最終種目一回戦戦第三試合は上鳴VS塩崎の試合となった。開幕早々に上鳴が放電攻撃を仕掛けたが、塩崎の個性・ツルによって防御されてしまった。そして、上鳴は電気を使いすぎてショートし、ツルに拘束され身動きが取れなくなり、この勝負は塩崎の勝ちとなった。
試合が始まる前に上鳴は
『多分この勝負、一瞬で終わっから』
と言っていた。まさか自身の敗北で一瞬で決着が着くとは思っても見なかっただろう。
「初手ブッパで勝てたら苦労はしねぇな。少し考えが甘かったな」
頼光は今の勝負を見ながら苦笑いをして感想を呟く。そして試合は引き続き行われていく。第四試合は飯田VS発目。この試合は先ほどまでの試合とは異なり、発目のサポートアイテム披露会となった。サポート科の発目にとってこの場は自分の発明品を売り込むのに最高の舞台である。飯田の真面目な性格を利用した売り込み根性は大したものであり、10分に渡り追いかけっことアイテムのプレゼンが行われた。その末は満足した発目が自ら場外に出て決着が着いた。
飯田はうまく乗せられただけの試合となった。第四試合の決着はこのように着いた。
そして、第五試合の幕が開けようとしていた。
《立て続けにいくぜぇ!第五試合!あのツノから何か出んの?ねぇ出んの?ヒーロー科芦戸三奈!VS予選順位ダブル一位!纏うは雷、振るうは剛腕てか!?ヒーロー科豊穣頼光!》
第五試合芦戸VS豊穣。両者がフィールドに出て準備を整える。緑谷は観客席から自作のノートを見ながら試合展開を予想する。
「豊穣君と芦戸さんの対戦……。二人の個性から考えるに、互いに接近戦が鍵を握る……。でも、豊穣君には中距離に対応した技がある。芦戸はそれを掻い潜り接近戦に持ち込まないと勝機は薄い……けど、近接戦に持ち込んだ所で豊穣のを攻略できるかといえば……」
緑谷はノートを見ながら何時もの癖の様にブツブツと分析をする。
「豊穣やっちまえーー!!格闘ゲームみたいに服が破ける感じで倒せー!!」
「クソかよ!」
峰田のゲスい叫びにツッコミをいれるのは耳郎である。そして
《さあ行ってみようか!第五試合スタート!》
芦戸は足から酸を出し、滑る様にフィールドを移動を開始する。目的は機動力で攻めようとの考えだろう。
(接近戦は向こうも強いし、探りながら行くしかないね!)
それ自体は悪くない考えであった。無策に突っ込めば狩られるのは明白であり、機動力から翻弄し倒しにかかるのは当然の策であろう。
「悪いけど遊ぶつもりは無いから、早々に決めさせてもらうぜ?芦戸ちゃん!」
指を親指から中指まで伸ばして芦戸に向ける。指先に電気が集まり、バチバチと音を立てスパークし光弾を形作る。
「何するつもりか知らないけど、こう動いていたら当てられ無いんじゃない!?」
悠長に構える豊穣に対して芦戸は手から酸を出して豊穣の後ろから攻撃をする。しかし、
「雷の方が速いんだぜ?それに、足止めたら機動力の意味が無いぜ!」
豊穣は芦戸の方を向き手から雷球を放つ。迫り来る酸を突き破り
「うそ!?」
芦戸に着弾する。着弾と同時にスパークを起こし電撃が芦戸を襲う。
「あばばばば!?」
芦戸の体は電撃により痺れ、思うように動けなくなってしまう。
「か、体が痺れて…う、動けない……!」
「そりゃ加減をしたが、それなりの電圧で攻撃したからな。少なくてもこの勝負中は動けないだろうよ。と、言うわけで」
芦戸の体操服の襟を掴み、場外に出した。
「芦戸さん場外!二回戦進出!豊穣君!」
ミッドナイトの声が響き渡る。ロボットが来て痺れて動けない芦戸を運んでいく。
《豊穣頼光快勝!電撃で相手を動けなくし、場外まで確実に運ぶ!!意外に紳士かつ、手堅いぜ!!!》
(女の子だからってと言うのはダメなんだろうけど、やっぱり気が引けるよな。というか、案外この技使えそうだな)
第六試合は、八百万と常闇との試合であった。八百万は個性の創造で何かを作ろうとしたが、常闇のダークシャドウがそれを許さない猛攻を仕掛け、考える暇を与えず、気がついやら場外に押し出されていたと言う決着が着いた。
