緊急SOS!空の上絶対死ぬ大作戦
「お客さ〜〜ん!!!どうですか〜〜‼︎気持ちイイでしょ〜〜‼︎」
耳の真後ろで男に問われる。字面だけだと変な勘違いをされてしまうかもしれないが、別にいかがわしい事をしているわけではない。何故なら…
「は〜〜〜い‼︎スカイダイビング最高ですね〜〜‼︎」
スカイダイビングエンジョイ中だからだ!!
後ろにいる男はインストラクターの中本さん。(なかもっちゃんと呼んで欲しいと言われた。)インストラクターとは、高度やタイミングを見極めてパラシュートを開いてくれるアクティビティエンジョイ勢にとってはありがたい存在だ。飛ぶ前は滅茶苦茶ビビってしまったけど、いざ飛んでみるとなんと素晴らしき事か。この世界からすると自分がどれだけ小さな存在かがよくわかる、もはや虫だね、踏んでも気づかない虫レベル。
宝くじに当たり、クソみたいな会社を辞めて、社畜から死ぬまでにやりたい100の事を20代で始めた成金虫にジョブチェンジした俺は文句無く楽しんでいた。
はずだった。
「なかもっちゃ〜〜ん!こんなに楽しいならもっと早くしてれば良かったです〜〜‼︎これからは年に一度はやろうと思いま〜〜す!!!」
「ありがとうね〜‼︎そう言ってもらえて嬉しいよ〜!!!
でもさ〜‼︎それ無理かもしれな〜〜い‼︎」
「はい?どうしてですか〜〜!!?」
「うん…パラシュートがね、開かないんだ…」
「ヘェ〜………………は!!?なかもっちゃんどういうこと!?」
「どんだけ引っ張っても無理っぽくてさ〜‼︎壊れた時のための予備のパラシュートも開かないんだ〜〜‼︎」
「いやいや‼︎開かないんだ〜〜じゃねえよ!!!!どうしてくれんだよ‼︎地面近いんだよ‼︎」
「あ〜〜もうダメっぽいんだよね!このまま心中だね‼︎」
「ふざけんじゃねぇぞなかもっちゃ…いや中本‼︎てめぇなに一人だけピンチすぎて楽しくなってんだ!!」
俺はどうやら一生分の運を宝くじのあたりによって使い切ってしまった様だ。そして最後はこの頭がおかしくなってしまった男と心中か…ハハッ何が虫だよ、来世は大空を自由に飛べるアイアン○ンスーツでも開発しようかなぁ、なんてしょうもない事を考えてる間に地面はどんどん近くなり、踏んでも気づかない虫みたいに呆気なく死んだのであった。
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
「いっ、今のは?」
個性発現と共に誰かが死ぬ映像が流れてきた、というか誰かというより十中八九前世の俺…いや僕?、まぁ俺でいいか、自分が死ぬ体験というのはとんでもなく恐ろしく、全身から冷や汗がドバドバ出ているのが分かる。今も心配そうに自分を見ている母さんに強がることもできなかった。
「柚空⁉︎大丈夫⁉︎え、風邪‼︎?個性発現した‼︎?病院行く⁉︎今日幼稚園お休みする⁉︎」
「まっマシンガントーク過ぎるよ母さん、ちょっと落ち着いて」
外では年間何千万も稼ぐエリートウーマンな母さんも俺の事になると途端に弱くなる、コレと料理下手さえどうにかすれば、美人で気立ても良い自慢の母さんなのに…、こういう所も可愛いけど。
それから数分後。
「ごめん…もう落ち着いたわ、それでどうしたの?」
「うん、多分だけど個性発現したみたい、ほら」
そう言って俺は足裏から空気をボフッと出して見せた、いや足裏だけではなく、手のひらと肘からもボフッボフッと母さんの顔に空気を当てまくる。
「個性‼︎?やっぱり病院行かなきゃ‼︎幼稚園お休みするからね!?」
ありがたい、何故前世の記憶が戻ったかは分からないがもうこれまで通りには振る舞えないだろう、前世合わせて精神年齢20代後半の男が幼稚園児と接するには覚悟がいる、乳児の時に記憶戻らなくて良かった〜。あと自分の息子が消えているとか無くて良かった〜。今世も男に産まれて良かった〜〜。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
それから、かかりつけの病院に行き風邪とかでは無く無事個性発現が医者に言い渡された。医者によると俺の個性は「ジェットボディ」と言うらしい………。あれ?ジェット?それって確かグラントリノの個性じゃね?俺のは足裏だけでなく手のひらとか肘からも空気を出せるからボディが着くってことか?まぁ似た様な名前の個性だし親戚なのかな。
そんな事より、何故俺がグラントリノの個性の詳細まで知っているかは前世に関係する。何故なら…今俺がいるこの世界は、「僕のヒーローアカデミア」という前世の漫画の世界なのだ。
その昔、中国かどっかで赤ちゃんが光ってなんやかんやで個性っていう特殊能力が発見されましたよ。的な話から始まった気がする、ちょっと端折ったが此処からが大事な話で、殆どの人が個性っていう危ないものを持っている以上素行の悪いやつは個性を使って悪さをする、だからそれを止める存在が現れた。それがヒーロー‼︎主人公はそんなヒーローになるべく汗と涙ありで頑張ります‼︎みたいな物語だ。俺自身この漫画は友情!努力!勝利!って感じで素直に好きだった。そんな漫画の世界に来れたのだからテンションも高くなるのは当たり前だろう。そんな所が見透かされたのか、母さんが話しかけてきた。
「柚空、楽しそうね、でも飛び回って怪我とかしないでね」
「男の子は怪我するものだよ母さん」
「あら?急に大人みたいなこと言うのね」
「男子三日会わざれば刮目せよ…みたいな?」
「そっかぁ…そういうこともあるのねぇ…」
この母親大丈夫か?いくら俺には弱いといってももう少し疑えよ…どうでもいいか、それより気になっていたことを聞こう。
「ねぇ母さん親戚にグラントリノっている?ヒーローの事なんだけど。」
「グラントリノ?いないわよ、というかヒーローすら今は親戚にいないわ。」
「え?」
親戚にグラントリノがいない?
誤字脱字があれば誤字脱字報告で報告お願いします。
2/21 10:37
今後の展開上かなりヤバめな矛盾点が見つかりましたので修正しました。