個性【ジェット】のような何か   作:ヒツジだらけ

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サイバイマンに見えた貴方は視力0.2です。


雄英入学編
ボク‼︎サイノウマン‼︎


 

 

四月、雄英高校登校初日

 

 

実家の京都から雄英の近くまで引っ越した俺は今雄英高校にいた。

 

「は〜広いな〜」

 

それにしても廊下が広すぎる、道路並みにデカすぎて自分が小人にでもなった気分だ。

 

「あ、あそこがA組か?」

 

俺が通う教室まで近づいたようだが教室の前に何かがある、あれは…寝袋か?

 

「お友達ごっこがしたいならよそへ行け………ここはヒーロー科だぞ」

 

このセリフ⁉︎相澤先生だ‼︎生で見れた!

 

「はい静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠けるね」

 

いつから数えて8秒なんだろうか?というか邪魔だな、人の往来の多い出入り口で話すなんて合理性に欠けるね。

 

「担任の相澤 消太だ。よろしくね」

 

「あの〜すみません、通っていいですか?」

 

「?お前は…天羽 柚空だな………早速だがこれ着てグラウンドに出ろ」

 

そう言って相澤先生は寝袋から体操服を取り出した。自己紹介させてくれないのね…。

 

 

 

 

 

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「「「個性把握テスト!?」」」

 

体操服に着替えグラウンドに集まった俺はクラスメイト達の驚く声を聞いていた。

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ、雄英は自由な校風が売り文句そしてそれは先生側もまた然り」

 

うんうん分かるわ〜驚くよね、まさか入学式すら出ないとは、でも長ったらしいどうせその日の内に忘れるだろう校長の言葉を聞くぐらいならこっちの方が楽で良い。あ、でも雄英の校長ってネズミさんだっけ?聞いてみたい気もする。

 

「実技入試成績のトップは天羽だったな…中学の時ソフトボール投げ何メートルだった?」

 

「覚えてません」

 

「………」

 

名前を呼ばれ問われたので素直に答えるとなぜか少し呆れた目で見られる。いや覚えてる方がおかしくない?それと俺がトップと聞いたからかクラスメイト全員が俺を驚愕の目で見て爆豪君からも睨まれる。ひゅ〜注目されてるぜぇ〜。

 

「はぁ…爆豪お前は?」

 

「67メートル」

 

「じゃ個性使ってやってみろ」

 

俺が速攻でいらない子になり爆豪君にシワ寄せがいった。本当にごめん。

 

その後原作通りに爆豪君が死ねと叫びながらボールを投げ705.2メートルという大記録を出した。

 

「何コレ!おもしろそう‼︎」

 

「個性思いっきり使えんだ⁉︎さすがヒーロー科‼︎」

個性を存分に使えることに興奮したのか一気に湧き立つクラスメイト達。

 

「おもしろそうか…ヒーローになるための3年間、そんな腹積りで過ごす気でいるのかい?………ようし8種目トータル成績最下位のものは見込み無しと判断し除籍処分としよう」

 

「「「はぁーー!!?」」」

 

あぁやっぱりやるんだな、確か去年は自分の担当する生徒全員落としたんだっけ?

 

「ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ」

 

じゃあ…初日からクビは嫌だし全力でやろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

第1種目:50メートル走

 

 

さてこの競技は俺の個性が活きる競技だな、機動力には自信がある。

 

「天羽と蛙吹準備しろ」

 

呼ばれたようなので蛙吹さんと共にスタートラインにてクラウチングする。

 

「位置ニツイテ……ヨーイ」

 

機械の告げるスタートの合図を聴き直ぐさま駆け出す。先ずは足裏からのジェット噴射でスピードに乗り速度が落ちない内に両手の平からもジェット噴射を出し更に加速する。

 

「1ビョウ27」

 

どうやら2秒以内でゴール出来たようだがまだまだ遅い、得意分野でもあるから1秒は切りたかったな。

 

「ケロ、あなた凄く速いのね」

 

「うぇ?あ……ふぁい」

 

反省していると蛙吹さんが話しかけてきた。思わずキョドってしまった。

 

