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衝撃的な光景に頼光以外は絶句していた。
「嘘……」
「相澤先生が……」
「どうすんだよ……先生ですらこうなってんだぞ、俺達どうなるんだよ……」
頼光は脳が剥き出しのヴィランを観察していた。
「(個性を消すことの出来る相澤先生が負けたとなると、見た目通りにパワータイプで個性は関係無いと見た方がいいか?)」
考えながら、そのヴィランの付近を見渡す近くに緑谷達が居た。それと同時にもう一度広場のヴィランを見て
「耳郎、八百万、上鳴は先に避難しとけ」
と軽く言う。その目はヴィランを写していた。耳郎は頼光が何をしようとしているのか疑問に思い言葉にする
「豊穣はどうするの?」
「俺はあいつと戦う」
衝撃的な言葉を吐く。相澤先生がやられたのを見て頼光が紡いだ言葉は戦うという言葉だ。その場の三人は止めようとする
「豊穣さん危険すぎます!!」
「そうだよ!いくら豊穣が強くても相澤先生がやられたんだよ!?」
「そうだぞ!相澤先生がやられてやべーんだぞ!」
だが、頼光はそれでは避難をしようとせず
「大丈夫大丈夫、負けるつもりなんてねぇし。それに……」
言葉を続ける、笑いなが
「俺と言う奴はああいうものを見ると……ほっとくわけにも行かねぇと思うだよな。それに、そこにいるヴィランと戦いたいと思うんだわ」
そう言い、広場の方に視線を向け体に雷を纏い、動き出した。
所変わって噴水近く、出久達が相澤先生が戦っている場所の近くにある水難ゾーンの岸近くで見ていると、ヴィランは相澤先生の腕を小枝を折るように折った。そして顔面を地面に叩きつけた。
「死柄木弔」
「黒霧、13号はやったのか?」
「行動不能にはできたものの散らし損ねた生徒がおりまして…一名、逃げられました。」
「………は?」
死柄木と言われるヴィランは素っ頓狂な声を出す
「ハァーーー……」
最初は片手でそして両腕で首をガリガリと掻き続ける、首の肌はもう既にボロボロなのだがそれでも掻き毟る
「黒霧おまえ……お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ……さすがに何十人ものプロ相手じゃかなわない………ゲームオーバーだ……あーあ今回はゲームオーバーだ。帰ろっか…」
「………?帰る?帰るってのか今??」
「そう聞こえたわ」
「やっやったぁ助かるんだ俺たち!」
ヴィランの一人が帰ると言った。峰田は喜んで蛙吹に抱きつく。その際に胸部に触れた。蛙吹は峰田を水に沈めながら
「でも、気味が悪いわ緑谷ちゃん」
「うん……これだけのことをしておいて、あっさりと引き上げるなんて(オールマイトを殺したいんじゃないのか!?ここで帰れば雄英の危機意識が上がるだけだぞ!!ゲームオーバー?何だ……何を考えているんだこいつらは!!)」
ヴィラン達の言動に言い知れぬ恐怖を感じた緑谷
「けどその前に、平和の象徴の矜持を少しでも……」
死柄木は一気に出久達に近づき手を伸ばし
「へし折って帰ろう‼︎」
蛙吹の顔に死柄木の手が触れる距離まで近づいた。だがその手が触れることなく
「オラァ!!」
突然現れた頼光の蹴りが死柄木の腹部を捉え、黒霧と言われたモヤの所まで思いっきり蹴り飛ばされる。
「よぉ!間一髪だったな!」
「豊穣君!」
吹き飛ばされたヴィランは腹部を抑え、咳き込みながら
「ゲホゲホ!イッテェなぁー……んだあのガキなんつーパワーだよ」
