ヒロアカ 個性『トール』雷神の名を冠する者   作:皐月の王

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昼休憩と電話

午前の部が終わって、昼休憩になる。頼光は昼食の前に手洗いに行き、その帰りを歩いている。

 

「雁字搦めの社会で幾度手を……お?」

 

その視界の先には爆豪勝己が立っていた。頼光を待ち受けていた。という訳ではなくて、なにか聞いているような感じだった。頼光は特に気にすることなく

 

「おーい勝己ー飯食いに……」

 

「しっ!」

 

爆豪は人差し指を唇に当て、頼光に言葉を飲み込ませた。

 

(あん?)

 

少し怪訝そうな顔を浮かべ、爆豪の近くに行き

 

「何かあるのか?」

 

「気づかれるだろ、黙ってろ」

 

曲がり角の先の方へ顎をしゃくり、見るように促す。頼光は覗き込む様に見る。そこには、そこには轟と緑谷が向かい合っている光景が見えた。

 

「んだこれ?」

 

「俺に聞くなビリビリ」

 

互いに顔を見合わせて、轟と緑谷を見る

 

「緑谷、お前、オールマイトの隠し子か何かか?」

 

轟の話し声が唐突に聞こえてきた。

 

「ち、違うよそれは!って言っても、もし本当に隠し子だったら違うって言うに決まってるから納得しないと思うけどとにかくそんなんじゃなくて……そもそも、その、逆に聞くけどなんで僕なんかに?」

 

「そんなんじゃなくて、って言い方は少なくとも何かしら言えない繋がりがあるってことだな?」

 

「……っ!?」

 

緑谷に追求する轟。この一連の会話で頼光は目の前の光景についておおよその見当が付ける。

 

(控えの続きか……どんな話が始まるんだろうな)

 

体育祭開会式前、控え室で行われた轟が緑谷に突っかかった時の事を思い出す。恐らくその話の続きだろう、あの時は切島が止めに入ったし、ギャラリーも多くいたからそれ以上は無かったが。轟は話を続ける。

 

「俺の親父はエンデヴァー。知ってるだろ、万年No.2のヒーローだ。お前がNo.1ヒーローの何かを持ってるなら俺は尚更勝たなきゃならねえ」

 

そこから話されたのは、轟焦凍の過去、No.2ヒーロー轟の父・エンデヴァーの話だった。自分ではどんだけ頑張ってもNO.1ヒーロー、オールマイトは超えられない。それを超える逸材を生み出すために、『個性婚』に出たという。個性婚は自身の個性をより強化して子供に継がせる為だけに配偶者を選び、結婚を強いること。実績と金があったエンデヴァーは轟の母方の親族を丸め込み、母親の個性を得たという話だ。

 

「お前がオールマイトの何であろうと俺は右だけでお前の上を行く。時間取らせたな」

 

最後にそう言い残しその場を去ろうとする。だが、

 

「僕は……!僕はずっと助けられてきた。さっきだってそうだ。僕は誰かに助けられてここにいる。オールマイト……彼のようになりたい!その為には一番になるくらい強くならなきゃいけない。君に比べたら些細な動機かも知れない。でも僕だって負けられない。僕を助けてくれた人達に応えるためにも……!」

 

去りゆく轟を追いかけ、そして宣言する。

 

「さっき受けた宣戦布告、改めて僕からも。僕も君に勝つ!」

 

堂々と轟を見据えて緑谷は宣言する。轟も緑谷を見つめていたがその後何も言わずに去って行った。

 

「なんか、凄いもの聞いたな……どうすんだよ……」

 

「どうすもこうするもねぇよ!聞かれるほうが悪いんだよ!」

 

と言う爆豪だが、罪悪感があるのか、脂汗が出ている。そんな話を聞くつもりは無かった、だが聞いてしまった。それが、現実でどうしようもないことだ。

 

「まぁ、そりゃそうだよな。俺達にはどうしようもねぇな」

 

