「ふむ、なるほどな」

「おい。何故そこでケツをおさえるんだ」

 

 

当たり前だろ。何となく狙われてるなって思ったからだよ。

 

 

「じゃあ契約成立って事で。けどホントにいいのか?」

「構わないさ。あんな奴今更父だと思わないしそれ相応の事をしてきたんだから」

「まぁそれもそうだがそうじゃないだろ。俺が言ってんのはお前を殺すかもしれんぞってことだ」

「分かってるよ。けど僕も馬鹿じゃない、今更狂気に身を染めて君達に抵抗しても僕じゃ君にはどう足掻いても勝てないし、ていうか拳銃で撃ち抜いて殺したのに死なない人間をどうやって殺すのさ」

 

 

まぁ確かにそうだ。俺と明智の初対面は開幕拳銃ぷっぱで始まった。額を撃ち抜かれた俺は文字通り死んだがこうして生きている。そういう気薄な存在である俺は元から死んでるんだから今更拳銃で撃ち抜かれようともそんなんじゃ消えやしない。

 

 

「それに僕も殺されても仕方がない事をしてきた。それを仇を討たれる形で殺されるなら本望だよ」

「その辺はまた落ち着いたら本人に話すさ」

「何だかんだで君は優しいね」

「うぜぇよ。なんだその爽やかスマイルは」

「いや親友はツンデレだったってのを思い出して。助かるよ、今言われちゃ間違いなく有無を言わさず殺されるもんね」

 

 

ほんと無駄に頭がキレるのが腹立つ野郎だ。表面上、双葉は普通に見えて普通じゃない。憎めって煽り過ぎた俺にも責任はあるが黒幕である獅童を見付けてからアイツは少し不安定だ。それを俺に過激なまでに甘える事で誤魔化している、そんな状況だ。きっと今知れば実行犯である明智は間違いなく殺される。

 

此奴に取り引きを持ちかけたのは半ば賭けであったが上手くいって何よりだ。出来れば知り合いは殺したくない、勿論敵であれば一切の躊躇いもなく殺すが流石の俺も友を殺すのはしのびない。

 

明智は俺たちに協力、情報を流す。

そして命を差し出す。

 

俺は奴の復讐を手伝いもし双葉が思いとどまるのならば死刑にならない様に手配する。

明智はこれまで獅童の言いなりになり数多くの人間を殺してきた。それはもちろん異世界の話で証拠なんて残っちゃいないが明智が言うにはいずれ自分がやったのだとバレると言う。

 

此奴が言ってんだから本当なのだろう。だからもし仮に明智が死刑になるのなら俺が此奴の存在を盗む。そして適当に双葉と俺の奴隷にでもしようと思う。

狂気を盗んでやってるのは最初に話し合いをする為にやった時にやっと自分が狂ってると気がついた明智にお願いされて続けている。もちろん金は貰ってるがな。

 

 

「そう言えばギン、君は知っているかい?心の怪盗団を」

「なんだそれ?」

「まぁ知らなくても無理もないか。ある日突然学校の教師が体罰や生徒への性的嫌がらせを告白して自首したんだ。そしてその少し前に心の怪盗団と名乗る集団の予告状が張り出されていたらしくてね。誰も信じちゃいないけど、僕らは別だろ?」

「へぇ……確かに興味深いな」

 

 

恐らく、いや間違いなくそれはその教師の一番大事なモノ。オタカラを盗んだんだろう。

という事はやっと物語が進み始めたという事。あのクソ野郎の思惑通りに。

 

 

「敵なら皆殺し。友好的なら引き込めるか試してみるかな。まぁ暫くは傍観だな、野郎の思惑通りに進むのは気に食わねぇがな」

「僕は僕なりに対処するよ。立場的には多分叩かないとダメになるだろうけどね。これまでの流れがその君の言うクソ野郎の思惑通りなら相当恐ろしい奴で……死ぬ程憎い」

「おいおい、爽やかスマイルはどうした?テレビじゃ見せれない顔してるぞ」

「そういう君こそ、スプーン曲がってるよ?」

 

 

おっと失敬。

俺も此奴も結局は踊らされ良いように人生を狂わされたもん同士。やつが憎くて憎くて堪らないのだ。恐らくだがその心の怪盗団とやらも奴が噛んでいるに違いない。俺達、人間をどこまでも見下してやがるあのクソ野郎に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず来るべき時が来るまで各々で行動するって事で解散した。大丈夫だと思うがこのご時世何処に目があるもんか分かったもんじゃねぇしな。