「まだあんな学生がいたなんて」
ヴィラン達が頼光を見ながら話しているスキに頼光は脳が剥き出しのヴィランを掴み投げ飛ばした。
「おーい、先生大丈夫か?」
「危ないのに……来るな、早く避難しろ!」
相澤先生は目を見開き言う。頼光はやれやれと首を振り
「悪ぃがそれは出来ねぇな。目の前で危機に陥っている人を見捨てられる性分じゃねぇんだよ。怪我人は黙ってな」
「……っ!」
「まぁ何だ、かっこよかったぜイレイザーヘッド。あとは任せな」
「……無理は、するな」
そう言い相澤先生は気を失った。頼光は相澤先生を軽々と背負い、緑谷達と合流し相澤先生を預け
「出久!相澤先生を頼んだぜ」
「分かった!豊穣君はどうするの?」
「あ?あいつらと戦うに決まってんだろ?」
頼光の返しに三人は驚き
「豊穣!!いくらお前でも勝てねぇよ!!逃げようぜ!!」
「峰田くんの言う通りだよ!豊穣くんも逃げようよ!」
「悪いがお断りだ。俺はあいつらと戦いたいんだよ。ハナから負けるために挑むわけねぇだろ?勝って思惑を潰してやるよ」
そう言い頼光はヴィラン達の方へ歩いて行く。
「へぇーカッコいいなぁお前…仲間を庇うなんてなぁ…流石はヒーローの卵だなぁ……」
死柄木は頼光を見ながら言う。両手を広げ煽るように言う。頼光は笑いなが
「そうかよ、でもそれだけじゃないんだよ。先生を倒したそこの脳が剥き出しのヴィラン。そいつを倒したら経験値を得られそうだからな。あんなチンピラを倒しても大した経験値なんて手に入らねぇし。第一そんな奴に戦わせて高みの見物を決め込んでいるやつが、俺は強いと言われてもなぁ……」
やれやれと首を振り、呆れたと言わんばかりの溜め息もついて見せた。
「うるせぇよ、もういいお前死ねよ。殺れ、脳無」
死柄木の指示で脳無が動き出した。頼光の方に向かい拳を振り上げる。頼光もそれを迎え撃つべく拳を構える、そして二人の拳は激突する。
「クッ!」
頼光は後ろへ飛ぶ。そして迎え撃った左腕を見る
「(なんつう力だ、今の俺が打ち負けた……はっ!おもしれぇ。腕は動くしこれからだ)」
手をプラプラと振り、再び脳無に向かう。脳無も頼光に向かい行動を起こす。脳無はその剛腕を振るう。その一撃はまともに貰えば危険この上ないだろう。そうまともに貰えばだ、頼光はギリギリでそれをかいくぐり、腹部をめがけて拳を叩きつける。クリーンヒットだ。しかし脳無は微動だにせず立っていた。脳無は再び拳を振るう、頼光はそれに反応し交わし、再び拳を叩きつける。
「効いてないのか?」
頼光の反応に楽しげに死柄木は言う
「そりゃそうだろ、そいつの個性はショック吸収だからな。お前の攻撃は効かねぇよ」
「なるほどな!」
頼光は次に溶断ブレードを出した。姿勢を低くし脳無の股下を潜り、アキレス腱を切る
「これで満足に動けないだろ」
そのままスライディングの勢いで走り抜け、脳無を観察する。アキレス腱を切られた脳無は膝をつくが、切られた断面がすぐに再生した
「なに!?」
「あー、こいつは超再生だなぁ。オールマイトを殺すための改人脳無だ。お前みたいなガキの攻撃は効かねぇんだよ」
死柄木は頼光の反応を面白がって、個性を明かす。しかし頼光は
「ショック吸収に超再生か……なら、少し強めてもいいよな!」
頼光は右手に雷を纏う。それは巨大なものとなり、バチバチと音を立てている。なお雷の勢いは衰えることなく増大する。そして頼光は一撃を脳無に叩きつけるべく走り出す
「喰らいやがれ!!
