よろしければ見ていってください!
雷神の名を冠する個性
事の始まりは中国で"発光する赤児"が生まれたと言うニュースがあった。以降は各地で「超常」は発見され、原因も判然としないまま時は流れ、いつしか「超常」は「日常」となりて、世界に認知された。現在では世界には『ヒーロー』が存在し『敵(ヴィラン)』と言う者も存在している。ヴィランは簡単に言うと犯罪者だ、ヒーローはそれの抑止力的な仕事だ。そしてこの世界は世界総人口の約8割が超常能力"個性"を持つに至った超人社会である。
―――――――――
中学三年の春。この時期となると、本格的に進路を考えていく時期となる。
何処の高校に行くかとか、人生の分岐となる大事な時期だ。そんな中なんだが。
「ヤバイ!寝過ごした!?」
そんな大事な時期に寝坊した少年、豊穣頼光は急いで着替える。
「スマホの充電が無い!クソ!通りでアラームが鳴らない訳だよな」
スマホの充電切れが引き起こした故の寝坊。コンセントに刺さって居なかったのだ。頼光はそれを拾い上げ
「個性を使って充電するしかないか、ミスったら終わりだけどな」
ビリビリっと指先から電気を慎重に出し、充電をする。バッテリーは直ぐに満タンになった。
「これでいいけど、朝飯は食ってるヒマはねぇな……仕方ないか」
頼光は家の鍵を閉め、学校に向かって走り出す。時刻は8:20分どう頑張っても遅刻は避けることは不可能だ。頼光は完全に諦めて、歩いて向かった。自分が通う中学校に
ーーーーーーーーーーーーー
折寺中学校……進路のことを聞くためにプリントが配られようとしていた。
「えーお前らも三年生という事で、本格的に将来を考えていく時期!!今から進路希望のプリントを配るが皆……だいたいヒーロー科志望だよね」
その言葉と同時に教室内の学生達は、個性を発動させる。各自様々な個性があるのは今じゃ珍しい話では無い。世界の総人口の八割が個性を持っているのだから。ここ折寺中学校も例にもれず個性持つ学生が大半を占めている。
「うんうん皆良い"個性"だ。でも校内で"個性"発動は原則禁止な!」
先生は個性を発動した生徒に一応注意をする。そんな中、机に足を乗せた少年が言う
「せんせぇー『皆』とか一緒くたにすんなよ!俺はこんな"没個性"共と仲良く底辺なんざ行かねぇよ」
「そりゃねーだろカツキ!!!」
揃ってブーイングをしながら抗議する。爆豪はそんなのを気にする素振りも見せず、売り言葉で返す
「モブがモブらしくうっせー!!!」
先生が爆豪の進路希望を知っていたのか
「あー確か爆豪は『雄英高校』志望だったな」
雄英高校と言う名前が出た途端クラスが騒がしくなる。それもそのはず雄英高校とはヒーローを養成学科がある国立の高校だ。
「国立の!?今年偏差値79だぞ!!?」
「倍率も毎度やべーんだろ!?」
「そのざわざわがモブたる所以ゆえんだ!模試じゃA判定!!俺は中学ウチ唯一の雄英圏内!!
あのオールマイトをも超えて俺はトップヒーローと成り!必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!」
「あ、そういやあ緑谷と豊穣も雄英志望だったな」
爆豪は緑谷と豊穣を見る、が豊穣はまだ来ていない。他の皆も緑谷に注目する。そして笑いが起こる。
「はああ!?緑谷ぁ!?豊穣は兎も角、緑谷はムリッしょ!!」
「勉強出来るだけじゃヒーロー科は入れねんだぞ!!」
「そっ…そんな規定もうないよ!前例がないだけで…」
「こらデク!!」
BOOOM!!