爆豪は少し驚いた表情を頼光に向ける。頼光は心外だなという表情を浮かべ

 

「別に何も思わなかったわけじゃないけど、俺も上を目指してるし戦うことが楽しみなんだぜ?そこに家の事情なんて入る余地ねぇだろ?まさか、勝己あの話を聞いて譲るつもりなのか?」

 

頼光に煽られて爆発する爆豪

 

「ンなわけねぇだろ!!関係ねぇに決まってるだろ!相手が、デクだろうとお前だろうとぶっ飛ばして俺が頂点に立つ!!」

 

爆豪はそう言いその場を立ち去った。頼光はその背中を見送り……

 

「いいねぇ!上等じゃねぇの!それでこそだぜ勝己!それでこそ、俺のライバルだぜ」

 

バチバチと電気を鳴らす。やる気のボルテージが最大まで上がっているのだ。昼飯を食べるために、食堂に行く。心を落ち着かせながら

 

 

《レクレーションが終われば最終種目!!進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!一対一のガチバトルだ!!》

 

昼休憩が終わりいよいよ午後の部開始の時間となる。会場の実況者プレゼント・マイクの声が響き渡り盛り上げる。

 

形式は異なるが、毎年サシで競っているのは共通らしい。

 

「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始となります。レクに関しては進出者16名は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も、温存したい人もいるしね!じゃあ一位のチームから」

 

「すいません、俺辞退します」

 

尾白が手を挙げて辞退を申請する。

 

「尾白君何で!?」

 

「せっかくプロに見てもらえる場なのに!」

 

「騎馬戦の記憶……終盤ギリギリまでほぼボンヤリとしかないんだ。多分ヤツの個性で……。チャンスの場だってのは分かってる。それをふいにするなんて愚かなことだってのも。でもさ、皆が力を出し合って争ってきた場なんだ。こんな……訳分かんないままそこに並ぶなんて俺には出来ない。これは、俺のプライドの問題の話だけど、俺が嫌なんだ……!」

 

「僕も同様の理由から棄権したい!実力如何以前に……何もしていない者が上がるのは……この体育祭の趣旨に反しているのではないだろうか!」

 

B組の庄田二連撃という人物も尾白猿夫に続いて棄権を申請する。皆がミッドナイトを見つめる。

 

 「そういう青臭い話はさ……好み!!!庄田、尾白の棄権を認めます!」

 

 

ということで二人の辞退は認められた。その代わりとして鉄哲と塩崎が繰り上がってトーナメント進出という形になった。そしてくじ引きが再開され、全員が引き終えた。

 

1回戦: 心操VS緑谷

 

    轟VS瀬呂

 

    塩崎VS上鳴

 

    飯田VS発目

 

    芦戸VS豊穣

 

    常闇VS八百万

 

    鉄哲VS切島

 

    麗日VS爆豪

 

と言う組み合わせになった。

 

「まずは芦戸か……(準決勝で勝己と当たるか……楽しみじゃねぇか)」

 

その前に、1回戦だなと呟く頼光と

 

「ウソ!初戦から豊穣じゃん!終わったーー!!」

 

頼光に当たって嘆いている芦戸

 

決まった組み合わせは変わることは無い。最終種目が始まるまで、各々時間を潰すことにする。

 

神経を研ぎ澄ます者、緊張を解きほぐそうとする者。それぞれの思いを胸に時間は迫る。

 

頼光の携帯端末に着信が来る。

 

「誰からだ?」

 

頼光は着信の主を見る。そこには

 

『妹:雷華』

 

と書かれてた。

 

「……もしもし?」

 

頼光は電話に応じる

 

『もしもし、兄さん?久しぶり。元気にしてた?体育祭見てるわよ!』

 

テンション高めで電話をかけてきた妹。頼光は笑いながら答える。

 

「そうかよ、中々やるもんだろ?雷華のお兄ちゃんは」

 

『そうね、あそこまで個性が使えるようになってるなんて思わなかったよ!小学生の時は、すぐに体を壊してたのに』

 

