ヒロアカ 個性『トール』雷神の名を冠する者   作:皐月の王

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決着 第二種目 騎馬戦

スタートの合図で騎馬戦の幕が上がる。

 

「実質それの争奪戦だ!!!」

 

「はっはっは!!豊穣くんいっただくよーーーー!!」

 

「覚悟してよね頼光!」

 

二組が仕掛けてくる。一組はB組でもう一組は耳郎達の騎馬だ。両方とも前方から距離を詰めてくる。先手必勝と言わんばかりに突撃してくる二組に対し、面白そうに見据える。

 

「いきなり襲来とはな……まず二組。追われし者の宿命……選択しろ豊穣!」

 

「おっし、迎撃するか!常闇は黒影を出すなよ!騎馬は少し下がりながらで頼む!」

 

「「分かった!」」

 

頼光は騎馬に指示を出し、迎撃の手段をとる。手に雷を集約させ、野球ボールサイズの玉を手のひらに作り出す。

 

「悪質じゃなく、維持出来ないような攻撃じゃないなら良いよな!楽しんでくれよ?ベイビー。炸裂エレキボール!!」

 

手榴弾を投げるように、炸裂エレキボールを放つ。そのエレキボールは二組の間に落ち炸裂し、放電する。

 

「ぐっ~〜〜!!!」

 

「あばばばばば!!!」

 

「頼……光!!」

 

炸裂したエレキボールは約100万ボルトの放電となり、二組の動きを確実に止め、相手の個性の発動を妨害した。

 

「そう簡単に取られると思うなよ?」

 

「それはオイラにも言えたことだぜ豊穣!!」

 

今度は横から障子が接近してくる。

 

「障子くん!?一人!?騎馬戦だよ!?」

 

未だに囲まれそうになっている状況が続く、そこでさらに障子の襲来。

 

「一旦距離を取れ!とにかく複数相手に立ち止まっては!」

 

「……!止まれ!三人!足元を見ろ!」

 

頼光が叫ぶ、三人が足元を見ると峰田の球体が落ちていた。踏めば引っ付いて離れなくなる個性の代物だ。もし踏んでしまえば、その場に釘付けになっていただろう。

 

「峰田くんの!!一体どこから……!」

 

「ここからだよ豊穣、緑谷ぁ……」

 

「んなのアリかよ!!」

 

障子が峰田をすっぽり覆い隠しているのだ。個性を生かした騎馬なのだが、どうやって奪えというのだろうか。手を伸ばして取れるというものではない。確実に鞭やその手の個性が必要とされるだろう。

 

攻撃は止まず更に障子の複製腕の影から鞭のように舌が伸びてくる。

 

「うお!?」

 

頼光は何とか上体を逸らし、回避に成功する。攻撃が飛んできた方向を頼光は見据え驚く。

 

「さすがね豊穣ちゃん……!」

 

「蛙吹もあの中にいるのかよ」

 

「蛙吹さんもか!!凄いな障子くん!!」

 

周りを見ると、1000万を狙っている騎馬が集結しつつある。このままだと包囲網的な何かが完成してしまい逃げ場がなくなる。

 

「感心している場合じゃねぇな!俺の溶断ブレードで飛ぶぞ!麗日準備いいな?」

 

「いつでも!!」

 

「んじゃ行くぜ!!そらぁ!!」

 

十本の指から溶断ブレードを一気に噴出させ、空気の膨張を利用して騎馬ごと飛び上がる。

 

「スキだらけだぞ!!ビリビリ!!」

 

空中にいるのに、爆豪が後方より接近してきていた。騎馬から離れ直接奪いに来たのだ。

 

「ッ!来たか、爆豪ちゃん!防御頼んだ!常闇!」

 

「承知した!」

 

頼光の指示に応え、爆豪の攻撃を常闇の黒影が防御する。

 

「何だ……こいつ―――……」

 

爆豪は訝しげに自分の攻撃を防いだ黒影を見る。その後ろでテープが伸びてきて、回収される。

 

『やはり狙われまくる一位と猛追を仕掛けるA組の面々共に実力者揃い!現在の保持Pはどうなっているのか……7分経過した現在のランクを見てみよう!……あら!!?』

 

実況の声が詰まる。不思議なことが起きてるのだ

 

『ちょっと待てよコレ…!A組豊穣以外ぱっとしねぇ……って爆豪あれ……!?』

 

爆豪はB組の物間に取られてしまった。そして物間の煽りに頭に来て、豊穣を狙うのを中止して、物間との決着をつけることを選択する。

 

「(クラスぐるみでよくやるなぁ。まぁ、チームワークがいいといえば、そういうことになるだろうな)」

 

頼光は特に興味なさげに、目を離し騎馬に声をかける。

 

「とりあえずここまでは順調だ、この調子なら……」

 

豊穣達の騎馬の前に別の騎馬が立ちはだかる。

 

『さァ残り時間半分切ったぞ!!』

 

実況が残り時間が半分切った事を言う。対面している豊穣は息を小さく吐き

 

「そう簡単に、終わらしてくれねぇ見たいだな……構えろよ、楽しめそうなやつが来たぞ」

 

対面した騎馬は轟チームだ。轟は頼光を見据えて、息を吐き言う。

 

「そろそろ、奪るぞ」

 