「どわ!!?」
爆豪が緑谷の机を爆発する。緑谷はその影響で椅子ごと転ける。
「"没個性"どころか"無個性"のてめェがあ~!!何で俺と同じ土俵に立てるんだ!!?」
世界人口の八割は個性と言う超常能力を持つが逆を言えば、残りの二割はそれを持たない人達が居るということだ。そう、人は生まれながらに平等では無い。そう緑谷出久は無個性なのだ。
「待っ…違う。待ってかっちゃん。別に…張り合おうとかそんなの全然!本当だよ!」
緑谷は爆豪から逃げるように、座ったまま後ろへ下がる。だが、後ろは壁で直ぐに行き止まりに辿り着く。爆豪はゆっくりと距離を詰める
「ただ…小さい頃からの目標なんだ…それにその…やってみないとわかんないし…」
「なァにがやってみないとだ!!記念受験か!!てめェが何をやれるんだ!?」
「オイオイ、随分と騒がしいな。今日はそんな授業があったのか?」
教室の扉が開かれ、一人の少年が入ってくる。少年の容姿は背中まで伸びた長い金髪と相まって、どこか少女的な印象を受ける少年である。
「おーす、出久おはよう。で、なんだこれ?」
頼光は現在の教室の状況を見て、前髪をかきあげて、溜息をつき言葉を紡ぐ。
「勝己、内申気にすんなら、面倒起こさない方がいいぜ?」
「あ?ンだと!?やんのかよビリビリ野郎!」
手をパンパンと音を出して、怒りを顕にする爆豪。頼光も手から火花を散らしながら、応戦する準備をする。互いが睨み合うクラスのメンバーはこの一触即発の二人を見て冷や汗をかいているのが分かる。そんな中
「ふ、二人ともやめよう!受験があるのにこんな時に問題なんて起こしたらダメだよ!」
緑谷が間に入る。さっきまで言うがままだったが、この二人が喧嘩をしそうになって止めに入ったのだ。クラスのメンバーは緑谷が終わったと見ていたが。
「……そうだな。こんな大事な時期にやることじゃねえな。勝己もそれでいいだろ?」
「……クソが」
威嚇しながらも爆豪は機嫌が悪そうに、席につく。頼光はやれやれと肩をすくめ席に座る。そして授業があり、時間が過ぎて、放課後へと至る。
「さあて、図書館でも行こうか」
頼光は荷物をまとめ、教室を足早に出て、校内の図書館に足を運ぶ。図書館に着き、文化コーナーに行き、北欧神話の本を手に取り、とある神の所を読む。
「『トール』アース神族最強の戦士で今では『雷神』と言う面が目立ってきているが、農耕・季節・天候・災害などあらゆる全てを司った『全能神』でもあった……か。見れば見るほど凄い神だなトールは」
その本を読む頼光は目を輝かせて、子供がおもちゃを手にして喜んでいるかのようにも見えていた。しばらく時間が経ち、本当を閉じ元の場所を返した後に図書館から出て、帰路につこうとしていた。
「『トール』については大体把握はした……まぁそれと個性の全容が暴かれたかは別問題だな」
イヤホンを耳につけ、お気に入りの曲を聴いて、それを口ずさみながら歩いている。考えていることは個性の事もそうだが、緑谷と爆豪の事だ。頼光は小学校の時に二人に出会った。その時から二人は虐め虐められる関係だった。それでも緑谷は爆豪に着いて行ったのが気になっていた。それが見てられなくて、頼光が止めに入ったのがきっかけだ。それから紆余曲折を経て分かったことは、爆豪は根は悪くないが性格はあんな感じだのと、緑谷のヒーローへの思いは本物だという事だ。断りを入れていくと、頼光自身は爆豪と仲が悪くない。普通だが、頼光は緑谷を庇うので仲が悪く見えると言うのだ。
「もう少し、いがみ合うのなんとか成らないのか?勝己の奴……まぁ俺にどうこうできる域じゃねえだろうな。当人同士が本音を語り合うしか」