「蛙吹 梅雨よ 梅雨ちゃんと呼んで」

 

「あまっ天羽 柚空です‼︎柚空とよっ呼んで下さい‼︎えーと、つ………つつ………ふぅ…ツユ茶……」

 

「焦らないで、ゆっくりでいいわ」

 

焦らないでと言われても女子を下の名前を呼ぶのなんて前世振りだし如何しても戸惑う、それにこのままだと蛙吹さん…いや梅雨ちゃんの名前が罰ゲームで飲むだし汁みたいになってしまうし。

 

「つっ……つつ……つぅー」

 

頑張れ!俺‼︎イケるはずだ‼︎勇気を出せ‼︎Plus Ultra‼︎

 

「あぅ……つっ梅雨ちゃん…」

 

「ケロ…偉いわ、よく頑張ったわね天羽ちゃん…」

 

呼べたぁぁーー‼︎壁を乗り越えたぞぉー‼︎やはり雄英高校…良き受難だぜ。

 

ちなみに飯田君も俺には勝らずとも原作通り好記録を出していた。おそろしく速い走り 俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

 

 

 

 

第2種目:握力

 

 

 

これはどうも出来ないな、普通にやるか。

 

「フンッ‼︎‼︎………はぁ…70kgか…」

 

障子君は540kg出せたようだが俺はそうもいかない、個性上こんな時は単純な増強系が羨ましい。

 

「や〜500kg超えって凄いよね!」

 

「そうですね、羨ましいです………ん?」

 

「あ、私 麗日 お茶子!天羽 柚空君だよね?実技入試トップってホント?」

「おっ、おちゃっ!?………おちゃちゃ!」

 

また女子に話しかけられた、この直ぐにキョドる癖はなんとか出来ないのか?しかもまたお茶関係だし、というか原作見てて思ったけどどいつもこいつもコミュ力高すぎだろ。コミュ力高すぎ高杉君。

 

「わっ驚かせてごめん!」

 

「いっいや、こっちこそごめん…えーと……麗日さん」

 

急に美少女に話しかけられたら驚いてしまうのは仕方ないだろうし。にしても可愛いなぁ〜。

 

「そっそれで…あー実技入試の事だっけ?そう…だよ合格通知でオールマイトが言ってたし」

 

もう持ってないけど。

 

「はー、もしかしてあの0Pのやつも倒した?」

 

「うん…まぁ」

 

「お〜やっぱり1位の人は違うね!レスキューPも高かったでしょ?」

 

「うん、0Pヴィランを倒した事で貰えたみたいだし」

 

俺なんかよりみんなの方がよっぽど凄い……知って行動したのと知らずに行動出来たのではその意味がまるで変わってくる。あの時は拳藤さんを助けなきゃって気持ちで行動したけど、どっかで打算的な気持ちもあっただろうし。

 

「俺は……全然だよ…」

 

「?」

 

はぁ…急にナーバスになってしまった。初対面なのに面倒くさい奴だな俺…。

 

「よく分からないけど、人助けしたのは良い事だよ?」

 

「え?」

 

「どんな気持ちでやった事でも、助けた事には変わらないし」

 

「………」

 

……何だか救われた気分だ。俺は死んで漫画の中の世界という場所に生まれ変わった事に初めはワクワクしていた。だがそれだけでは当然なく、親に対しても何処か他人の様に思っていた。そんな俺だからこそ原作知識の保有からくるレスキューP稼ぎの人助けに罪悪感を感じていた。我が物顔でやりたい放題の転生主人公そのものだしな。でも……そうか…確かに助けられた側からするとそんなもの関係なくて、ただ助けられたという事実があるだけだよな…。何気ない一言で人は急に救われる事がある。

 

「ありがとう…本当に……ありがとう」

 

「ううん‼︎どういたしまして!」

 

ヤバい、こう言う事言われたの初めてだからマジで泣きそう。

 

「麗日さん…もし良かったら俺と…」

 

「ん?…………え‼︎?ちょっと待って、いっいきなり⁉︎」

 

顔が赤くなり焦った様子の麗日さん。だが人と関わると決めたのだ、何よりこの想いは伝えたい。

 