 

明智と解散した俺だが今は新宿の歓楽街に来ている。理由は簡単女を抱くためだ。

もちろんそれには理由がある。言わずもがな双葉のせいなのだがやはり不安定だからかやたらと俺と繋がりたがる。俺は最低の屑だと自分でも思っているが責任持って付き合える奴以外とはセックスはしないと決めている。きっと将来泣かせるであろう双葉に負い目を感じている俺は興奮こそすれどやはり抱けないでいる。

 

そんな双葉が裸で夜這いは勿論、媚薬だとか薬まで使ってくるのだからたまったもんじゃない。まだ裸はいい、ガキの裸じゃ興奮はしないから適当に何回もイかせて気絶させてやればいいだけだし。けど薬は駄目だ、普通に効く。いつも理性とギリギリの戦いをする俺の身にもなって欲しい。

 

 

 

裏路地を使ってあくまでひっそりと。そんな事しなくとも見つかる事はないのだから堂々とすればいいのかもしれないが奴の仕組んだ何かが始まっているのだから警戒するのに越したことはない。

そうして暫く歩いていると、

 

 

 

「やだっ、離してくださいっ!」

「いい加減にしなよ。遅かれ早かれこうなるんだ。そろそろ諦めたまえ」

 

 

何処かのお金持ちだろう、そんなボンボンの坊ちゃんみたいな奴と大人しそうなゆるふわショートボブの女の子。

まぁあれだ。見ちまったもんは仕方がねぇ。

 

 

「おい。そこのボンボン」

「なんっ、おぶへっ!?」

「えっ……」

「よーし、撃退完了。という訳でボンボン、女の子は俺が貰ってくぜ」

 

 

開幕テレフォンパンチ。相手は死ぬ。

いや死なないけど。

突然の事で少しパニクってる女の子の手を引いて戦前離脱する。警察とか野次馬とか群がってきたら鬱陶しいしな。少し早足気味だったからか女の子の息が荒い、取り敢えず人通りがある地下まで逃げてきた所で一旦止まる。

 

「大丈夫か?」

「は、はい。大丈夫です」

「良かったらウチまでくるか?」

 

 

と言った所で自分の失態に気付く。いや何でいつも通り女の子にナンパしてんだよ、間違いなく持って帰ったら双葉がキレるだろ。

いやまさかこんなので了承するはずまいと

 

 

「いいんですかっ?すみません、正直助かります」

 

 

あるはずまいと……思ってたんだけどなぁ。

 

 

「いや、まぁいいんだけどさ。言っておいてあれだけどほんとにいいの?見知らぬ男の人の家に来ても」

「?どうしてですか?」

 

 

あー、なるほど。

そういうパターンね。こりゃ珍しい、俺の周りにはいなかったタイプの女の子だ。

 

「大丈夫です、こう見えて私人を見る目だけは自信があるんです。それとも貴方はそういう事をするつもりで私を家に誘ったんですか?」

 

言い淀んで悩んでいる俺に女の子はそう言った。へぇ、天然ちゃんかと思ったが結構肝っ玉が据わってるじゃねぇか。人当たりの良さそうな笑顔でそういう女の子だがそのおっとりとした大人しそうな雰囲気には似合わない洞察力だ。

 

「それに、もう何かに縛られるのはイヤなんです」

 

あぁ、何故自分の周りにいる女は皆してどいつもこいつも強い奴ばかりなんだ。面倒事の匂いがぷんぷんするがそういう理不尽に対しての反抗、嫌いじゃないぜ。

それに俺にゃ分かる、今はまだ朧げだがコイツは何か切っ掛けがあれば化ける。そう俺の直感がそう告げている。俺と同質の、復讐に燃える炎が。いや彼女は違うのだろうが同じように焦がれて今を打ち破らんとする確固たる何かが彼女にはある。

 

 

「分かった、歓迎しよう。それに俺ん家に女の子住んでるしそんな事したら俺の命が危ないわ」

「ふふっ、そうなんですね。ではエスコートお願いします」

「お任せあれ」

 

 

 

その後家に連れてったらめっちゃ双葉にキレられた。

 

 

 

 

 

 

 

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