ポケットに手を突っ込みながら、空を見上げる。見上げて出るのは溜息しかなく、自分の事を棚に上げ二人を憂う少年がここにいる。すると、騒ぎがイヤホンの音楽に混じり、聞こえてくる。
それと同時に爆音まで聞こえる始末だ。その方向を見ると、人集りが出来上がってた。
「なんだよ?こんなに人が集まってよ」
頼光は目を凝らし、その先を見る。ヘドロの敵が暴れていたのだ。
「ヒーロー何で棒立ち?」
「中学生が捕まってんだと」
頼光は拳を握りしめていた。そんな所で何を見て突っ立てるンだと。俯きながら、自分ができることがないのを、恨んでいた。ヒーローじゃない人が個性を無闇に使うのはダメなのだから。
だが、見てしまった。そのヘドロの中に友達の姿を、そしてその顔が助けを求める顔に見えたのだ。その時には体が動いていた。
「オッサンこれ持っててくれ!」
「お?おい!?坊主!」
頼光は端末とバッグを無理矢理、近くにいたオッサンに押し付け、走り出す。
人混みを出る前に
「馬鹿ヤロー!!止まれ!!止まれ!!」
見覚えのある、緑髪の少年。緑谷出久が飛び出していた。
「出久!?」
頼光は驚き足を止める。緑谷は足を止めず、持ってたバッグをヘドロの敵へ向かって投げつける。バッグからノートや筆記用具やらが飛び出す。それらは宙を舞いヘドロの敵の目の部分に命中し、ヘドロの敵は怯む。そのスキを緑谷は逃すことなく、爆豪を助けるべく、ヘドロをかき分ける。その光景を見て頼光は少し笑い再び全速で走り出す。
「おい!君‼︎お前も危ないぞ‼︎」
「お前でもどうにもならないぞ‼︎」
頼光はそんな言葉を無視して、走り出す。目の前で友達が命をかけているのに、それを黙って見てられるほど頼光は大人しくない。
「行くぞ……!」
自身の肉体に雷を纏わせ、超高速移動を可能とさせ、電光石火の如く、走り出す。
「なんだ!?あの速さは!?」
緑谷にめがけ、ヘドロの敵の腕が伸びる
「もう少しなんだから、邪魔するなあ!!!」
その腕はその攻撃は緑谷に届くことは無かった。雷を纏った頼光が右腕を盾にして、防いでいたのだ。
「豊穣くん!」
「いい物見せてもらったぜ出久!やりゃできるじゃねえか!!今この場の誰よりもヒーローらしかったぜ!」
頼光はヘドロのその腕を振り振り払う。
「お前も邪魔するなら!吹っ飛ばす!」
再びヘドロの敵は腕を振るう。今度は頼光を目掛けて、吹き飛ばすつもりで全力で振るう。
「はっ!やってみなよ、
左手をヘドロの敵に向ける。指先に、青白い閃光が輝いていた。その個性の名を示すもの。分厚い鋼板を断ち切る、アーク溶断にも似た灼熱の雷光。ナイフぐらいまで伸びた青白い閃光を腕に合わせ振るう。その腕は切断される、普通の人なら重症だが、流動体なら問題は無い。だが痛みがない訳では無い。
「ウワァァァァ‼︎イテェぇぇぇ⁉︎」
「よし今だ‼︎」
頼光は出来たスキをつき、緑谷と爆豪を両手を使い引っ張り出し、後ろに飛ぶ。
「あとは任せたぜ!ヒーロー!」
「人に諭しておいて己が実践しない何て!!!」
入れ違いにヒーローが敵に向かい拳を振るう。
「プロはいつだって命懸け!!!!」
血を吐きながらも、その拳を振り下ろす。そのヒーローは誰もが知る平和の象徴
「DETROIT SMASH!!!」
拳一つが生み出した風圧は上昇気流となり、天候を変えた主の名前は
「右手一本で天気が変わっちまった!!!」
「すげえええええこれが……オールマイト!!!」
オールマイト。平和の象徴でNo.1のヒーローだった。