「おっ……俺と…」

 

「はっ、早いって‼︎いや早さの問題や無いけど‼︎」

 

そう、早さの問題じゃない。

 

「とっ友だちになって下さい!」

 

「え?……………あぁそういう………うん」

 

よっしゃああああ‼︎今生初の同級生友だちゲット‼︎これは手持ちボケモン確定だな。と、喜んでいると照れた顔から戻った麗日さんが呆れた表情になった。

 

「はぁ…私てっきり…」

 

「告白されるかと?…フフン、残念だったな!うっかり惚れそうにはなったけど、まだ攻略される訳にはいかん‼︎」

 

「なんやこの残念イケメン……まぁいいや、元気にはなったみたいやし」

 

いい子だなぁ…人を笑顔にするって俺の理想じゃね?この子に惚れられる緑谷君が羨ましい。

 

 

 

 

第3種目:立ち幅跳び

 

 

 

待たせたな‼︎シリアスは終わりだ‼︎空を飛べる俺の出番だ‼︎

 

「スタート」

 

さて、50メートル走とは違い、速さを測る競技じゃないから普通にやるか。

 

「スゥ〜…ほっほっ」

 

パンッパンッと小気味良く空を飛んでいると相澤先生から声が掛かる。

 

「天羽、それどこまで出来る?」

 

「うーん…特に疲れないんで飽きるまでですかね」

 

「そうか…もう下りていいぞ」

 

あれ?楽しくなってきたからもっと飛びたかったけどもうお終いか。

「相澤先生、俺の記録は?」

 

「無限だ」

 

「は!?無限⁉︎」

 

「測りようがないからな」

 

「はぇ〜」

 

飽きるまで出来るだけで限界はあるんだけど…。

 

「天羽君、無限って出たんだ⁉︎何ソレ⁉︎」

 

「俺もよく分かんないです…」

 

記録の適当具合に驚いていると麗日さんが話し掛けてきた、飛行は俺の得意分野だしね、でもこの後自分も無限という記録を出す事になるとは思っていないだろう。

 

そういえぱグラントリノは飛行能力ってどのくらいあるんだろう?俺と違って足裏からしかジェット噴射出来ないし、あまり長いこと飛んでられないんだろうか?

 

そう考えると俺の個性って本当にチートだな、兵器とかは搭載してないけどマジでアイ○ンマンみたいだし。

 

 

 

 

 

第4種目:反復横跳び

 

「はっ!はっ!はぁっ‼︎」

 

左右の手と足の噴射口から連続でジェットを放ちかなり速いスピードで動き回り大記録を出すも峰田君には敵わなかった。これは個性も活きるし自信があったんだけど惜しくも勝てなかったのは辛い。俺の欠点は極短時間に連続でジェット噴射する事に慣れていない所だ。

「天羽君どうだった?」

 

「良いところまでは行けたんだけど峰田君って人には負けたみたい…麗日さんは?」

 

「私は全然だったよ〜あの記録は凄いよね」

 

うん、峰田君には勝てる気がしないな…

 

 

 

 

第5種目:ボール投げ

 

 

さて円から出ないでどこまで飛ばせるかな?

 

「せ〜のっ‼︎」

 

取り敢えず片手でボールを握り思いっ切り振りかぶり、肘からジェット噴射を出してスピードに乗った所を直ぐに手の平からジェットを出し押しだすような形でボールを放つ。

 

「1回目は506.3メートルだ」

 

あ〜まぁ片手だしこんなものか、次は両手でやろう。

 

「はぁー‼︎」

 

1度目とは違い腰を落としガッチリと構えながら両手でボールを挟み込む、空気の漏れが無いように手で発射口を狭めていく、そのままかめはめ波のように両手の平からジェット噴射を出し、安定感と威力の両方を兼ね備えた一撃でボールを吹き飛ばした。

 

「780.6メートルだ」

 

「すげぇ‼︎マジかあいつ!」

 

「顔も良いし個性も強いとか才能マンだな」

 

お〜新技だけど存外上手くいったな、技名でも付けようか…かめはめ波はマズイよな…同じ少年誌だけど、う〜ん「ジェットカノン」とか?