(ノータイムで攻撃できる常闇と考えてから創造する八百万だと、八百万には厳しいな。予め何を創ってどう攻めるか考えていたらまた違った結果だったろうな)
豊穣は軽く分析しながら次に戦うであろう相手を確認する。そして、第七試合は切島と鉄哲による個性被りの面殴り合い。一進一退の攻防は泥臭くも思えるが、全くの互角で見るものを熱くさせる試合だった。最後は互いにダウンし引き分けとなり、回復次第腕相撲で決着がつけることとなった。
一回戦第八試合、見るものに緊張を与える試合が幕を開けようとしていた。その対戦カードは爆豪と麗日の対戦カードだった。回復を待つ間に最後の試合が行われるのだが、
「次 ある意味最も不穏な組みね」
「ウチなんか見たくないなー」
蛙吹と耳郎が不安を漏らす。それもそのはず爆豪の強烈さを容赦の無さを知っているからだ。だが試合はもうすぐ開幕だ。
《中学からちょっとした有名人!!堅気の顔じゃねえヒーロー科爆豪勝己!VS俺こっち応援したい!!ヒーロー科麗日お茶子!》
爆豪と麗日がマイクの紹介の中フィールドに入場する。
「この試合どうなると思う?豊穣君」
緑谷が豊穣に声をかける。豊穣はフィールドの2人を見ながら
「事故でもまぐれでも、麗日が触れることが出来れば勝てるだろうな。けど、勝己はそれを許すほど甘くねえな。厳しい勝負になるだろうな」
豊穣は知っている。爆豪がこう言う時、油断も隙も無く、戦うだろうことを。そして戦いの火蓋が切って落とされた
《第八試合スタート!!!》
合図と共に麗日は爆豪に向かって突っ込む。速攻を仕掛けたのだ。まぐれでも、事故でも触れることが出来れば主導権を握る事が出来る。そして爆豪の選択肢は、回避ではなく迎撃。それを狙っている麗日。最初の一撃は右の大振りが来るのは知っていたため回避して触れようとするが、それでも避けること叶わず。
再度突っ込む麗日。煙に紛れた攻撃に反応して攻撃するが、それはジャージの上着のみであった。麗日が浮かせて囮に利用したのだ。背後から浮かせるべく手を伸ばすが、爆豪その行動を見てからすぐさま爆発で迎撃する。類稀なる反応速度を以て迎撃を成功させる。
触れなきゃ個性を発動出来ない麗日と見てから反応し爆発で迎撃が出来る爆豪では相性は良くない。だが、麗日は諦めることなく突進をする。姿勢を低くし爆豪に触れようと手を伸ばし、その度に爆豪は爆発で迎撃する。油断すること無く確実に。その光景はあまりにも一方的な試合展開である。観客席からブーイングが巻き起こるレベルである。しかし
《今遊んでるっつったのプロか?何年目だ?素面で言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ。ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろ。本気で勝とうしてるからこそ、手加減も油断も出来ねえんだろうが》
マイクを通して観客席へ怒気を含めた声で言う。豊穣は緑谷に声掛けた。
「麗日、無策で突っ込んでいたと思うか?俺ら観客席からなら気づいて当然の光景が見えるぜ?」
「え……?あ……!!」
低姿勢で突進をしていたのは爆豪の打点を集中させるため、それは武器を作り出すためでもある。さらに爆煙と突進は視野を狭める。
「あんな捨て身の策を!?麗日さん!!!」
「勝あアアアァつ!!!」
空中にはフィールドの破片が無数に浮いていた。全てが爆豪が壊したものであり、麗日が浮かしたものである。麗日は個性を解除し破片を落とす。降り注ぐ破片の中、麗日は爆豪に接近する。迎撃にしろ、回避にしろスキが生まれるこの瞬間を狙っていたのだ。
爆豪はゆっくりと破片を見据え左手を構え
バオォォォォォォン!!!
麗日の秘策を文字通り、一撃で正面から力づくでねじ伏せてみせた。
破片を吹き飛ばすだけではなく、その衝撃で近づいていた麗日も吹き飛ばした。それでも諦めず、麗日は挑もうとした、爆豪も構え受けて立つつもりだったが、その前に麗日が許容重量を超え、身体は限界を迎え倒れ込む。
「麗日さん…行動不能。二回戦進出爆豪君!!!」
ミッドナイトが爆豪の勝利を告げ、一回戦の幕を閉じたのであった。
職場体験どこに行けばいいんだろう。