親戚にグラントリノがいないと分かったあの日から数日、俺は………特に気にすることなく第二の人生を謳歌していた。グラントリノに会えないのは残念だけどどうしても会いたいってキャラじゃないし、個性の都合上会っておいた方がいいか、ぐらいの考えだったから大きな不満は無いそれに別に会えなくてもトレーニングくらい一人で出来るからだ。
何故、未だ五歳のガキがトレーニングなんて始めようとしているのか?それは…ヒーローになりたいからだ。初めはこの世界の花形の職業、ヒーローというものはただ悪い奴をぶっ飛ばして、周りにチヤホヤされてカッコいいから、なんて子供さながらの考えでなろうとした、いや別にそういう憧れの理由からでも良いんだろう、どんな理由でヒーローを目指すのも個人の自由だ。だが俺には前世がある、ギャグっぽい感じで死んでしまったけど死を経験した事は確かだ、そんな俺だからこそ出来ること、救える命があるんじゃないか?そう思うようになった。この世界で本当に一度死んだ奴なんて俺ぐらいだろう。あともう一つ理由があるが…
「スウゥ〜〜〜、ハアァ〜〜〜〜」
そして今俺が出来るトレーニングといえば個性の強化だ。筋トレとかの体づくりは、この歳でやり始めると成長を阻害してしまうから、小学生の高学年あたりからでいいだろう、必然的にやることといえば将来の為の技の考案と、個性の地力の底上げだ。俺の個性はグラントリノに本当に似ている、だからこそ俺が知っている原作知識を利用したトレーニングが出来るんじゃないかと考えた、そしてグラントリノの個性といえば自分が吸った分の空気を足裏にある噴出口からジェットのように噴き出すというもの。似た個性の俺ならばとにかく肺を鍛えまくって備えたほうがいいと考えたのだ、決してエロいことを考えてハァハァ言っているわけでは無い。
「柚空〜?何時までもハァハァ言ってないで、そろそろ幼稚園行く時間よ〜」
「あっ、うん今行く」
母さんにどきりとする事を言われながらももうすぐ家を出る時間を知らせられる。この母、名前を天羽 風華と言うのだが時々心を読んでるんじゃないかと思うような事を言ってくる、彼女の個性は読心とかでは無く身の周りの空気を集めて発射するみたいな個性だった筈だ、因みに今のは実際に俺がハァハァ言っていたからであってエロいことを考えている事がばれたとかではないはずだ。
ひゅ〜あぶねぇ〜。
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「ねぇ母さん、聞いて良い?」
「ん〜?どうしたの柚空?」
幼稚園への向かい道、俺は母さんにどうしても気になることを尋ねた、それは…
「父さんの事があるのに、何で俺にヒーロー目指させてくれるの?」
「あぁ…お父さんか………そうねぇ」
俺の父、天羽 飛泳はヒーローだった、そう…だっただ、ヒーロー名は「スカイスイマー」個性は「空中遊泳」息を止めている間だけ、空中を自由に泳げる個性だ。デビュー当時は注目されていたが、他の攻撃的で派手な個性を持っているヒーロー達にどんどん注目が集まってしまった。そしてランキングにもめっきり顔を出さなくなった頃に…
「ヴィランに、殺されたのに……」
「うん…、柚空には詳しくは教えて無かったね。
分かったわ、何だかここ最近の柚空は一気に大人っぽくなったから話してあげる、あの人の……飛泳さんの話を…」
「父さんの話…」
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私、天羽 風華にとって飛泳さんは不思議な人だった。決して強い個性を持っているわけでもないのに周りの人を笑顔にすることが大好きで、誰よりもヒーローをしてます‼︎って感じで世間から注目されなくなっても全く変わらず笑顔で居続けた人だった。そしてあの事件が起きてしまった…
その日、いつものパトロールを終えて事務所に帰ろうとした時に三人のヴィランと遭遇したの、それも今にも幼い女の子を誘拐しそうな現場にね、近くに飛泳さん以外のヒーローはいなかったけどそれでも一人で立ち向かったわ、でもやっぱり三人ものヴィランを相手に、攻撃的な個性じゃない飛泳さんはどんどん傷を負っていったみたい、氷柱で体を貫かれたり、鎖で締め付けられたり火で焼かれたりね…、それでも飛泳さんは諦めなかったの、どんなに絶望的な状況でもヒーローである自分が救わないとどうする!?っなんてよく言ってたから…。
そして他のヒーローが駆けつけるまで粘った結果三人のヴィランが捕まり、一人のヒーローが死に、一人の少女が救われたわ。
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「それが飛泳さんが亡くなった理由よ…」
「そっか………それが父さんの最期…」
想像以上にカッコいい人だったな、僕の個性は戦闘に強い個性だけど、果たして父さんの様な状況で女の子を救えるだろうか?自分の命まで犠牲にして誰かを守れるだろうか?本当に強い人だったんだなぁ。
「でもそれなら尚更分からないよ、どうしてヒーローの夢を応援してくれるの?」
「ふふっ、お母さんだってねぇ本当はヒーローは目指して欲しくないのよ?」
「え?そうなの?」
「うん、でもねお母さんはヒーローであるお父さんに、笑顔にして貰っちゃったから」
「笑顔に……」
「そう、人を笑顔にして自分も笑顔で亡くなった飛泳さんに…
だから柚空にも手の届く範囲でいいから、誰かを笑顔にするヒーローになって欲しいの、その為には柚空自身が笑顔でないとね、だから柚空がやりたいようにやって良いよ」
ああ…なれたら良いな。本当にそんなヒーローになれたのならどれ程幸せなことだろうか。俺はこの話を聞いてどうしようもなく父親として、ヒーローとしてのお父さんに憧れてしまったのだ。
そうだな…一度憧れてしまったものはしょうがないか。
俺はもう、その背中しか見えなくなってしまった。
「母さん………俺……なるよ‼︎人を笑顔にするヒーローに!!!」
「うんっ‼︎その意気だ‼︎」
この人達の子供として生まれて良かったなぁ…………。
「あれ?母さん幼稚園は?」
「あっ‼︎いっ急いで柚空‼︎‼︎早くっ‼︎」
「あぁ…うん…」
家で話せば良かったねの巻
感想欄は何を書いてもいいです。あ、展開予想だけはやめてください。