 

記録に喜んでいると、麗日さんが投げ終わったようでこっちに近付いて来た。

 

「天羽君!私も無限って出たよ‼︎」

 

「お揃いだね、流石俺の親友」

 

「親友⁉︎今日会ったばっかりで⁉︎」

 

「何言ってんだい、一緒に河原で殴り合った仲じゃないか」

 

「記憶が捏造されてる‼︎?しかもグレてた感じだ‼︎」

 

そりゃあもう盗んだバイクで走り出してたしね。なんて、くだらない話をしていると緑谷君の出番になったのか円に向かって歩いていく姿が見えた。

 

「地味めの人、大丈夫かな…」

 

「そうだね、じみどりや君が心配だね」

 

「あの人、じみどりや君って名前なんだ?」

 

「いや違うと思う、喋ったこと無いし」

 

「じゃあ違うじゃん⁉︎思った事すぐ口に出すのやめなよ!」

 

「ごっ、ごめんなさい…」

 

これまで目立った記録を出していない緑谷君を心配したのか、不安そうな目で見ている麗日さんに茶化した感じで話すと怒られてしまった。お茶子だけに………ってな‼︎

 

 

「な……今確かに使おうって…」

 

1回目は残念ながら46メートル何故なら…

 

「個性を消した」

 

今まで起きてるのか寝てるのかよく分からなかった相澤先生が口を開いた。そして緑谷君に向かって鋭い視線を向ける。

 

「つくづくあの入試は…合理性に欠くよ。お前のような奴も入学できてしまう」

 

「消した!!あのゴーグル…そうか……!見るだけで人の"個性"を抹消する"個性"!!抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!!」

 

独り言がデカいな、緑谷君。まぁでも、そうだ相澤先生の個性は視線を向けた相手の個性を一時的に消すというもの。異形型には効かなかったはずだが、この個性社会においてこれ程ヴィランにとってやり辛い相手も珍しいだろう。

 

マフラーを緑谷君に巻き付けて何か喋っている相澤先生、緑谷君の個性について話しているんだろうな…。ちなみに相澤先生は目のガチガチ感がヤク○みたいでちょっとだけ怖かった。

 

相澤先生から解放された緑谷君が再度円の中に入る。そして大きく振りかぶりボールを投げた。

 

ーー705.3メートル

 

思わぬ結果に驚いたのかクラスメイトからどよめきが起こる。

 

「まだ……動けます」

 

指から血を流しながらも未だ闘志を宿す目に相澤先生もニヤリと笑う。すると爆豪君が「デクッ!てめぇどういう事だ‼︎」と手から爆発を起こし詰め寄っていったが、結局は相澤先生に締め上げられてしまった。

 

 

キレやすい若者……現代社会の闇ですな。

 

 

 

 

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他の3種目も超絶イケイケ究極モードで突破し、ドキドキの結果発表の時間がやってきた。私が来た!!!

 

「因みに除籍はウソな………君らの最大限を引き出す"合理的虚偽"」

 

「「「はぁっーー‼︎?」」」

 

相澤先生の一言に何人かの生徒が驚きの声をあげる。退学がかかってたもん、そりゃ驚くわ。

 

「嘘に決まっているじゃない…よく考えたら分かりますわ」

 

呆れたような雰囲気を出し胸を揺らしながら言う八百万さん。その胸をチラ見とかでは無くしっかりと目に焼き付けていると、麗日さんが問いかけてきた。

 

「天羽君は気づいてた?」

 

「えっ?おおっ俺?もも、もちろんだとも‼︎ぜっ全部お見通しさ!」

 

「いや…なんか嘘っぽいけど…」

 

ちょっと動揺してしまったが別に嘘は言ってない。その後個性把握テストを終えクラスメイトと自己紹介しあい、飯田君と麗日さんと緑谷君と一緒に帰った。それと、惜しくもテストは2位に終わってしまった。好記録を出しまくったが万能さで八百万さんに負けた感じかな。

 

 

 

 

 

 

 


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