その一撃が脳無の体に命中した瞬間。凄まじい轟音と衝撃、風圧が放たれる。その衝撃は死柄木達と緑谷達まで届くものとなった。
「これは豊穣くんの力⁈まさかこれほどまであるなんて⁉︎」
「っ!何なんだよ!?あの金髪ビリビリ野郎チートじゃねぇか!!」
「まさかこれほどまで力を持った生徒がいるとは予想外ですね」
煙が晴れる。そこには拳を放った体制で脳無を見据える頼光と身体に風穴が空いた脳無が頼光と距離があると言うことで、飛ばされたのだろう。しかし脳無の風穴はすぐさま塞がる
「チッ。これじゃ決定打にはなり得ないか……思いのほかタフで結構だぜ」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる頼光
「そりゃそうだろ…なんせコイツは対オールマイトに作られた先生の最高傑作だからなぁ……そろそろ終わらせろ、殺れ、脳無」
その言葉と共に脳無は先程より早く動き、頼光に接近する。頼光は死柄木の先生という言葉に思考を走らせていたため反応が遅れる
「(さっきより速い!迎撃は間に合わねぇ!ガード……間に合わない!)」
頼光はガードをしようとしたが、出遅れてしまい、脳無の一撃をまともに貰ってしまい、吹っ飛ばされる
「グッ!」
吹っ飛ばされた先の噴水に叩きつけられる。
場面は変わり、耳郎達は出口に向かっていた。耳郎達は頼光が心配だが先に進むしかなかった
「豊穣……大丈夫だよね」
耳郎の中では言い知れぬ不安があった。相澤先生がやられた姿を見て、頼光も同じようにやられるのではないかと。その直後、雷が轟いたような轟音と衝撃が耳郎達まで届く
「雷……まさか豊穣か?すげぇーな本当にやっつけちまうなんてな!」
その衝撃と轟音で上鳴はテンションが上がる。八百万も凄いと感嘆の声を漏らす。耳郎もすごいと思うのだが、何故か不安が消えることは無い。その時耳郎の視界に写った。頼光が脳無の一撃をまともに貰い、噴水に激突する様を
「豊穣ッ!」
耳郎は気づくと走り出していた。みんなの制止を振り切って、頼光の元に走る。
噴水の瓦礫をどけて、頼光は膝を付きながら、脳無を見る
「(さっきより速くなりやがった。まだ隠していたのか……クソ、さっきので骨がイったな……あのパワー、ガード越しでも効くだろうな……いいねいいね、そう来なくちゃなぁ)」
目に入りそうになった血を拭い、少々フラつきながら立ち上がる。その目に絶望などなく、楽しんでいるようにも見え、嬉しそうにも見える。
「脳無の攻撃に耐えたなんて、かっこいいなぁ…ムカつく位に」
死柄木は余裕そうに言う。それもそうだろう、頼光は旗から見ればボロボロだ。そんな時声が掛かる。
「豊穣!」
さすがの頼光も驚く。その声の主は耳郎だった。
「(バカ!なんできやがった!)」
死柄木はそれを見てニヤリと笑う。
「イイねぇ、熱い友情ごっこは。感動するじゃないか、心配してくれてるぞ?ほら頑張れよ、脳無あの女殺せ」
脳無は命令通りに耳郎を殺すべく凄まじい速度で迫る。
「あ……」
耳郎は動けなかった。咄嗟のことと、恐怖で動けなかった。耳郎は死を覚悟し目を瞑る。しかし痛みは来なかった。
「…本当かっこいいねぇヒーローの卵……本当にイライラするよ…お前」
恐る恐る目を開けると脳無フルスイングを腕を受け止めている頼光が居た。
「うぉぉおおおうらああああ!!!」
脳無の腕を掴み噴水の所まで投げ飛ばす。頼光は肩で息をし膝を地面につく
「ほ、豊穣……ウチ……」
耳郎はへたり込む、助けに来たつもりが逆に助けられた。負わなくてもいい負担を負わせたと思うと申し訳なさで涙が出る。しかし頼光の言葉は
「……怪我は……無い見たいだな……よかった。たく、無茶しやがって」
笑いながら言う。耳郎からすると、それはこっちのセリフと言いたいのだが、言えなかった。頼光は脳無が立ち上がるのを見て
「さて……決着をつけるとするか」
「豊穣もう無理だよ!無茶だよ!そんな体で戦えばどうなるか……」
