「どう思う?」
教師陣席の後ろ、経営科の席で1人の生徒が他に向けて声を発した。基本的に体育祭に参加するメリットが無い経営科は、売り子や経営戦略等のシミュレーションなどで勘を培っている。
要するに基本的には暇なのだ。
「とりあえず緑谷と豊穣の株価急上昇だね。エンデヴァーの息子の轟と、ヘドロ事件の爆豪の二人を抑えてのゴールだからね。豊穣は実力とルックスどっちもいける。緑谷は個性をみせてないとなると先が読めないなー」
雷を纏い圧倒的なパワーとスピードでの障害物の蹂躙。全てを上からねじ伏せるかのようなパワープレーで押し切った。緑谷はというと未だ個性を使用して居らず、障害物の突破方法も泥臭いモノであった為、未だ評価が定まっていない。
「事務所経営を請け負ったと仮定して、豊穣は十二分に行けるけど、緑谷が難しいよね」
「見た目じゃまず無理だね。実力面や彼なりのアーティスティックなこだわりがあれば、そこを押し出せるけど、材料が揃わない事には難しいと思うよ」
という経営科の意見であったが、プロヒーローの目からしても、その意見に大きな差はない。実際、材料が本格的に揃い始めるのは次の本選からだろう。第一種目の障害物競走は予選であり、ただの篩い落とし。
「予選通過は上位42名!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されているわ!」
障害物競走は予選。次からが本番、ここから幕が開ける。
「そして次からいよいよ本選よ!ここからは取材陣も白熱してくるよ!キバリなさい!さーて、第二種目よ!私はもう知っているけど~~何かしら!?言ってるそばから…騎馬戦よ」
スクリーンには騎馬戦と表示された。
個人競技では無く、協力しての競技となった。参加者は様々な反応を見せるが、頼光は微妙な表情を浮かべていた。
「(ヤバイな……この競技、俺に向いてないぞ……)」
頼光は大きくため息をついて、どうするかを考える。パワーとスピード、雷を扱う頼光。騎馬戦となると、機動力が生きにくくなる。雷を纏えば、騎馬をするにあたって仲間に被害が出てしまう。
「参加者は2~4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ。基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、異なる点も有るわ。まずはポイント。第一種目の結果にしたがい各自にポイントが振り当てられるわ!」
組み合わせによって騎馬のポイントがそれぞれ異なり、それを奪い合うポイント稼ぎ方式である。ミッドナイトは説明を続ける。
「1位に与えられるポイントは、1000万!上位の奴ほど狙われちゃう、下克上サバイバルよ!」
頼光に視線が集まる。頼光はどうするかを考えていて聞いていなかったため、なぜ視線が集まったか気づいていない。
「あ?なんでこんなに視線が集まってんだよ?」
「頼光きいてなかったの?予選の順位でポイントがあって3位のポイントは200P、2位は205Pだというのに、1位は1000万だって……」
耳郎は頼光に教える。頼光はポカンとしてミッドナイト
「制限時間は15分。振り当てられたPの合計が騎馬のPとなり、騎手はそのP数が表示されたハチマキを装着!終了までにハチマキを奪い合い保持ポイントを競い合うのよ。取ったハチマキは首から上に巻くこと。取りまくればとくりまくるほど、管理が大変になるわよ!そして重要なのはハチマキを取られても騎馬を崩されてもアウトにはならないところ!」
「(騎馬は別に崩れてもいいし、ハチマキも取り返せば何ら問題は無いということか。なるほどな……面白そうじゃねぇの!)」
「個性発動アリの残虐ファイト!でも……悪質な攻撃はレッドカードで一発退場!それじゃあ15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!」
ミッドナイトの合図でチーム決めの話し合いが始まる。
「……みんな、避けるなぁ」
序盤中盤とハチマキを保持し、終盤で奪いにかかる戦法の方が理にかなっている。そんな騎馬で、態々狙われるリスクがある1000万ポイントの頼光と組む利点は少ないものだ。そんな中、頼光の目にある人物が目に止まる。
「なぁ、俺と組んでくれないか?常闇ちゃん」
「豊穣か。俺は良いが、ほかのメンバーはまだ居ない見たいだな」
「まぁ、そうだな。今から、残りを探しに行くところだ」
頼光が探しに行こうとした時、声が掛かる。
「豊穣君、常闇君。僕達と組んでくれない?」
声のする方を、頼光と常闇は向きその人物を見る。その人物の顔を見て頼光は口角を吊り上げ
「ああ、良いぜ!こっちも人手が足りなかった所だ。なぁ、良いだろ?常闇ちゃん」
「ああ、異論は無い」
「んじゃあ役割キメようか……なぁ、緑谷、麗日、常闇」
四人が顔を合わせ話し始める。1000万ポイントをどう守るか、どう騎馬戦を乗り切るかを
「前馬は常闇くんがいいと思う。僕と豊穣君が騎馬になると、出来ることが限られてしまう。でも、常闇君の黒影なら、騎馬をしていても自在に個性を使える」
「フッ……面白い。俺の個性に攻撃不要とは、この中じゃ特殊な選択だぞ。俺を使ってみろ、託すぞ緑谷」
「緑谷の個性は俺は知ってる。その上で俺が騎手をさせて貰うぜ?俺なら中距離攻撃もあるし、騎手にうってつけだと思うぜ」
雷撃、溶断ブレード、様々な手札は頼光にはある。まだ、出していない技ももちろん存在している。得意なのは近距離戦だが、中距離の差し合いの技もある。
「うん、豊穣君に騎手を任せるよ。じゃあ僕と麗日さんは騎馬をする。麗日さんは、騎馬をしながら、豊穣君を軽く浮かせることをお願いしたいんだけど行ける?」
「大丈夫!任せておいて!」
おおよその立ち回りが決まり出す。主に常闇の黒影が防御をしてくれているあいだは頼光は警戒し、常闇の黒影が弱まれば、頼光が近中距離で個性を使い出すというものだ。黒影の弱点が光である以上同時に使う事は避けたい。だが、騎手の近中距離の攻撃が出来る手段を減らすのは得策とは言えない。だから、この四人の中では頼光が騎手に一番適しているということだ。
「じゃあ、いっちょやりますか!」
そしてプレゼントマイクのカウントダウンが始まる。
『よぉーし!組み終わったな!!?準備はいいか聞かねえぞ!!行くぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!3!!2!!1!!START!!』
豊穣チーム
緑谷 205P
麗日 130P
常闇 175P
豊穣 1000万P
今、次に進むためのチーム戦が始まる!