「何のことかな?記憶にないな」

 

しばらく談笑する。兄妹で、携帯端末越しにだが。

 

「もう、そろそろ時間だな。じゃあな、雷華。寮生活頑張れよ」

 

『分かってるわよ!兄さんも頑張って!一位取るんでしょ?』

 

「勿論な」

 

妹に一位を取ると言い、通話を切る。大きく深呼吸して戻る。口角を釣り上げながら……

 

 

《ヘイガイズアァユゥレディ!?色々やってきましたが!!結局はこれだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばかりだ!分かるよな!!心・技・体に知識、総動員して駆け上がれぇ!!!》

 

プレゼント・マイクが会場のボルテージを最大限まで盛り上げる。

 

そしてフィールドの四方の隅から炎が吹き出すと、いよいよ一回戦第一試合のアナウンスが流れる。

 

《第一回戦!成績の割には何だその顔!ヒーロー科・緑谷出久!VSごめん、まだ目立つ活躍なし!普通科・心操人使!》

 

紹介された両選手は大勢の歓声を浴びながら入場する。

 

《ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にする。あとは「まいった」とか言わせたもん勝ちのガチンコだ!!怪我上等!!こちとらリカバリーガールが待機してっから!!道徳倫理は一旦捨て置け!!だがまぁもちろん命に関わることよーなのはクソだぜ!!アウト!ヒーローは敵を捕まえるために拳を振るうのだ!》

 

頼光はクラスの席に座り、試合を観戦する。1回戦目から緑谷の戦いだ、気にならないわけがない。しかし、何かを話して緑谷が心操に近づくとピタリと止まってしまう。

 

《オイオイどうした!?大事な初戦だ。盛り上げてくれよ!緑谷!開始早々完全停止!?》

 

とマイクも困惑気味に実況する。

 

「折角忠告してやったのに!!」

 

「なぁ、尾白。あいつ、心操の個性はなんだ?」

 

頼光は辞退した尾白に聞く。

 

「多分、操る個性だと思う。質問に答えたら発動する系の……」

 

「なるほどな、初見殺しもいいところだな」

 

「でも万能ってわけでもなさそうだ。騎馬戦の時、終盤に鉄哲のチームとぶつかったんだが、その時に目覚めた。だから衝撃を与えれば洗脳は解ける。って緑谷にもちゃんと言ったんだが」

 

「まぁ、タイマンで衝撃なんて期待できないよな……こんな所で終わるのかよ?」

 

頼光が悔しそうに呟いた瞬間。衝撃波がフィールドを襲う。強い風が吹き荒れる。そしてその風が収まるとそこには後一歩で場外になる所だった緑谷が居た。

 

《緑谷とどまったァァァ!!!》

 

(あの野郎、暴発させやがった。無茶しやがるな!)

 

そして緑谷は心操を背負投をし、場外にして勝利を収めた。

 

こうして緑谷は2回戦進出を決めた

 

《続きましてはこいつらだ!優秀!優秀なのに拭いきれないその地味さは何だ!?ヒーロー科瀬呂範太!VS予選3位2位と推薦入学者の名に恥じぬ成績のこの男!同じくヒーロー科轟焦凍!!それでは最終種目第二試合レディースタート!》

 

開始の合図と共に、瀬呂はテープを射出し、轟に巻き付ける。そして、一気に場外に出そうとする。場外狙いの早業、このまま場外に出すことができれば、瀬呂の勝ちだった……

 

キィン!!!!

 

決着は瀬呂の勝ちにならなかった。轟の氷結が瀬呂を仕留めた。しかし、規模が会場に収まりきらず、天井も突き抜けるほどの規模だった。その光景に観客も、実況も呆然とした。

 

「瀬呂君行動不能!轟君二回戦進出!」

 

ミッドナイトが半身を凍らせながらそう宣言する。そして自然と沸き起こるドンマイココール。そんな光景を見ながら

 

「楽しみになるじゃねえの」

 

楽しみと笑う頼光が居た。

 

 

 

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