「もう少々終盤で相対するのではと踏んでいたが……買われているな豊穣」

 

「ああ、そうみたいだな!」

 

頼光は嬉しそうに目を輝かせ答える。緑谷は

 

「時間はもう半分!ここからは足を止められない!仕掛けてくるのは1組だけじゃない!」

 

その言葉と同時に、轟チームの上鳴が動いた。

 

「しっかり防げよ……!無差別放電130万V!!!」

 

上鳴の放電は近くにいる周りのチームに無差別に当たる。轟チームの面々は、八百万が作った絶縁体のマントで被害をゼロに抑えた。

 

「騎馬はやらせねぇぞ!」

 

頼光は自分のところに迫る放電を、自身に引き寄せガードする。

 

「悪いが、我慢しろ」

 

しかし、攻撃の手は緩めない。次が八百万が放電の事前に作った、熱伝導率の良い金属棒を轟に渡した。それを受け取った轟は氷結の個性を使い、各チームの騎馬を行動不能にした。

 

「放電で確実に動きを止めてから氷結か……!」

 

「前来とるよ!」

 

「牽制する!」

 

常闇が黒影で牽制する。その牽制を轟は八百万に指示を出す。

 

「八百万!」

 

「させません!」

 

創造で盾を作り出し、黒影の牽制をいなす。

 

「牽制としてナイスだぜ。態々無理に突破する必要は無い。大事なのは黒影の射程と俺の射程だ。そして……」

 

「相手の行こうとするリズムに合わせて動き、左側を意識するんだよね」

 

頼光は頷く。轟が左を使わない限りこの立ち回りはかなり有効に働き……

 

『残り時間約1分!!轟フィールドをサシ仕様にし……そしてあっちゅーまに1000万奪取!!!とか思ってたよ5分前までは!!豊穣なんとこの狭い空間で5分間逃げ切っている!!』

 

そう、5分間時間を稼ぐことに成功しているのだ。

 

「(常に距離を置いて左側に……よく見てやがる。これじゃあ最短で凍結させようにも飯田が引っかかる。こうも動かれたら無闇な凍結は自分の首を絞めるな……それに、上鳴の放電も豊穣に一極に集められ無効化されちまう……残りの1分でどう動くか……!)」

 

「(轟が右だけに拘っているからこうして保てているが、いざこざがなければ左側も攻撃してきただろうな。けど、このまま終わるとは思えねぇ。飯田がいる以上なにか仕掛けてきそうだ)」

 

逃げている側も気を張り詰めている。その集中力の高まりは、並のものじゃない。飯田の目を見て頼光は瞬時に騎馬に声をかける。

 

「三人とも、少し痺れるかもしれねえけど。我慢してくれよ?」

 

「ここまで来たら、信じるぞ豊穣」

 

「何かするんだよね!ウチら我慢するからやってもいいよ!」

 

「うん!豊穣君任せるよ!」

 

三人からの了承を得て、小さく息を吐き集中力を高める。微かに、パチパチと言う弾けるような音が頼光の周りから聞き取れる。

 

「皆、残りの1分弱……この後、俺は使えなくなる。頼んだぞ」

 

「飯田?」

 

飯田覚悟を決め、目の前の豊穣チームを見据える。

 

「しっかり掴まっていろ。そして取れよ轟君!」

 

その言葉を聞いて轟は身構える。頼光も

 

「行くぞ、しっかり支えてくれよ!出久!麗日!常闇!」

 

そして、一瞬の勝負が行われた。速さの勝負が

 

「トルクオーバー!!」

 

「ライトニングアクセル……!」

 

技の準備が一瞬で行われ、そして一瞬の攻防が行われる。

 

「レシプロバースト!!」

 

「20%電光石火!!」

 

飯田のレシプロバーストは爆発力がある瞬間的な速さで、頼光の騎馬目掛け走る。そして轟はその速さに合わせて、ハチマキをとるというものだ。だが……

 

「あの野郎……!」

 

轟は忌々しげに上を見る。そこには雷を纏った頼光が空中に居た。

 

「あれを避けたのか!?」

 

飯田は驚きながら、頼光を見上げる。頼光は下のメンバーに当たらないように、溶断ブレードで滞空していた。

 

「危ねぇな!こんなの隠してたのかよ!飯田!!」

 

頼光は嬉しそうに飯田に向かい言う。まさかこんな手を隠しているとは頼光も思わなかった。なにかしてくる程度の考えだったからというのが大きい。

 

頼光は再び騎馬の上に着地する。

 

『ここに来て怒涛の攻防ーッ!!しかし轟チーム、1000万は奪えず!そろそろ時間だカウントいくぜ!エヴィバディセイヘイ!10!9!8!―――……』

 

「奪えなかったか……」

 

減りゆくカウントダウンを聞きながら呟く轟。

 

「すまない!力及ばずだ!」

 

「申し訳ございません、お力になれなくて……」

 

「ウェーイ……」

 

三人が轟に対して謝罪をする。轟は首を横に振る

 

「いいや、お前達のせいじゃねえよ。俺の力不足だった。だが、このままは終わらねぇ。最終種目で決着をつけてやる」

 

己が目的の為、超えなければならない壁を超えるため、頼光と緑谷を見据えたまま、制限時間を迎える。

 

『TIME UP!!』

 

第二種目、騎馬戦の幕は下りた。

 

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