「大丈夫。さっきまでは、手加減していたんだよ。アイツ相手なら大丈夫だろ」
それを聞いた死柄木は心底ウザそうに
「ハァ?ボロボロのくせに言うよ、もういい、今度こそ殺すよ」
「殺れるなら殺れるもんならな。さぁ、加減はやめてやる。精々楽しませろよ?ヴィランちゃん!」
その言葉を紡いだ瞬間、頼光の目の色が変わった、その髪に、指先に、青白く淡い光が点いていく。そしてベルトを正しい形にする。
「手っ取り早く終わらせてもらうぜ。どぉーも、今から殴りあっても、面白い経験値は得られないだろうからな」
「あーうざったいな、お前。殺れ脳無」
脳無は言われた通りに頼光めがけて飛びかかり、殴り掛かる。それを頼光は拳で迎え撃つ。先程より凄まじい衝撃が伝わる。しかし、脳無が大きく下がる。再び殴り掛かるが頼光の拳はそれより速く脳無の腹部を捉え、凄まじい勢いで殴り飛ばす。
「オラオラァ!どうしたんだよ、そんなもんかよ!ショック吸収なんて言う代物はよぉ!!」
「何なんだよあいつ!さっきまで死にかけだったじゃねぇか!!脳無!さっさと殺せ!」
「落ち着いてください!死柄木弔」
脳無が攻撃を当てようとするが、全て受け流され、一撃、また一撃と叩き込む。ショック吸収を持つ脳無だが、動きが格段に悪くなっている。
「どうなってんだよ!ショック吸収のはずだろ!なんで脳無のやつやられてんだよ!」
死柄木はイライラして首をかきむしる。
「雷神トールは怪力の神だ。北欧通しても、クソ重い雷槌ミョルニルを取り扱えるのは二人しかいないほどにな。こちとら加減をやめて"あの帯"までつけ直してやったんだ。フェンリルの顎を上下に裂く神より強大と言われた軍神の名を冠する個性だぜ?ショック吸収……少し期待したんだがなぁ!!この程度かよ!?」
雷を纏った拳を叩き込む、脳無の顔が上がる。頼光は踏み込みながら体をひねり、相手を高く蹴り上げる。それは天井に悠々と届き落ちてくる。それに合わすように頼光は構える。雷が迸り、それは大きな槌の形をなす。脳無の落下に合わせそれを振るう
「吹っ飛べ、地の果てまで……
黄色い凄まじい雷光が脳無の体を包みながら、USJの天井に大穴を作り貫き飛んでいく。
「死柄木弔!脳無が完全にやられたました‼︎」
「なんでだよ…!なんでやられてんだよ‼︎あんな野郎に‼︎」
死柄木はこれでもかという位に首を掻きむしりながら逆上した
「どうしたんだ、オールマイトを殺るんだろ?俺一人も殺せてねえぞ?」
「クソ……終われるかよ、黒霧!俺とお前であいつを殺すぞ!」
「しかし死柄木弔、彼はイレギュラーがすぎます!撤退すべきです!」
「五月蝿い!あいつだけは絶対に殺す!」
怒りの殺意を頼光にぶつけるが
「(チッ、受けてたダメージが大きいか……消耗が激しいな、それにそろそろか)」
噴水広場に衝撃が起こった、煙が晴れると、
「もう大丈夫だ、何故って?私が来た!」
平和の象徴オールマイトがそこに立っていた。
「遅刻だぜオールマイト。大物は俺が倒したぞ」
「嘘だろ豊穣少年!?」
「どうせあんたのことだろうから、活動限界で来れなくて、最後の方に顔を出すつもりだっただろ?」
「ギクッ!?」
「しっかりしろよヒーロー」
死柄木達はオールマイトの登場に苦虫を噛み潰したような反応を示し
「ここでオールマイトか……退くぞ黒霧」
「分かりました」
黒霧はワープゲートを発動させ、死柄木はその中に入る。そして去り際に
「次は殺すぞオールマイト。そしてそこのガキも」
呪詛を振りまき姿を消した。それを見届けた頼光は膝から崩れ落ち、前のめりに倒れる。
「(……案の定、ダメージで加速した消費でガス欠を起こすか……まだまだ、制御しきれてないな……バックファイヤでダメージが来なかっただけ……ましか)」
周りから声が聞こえるが、予想以上のダメージと個性の負荷により限界を迎えていた。頼光は周りの声が遠くなっていくのを感じながら、目を瞑った。
今回はかなり無茶したのと、色々参考にしながら書きました。思ったよりかなり難しかったです。